プラノバールは代表的な女性ホルモンの薬!
プラノバールは代表的な女性ホルモン薬です。
黄体ホルモンと卵胞ホルモンの混合ホルモン剤で、2種類の女性ホルモンを補充することでホルモンバランスを整える作用を示します。
生理不順、無月経、機能性子宮出血、月経困難症(生理痛)、月経前緊張症(PMS)、子宮内膜症、不妊症などの治療に広く処方されています。
この記事では、プラノバールについて添付文書から詳しく解説します。
プラノバールとは?
プラノバールとはどんな薬?
プラノバールは成分を「ノルゲストレル・エチニルエストラジオール」とし、黄体ホルモンと卵胞ホルモンが配合されているホルモン剤です。
プラノバールは、いわゆる「ピル」と呼ばれる薬。
含まれる卵胞ホルモンの量から、「中用量ピル 」に分類されます。
剤形は錠剤の1種類のみ。商品名は「プラノバール配合錠」です。
1979年に発売が開始されました。
プラノバールの適応疾患は?
プラノバールの適応疾患は、機能性子宮出血、無月経、月経量、周期異常などです。
ジェネリック医薬品はある?
現在、プラノバール配合錠のジェネリック医薬品は発売されていません。
市販薬はある?
現在、プラノバールと同じ成分を含む市販薬はありません。
プラノバールは処方薬のため、購入には医師の処方箋が必要です。
プラノバールの効果・作用
作用
プラノバールは、黄体ホルモンと卵胞ホルモンを補うことにより、これらのホルモンバランスを整えます。
女性ホルモンが不足したり、バランスが崩れることにより起こる様々な症状を改善する効果が期待できます。
効能・効果
添付文書による、プラノバール配合錠の効能または効果は以下の通りです。
機能性子宮出血、月経困難症、月経周期異常(稀発月経,頻発月経)、過多月経、子宮内膜症、卵巣機能不全
生理不順、無月経、機能性子宮出血、月経困難症(生理痛)、月経前緊張症(PMS)、子宮内膜症、不妊症などに処方されます。
また、生理を遅らせたり、早めたりといった生理日変更などにも応用されます。
効果時間・半減期
血液中の薬の濃度が最も高くなる時間は、薬を使用してから3時間後とされています。
また、約24時間後に血液中での薬の濃度が半分になるとされています。
プラノバールの避妊への効果は?
現在、計画的な避妊に対しては、副作用の少ない低用量ピルを用いるのが一般的となっています。
中用量ピルであるプラノバールは、緊急避妊(アフターピル)に対して応用されます。
緊急避妊は、避妊をせずに性交渉を行ってしまった場合などに、望まない妊娠を防ぐために緊急的に行う避妊方法です。
排卵を遅らせたり、着床を防ぐことにより妊娠を防ぎます。
緊急避妊はあくまでの緊急時の対応方法です。
ホルモンバランスを崩し体に負担がかかってしまいますので、繰り返し行うことは避けてください。
プラノバールの用法・用量
用法・用量
添付文書による、プラノバール配合錠の用法または用量は以下の通りです。
用法用量は症状によって異なります。必ず医師の指示に従って服用してください。
機能性子宮出血
1日1錠を7~10日間連続投与する
月経困難症、月経周期異常(稀発月経,頻発月経)、過多月経、子宮内膜症、卵巣機能不全
1日1錠を月経周期第5日より約3週間連続投与する
■使用する際はコップ1杯程度の水またはぬるま湯と一緒に飲んでください。
■指示された量よりも多く飲んでしまった場合、体調に異常を感じたら医師または薬剤師に相談してください。
■プラノバールを長期間使用する場合には、約6か月ごとに婦人科的検査が必要です。
受診日を守るようにしてください。
飲み終えてから生理が来るまではどのくらい?
通常、プラノバールを飲み終えてから2〜3日で生理がきます。
しかし、個人差がありますので、生理が来なくても1週間程度は様子を見てみましょう。
飲み忘れた時は?
