リリカは神経障害性疼痛に効果的な薬です!
痛みには大きくわけて外傷性、心因性、神経性のものがあると考えられていますが、リリカは痛みの中でも神経性の痛みに効果的です。目立った外傷などがなく、原因のわからないような痛みの症状改善によく用いられます。
他の痛み止めを使用しても効果を感じられない時に、リリカを使用することで症状が改善される事例も多く存在します。
この記事では、リリカについて添付文書を中心に解説しています!
リリカとは?
リリカはどんな薬?
リリカは、痛みの改善によく用いられる解熱鎮痛薬(NSAIDs)では効果を感じにくいような、原因不明の痛みや、神経障害をともなう痛みに効果を発揮する薬です。神経性の痛み、ピリピリとしびれるような痛みによく効きます。
適応疾患
リリカの適応疾患は神経障害性疼痛、線維筋痛症です。
市販薬
リリカは医師の処方箋が必要な医療用医薬品です。2017年10月現在、市販薬は販売されていません。
ジェネリック医薬品
2017年10月現在、リリカのジェネリック医薬品は販売されていません。
剤形
2017年10月現在、リリカの剤形はカプセル剤とOD錠が販売されています。
リリカの効果・作用
作用機序
リリカの有効成分として含まれるプレガバリンが中枢神経系において過剰に興奮した神経を鎮めることで鎮痛作用を示します。
特徴
リリカは服用してから効果が現れるまでの時間が早く、副作用も比較的多いものの、神経痛に対して高い効果を発揮します。主に腎臓から排泄されるため、肝臓への影響が少ないことも特徴です。
効果・効能
リリカは神経痛にともなう疼痛、線維筋痛症にともなう疼痛に効果的です。
効能又は効果
神経障害性疼痛、線維筋痛症に伴う疼痛
※帯状疱疹・ヘルニア・腰痛などの痛みの改善のために処方されることがあります。
リリカの効果時間は?
リリカの薬の濃度が最も高くなるのは服用してから約1時間です。その後、約4~7時間で血中での薬の濃度が半分になります。なお、効果時間については個人差によるところが大きいため、ご注意ください。
リリカが効かないときは?
リリカを用法用量に沿って一定期間使用しても一向に効果が感じられない時は、一度かかりつけの医師や薬剤師に相談しましょう。効果に疑問を感じながら漫然と使用を継続していくことで、かえって症状が悪化することもあります。
少しでも疑問に思うことがあれば、一人で悩まずに処方した医師に相談してみましょう。
リリカの用法・用量
用法・用量
■神経障害性疼痛の治療の場合
通常、成人は初期用量として1日150㎎を2回にわけて服用します。その後少なくとも1週間以上かけて1日用量を300㎎まで漸増します。
年齢や症状にもよりますが、1日の最高用量は600㎎を超えないこと、いずれも1日2回に分けて服用してください。
神経障害性疼痛
通常、成人には初期用量としてプレガバリン1日150mgを1日2回に分けて経口投与し、その後1週間以上かけて1日用量として300mgまで漸増する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日最高用量は600mgを超えないこととし、いずれも1日2回に分けて経口投与する。
■線維筋痛症の治療の場合
通常、成人は初期用量として1日150㎎を2回にわけて服用します。その後少なくとも1週間以上かけて1日用量を300㎎まで漸増したら、300㎎~450㎎の用量を維持します。
年齢や症状にもよりますが、1日の最高用量は450㎎を超えないこと、いずれも1日2回に分けて服用してください。
線維筋痛症に伴う疼痛
通常、成人には初期用量としてプレガバリン1日150mgを1日2回に分けて経口投与し、その後1週間以上かけて1日用量として300mgまで漸増した後、300~450mgで維持する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日最高用量は450mgを超えないこととし、いずれも1日2回に分けて経口投与する。
