フロモックスとは
フロモックスとは抗菌作用を示す抗生物質の一種で、感染症や膀胱炎など細菌が原因で起こるさまざまな病気の治療に使用されています。
副作用としては下痢の症状が主なもので、ショック症状など重大な副作用を起こす危険性比較的低い薬です。
また、フロモックスは小児用の細粒タイプもあり、体調不良で免疫力の下がった子供の感染症対策などで処方されることもあります。
フロモックスの効能と用法・用量
フロモックスはセフェム系抗生物質という薬で、細菌が原因になる膀胱炎や気管支炎などの治療薬として効果があります。体内に入り込んだ病原菌の増殖をおさえることで、感染にともなう腫れや発赤、痛み、熱をおさえます。
大人が使用する場合と子どもが使用する場合で効能や用法・用量が少しずつ異なるため、注意が必要です。
また、同じセフェム系抗生物質はフロモックス以外にも以下のような薬があります。
フロモックス錠75mg/フロモックス錠100mgの効能と用法用量
■効能
<適応菌種>
セフカペンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、淋菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、インフルエンザ菌、ペプトストレプトコッカス属、バクテロイデス属、プレボテラ属(プレボテラ・ビビアを除く)、アクネ菌
<適応症>
・表在性皮膚感染症,深在性皮膚感染症,リンパ管・リンパ節炎,慢性膿皮症
・外傷・熱傷及び手術創等の二次感染,乳腺炎,肛門周囲膿瘍
・咽頭・喉頭炎,扁桃炎(扁桃周囲炎,扁桃周囲膿瘍を含む),急性気管支炎,肺炎,慢性呼吸器病変の二次感染
・膀胱炎,腎盂腎炎
・尿道炎,子宮頸管炎
・胆嚢炎,胆管炎
・バルトリン腺炎,子宮内感染,子宮付属器炎
・涙嚢炎,麦粒腫,瞼板腺炎
・外耳炎,中耳炎,副鼻腔炎
・歯周組織炎,歯冠周囲炎,顎炎フロモックス錠75mg/フロモックス錠100mg添付文書
■用法・用量
通常,成人にはセフカペン ピボキシル塩酸塩水和物として1回100mg(力価)を1日3回食後経口投与する。
なお,年齢及び症状に応じて適宜増減するが,難治性又は効果不十分と思われる症例には1回150mg(力価)を1日3回食後経口投与する。
フロモックス錠75mg/フロモックス錠100mg添付文書
フロモックス小児用細粒100mgの効能と用法用量
子どもだけでなく、病気の症状により錠剤を飲み込むのが難しい場合や、高齢の方などに小児用細粒が処方されることもあります。その場合の効能や用法・用量はフロモックス錠の場合と同じです。
■効能(小児の場合)
<適応菌種>
セフカペンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、インフルエンザ菌、ペプトストレプトコッカス属、バクテロイデス属、プレボテラ属(プレボテラ・ビビアを除く)、アクネ菌
<適応症>・表在性皮膚感染症,深在性皮膚感染症,リンパ管・リンパ節炎,慢性膿皮症
・咽頭・喉頭炎,扁桃炎(扁桃周囲炎,扁桃周囲膿瘍を含む),急性気管支炎,肺炎
・膀胱炎,腎盂腎炎
・中耳炎,副鼻腔炎
・猩紅熱フロモックス小児用細粒100mg添付文書
■用法・用量(小児の場合)
通常,小児にはセフカペン ピボキシル塩酸塩水和物として1回3mg(力価)/kgを1日3回食後経口投与する。
なお,年齢,体重及び症状に応じて適宜増減する。フロモックス小児用細粒100mg添付文書
フロモックスの風邪への効果
フロモックスは咽頭・喉頭炎,扁桃炎(扁桃周囲炎,扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎などの症状に処方されます。
以前は風邪に対しても抗生剤がよく処方されていましたが、近年では耐性菌の問題から基本的には処方されなくなってきました。
また、風邪の原因の多くはウイルスですが、フロモックスはウイルスには効果を発揮しません。
あくまで細菌が原因となる病気にのみ効果を発揮します。