プラノバールを飲み忘れた場合、気がついた時にできるだけ早く1回分を服用してください。
ただし、次に飲む時間が近い場合は、忘れた分を1回とばし、次のいつも通りの服用時間に1回分を飲みましょう。
2回分を1度に飲むことは絶対にしないでください。
緊急避妊(モーニングアフターピル)としての用法・用量
プラノバールを緊急避妊のために使用する場合、性交渉から72時間以内に婦人科を受診し、処方してもらう必要があります。
プラノバールを処方されたら、すぐに2錠飲みます。
その12時間後にさらに2錠飲んでください。
服用は、性交渉からできるだけ早い方が効果が高いとされています。
最初の服用が性交渉から72時間以内の場合の避妊効果は約75%とされています。
プラノバールの副作用
プラノバールは比較的副作用の少ない薬です。
添付文書では、全体の6.32%の方に副作用が起こったことが報告されています。
飲み始めの副作用:吐き気やだるさ、頭痛や不正出血など
プラノバールを飲み始めた頃は、妊娠初期に似たような症状が起こる場合があります。
吐き気やだるさ、頭痛や不正出血などです。
飲み始めの吐き気は徐々になくなっていきます。
不正出血は、飲み忘れでも起こるため、注意が必要です。
主な副作用:吐き気・嘔吐、食欲不振など
プラノバールの主な副作用として、吐き気・嘔吐、食欲不振などの消化器系の症状が挙げられます。
その他、報告されている副作用は以下の通りです。
肝 臓 | 肝機能の異常、黄疸等 |
子 宮 | 不正出血(破綻出血,点状出血)、経血量の変化,帯下の増加等 |
乳 房 | 乳房緊満感、乳房痛等 |
過敏症 | 発疹等 |
電解質代謝 | 浮腫,体重増加 |
循環器 | 動悸,血圧上昇等 |
消化器 | 悪心・嘔吐,食欲不振,胃痛、下痢,腹痛,便秘,口内炎,口渇等 |
精神神経系 | 頭痛,眠気,けん怠感、めまい,神経過敏等 |
皮 膚 | ざ瘡、色素沈着等 |
その他 | 熱感,腰痛,肩こり,冷感、コンタクトレンズがうまく調節されない等 |
重大な副作用:血栓症
重篤な副作用はめったに起こりませんが、血栓症を引き起こす可能性があります。
血栓症(0.1~0.2%未満)
血栓症(四肢,肺,心,脳,網膜等)があらわれることがあるので,観察を十分に行い,下肢の急激な疼痛・腫脹,突然の息切れ,胸痛,激しい頭痛,四肢の脱力・麻痺,構語障害,急性視力障害等の症状があらわれた場合には直ちに投与を中止し,適切な処置を行うこと
■次のような症状があらわれた場合は直ちに使用を中止し、救急医療機関を受診してください。
【緊急対応を要する血栓症の主な症状】
下肢の急激な疼痛・腫脹、突然の息切れ、胸痛、激しい頭痛、四肢の脱力・麻痺、構語障害、急性視力障害など
■血栓症が疑われる症状があらわれた場合は使用を中止し、医師に相談してください。
【血栓症が疑われる症状】
下肢の疼痛・腫脹・しびれ・発赤・熱感、頭痛、嘔気・嘔吐など
■プラノバールを使用中にやむを得ず手術が必要となった場合には、血栓症の予防に配慮する必要があります。
必ず手術を担当する医師に、プラノバールを服用中であることを伝えてください。
プラノバールを服用すると太る?
添付文書による体重増加の発現率は0.1~5%未満と多くはありません。
また、ピルと体重増加には直接の因果関係はないという研究結果も出ています。
しかし、実際に「ピルを飲んで太った」と感じる人は多いようです。
これは、ピルに含まれる女性ホルモンによる食欲増進やむくみなどが体重増加につながるためと考えられます。
中用量ピルであるプラノバールは、ホルモンの含有量が多いため体重増加につながりやすいといわれています。
体重増加が気になったら、一度、生活習慣を見直してみることも大切でしょう。
体重増加の予防には、食事の管理や軽い運動を行うことが効果的です。
プラノバール使用上の注意
プラノバールの使用に際しては、以下の注意が必要です。
プラノバールを使用してはいけない方(禁忌)
以下の方は、プラノバールを使用してはいけません。
禁忌(次の患者には投与しないこと)
1.血栓性静脈炎,肺塞栓症又はその既往歴のある患者
[血液凝固能が亢進され,これらの症状が悪化又は再発することがある.]2.エストロゲン依存性悪性腫瘍(例えば,乳癌,子宮内膜癌)及びその疑いのある患者
[エストロゲン作用により,腫瘍の悪化あるいは顕性化を促すことがある.]3.重篤な肝障害のある患者
[肝障害を悪化させるおそれがある.]4.前回妊娠中に黄疸又は持続性そう痒症の既往歴のある患者
[症状が再発するおそれがある.]5.前回の妊娠中に悪化した耳硬化症の既往歴のある患者
[症状が再発するおそれがある.]6.妊娠ヘルペスの既往歴のある患者
[症状が再発するおそれがある.]7.鎌状赤血球貧血のある患者
[血栓症又は肝障害を起こすおそれがある.]8.デュビン・ジョンソン症候群,ローター症候群の患者
[症状を悪化させるおそれがある.]9.脂質代謝異常のある患者
[症状を悪化させるおそれがある.]10.妊婦又は妊娠している可能性のある女性
11.診断の確定していない異常性器出血のある患者
[悪性腫瘍の場合,症状を悪化させるおそれがある.]12.オムビタスビル水和物・パリタプレビル水和物・リトナビル配合剤を投与中の患者
プラノバールを使用する際に注意が必要な方
下記に当てはまる方は、プラノバールを使用する際には注意が必要です。
使用後に体調の変化があらわれた場合は医師に相談してください。
慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
1.肝障害のある患者
[肝障害を悪化させるおそれがある.]2.子宮筋腫のある患者
[子宮筋腫の発育を促進するおそれがある.]3.乳癌の既往歴のある患者
[乳癌が再発するおそれがある.]4.乳癌家族素因が強い患者,乳房結節のある患者,乳腺症の患者又は乳房レントゲン像に異常がみられた患者
[症状が増悪するおそれがある.]5.心疾患・腎疾患又はその既往歴のある患者
[ナトリウム又は体液の貯留により症状を悪化させることがある.]6.てんかん患者
[症状を悪化させるおそれがある.]7.糖尿病患者
[耐糖能が低下することがあるので,十分コントロールを行いながら投与すること.]8.40歳以上の女性
[一般に血栓症等の心・血管系の障害が発生しやすくなる年代であるため,これを助長するおそれがある.]9.骨成長が終了していない可能性がある患者
[骨端閉鎖をきたすおそれがある.]10.ポルフィリン症の患者
[症状を悪化させるおそれがある.]11.テタニーのある患者
[症状を悪化させるおそれがある.]12.高血圧のある患者
[症状を悪化させるおそれがある.]13.授乳中の女性
妊娠中・授乳中の方の使用
■妊婦または妊娠している可能性のある方は、プラノバールを使用できません。
妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので,妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと.