用法・用量に関連する使用上の注意
リリカの減薬・断薬などによる離脱症状の出現を防ぐためにも、以下の点に注意してください。
本剤の投与を中止する場合には、少なくとも1週間以上かけて徐々に減量すること。
腎機能障害の人は服用時に以下のような注意が必要です。
本剤は主として未変化体が尿中に排泄されるため、腎機能が低下している患者では、血漿中濃度が高くなり副作用が発現しやすくなるおそれがあるため、患者の状態を十分に観察し、慎重に投与する必要がある。
腎機能障害患者に本剤を投与する場合は、下記に示すクレアチニンクリアランス値を参考として本剤の投与量及び投与間隔を調節すること。また、血液透析を受けている患者では、クレアチニンクリアランス値に応じた1日用量に加えて、血液透析を実施した後に本剤の追加投与を行うこと。
用量に関連する注意事項もあわせて確認しておきましょう。
複数の用量が設定されている場合には、低用量から開始し、忍容性が確認され、効果不十分な場合に増量すること。なお、ここで示している用法・用量はシミュレーション結果に基づくものであることから、各患者ごとに慎重に観察しながら、用法・用量を調節すること。
リリカを頓服として処方されたときは
リリカは痛みの症状がひどいときだけ服用する頓服として処方されることがあります。
頓服として処方された場合は、原則として必要以上の服用は避けて、痛みの症状が現れたときのみ服用してください。
医師から使用方法について指示をうけている場合は、その指示にしたがって服用してください。
リリカの使用上の注意
リリカを服用してはいけない人
リリカの有効成分であるプレガリンに対して過敏症を起こしたことのあるひとは、服用することができません。
禁忌(次の患者には投与しないこと)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
リリカを服用する際に注意が必要な人
腎機能障害のある人、重度のうっ血性心不全の人、血管浮腫の既往のある人は、症状悪化や副作用が発生しやすくなる可能性があるため注意が必要です。
慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
腎機能障害のある患者
重度のうっ血性心不全の患者[心血管障害を有する患者において、うっ血性心不全があらわれることがある。]
高齢者
血管浮腫の既往がある患者
透析治療をしている人のリリカの服用は禁止との記載はされていませんが、思わぬ副作用を引き起こす可能性もあるため、必ず医師に相談してください。
高齢者の使用については以下をごらんください。
高齢者は使用できる?
高齢者はリリカを服用することができますが、腎機能が低下していることが多いため、慎重に服用することが必要です。
高齢者では腎機能が低下していることが多いため、クレアチニンクリアランス値を参考に投与量、投与間隔を調節するなど、慎重に投与すること。
また、高齢者ではめまい、傾眠、意識消失等により転倒し骨折等を起こした例があるため、十分に注意すること。
妊娠中に使用できる?
リリカの妊婦の使用における安全性は確立していませんが、医師の判断により処方されることもあります。妊娠している可能性のある人は、医師に妊娠の可能性を伝えた上で服用してください。
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。動物実験で、胎児異常(低体重、限局性浮腫の発生率上昇、骨格変異、骨化遅延等)、出生児への影響(体重低下、生存率の低下、聴覚性驚愕反応の低下、発育遅延、生殖能に対する影響等)が報告されている。]
授乳中に使用できる?
リリカの授乳中の使用は可能ですが、薬の成分が乳汁中に移行する可能性があるため、リリカを服用するときは授乳を避けてください。
授乳中の婦人には、本剤投与中は授乳を避けさせること。[本剤はヒト母乳中への移行が認められている。]
子どもは使用できる?
