モーラステープとは?

モーラステープは抗炎症成分を含む貼付薬として病院でよく処方される薬で、大きさの違う2種類があります。

モーラステープ20mg: 7cm×10cm 
モーラステープL40mg:10cm×14cm

有効成分の濃度はいずれも同じく均一で、2%です。

モーラステープは、有効成分ケトプロフェンが皮膚から患部に浸透して炎症を鎮め、腫れや痛みを緩和します。

ケトプロフェン配合の外用薬にはテープ剤やハップ剤の貼付薬、他に軟膏やゲル剤もありますが、湿布剤は患部を刺激から保護したり、有効成分を長く患部に行き渡らせるという特徴があります。

モーラステープの有効成分ケトプロフェンは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)といわれるものです。

炎症にかかわるプロスタグランジンという物質の産生を抑える作用があり、何らかの原因で筋肉や腱に発症した炎症に対して、皮膚からケトプロフェンを吸収させて症状を緩和します。

貼り薬は、飲み薬と違って作用が局所に留まるという特徴があります。有効成分は体内(血液中)にほとんど吸収されないので、全身性の副作用が起こりにくいというメリットがある反面、飲み薬や坐薬に比べて効き目が穏やかであり、使用部位において接触皮膚炎や光線過敏症を起こしやすいというデメリットがあります。

適応疾患

・腰痛症:筋・筋膜性腰痛症、変形性脊椎症、椎間板症、腰椎捻挫
・変形性関節症
・肩関節周囲炎
・腱炎・腱鞘炎(けんしょうえん)
・腱周囲炎
・上腕骨上顆炎:テニス肘等(じょうわんこつがいそくじょうかえん)
・筋肉痛
・外傷後の腫れや痛み
・関節リウマチにおいての関節の痛み

モーラステープは、1995年12月、変形性関節症や肩関節周囲炎などのほかに、貼付剤として国内で初めて「腰痛症」を適応症として承認取得しました。

さらに2009年11月には「関節リウマチ」を適応追加、また2011年には「急性疾患並びに急性症状の鎮痛・消炎」に関しても効能追加承認を受けました。

このことから、モーラステープは腰痛、肩こり、関節痛など慢性の症状だけでなく、打ち身や捻挫など急性の炎症にも使用されるほか、関節リウマチの痛みにも有効なのが大きな特徴です。

関節リウマチについては臨床試験もおこなわれており、主に慢性期の手関節の疼痛軽減効果が認められています。

また、ねんざの一種である寝違えにもモーラステープが使用される場合があります。

寝違えの症状については関連記事をごらんください。

モーラステープと同成分の市販薬

モーラステープの有効成分ケトプロフェンが入っている市販薬は、以下の通りです。

オムニードケトプロフェンパップ

第2類医薬品に分類されており、薬局やドラッグストアでもごく一般的に棚に陳列されていますので、誰でも手軽に購入できる薬です。
処方薬のモーラステープはプラスター剤(テープ剤)ですが、オムニードケトプロフェンパップは冷感湿布(パップ剤)です。

オムニードケトプロフェンパップは、モーラステープの成分であるケトプロフェン以外にもl-メントールを含んでいるため、使用時には添付文書を確認して正しく使ってください。

モーラステープの種類

モーラステープの有効成分ケトプロフェンが含まれている先発医薬品は、以下の通りです。

クリーム:外用

商品名 製薬会社名 規格 薬価(円)
エパテッククリーム3% ゼリア新薬工業 g 5.30
セクタークリーム3% 久光製薬  6.70

ゲル:外用

商品名 製薬会社名 規格 薬価(円)
エパテックゲル3% ゼリア新薬工業 g 5.30
セクターゲル3%  久光製薬 g 6.70

坐剤

商品名 製薬会社名 規格 薬価(円)
エパテック坐剤50 ビオメディクス 40.50
エパテック坐剤75 ビオメディクス 47.70
アネオール坐剤50 岩城製薬 37.50
アネオール坐剤75 岩城製薬 38.30

注射液:注射

商品名 製薬会社名 規格 薬価(円)
カピステン筋注50mg キッセイ薬品工業 123.00

 液:外用

商品名 製薬会社名 規格 薬価(円)
セクターローション3% 久光製薬 ml 6.70
エパテックローション3% ゼリア新薬工業 g  5.30

貼付剤:外用

商品名 製薬会社名 規格 薬価(円)
モーラステープ20mg 久光製薬 26.2
モーラステープL40mg 久光製薬 40.1
モーラスパップ30mg 久光製薬 21.1
モーラスパップ60mg 久光製薬 33.6
モーラスパップXR120mg 久光製薬 40.2
ミルタックスパップ30mg ニプロパッチ 19.2

モーラステープの効果・作用

モーラステープの作用機序

モーラステープの有効成分ケトプロフェンは、非ステロイド抗炎症薬(NSAIDS)に分類されています。

体内で痛みや炎症、発熱などを引き起こす原因物質プロスタグランジンは、シクロオキシゲナーゼ(COX)と呼ばれる酵素によって作られます。NSAIDSは、このCOXを阻害することによって体内でプロスタグランジンが作られないように働きかけます。

