世界初の抗生物質!ペニシリンの効果と副作用を解説

ペニシリンの種類や効果を解説します。ペニシリンは世界初の抗生物質であり、さまざまな細菌の感染症に対して用いられます。ペニシリンの副作用や使用上の注意まで掲載。

ペニシリンとは

ペニシリンは、1982年にイギリスの細菌学者・フレミングにより青カビから発見された世界初の抗生物質です。青カビから作られる天然のペニシリンの中では、ベンジルペニシリンがグラム陽性球菌や梅毒などの感染症に対して現在でも使用されます。

しかし、ベンジルペニシリンは胃酸で分解されやすいため内服薬はなく、注射剤しかありません。また、適応する菌種が少ないこと、ペニシリン耐性肺炎球菌などベンジルペニシリンへの耐性を持った細菌が出現したことなどから使用範囲が制限されています。

このような弱点を補うために、天然のペニシリンを改良した半合成のペニシリンを使用する機会が増えています。

ペニシリンは現在、ペニシリン系抗生物質として大きく3種類に分類されます。ベンジルペニシリンに代表される「グラム陽性菌用ペニシリン」、人工的な手が加えられている半合成の「広域性ペニシリン」と「耐性ブドウ球菌用ペニシリン」の3種です。

それぞれ適応する菌種・疾患が異なるため、使用するケースに合わせて使いわけています。

ペニシリンの効能・効果

ペニシリンは病気の原因となる細菌を殺す薬です。ペニシリン系抗生物質の種類ごとの適応菌種・疾患は次の通りです。

グラム陽性菌用ペニシリン

注射剤のベンジルペニシリン、飲み薬のベンジルペニシリンベンザチンがあります。

ベンジルペニシリンに感性のあるレンサ球菌属、肺炎球菌、梅毒に対して殺菌効果があり、リンパ管・節炎、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、肺炎などの感染症に使用されます。

広域性ペニシリン

広域性のペニシリン系薬にはアンピシリン、スルタシリン、アモキシシリンなどがあり、グラム陽性菌だけでなくグラム陰性菌に対しても殺菌効果があります。

広域性ペニシリンに感性のあるブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、淋菌、大腸菌、インフルエンザ菌などに対して効果があり、皮膚感染症、リンパ管・節炎、慢性膿皮症、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、膀胱炎、腎盂腎炎、淋菌感染症、子宮内感染、涙嚢炎、角膜炎、中耳炎などに使用されます。

また、アモキシシリンはヘリコバクター・ピロリに、ピペラシリンなどのペニシリン系薬は緑膿菌に対しても効果があります。

耐性ブドウ球菌用ペニシリン

クロキサシリンとアンピシリンの複合材が使用されています。

クロキサシリン/アンピシリンに感性のあるブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、大腸菌、インフルエンザ菌などに対して殺菌効果があり、慢性膿皮症、咽頭・喉頭炎、急性気管支炎、肺炎、外耳炎のほか、新生児の細菌感染予防にも使用されます。

ペニシリンの使用上の注意

過去にペニシリンを使用してショックを起こしたことがある方は使用できません。

また、ペニシリン系抗生物質を使用してアレルギー反応を起こしたことがある方は原則として使用できませんが、どうしても必要な場合は医師の判断で使用するケースがあります。

ほかにも、セフェム系抗生物質を使用してアレルギー反応を起こしたことがある方、本人または家族に気管支喘息や発疹などのアレルギー症状を起こしやすい体質の人がいる方、高齢者の方は、副作用を起こしやすいのでペニシリンを使用後に体調に変化があった場合は医師・薬剤師に相談してください。

ペニシリンの副作用

ペニシリン系薬の主な副作用は、発熱・発疹などのアレルギー反応(薬疹)、下痢や嘔吐などの胃腸症状、口内炎・カンジダ症の発症などです。

重大な副作用

ほとんど起こることはありませんが、稀にショックや偽膜性大腸炎があらわれる可能性があります。不快感、口内異常感、喘鳴、眩暈、便意、耳鳴、発汗などの初期症状や、血便をともなう腹痛・頻回の下痢の症状があらわれた場合は使用を中止し、医師・薬剤師に相談してください。

また、溶血性貧血、間質性腎炎、急性腎不全があらわれる可能性があるため、定期的に血液検査などが行われることがあります。

アレルギー検査

ペニシリンなど抗生物質の注射剤を使用する前には、皮膚内に少量の薬剤を注入してアレルギー反応があらわれるかを調べる試験を行っていましたが、2004年以降は厚生労働省の通達により皮内試験は行われなくなりました。

現在では、過去に抗生物質などを使用して発疹などアレルギー反応があらわれた経験があるかを聞くなど、事前に十分な問診を行うことでアレルギーやショックが起こる可能性を予想し、使用の可否を判断しています。

ペニシリンに市販薬はある?

ペニシリンは医師の処方が必要です。感染症の疑いがある場合は医療機関を受診し、医師の診断を受けてください。

また、以前はペニシリンの軟膏が販売されていましたが、現在では軟膏をはじめペニシリンの市販薬は販売されていません。

おわりに

ペニシリンの発見以降、私たちはさまざまな感染症から救われきました。しかし、抗生物質を多用すると抗生物質への耐性をもった菌が出現し、従来の抗生物質が効かなくなるといったデメリットが生じます。

耐性菌の出現を防ぐには、体内で悪さをしている細菌が薬に耐性を持つ前に死滅させることが有効です。ペニシリンだけでなく、全ての抗生物質についても同じことが言えるので、医師から抗生物質を処方された場合は、医師に指示された用量・期間を守って使用し、自己判断で薬の使用を中断しないでください。

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