子どもの使用経験は少ないとされていますが、医師の判断により処方される可能性があります。医師からリリカを処方されたときは、医師の指示にしたがって正しい服用を心がけましょう。
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない。(国内臨床試験において使用経験はない)
リリカとアルコールの併用に注意
アルコールの併用は、認知機能障害および運動機能障害に対してリリカが相加的に作用し、症状を悪化させる可能性があります。できるだけアルコールとの併用は避けてください。
断薬・減薬による離脱症状に注意
急な減薬や断薬は離脱症状の発現の原因になることがあります。減薬や断薬は自己判断で行わず、必ず医師と相談してください。
断薬の注意点について、添付文書には以下のように記載されています。
本剤の急激な投与中止により、不眠、悪心、頭痛、下痢、不安及び多汗症等の症状があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、少なくとも1週間以上かけて徐々に減量すること。
リリカの減薬や断薬を考えたときは、離脱症状の発現を防ぐためにも急な断薬は避けて、必ず最低1週間以上かけて徐々に減量してください。
リリカの副作用
眠気の副作用に注意
リリカの副作用である眠気は、症状にもよりますが約25%~40%のひとに発現する可能性があります。そのため、服用中は車の運転などの危険をともなう機械の操作はしないでください。
症状の程度が軽いものであれば、経過を観察していくうちに症状がおさまっていく可能性もありますが、日常生活に支障をきたすような場合や、一向に眠気の改善がみられないときはできるだけ早く医療機関を受診するようにしてください。
症状別の主な副作用
リリカを服用したときの主な副作用は、めまい、傾眠(眠気・軽い意識混濁)、むくみ、体重増加です。症状によって副作用の発現率が異なります。以下をごらんください。
◼︎帯状疱疹後神経痛の主な副作用
浮動性めまい(23.4%)、傾眠(15.9%)および浮腫(10.7%)
◼︎糖尿病性末梢神経障害にともなう疼痛の主な副作用
傾眠(24.5%)、浮動性めまい(22.5%)および浮腫(17.2%)
◼︎脊髄損傷後疼痛、脳卒中後疼痛および多発性硬化症にともなう疼痛の主な副作用
傾眠(40.5%)、浮動性めまい(20.0%)および浮腫(18.6%)
◼︎線維筋痛症
傾眠(39.6%)、浮動性めまい(27.5%)および体重増加(15.7%)
リリカを服用すると太る?
リリカの副作用としてむくみや体重増加があげられますが、この症状はリリカを服用したすべての人に起こるわけではありません。体重増加がみられたときの対処法として、添付文書では以下のように記載されています。
本剤の投与により体重増加を来すことがあるので、肥満に注意し、肥満の徴候があらわれた場合は、食事療法、運動療法等の適切な処置を行うこと。特に、投与量の増加、あるいは長期投与に伴い体重増加が認められることがあるため、定期的に体重計測を実施すること。
肥満の兆候が現れたときは、食生活、運動面での生活習慣改善を心がけ、肥満改善につとめましょう。
リリカの重大な副作用
リリカを服用したとき、まれに以下のような重い症状が発現することがあるのでご注意ください。
副作用 | 初期症状 |
---|---|
めまい・傾眠・意識消失 | ぼんやりする、意識がなくなる、考えがまとまらない、気を失う |
心不全・肺水腫 | からだがだるい、全身のむくみ、横になるより座っている時に呼吸が楽になる、息苦しい、息切れ、動く時の動悸、息が苦しい、胸がゼーゼーする、咳・痰がでる、呼吸がはやくなる、脈がはやくなる |
横紋筋融解症 | 手足・肩・腰・その他の筋肉が痛む、手足がしびれる、手足に力がはいらない、こわばる、全身がだるい、尿の色が赤褐色になる |
腎不全 | 尿量が少なくなる、ほとんど尿が出ない、一時的に尿量が多くなる、発疹、むくみ、体がだるい |
血管浮腫 | 急に、くちびる、まぶた、舌、口の中、顔、首が大きくはれる、のどのつまり、息苦しい、話しづらい ※息苦しい場合は、救急車を利用して直ちに受診してください。 |
低血糖 | 冷や汗がでる、気持ちが悪くなる、急に強い空腹感をおぼえる、寒気がする、動悸がする、手足がふるえる、目がちらつく、ふらつく、力のぬけた感じがする、頭が痛い、ぼんやりする、ボーッとしている、うとうとしている、いつもと人柄の違ったような異常な行動をとる、ろれつが回らない、意識がなくなる、けいれんを起こすなど |