フロモックスがウイルス性の風邪にも処方される理由
前述のとおり、フロモックスはウイルス性の風邪などには効果がありません。例えばインフルエンザ、手足口病、突発性発疹、プール熱、おたふく風邪などはウイルスが原因となる病気なので効果がありません。
しかし、これらの病気で免疫力が下がっている時に、細菌へ二次感染をして症状が悪化するケースがあります。これを避けるために、ウイルス性の風邪やインフルエンザの際にフロモックスが処方されることもあります。それは治療目的ではなく、二次感染予防の目的です。
フロモックスの膀胱炎への効果
フロモックスは、急性膀胱炎の原因の約8割を占める大腸菌やブドウ球菌属、レンサ球菌属などを抑制することから、膀胱炎の治療薬としても使用頻度が高いとされています。
残尿感や排尿痛をともなう膀胱炎をできるだけ早く改善するためには、処方されたフロモックスの効果がきちんと発揮されるように、用法・用量を守って服用することが大切です。
また、妊娠中は膀胱炎になりやすい時期ですが、フロモックスは医師の判断によっては妊娠中や授乳中でも服用することが可能です。
膀胱炎の治療と予防に漢方薬が選択されるケースもあります。抗生物質を服用することに抵抗がある方は医師に相談してみると良いでしょう。
フロモックスの歯の炎症への効果
虫歯や歯周病などの細菌が原因でおこる歯の炎症へもフロモックスは使用されます。
歯科、口腔外科領域の感染症におけるフロモックスの有効率は95.9%と非常に高く、重篤な副作用を招くことも比較的少ないため、歯科でよく処方される薬の1つです。
フロモックスで効果があらわれなかった場合は、別系統の抗生物質であるクラビットなどが処方されることがあります。
フロモックスの副作用:下痢の対処法
フロモックスの主な副作用としてあげられるのは、下痢、腹痛、胃の不快感、胃痛、吐き気、発疹などです。また、確率は0.1%未満とわずかですが、眠気の症状があらわれることがあります。
重大な副作用として、ごくまれですが、息切れや動悸、めまい、血の気がひくなど、ショック、アナフィラキシー様症状がでる場合もあります。このような症状が出た場合にはすぐに医師に相談するようにしてください。
フロモックスの主な副作用は下痢
フロモックスなどの抗生物質を使用すると下痢になることがあります。
製薬会社の報告によると副作用として下痢の症状がでる頻度は0.1〜5%で、軟便も含めるとさらに頻度が高くなります。下痢や軟便は比較的よく見られる副作用といえるでしょう。
フロモックスを飲んで下痢になる理由として、成分が腸に届くことで腸内のバランスを整える善玉菌にも作用してしまい、善玉菌が減ってしまうことがあります。フロモックスは細菌などの悪い菌を殺菌すると同時に善玉菌にも作用するので、腸内のバランスが崩れ下痢が生じてしまうのです。
基本的には抗生物質の使用をやめれば自然に回復する場合がほとんどなので、大きな心配はいりません。
あまりにも下痢の症状がつらい場合や症状が長引く場合は、フロモックス以外の原因も考えられるため、医師に相談してください。
下痢対策
■整腸剤を飲む
フロモックスで起こった下痢対策としてまずできることは、整腸剤を飲むことです。
フロモックスの服用で減ってしまった善玉菌を「ビオフェルミンR」などの耐性菌整腸剤で補い、下痢を軽くします。
ビオフェルミンRには抗生物質の作用に耐えられる善玉菌(乳酸菌)が含まれているため、フロモックスを服用しても腸内環境を整えることができます。
基本的に抗生物質に合わせて処方される整腸剤なので、一緒に飲むことを希望するときには医師に相談してみましょう。
■消化にいいものを食べる
その他の対策として、十分な水分補給や、お粥やスープなど胃腸に負担がかからない消化のよい食事を摂る、脂っこいものや刺激の強い食品は避けるなどがあげられます。
フロモックスの作用でお腹の調子が悪い場合は、できるだけ消化によいものを食べるようにしましょう。
フロモックスの使用上の注意
フロモックスは比較的安全性が高い薬ですが、使用にはいくつかの注意が必要です。
