ピューラックスの特徴
ピューラックスは次亜塩素酸ナトリウムを主成分としている殺菌消毒剤です。
次亜塩素酸ナトリウムは多くの医療・福祉機関で利用されており、消毒薬としては中水準のものに分類されます。
製品には第2類医薬品として次亜塩素酸ナトリウム濃度が6%の「ピューラックス」、次亜塩素酸ナトリウム濃度が10%の「ピューラックス-10」があります。また、医薬品ではありませんが「ピューラック-S」という食品添加物の製品も販売され、水道水の殺菌処理や飲食店、食品加工の工場などの衛生管理に使用されています。
ピューラックスの効能・効果
医療器具、シーツ、トイレ、浴槽、食器類、まな板、ふきん、冷蔵庫内、プール水など日常での衛生管理が必要とされるものに使用できます。
グラム陽性菌、グラム陰性菌、真菌(カビ菌)、ウイルスに対して効果があり、とくにノロウイルスやレジオネラ菌への殺菌消毒剤としてよく使用されます。
ただし、結核菌に対する殺菌効果は弱く、確実なものではありません。
ピューラックスの使用方法
ピューラックス(6%)
用途 | 使用方法 |
飲食器具・食品製造器具の消毒 | 食器や器具など消毒したい物を水荒いした後、ピューラックスを300倍に薄めた希釈液(水1リットルに対し約3.3mL)に数分間ひたして殺菌・消毒してください。 |
便所・便器の消毒 | ピューラックスを25倍~300倍に薄めた希釈液(水1リットルに対し約40mL~約3.3mL)で洗浄、もしくは希釈液を雑巾などに含ませて拭いて消毒殺菌してください。 |
浴槽・浴室等の消毒 | ピューラックスを300倍に薄めた希釈液(水1リットルに対し約3.3mL)で消毒殺菌します。 |
水泳プール水の消毒 | プールの水量を測定し、残留塩素を0.4mg/L以上保持するように使用して消毒殺菌してください。使用量は消毒しようとする水質によりますが、目安として水量1000リットルに対しピューラックス約17mLを使用し、残留する塩素濃度を15分~1時間ごとに測定確認しながらピューラックスの量を増減してください。 |
病院のシーツ・包帯・白衣・おしめなどの漂白を兼ねた消毒 | ピューラックスを100倍~200倍に薄めた希釈液(水1リットルに対し約10mL~約5mL)にひたして漂白、消毒殺菌してください。 |
医療器具の消毒 | ピューラックスを300倍に薄めた希釈液(水1リットルに対し約3.3mL)に消毒したい器具を洗浄・水洗いした後、数分間ひたし消毒殺菌してください。 |
飲用水の消毒の場合 | 水量に対して遊離残留塩素を0.1mg/L(結合残留塩素の場合は0.4mg/L)以上保持するようピューラックスを使用して消毒殺菌してください。使用量は消毒しようとする水質によりますが、目安として水量1000リットルに対しピューラックス約17mLを使用し、残留する塩素濃度を測定確認しながら薬剤の量を増減してください。 |
ピューラックス-10
用途 | 使用方法 |
飲食器具・食品製造器具の消毒 | 食器や器具など消毒したい物を水荒いした後、ピューラックス-10を600倍に薄めた希釈液(水1リットルに対し約1.7mL)に数分間ひたして殺菌・消毒してください。 |
便所・便器の消毒 | ピューラックス-10を50倍~600倍に薄めた希釈液(水1リットルに対し約20mL~約1.7mL)で洗浄、もしくは希釈液を雑巾などに含ませて拭いて消毒殺菌してください。 |
浴槽・浴室等の消毒 | ピューラックス-10を600倍に薄めた希釈液(水1リットルに対し約1.7mL)で消毒殺菌します。 |
水泳プール水の消毒 | プールの水量を測定し、残留塩素を0.4mg/L以上保持するように使用して消毒殺菌してください。使用量は消毒しようとする水質によりますが、目安として水量1000リットルに対しピューラックス-10約10mLを使用し、残留する塩素濃度を15分~1時間ごとに測定確認しながらピューラックス-10の量を増減してください。 |
病院のシーツ・包帯・白衣・おしめなどの漂白を兼ねた消毒 | ピューラックス-10を200倍~400倍に薄めた希釈液(水1リットルに対し約5mL~約2.5mL)にひたして漂白、消毒殺菌してください。 |
医療器具の消毒 | ピューラックスを600倍に薄めた希釈液(水1リットルに対して約1.7mL)に消毒したい器具を洗浄・水洗いした後、数分間ひたし消毒殺菌してください。 |
