フスコデとは?
フスコデは病院で処方される、咳を止めるための薬です。
フスコデには錠剤タイプの「フスコデ配合錠」とシロップ剤タイプの「フスコデ配合シロップ」があります。
フスコデは複数の有効成分が配合された薬で、フスコデ配合錠・フスコデ配合シロップともに配合されている有効成分自体は同じですが、配合割合に少しの違いがあります。
シロップ剤は主に錠剤が飲めない方や、子どもなど用量の調整が必要な方に処方されます。
【フスコデ配合錠の有効成分】
有効成分の名称・含量
1 錠中
ジヒドロコデインリン酸塩 3mg
dl-メチルエフェドリン塩酸塩 7mg
クロルフェニラミンマレイン酸塩 1.5mgフスコデ配合錠 添付文書
【フスコデ配合シロップの有効成分】
有効成分の名称・含量
10mL中
ジヒドロコデインリン酸塩 30mg
dl-メチルエフェドリン塩酸塩 60mg
クロルフェニラミンマレイン酸塩 12mgフスコデ配合シロップ 添付文書
効能・効果
フスコデは上記の3つ成分から咳を鎮める薬となります。添付文書上の効能効果は以下のとおりです。
下記疾患に伴う咳嗽
急性気管支炎,慢性気管支炎,感冒・上気道炎,肺炎,肺結核フスコデ配合錠/フスコデ配合シロップ 添付文書
フスコデは風邪や肺炎のときの咳に効果を発揮します。
配合された有効成分には、それぞれ違った役割があります。
【有効成分の働き】
・ジヒドロコデインリン酸塩:咳を起こす延髄の咳中枢に直接作用して、咳が出るのをおさえます。
・dl-メチルエフェドリン塩酸塩:気管支平滑筋を弛緩させることで気道を広げ、呼吸の苦しさや咳をやわらげます。
・クロルフェニラミンマレイン酸塩:気管支平滑筋を収縮させる物質「ヒスタミン」の働きをおさえることで、気道が狭くなるのを防ぎ、咳を出にくくします。
フスコデの効果時間
作用発現時間
3つの成分を合わせたフスコデには、作用発現時間のデータがありません。
有効成分の中でも咳止めとして中心的な役割を果たすのがジヒドロコデインリン酸塩です。
参考までに、ジヒドロコデイン酸塩を単体で使用した場合、血中の濃度が最高値に達するまでの時間は、個人差はありますが1時間弱〜1時間30分程度といわれており、それまでにはジヒドロコデイン酸塩の作用が発現すると考えられます。よって、フスコデについてもそのくらいの時間で作用が出てくると推察できます。
作用持続時間
フスコデの正確な作用の持続時間は不明です。
参考までに、コデインリン酸塩散1%「マルイシ」のインタビューフォームには、咳止めとしてコデインリン酸塩を単体で使用した場合の、作用持続時間は4~6時間と記載されています。
これらのことを考慮すると、作用発現時間、作用発現時間をふまえ、続けて飲む場合は4〜6時間程度の間隔をあけましょう。
フスコデの副作用|眠気・便秘について
残念ながらフスコデは副作用の発現頻度が明確になるような調査をしていないため、副作用の出やすさや頻度などは公式の見解がありません。
代表的な副作用には、眠気・便秘などがあります。
眠気について
眠気はフスコデに含まれる抗ヒスタミン成分のクロルフェニラミンマレイン酸塩の作用が主な原因とされています。
重要な基本的注意として、フスコデ使用中は自動車の運転など、危険をともなう機械の操作をしないこととする注意喚起もされています。
フスコデを使用している場合は、車の運転などは控えるようにしましょう。
便秘について
便秘はフスコデに含まれるジヒドロコデインリン酸塩が主な原因とされています。
ジヒドロコデインリン酸塩が腸管の運動をおさえることで、腸内の内容物の輸送を遅らせ便秘を起こします。
便秘でつらい場合は、担当の医師に相談するようにしましょう。
重大な副作用について
重大な副作用としては、無顆粒球症・再生不良性貧血・呼吸抑制が報告されています。
無顆粒球症・再生不良性貧血の初期症状としては、めまい・鼻血・歯ぐきの出血・動悸や息切れ・ぶつけてもいないのに青あざができる・出血が止まりにくい・発熱・のどの痛みなどがあります。
呼吸抑制の症状としては、息切れ・呼吸がゆっくりになる・不規則な呼吸・呼吸異常などが現れます。
フスコデを使用している間にいつもと違う症状が続く場合は、医師に相談するようにしましょう。
その他の副作用について
その他の副作用としては以下のようなものも報告されています。
過敏症 | 顔面紅潮、発疹、そう痒感 |
血液 | 血小板減少症 |
依存性 | 薬物依存 |
呼吸循環器系 | 呼吸抑制、心悸亢進、血圧変動 |
精神神経系 | 眠気、疲労、めまい、発汗、頭痛、神経過敏、熱感 |
消化器 | 悪心・嘔吐、便秘、食欲不振、口渇 |
泌尿器 | 多尿、排尿困難 |
フスコデを使用するときの注意
飲み合わせができない薬
フスコデはカテコールアミン製剤とは併用をしてはいけないとされています。
カテコールアミン製剤には以下のようなものがあります。
・アドレナリン(製品名:ボスミンなど)
・イソプロテレノール (製品名:プロタノールなど)
このほかにもカテコールアミン製剤は多く存在するため、病院を受診した際は必ず、医師や薬剤師に自分が使っている薬を伝えましょう。
使っている薬を医師や薬剤師に伝えることで、相性の悪い薬をチェックすることができ、安全な薬を選んでもらうことができます。
注意が必要な薬
同時に使用することが禁止されていないものの、注意が必要となる薬です。
・中枢神経抑制剤(フェノチアジン誘導体、バルビツール酸誘導体など)
・モノアミン酸化酵素阻害剤
・三環系抗うつ剤
・アルコール
・抗コリン剤(アトロピン硫酸塩など)
・モノアミン酸化酵素阻害剤
・甲状腺製剤(レボチロキシン、リオチロニンなど)
・ナルメフェン塩酸塩水和物
併用するかどうかは医師の判断が必要となるため、病院を受診した際は必ず、自分が使っている薬を医師や薬剤師に伝えましょう。
市販の風邪薬
フスコデの成分は市販の風邪薬(総合感冒薬)などにもよく使われており、市販の風邪薬とフスコデをあわせて使用すると、成分が重複し、過剰摂取になる可能性があります。
基本的には市販の風邪薬と併用することは避け、どうしても併用したい場合は医師・薬剤師に相談し、特定の成分の過剰摂取にならないよう気を付けましょう。
咳以外の症状が出たが、病院が休みで市販の風邪薬も使いたいなどの場合は、自己判断で使用する前に薬剤師・登録販売者に確認することがおすすめです。
アルコール
飲酒によって、中枢抑制作用が増強されることで、鎮静・催眠作用などの副作用が現れやすくなる危険性があります。
フスコデを使用中の飲酒は控えるようにしましょう。
12歳未満には使用しない
米食品医薬品局(FDA)が2017年4月20日、呼吸抑制などの副作用の危険性から12歳未満の子どもへの使用を禁忌としたことで、日本でも12歳未満の子どもへの使用は原則禁止となりました。
おわりに
フスコデは飲み合わせが悪いものや、注意点もある薬のため、医師・薬剤師に飲み合わせが大丈夫かを確認し、指示された用法・用量を守って使用しましょう。