リュープリンの効果とは?

リュープリンは、LH-RHアゴニスト製剤に分類される黄体化ホルモン(LH)を抑える薬です。

脳の下垂体に作用して性腺刺激ホルモンの分泌を抑えることで、卵巣では女性ホルモンの一種であるエストラジオールの分泌を抑制し、精巣では男性ホルモンの一種であるテストステロンの分泌を抑える働きがあります。

女性では子宮内膜症や子宮筋腫、乳がんの治療に使われることもあります。男性では前立腺癌などの治療に使われます。

リュープリンが使われる症状は?

リュープリンは皮下注射で使用されます。用量によって効能効果が異なります。以下の症状にはどの用量でも効果があります。

・子宮内膜症
・過多月経、下腹痛、腰痛および貧血などをともなう子宮筋腫における筋腫核の縮小および症状の改善
・中枢性思春期早発症

【リュープリン注射用 3.75mg・注射用キット 3.75mgのみ使われる症状】

・閉経前乳がん
・前立腺がん

乳がんへの効果は?

リュープリン注射用3.75mgは、ホルモン療法として閉経前乳がんの治療に使用されます。

がん細胞を直接攻撃する抗がん剤と比較すると、作用は穏やかで副作用がでにくい特徴があります。リュープリンは、卵巣のエストラジオールの分泌を抑制することで、乳がん細胞の増殖を抑える作用が期待されます。

リュープリンを含むホルモン療法は、ホルモン感受性乳がんに効果があるため、治療を開始する前にがん細胞の中にホルモン受容体があるかどうかを確認するのが一般的です。ホルモン受容体が陰性の場合は、リュープリンは使用されません。

子宮筋腫への効果は?

リュープリンは子宮筋腫を根本から治療する薬ではありません。あくまで、子宮筋腫の手術が必要となる方が、手術までの間の対処や、閉経前の対処としての治療方法になります。

なお、使用を開始した初期には、下腹部痛や腰痛に対する効果は期待できないため、別の対症療法が必要になります。

リュープリンの副作用は?

リュープリンの副作用の出方には個人差がありますが、比較的副作用が現れやすい傾向があります。

承認時から販売後の臨床試験において、症状別の副作用発生率は以下のとおりです。

子宮内膜症 31.1〜86.3%
子宮筋腫 19.4〜83.5%
閉経前乳がん 11.6〜64.0%
前立腺がん 10.3〜47.5%
中枢性思春期早発症 3.5〜20.8%

重大な副作用

発生頻度は不明なものもありますが、以下のような重大な副作用の報告があります。

・発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常等をともなう間質性肺炎
・アナフィラキシー
・AST(GOT)、ALT(GPT)の上昇などをともなう肝機能障害、黄疸
・糖尿病の発症または悪化
・下垂体卒中
・心筋梗塞、脳梗塞、静脈血栓症、肺塞栓症等の血栓塞栓症

子宮内膜症・子宮筋腫・閉経前乳がんの副作用

エストロゲンが低下することにより、更年期障害のようなうつ症状が現れるおそれがあります。

前立腺がんの副作用

うつ状態、骨疼痛の一過性増悪、尿路閉塞あるいは脊髄圧迫、心不全などが報告されています。使用中に体調に異常が見られた場合は、すぐに医師に相談しましょう。

その他の副作用

リュープリンの副作用には、全身にさまざまな自覚症状があげられます。使用中に体の異常を感じたら早めに医師に相談しましょう。

部位 自覚症状
全身 発熱、からだがだるい、ふらつき、体重が減る、片側のまひ、冷や汗、汗をかく、骨の痛み(前立腺がんの場合のみ)、全身のむくみ(前立腺がんの場合のみ)
頭部 意識の低下、考えがまとまらない、頭痛
顔面 ほてり
眼と口唇のまわりのはれ、白目が黄色くなる、視力の低下、物が見えにくい、物がだぶって見える
口や喉 から咳、咳、眼と口唇のまわりのはれ、しゃがれ声、吐き気、嘔吐、 のどの渇き、水を多く飲む、しゃべりにくい、血を吐く
胸部 息苦しい、息切れ、動悸、吐き気、胸の痛み、胸をしめつけられる感じ、胸を強く押さえつけた感じ、狭心痛、急激に胸を強く押さえつけられた感じ、横になるより座っている時に呼吸が楽になる(前立腺がんの場合のみ)、動く時の動悸(前立腺がんの場合のみ)
腹部 吐き気、食欲不振、激しい腹痛、腹がはる
背中 背中の痛み(前立腺がんの場合のみ)
手・足 片側のまひ、手足のまひ、しびれ、半身不随、足の激しい痛み、足の痛み・しびれ(前立腺がんの場合のみ)、力が入らない(前立腺 がんの場合のみ)
皮膚 じんましん、かゆみ、皮膚が黄色くなる
尿 尿の色が濃くなる、尿の量が増える、尿が出ないまたは尿が出にくくなる(前立腺がんの場合のみ)
便 便が出にくい(前立腺がんの場合のみ)
その他 判断力の低下、意識を失って深く眠りこむ、出血、知覚のまひ、やる気がおきない(子宮内膜症、子宮筋腫、閉経後乳がん、前立腺がんの場合のみ)、気分がふさぎ込む(子宮内膜症、子宮筋腫、閉経後乳がん、前立腺がんの場合のみ)、気分が落ち込む(子宮内膜症、子宮筋腫、閉経後乳がん、前立腺がんの場合のみ)、不眠(子宮内膜症、子宮筋腫、閉経後乳がん、前立腺がんの場合のみ)

※参照:独立行政法人医薬品医療機器総合機構

副作用はいつからでる?

初めて治療を行った時は、一時的に症状が悪化したり副作用がでやすい傾向があります。症状や副作用は治療を継続することにより改善されます。治療を継続しても改善が見られない場合は医師に相談しましょう。

なお、乳がんや前立腺がんの場合は、初回の治療の際に一時的に骨の痛みが増すことがあります。症状が現れた場合は医師に相談してください。

リュープリンの使用上の注意

リュープリンの使用量や使用時期、使用回数などは、症状に合わせて医師により判断されます。通常は4週間に1回、医療機関にて皮下注射を行います。

4週間を超える間隔で使用してしまうと、症状が一時的に悪化してしまうおそれもあるため、必ず指示された日に来院して治療を受けましょう。

なお、薬は皮下注射した部分に次の注射まで留まり効果を持続するため、注射した部位を揉まないように注意してください。

妊娠中は使用できない

妊娠中や妊娠の可能性がある方、または授乳中の方はリュープリンは使用できません。

また、リュープリン使用中は低用量ピルなどのホルモン剤での避妊は避け、コンドームなどの避妊具を使用してください。

生理はいつから再開する?

リュープリン使用中は、薬の作用で生理は停止します。個人差はありますが、通常は治療中止後数ヶ月がたてば生理は再開されます。

ただし、治療中に閉経した場合は生理が再開されないこともあるため、心配な場合は婦人科を受診しましょう。

おわりに

リュープリンの治療中は、骨量の低下を予防する工夫も必要です。適度な運動、良質な睡眠をとることを心がけましょう。また、カルシウムやビタミンD、ビタミンKを積極的にとることを意識してください。

治療中に不安なことがあれば、早めに担当医に相談すると安心して治療に専念できますね。