また、処方の際に医師から指示された用法・用量を守り、成人用の薬を子どもに飲ませたりすることのないようにしてください。
妊娠中の注意
添付文書によると「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。」とされています。従って、医師の判断によっては服用が可能です。
服用に不安がある場合は、処方の際に医師に相談してください。
授乳中の注意
授乳中の服用については添付文書上では特に注意はなく、服用することができます。
授乳中の赤ちゃんへの影響についてですが、フロモックスは小児用でも処方されて耐性乳酸菌整腸剤いるお薬なので、子どもが服用しても安全性は比較的高いとされています。従って、母乳を通じて赤ちゃんに成分が移行したとしても、基本的には心配はいりません。
どうしても心配な方は、服用のタイミングと授乳時間をずらすなど、医師に処方してもらう際に相談しましょう。
高齢者の使用について
高齢者の服用には注意が必要です。フロモックスは腎臓で代謝される薬であるため、腎臓の機能が低下している可能性が高い高齢者が服用する際には、用量と服用間隔について医師と相談する必要があります。
処方された量をきちんと飲みきろう
フロモックスなどの抗生剤を飲みはじめると、数日で病気の症状が劇的に改善され、まるで完治したかのような状態になる場合もあります。しかし、それは症状が改善しただけであって病気が完治したわけではありません。
また、膀胱炎の治療の場合、痛みが改善されるまでに数日間~数週間かかるため、独断で「効かない」と判断して服用を中止しないようにしてください。症状をぶりかえさず、きちんと完治させるために、処方された分の薬は飲みきるようにしましょう。
他の薬との飲み合わせ
フロモックスは飲み合わせで注意が必要な薬は基本的にありません。心配な場合はフロモックスを処方された際に、日常的に飲んでいる薬のことを医師に伝えておくと安心でしょう。
フロモックス小児用顆粒の上手な飲ませ方
フロモックス小児用細粒の味は、イチゴ味で甘い芳香がありますが、粒の表面のコーティングがはがれると苦味があらわれます。粉薬を嫌がる子どものために、できるだけ苦みを感じないような飲ませ方を紹介していきます。
フロモックスをバニラアイスやヨーグルトに混ぜる!
フロモックス小児用細粒は、潰したり溶かすと苦味がでる薬です。そのため、液体に溶かして飲むよりも、バニラアイスクリームやヨーグルトなどの固体(半固体)と一緒に食べてしまった方が苦味を感じずに薬を飲むことができます。
また、水分でフロモックス小児用細粒を飲む場合は、牛乳がもっとも苦味を感じにくいと言われています。ただし、液体に溶かしたまましばらく放置すると苦みが出て飲みにくくなるので注意しましょう。
家庭にありそうなものでは上記のような食べ物などが有効ですが、近年、子どもに苦い思いをさせずに薬を飲ませるための、ゼリー状のオブラートなどの商品も増えてきました。子どもに安心して薬を飲んでもらうために、このような商品に頼るのもひとつの方法です。
苦みを感じてしまう飲み合わせに注意!
フロモックス小児用細粒と、スポーツドリンク、乳酸菌飲料、柑橘系果汁飲料を一緒に飲むと、苦みがあらわれたり強くなったりすることがあります。
薬の苦味を包むコーティングの成分は酸性に弱いという特徴を持っています。スポーツドリンクなどは酸性度が強く、薬のコーティングをはがしてしまうため、苦味があらわれてしまうのです。
一緒に処方された薬を同時に飲むと苦みが増す場合も
フロモックスなどの抗生剤と他の薬を同時に飲むと、苦味が増強されることがあります。フロモックス小児用細粒と共にいくつかの薬を処方された場合は、少なくとも抗生剤であるフロモックス小児用細粒だけは別に飲むことをおすすめします。
おわりに
フロモックスは比較的安全な薬ですが、耐性菌や副作用発生のリスクもありますので用法・用量をしっかり守って服用しましょう。
また服用していて下痢以外にも何か気になることあればすぐに医師に相談しましょう。
新ビオフェルミンS錠 130錠