その結果、炎症や痛みを抑えたり、熱を下げる効果を発揮します。

モーラステープの特徴

● 患部を冷やすことで炎症や腫れを鎮めるといった旧来の湿布薬に変わり、近年よく処方されるようになったのが抗炎症薬を主成分とするNSAIDSの経皮吸収型外用薬です。

ただしこれは病気の原因そのものを治すのではなく、あくまでも炎症や痛みといった症状を緩和する対症療法としての薬です。

● 関節リウマチに関しても、痛みを緩和する対症療法として使用します。

そもそも関節リウマチは免疫細胞が自己を攻撃することで起こる病気で、全身の結合組織(細胞と細胞をくっつけている組織)が侵されて、関節の痛みや変形、血管の炎症、貧血などの症状があらわれます。

モーラステープは、免疫の異常そのものを改善して病気の進行を抑える薬ではないことを理解しておきましょう。

● 貼布薬の成分は血液中にほどんど吸収されませんので、全身性の副作用が起こりにくく、手軽に使用できるメリットがあります。一方で、飲み薬や坐薬に比べて効き目が弱いというデメリットもあるため、症状や患部の位置などによって消炎鎮痛剤を使い分けます。

効果・効能

○下記疾患並びに症状の鎮痛・消炎
腰痛症(筋・筋膜性腰痛症、変形性脊椎症、椎間板症、腰椎捻挫)、変形性関節症、肩関節周囲炎、腱・腱鞘炎、腱周囲炎、上腕骨上顆炎(テニス肘等)、筋肉痛、外傷後の腫脹・疼痛
 
○関節リウマチにおける関節局所の鎮痛

効能・効果に関連する使用上の注意として、モーラステープの使用により重篤な接触皮膚炎、光線過敏症が発現することがあり、中には重度の全身性発疹に発展する例も報告されています。

このため、疾病の治療上の必要性を十分に検討したうえで、有益性が危険性を上回る場合にのみ使用することとなっています。

また、傷ついている皮膚にはモーラステープを使用しないでください。

モーラステープの用法・用量

1日1回患部に塗布する。

作用には持続性があり、1日1回の使用で効き目が持続します。

テープ剤とパップ剤の違い

貼付剤にはテープ剤とパップ剤があります。それぞれの違いは以下の通りです。

■テープ剤
ベージュ系や白系で薄いタイプ。粘着力が強いためはがれにくく、関節部分など動くところなどに貼るのに向いています。一方で、長期で使用すると肌がかぶれたり、毛深い部分には向いていないなどのデメリットもあります。

■パップ剤
一般的に白色のものが多く、少し厚みがあります。薬剤の成分の他に水分も含まれているため、貼るとひんやりと感じられます。粘着力はテープ剤より弱いため、かぶれなどの心配は少なくなりますが、はがれやすいのがデメリットです。

モーラステープの使用上の注意

モーラステープの添付文書では、使用してはいけない人(禁忌)や、使用にあたって注意が必要な人、妊娠中・授乳中の使用、子どもや高齢者の使用について、以下の記述があります。

モーラステープを使用してはいけない人(禁忌)

(1)本剤又は本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者
(2)アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤等による喘息発作の誘発)又はその既往歴のある患者
(3)チアプロフェン酸、スプロフェン、フェノフィブラート並びにオキシベンゾン及びオクトクリレンを含有する製品(サンスクリーン、香水等)に対して過敏症の既往歴のある患者
(4)光線過敏症の既往歴のある患者
(5)妊娠後期の女性
                  

微量ながら、薬効成分が皮膚から血管に浸透し、血流によって全身に作用するおそれがあります。

患部といった局所だけでなく、全身に副作用が現れる可能性があるため、注意が必要です。

モーラステープを使用する際に注意が必要な人

気管支喘息のある方は、アスピリン喘息が潜在している可能性があるため注意が必要です。

モーラステープを使用中に乾性ラ音、喘鳴、呼吸困難感等の初期症状が発現した場合は、使用を中止してください。

妊娠中・授乳中の使用について

ケトプロフェンの外皮用剤を妊娠後期の女性に使用した場合、胎児動脈管収縮が起きることがあるため、妊娠後期の女性はモーラステープを使用できません。

また、妊娠(後期以外)、産婦、授乳婦等に対する安全性は確率していないので、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用します。

子どもや高齢者の使用について

低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対しては使用経験が少ないため、安全性は確率していません。使用にあたっては医師の指示に従うようにしてください。

高齢者への使用では、接触皮膚炎など副作用が起こりやすいため、貼付部の皮膚の状態に注意しながら慎重に使用してください。

モーラステープの副作用

光線過敏症に注意

モーラステープは「光線過敏症」という副作用に注意が必要です。

光線過敏症とは日光アレルギーとも呼ばれる、日光に対する過敏な免疫反応のことです。

湿布を貼った部分が日光を浴びると、皮膚が赤くなったり、みずぶくれ、かぶれなどの症状が起こります。モーラステープに関しては剥がしてからも4週間ほどは、貼っていた部分を直接日光に当てないよう注意してください。