■授乳中はできるだけ控えることとなっていますが、どうしても必要な場合は必要最小限の範囲で使用します。
また、止むを得ず使用する場合は、薬が効いているとされる間は授乳は避けてください。
母乳の量的質的低下が起こることがある.また,母乳中へ移行することが報告されているので,授乳中の女性には慎重に投与すること.
小児等の使用
骨成長が終了していない可能性がある子どもなどは、観察を十分に行い慎重に使用する必要があります。
骨端の早期閉鎖をきたすおそれがあるので,骨成長が終了していない可能性がある患者には観察を十分に行い慎重に投与すること
プラノバール服用中の喫煙
プラノバールを使用する場合には、できるだけ禁煙してください。
外国では,喫煙が類薬(経口避妊薬)による心・血管系の重篤な副作用(血栓症等)の危険性を増大させ,また,この危険性は年齢及び喫煙量(1日15本以上)により増大し,35歳以上の女性で特に顕著であるとの報告がある.したがって,本剤を投与する場合には禁煙させることが望ましい.
プラノバールの他の薬との飲み合わせ
併用してはいけない薬(併用禁忌)
オムビタスビル水和物・パリタプレビル水和物・リトナビル配合剤(ヴィキラックス)を使用している方はプラノバールを併用できません。
併用禁忌(併用しないこと)
オムビタスビル水和物・パリタプレビル水和物・リトナビル配合剤(ヴィキラックス)
エチニルエストラジオール含有経口避妊剤を併用した患者においてALT(GPT)上昇が高頻度に認められている.
なお,オムビタスビル水和物・パリタプレビル水和物・リトナビル配合剤治療終了の約2週間後から本剤の投与を再開できる.
併用に注意が必要な薬
以下のような薬を使用している方は注意が必要です。
併用する際には、医師・薬剤師に相談しながら指示をあおいでください。
・副腎皮質ホルモン(プレドニゾロンなど)
・三環系抗うつ剤(イミプラミンなど)
・セレギリン塩酸塩
・シクロスポリン
・テオフィリン
・オメプラゾール
・リファンピシン
・バルビツール酸系製剤(フェノバルビタールなど)
・ヒダントイン系製剤(フェニトインナトリウムなど)
他にも飲み合わせに注意が必要な薬があります。
使用中の薬がある場合は必ず医師に伝えてください。
プラノバールの食品との飲み合わせ・食べ合わせ
アルコール(飲酒)
添付文書では、プラノバール服用中の飲酒に関する注意事項はありません。
しかし、一般的に薬を服用中の飲酒は推奨されていません。アルコール摂取は控えるようにしましょう。
セイヨウオトギリソウを含む食品
プラノバールの服用中はセイヨウオトギリソウ(St. John's Wort、セント・ジョーンズ・ワート)を摂取しないようにしてください。
薬の効果が弱くなったり、不正性器出血が起こりやすくなるおそれがあります。
プラノバールの値段・購入方法
プラノバールの薬価
プラノバールの薬価は下記の通りです。
薬品名 | 薬価 (薬自体の価格) |
先発 | 製造 |
---|---|---|---|
プラノバール配合錠 | 14.00円/錠 | 先発 | あすか製薬 |
購入方法:個人輸入には注意が必要です
プラノバールは処方薬のため、購入には医師の処方箋が必要です。
しかし、個人輸入代行サイトや通販サイトなどで販売されていることもあります。
注意しなければいけないのは、個人輸入で入手した薬は、「医薬品副作用救済制度」が受けられないということ。
万が一、体に重大な健康被害が生じた場合、公的な救済処置が受けられないというリスクを覚えておかなくてはいけません。
さいごに 医師の指示のもと正しく服用しましょう
プラノバールは、症状により用法用量が異なります。
医師の指示のもと、正しく服用することが大切です。
そして、体調の異変や疑問を感じたら、ひとりで悩まず、医師に相談しましょう。