貧血に処方される薬の副作用は珍しいことではありません。
病院から処方される鉄剤を使用している方の、約10〜20%の方は副作用を訴えているとされています。

ただでさえツラい貧血の症状に、貧血を治すための副作用までツラいとなると、どうしていいのかわからなくなってしまうもの。
しかし一度貧血になってしまうと、鉄剤を使用しなければ改善しないことを覚えておきましょう。
貧血を治すためにも、鉄剤の副作用が出た時に適切な対処を行うことが大切です。

鉄剤の副作用と副作用への対処法、鉄剤に頼らないための貧血予防までご紹介します。

鉄剤の副作用と対処法

鉄剤の主な副作用は胃腸障害です。
吐き気、嘔吐、胸焼け、腹痛、下痢、便秘などがあげられます。まれに蕁麻疹や発疹、尿の色の変化を訴える方もいます。

なお、慢性肝炎や肝硬変による鉄欠乏性貧血の場合は、症状が悪化する可能性があるため、鉄剤は使用されません。

副作用への対処法

鉄剤の服用で副作用が起きた場合は、以下のような対処を行います。

・服用のタイミングを変更する
・1日あたりの摂取量を減量する
・薬の変更

ただし、自己判断で薬の量を変更することは危険です。副作用が出た場合は、必ず医師に相談して指示をあおぎましょう。
上記を行っても副作用が改善されない場合は、飲み薬ではなく静脈注射で鉄を補給する場合もあります。

なお、副作用の原因として、プラセボ効果(副作用がでると思い込むことで症状がでる)などの精神的な要因もあげられています。

生理や体への影響は?

鉄剤を使用してから、生理の出血が増えた、太ってしまった・・など、さまざまな症状に気づくことがあります。基本的には鉄剤の副作用は消化器症状であり、生理や体重に直接影響することはありません。
ただし、貧血の原因となる病気が生理や体の不調に影響している可能性もあります。気になる症状がある場合はかかりつけ医に相談しましょう。

妊娠中の副作用への対処

妊娠中は血液が薄くなるため、貧血になりやすい状態です。多くの妊婦が貧血の診断を受けて鉄剤を処方されています。
しかし、鉄剤による副作用の嘔吐に悩まされる方が多いのも事実。特につわりの時期は貧血になりやすく、またつわりの嘔吐で胃や食道が荒れているため、鉄剤の副作用がでやすくなっています。

貧血の状態は母体だけではなく胎児にも影響があるため、しっかり対策したいもの。
鉄剤の副作用がつらい場合は、薬の変更や胃薬の併用、静脈注射での鉄分摂取に切り替えるなど、さまざまな対処が可能です。早めに医師に相談しましょう。

主な鉄剤と副作用

鉄欠乏性貧血に処方される経口薬の鉄剤と添付文書に記載されている副作用をご紹介します。

商品名 鉄含有量 添付文書に記載の副作用
フェロミア 50mg/1錠 悪心・嘔吐、上腹部不快感、 胃・腹痛、下痢、 食欲不振、 便秘、胸やけ、腹部膨満感等
フェロ・グラデュメット 105mg/1錠 悪心・嘔吐,腹痛,食欲不振,胃部不快感
スローフィー 50mg/1錠 悪心・嘔吐、食欲不振、腹痛、下痢、便秘、蕁麻疹、そう痒感
テツクール徐放錠 100mg/1錠 悪心,嘔吐,腹痛,食欲不振,下痢,便秘、発疹,蕁麻疹,そう痒感等
フェルム 100mg/1錠 嘔気・悪心,腹痛(上腹部痛,胃痛,胃不快感,胃重感を含む),嘔吐,食欲不振等

鉄剤服用時の注意

◼︎水や白湯で飲む
お茶やコーヒーに含まれるタンニンは、鉄の吸収を妨げるとされていますが、現代の問題ないとされています。しかし、あえてお茶やコーヒーで鉄剤を飲む必要はありません。鉄剤を飲むときは水か白湯で飲みましょう。

◼︎鉄欠乏状態ではない場合は服用しない
鉄剤を使用する必要がある方は、鉄欠乏状態にある患者のみになります。鉄分の過剰摂取は危険なため、医師の処方のもと用法・用量を守って摂取しましょう。

◼︎他の薬との飲み合わせに注意
薬の成分によっては、相互作用により鉄分の吸収を阻害することもあります。服用の際は医師や薬剤師に相談してください。

食べ物で上手に鉄を摂取

処方された鉄剤だけではなく、毎日の食事で鉄分を効率良く摂取することも、重要な貧血対策です。鉄剤の使用と合わせて、日々の食事を見直しましょう。

食物に含まれる鉄分は、体内への吸収率が10〜30%となる「ヘム鉄」と、吸収率が1〜8%の「非ヘム鉄」に分かれます。ヘム鉄は主に肉(牛・豚・鶏)や赤い魚に含まれ、非ヘム鉄は海藻類、野菜、穀類、果物に多くみられます。
食べ物の種類によっても、鉄の吸収率が大きく違うので、ヘム鉄が多く含まれているものを吸収のいい食品や調理法と合わせて摂取することが大切です。

また、ヘム鉄だけとればいいわけではなく、バランスよく栄養をとることが大事。
非ヘム鉄は、ビタミンC、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸などの貧血を予防する栄養素と一緒にとることを覚えておきましょう。

鉄の吸収をよくするもの

・肉や魚のヘム鉄
・ビタミンC
・醤油や酢

鉄の吸収を邪魔するもの

・納豆
・小麦粉
・豆
・お茶
・コーヒー
・ココア
・カルシウム
・ミルクなどの乳製品

通常の食事では、なるべく時間をかけて食事をとり、鉄分の吸収を邪魔するものは少なめにとりましょう。オレンジジュースなどのビタミンCを食事の際に飲むと効率よく鉄を吸収してくれます。
また、ミルクやチーズなどの乳製品は、食事としてではなく間食としてとることが望ましいです。

貧血の治療は、まずは受診を

貧血を治療するためには、貧血の原因の解明と適切な鉄剤の使用、そして食生活の見直しが重要です。

貧血で何科を受診すればよいかわからないときは、関連記事に詳しく記載があります。
関連記事:貧血は何科に行くべき?病院での貧血検査・検査時間・治療について

男性が気をつけたい貧血の病気については以下の記事をごらんください。
関連記事:男性の貧血は危険!女性とは違う貧血の原因は?隠されている病気を解説

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