飲用水の消毒の場合 | 水量に対して遊離残留塩素を0.1mg/L(結合残留塩素の場合は0.4mg/L)以上保持するようピューラックスを使用して消毒殺菌してください。使用量は消毒しようとする水質によりますが、目安として水量1000リットルに対しピューラックス-10約10mLを使用し、残留する塩素濃度を測定確認しながらピューラックス-10の量を増減してください。 |
ピューラックスS
【まな板、包丁、食器等の殺菌】
ピューラックス-Sを水で300倍に薄めた希釈液に10分間ひたしてください。ただし、アルミ、銀、鉄などの金属はサビてしまうので注意が必要です。
【生野菜、果物等の殺菌】
ピューラックス-Sを水で600倍に薄めた希釈液に10分間ひたした後、よく水洗いしてください。また、芯のある野菜は芯をくりぬいてからひたして下さい。
【ふきんの殺菌・漂白】
洗濯後、ピューラックス-Sを200倍に薄めた希釈液に10分間ひたした後、再び水洗いしてください。
【テーブル、床の拭き掃除】
ピューラックス-Sを300倍に薄めた希釈液にひたしたふきんや雑巾で拭いてください。
ピューラックス-Sの希釈液の作り方は、次の表を参考にしてください。
200倍 | 300倍 | 500倍 | 600倍 | |
水1L | 5mL | 3.3mL | 2mL | 1.7mL |
水2L | 10.1mL | 6.7mL | 4mL | 3.3mL |
水3L | 15.1mL | 10mL | 6mL | 5mL |
水5L | 25.1mL | 16.7mL | 10mL | 8.4mL |
水10L | 50.3mL | 33.4mL | 20mL | 16.7mL |
ピューラックスの使用上の注意
ピューラックスは十分に換気ができる環境で使用してください。
ピューラックスの希釈液はなるべく作り置きをせず、使用時に作り直してください。
乾燥肌など皮膚が荒れやすい方や、ピューラックスの原液や希釈液に長時間手を入れておく場合などは、ゴム手袋を着用してください。
ピューラックスの成分により金属はサビやすくなるので、金属への使用は避けてください。
ピューラックスには強い漂白力があり、衣類などにつけると脱色する可能性があるため注意しましょう。
してはいけないこと
人体への消毒目的には使用しないでください。
殺菌・消毒以外の目的には使用しないでください。
スプレーなど噴霧(ふんむ)では使用しないでください。噴霧では液体がまんべんなく行き渡らず、しっかりと消毒できない可能性があります。また、ミスト状になった希釈液を吸い込むと健康に影響するおそれがあります。
酸性の製品やほかの製品と混ぜたり、併用したりしないでください。
その他の注意
間違ってピューラックスの原液や希釈液を飲んでしまった場合は、吐かせることはせずに多量の水や牛乳、生卵などを飲み、すぐに医療機関を受診してください。
間違ってピューラックスの原液や希釈液が眼に入ってしまった場合は、すぐに水道水などの綺麗な水で洗い流し、医療機関を受診してください。
ピューラックスを使用すると皮膚に異常があらわれることがあります。発赤、腫れ、かゆみ、灼熱感、水ぶくれなどがあらわれた場合はすぐに医療機関を受診してください。
保管の注意
直射日光を避けてキャップをしっかりと閉め、子どもの手が届かないなるべく涼しい所に保管してください。
間違って使用したり、薬の効果が劣化することを防ぐためにも、ほかの容器に入れ替えないでください。
使用期限を過ぎている場合は使用しないでください。なお、開封後は少しずつ成分である次亜塩素酸ナトリウムの濃度が薄くなり、殺菌消毒の効果が弱くなる可能性があります。開封後はなるべく早く(開栓後およそ半年以内)使用してください。
おわりに
ピューラックスのように次亜塩素酸ナトリウムを成分とした公衆衛生用の消毒殺菌剤にハイターがあります。
ピューラックスは次亜塩素酸ナトリウムのみを成分とし、品質が高いことから医薬品として認められていますが、ハイターは家庭用として使うことを前提として次亜塩素酸ナトリウムの品質を維持するための安定剤や、汚れを落とす成分が含まれています。
ご家庭で使う場合には、ピューラックスはノロウイルスなど感染力の強い細菌・ウイルス対策に、ハイターはコップやお皿などの除菌・漂白に使うなど、目的に合わせて使い分けましょう。