モーラステープを使用中は天候にかかわらず、戸外の活動を避けるとともに、日常の外出時も、本剤貼付部を衣類、サポーター等で遮光すること。なお、白い生地や薄手の服は紫外線を透過させるおそれがあるので、紫外線を透過させにくい色物の衣類などを着用すること。また、使用後数日から数か月を経過して発現することもあるので、使用後も当分の間、同様に注意すること。
                           

その他の副作用として、発疹、発赤、掻痒感(そうようかん)、刺激感などの接触皮膚炎、貼付部分の膨疹、動悸、顔面や手のむくみなどの症例が報告されています。

また関節リウマチでの使用においては、これ以外にショック、アナフィラキシー、喘息発作の誘発(アスピリン喘息)等の発現が医師による自発的報告としてあげられています。

重大な副作用

1)ショック(頻度不明)、アナフィラキシー(0.1%未満)
2)喘息発作の誘発(アスピリン喘息)(0.1%未満)
3)接触皮膚炎(5%未満、重篤例は頻度不明)
4)光線過敏症(頻度不明)
                            

気管支喘息患者の中には、約10%のアスピリン喘息患者が潜在していると考えられていますので、注意が必要です。モーラステープの使用による喘息発作の誘発は、貼付後数時間で発現しています。

また接触皮膚炎に関しては、モーラステープを貼った部分に刺激感や発疹・発赤が起こるだけでなく、悪化してむくみ、水ほう、色素沈着、色素脱失が発現するほか、全身に皮膚炎症状が拡大し重篤化することがあると、注意喚起がなされています。

万が一、使用中に異常が起こったら直ちに使用を中止し、患部を遮光するとともに、医療機関を受診してください。

その他の副作用

  頻度不明  0.1~5%未満  0.1%未満
皮膚 皮膚剥脱(ひふはくだつ) 局所の発疹、発赤、腫張、掻痒感、刺激感、水ほう・びらん、色素沈着等 皮下出血
過敏症 じんましん、眼瞼や顔面のむくみ

このような症状があらわれた場合は、直ちに使用を中止してください。

モーラステープの相互作用

モーラステープを使用しているときは、次の薬剤との併用に注意が必要です。

● メトトレキサート

メトトレキサートは関節リウマチの世界的な標準薬(免疫抑制薬)です。

ケトプロフェンとメトトレキサートを併用した場合、メトトレキサートの腎排泄が阻害されることが報告されています。

これによりメトトレキサートの作用が増強される可能性があるので、関節リウマチの治療でメトトレキサートを使用している方は、モーラステープの併用前に必ず医師に報告してください。

モーラステープとロキソニンテープの違いについて

痛みや炎症に対して病院で処方される外用の貼付薬には、モーラステープの他にロキソニンテープがあります。

ロキソニンテープの有効成分はロキソプロフェン

ロキソプロフェンは、モーラステープの有効成分ケトプロフェンと同じNSAIDSのプロピオン酸系に分類されます。

比較的副作用が少なく、頭痛薬などの飲み薬から外用薬まで幅広く使われている成分として有名です。

作用の強さは、ケトプロフェンと大きな差はないとされていますが、モーラステープのような関節リウマチに対する適応はありません。

● ロキソニンテープの効能又は効果
下記疾患並びに症状の消炎・鎮痛
変形性関節症、筋肉痛、外傷後の腫脹・疼痛

 

ロキソニンテープの副作用:光線過敏症は起こりにくい

モーラステープの使用で心配される光線過敏症ですが、ロキソニンテープでは起こりにくいと考えられています。

ロキソニンテープで報告されている副作用は湿布を貼った部位に生じるものが多く
・掻痒(そうよう)
・紅斑(こうはん)
・接触性皮膚炎

などが報告されています。

ロキソニンテープの禁忌

ロキソニンテープを使ってはいけない人(禁忌)は、以下の通りです。

・アスピリン喘息(非ステロイド性消炎鎮痛剤等による喘息発作の誘発)又はその既往歴のある人
・チアプロフェン酸、スプロフェン、フェノフィブラート並びにオキシベンゾンやオクトクリレンを含有する製品(サンスクリーン、香水等)に対して過敏症の既往歴のある人
・光線過敏症の既往歴のある人
・妊娠後期の女性

ロキソニンテープの市販薬

ロキソプロフェン配合の貼り薬は市販されておりません。

ロキソニンテープには、ロキソプロフェンナトリウムテープやロキソプロフェンナトリウムパップといったジェネリック医薬品がありますが、これらの市販薬もありません。

おわりに

貼付薬として病院で処方されることが多いモーラステープですが、光線過敏症など配慮すべきこともあります。

外用薬だからといって油断せずに、使用にあたっては医師にの指示にしたがい、正しく使用しましょう。

出典:独立行政法人医薬品医療機器総合機構のホームページ