間質性肺炎 | 階段を登ったり、少し無理をしたりすると息切れがする・息苦しくなる、空咳(からせき)が出る、発熱する、などがみられ、これらの症状が急に出現したり、持続したりする |
ショック・アナフィラキシー | 冷汗、顔面蒼白、手足の冷え・しびれ、じんま疹、全身発赤、顔や喉の腫れ、ゼーゼーとした息苦さ、めまい、血圧低下、目の前が暗くなり意識が薄れるなど |
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑 | からだがだるい、高熱、発熱、まぶたや眼の充血、結膜のただれ、ひどい口内炎、唇や口内のただれ、食欲不振、赤い発疹、中央にむくみをともなった赤い斑点、陰部の痛み、関節の痛み、発熱、発疹やみずぶくれができる |
劇症肝炎、肝機能障害 | 発熱、頭痛、吐き気、嘔吐、意識がなくなる、意識の低下、食欲不振、羽ばたくような手のふるえ、皮膚が黄色くなる、尿が黄色い、白目が黄色くなる、判断力の低下、倦怠感、黄疸、発疹、かゆみ |
以上のような初期症状が出た場合は、できるだけ早く医療機関を受診するようにしてください。
その他の副作用:精神障害、眼障害、皮膚組織障害など
リリカを服用したとき、その他の副作用として以下のような症状が発現することがあるので、ご注意ください。副作用がひどい場合には、できるだけ早く医療機関を受診するようにしましょう。
発現部位 | 副作用 |
---|---|
血液および リンパ系障害 |
好中球減少症、白血球減少症、血小板減少症 |
代謝および栄養障害 |
食欲不振、食欲亢進、高脂血症、高血糖 |
精神障害 |
錯乱、失見当識、多幸気分、異常な夢、幻覚、うつ病、落ち着きのなさ、 |
神経系障害 |
浮動性めまい、頭痛、平衡障害、運動失調、振戦、注意力障害、 |
眼障害 |
霧視、複視、視力低下、視覚障害、網膜出血、視野欠損、眼部腫脹、眼痛、 ※リリカ服用時、これまでにない眼の異変を感じたらできるだけ早く医療機関を受診してください。 |
耳および 迷路障害 |
回転性めまい、耳鳴、聴覚過敏 |
心臓障害 |
動悸、第一度房室ブロック、頻脈、洞性不整脈、洞性徐脈、 |
血管障害 | 高血圧、低血圧、ほてり |
呼吸器、胸郭および縦隔障害 |
呼吸困難、鼻咽頭炎、咳嗽、いびき、鼻出血、鼻炎、鼻乾燥、鼻閉、咽喉絞扼感 |
胃腸障害 |
便秘、悪心、下痢、腹痛、嘔吐、腹部膨満、消化不良、 |
皮膚および皮下組織障害 |
発疹、そう痒症、湿疹、眼窩周囲浮腫、多汗症、冷汗、蕁麻疹、脱毛、丘疹 |
筋骨格系および結合組織障害 |
筋力低下、筋痙縮、関節腫脹、四肢痛、背部痛、筋肉痛、重感、関節痛、 |
腎および尿路障害 |
尿失禁、排尿困難、尿閉、乏尿 |
生殖系および乳房障害 |
乳房痛、勃起不全、女性化乳房、射精遅延、性機能不全、無月経、乳房分泌、 |
全身障害および投与局所様態 |
浮腫、口渇、疲労、異常感、歩行障害、顔面浮腫、無力症、疼痛、圧痕浮腫、 |
傷害・中毒および処置合併症 | 転倒・転落 |
臨床検査 | 体重増加、血中CPK(CK)増加、ALT(GPT)増加、AST(GOT)増加、血中アミラーゼ増加、血中クレアチニン増加、体重減少、血中尿酸増加、血中カリウム減少 |
リリカの副作用:眼障害を防ぐために
リリカの特徴的な副作用のひとつとして、眼障害があげられます。発現率が他の副作用に比べて高いわけではありませんが、日常生活に大きな支障をきたす部位でもあり、注意が必要です。
長期服用または大量服用をしている人に発現しやすいといわれています。
必ず用法用量を守って服用してください。少しでも異変を感じたらすぐに処方した医師に相談してください。
リリカの薬価・購入方法
リリカの薬価
リリカカプセルの薬価は以下のとおりです。
薬品名 | 薬価 (薬自体の価格) |
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リリカカプセル25mg | 67.80円/1カプセル |
リリカカプセル75mg | 112.90円/1カプセル |
リリカカプセル150mg | 155.00円/1カプセル |
※2017年7月現在の薬価
リリカの個人輸入に注意
リリカは医師の処方箋が必要な薬です。しかし、個人輸入等により市販され、通販サイトなどで流通しているものも一部存在します。
個人輸入で手に入れた薬は全て副作用救済制度が受けられず、万が一体に異変が生じた場合の対処法の選択肢を狭めてしまう行為です。
リリカを服用するときは、正しい効果を得るためにも医師から薬の用量や飲み方についてのアドバイスを受け、服用していきましょう。