レキソタンの効能・効果と特徴
レキソタンはベンゾジアゼピン系抗不安薬で、「精神安定剤(安定剤)」と呼ばれることもあり、主にうつ症状の改善に使用される薬です。
鎮静作用、抗不安作用、筋弛緩作用が強く、ベンゾジアゼピン系抗不安薬の中では作用が強い薬に分類されています。
抗不安薬としてだけでなく、睡眠薬、抗けいれん薬として使用する場合もあります。また、心身を落ち着ける作用があるため、あがり症の症状を抑える・手術前に麻酔の効果を高めるために心身を落ち着かせるといった目的でも使用されます。
筋肉を弛緩させる作用があるので、緊張をともなう肩こりに短期間使われることもあります。
効果時間は?
レキソタンの効果時間は中間型に分類されます。使用後1~2時間までに効果が現れ、20時間ほど持続します。即効性の点ではデパスやワイパックスなどに次いで、比較的早い薬といえます。
ただし、うつ病の症状に使用する場合は、効果が出るまで2〜4週間かかります。
レキソタンの剤形
レキソタンにはレキソタン錠1、レキソタン錠2、レキソタン錠5、レキソタン細粒1%があります。
成分であるブロマゼパムを含む量(1mg、2mg、5mg)によって名称が違いますが、どの剤形でもレキソタンの効能・効果に違いはなく、症状や年齢によって使い分けられています。
レキソタンが効かないときは
人によってはレキソタンが効かないと感じる場合があります。
効かない原因として、薬に対して耐性ができてしまっていることが考えられます。レキソタンを処方される前に、他のベンゾジアゼピン系の薬を使っていたことがあると薬に耐性ができてしまい、効果が現れにくくなります。
また、症状に対して薬の効果が合っていないと、だるさや眠気などの副作用ばかりが目立ち効果が得られにくくなります。低用量からレキソタンの使用を始めた方では、使用期間が短いために効果が現れていないなどの原因も考えられます。
効果が実感できない場合は自己判断でレキソタンの使用を中止・増量せず、必ず医師に相談してください。
レキソタンの用法・用量
レキソタンは使用する症状によって用量が異なります。
【神経症の不安・緊張・抑うつ・強迫・恐怖、うつ病の不安・緊張の場合】
通常、成人には1日6~15mgを2~3回にわけて使用します。
【心身症の身体症候・不安・緊張・抑うつ・睡眠障害の場合】
通常、成人には1日3~6mgを2~3回に分けて使用します。睡眠障害に対しては、寝る前に使用するケースが多いです。
【麻酔前に使用する場合】
通常、5mgを寝る前または手術前に使用します。
頓用の場合
頓用(とんよう)とは、症状が出ているときに薬を使用する処方のことです。
あがり症など症状が軽い方は、プレゼン・発表前など症状を抑えたい場面の直前に使用するように指示される場合があります。このようなケースでは人によって用量が違うため、医師の指示通りに使用してください。
服用間隔は?
レキソタンは一般的には6~8時間の間隔を空けて使用すると考えていますが、医師の指示がある場合はその限りではありません。医師からの指示がある場合は、指示された通りに使用してください。
レキソタンの使用上の注意
レキソタンや、レキソタンの成分であるブロマゼパムを使用してアレルギー反応を起こしたことがある方は使用できません。また、急性狭隅角緑内障の方は眼圧が上昇・重症筋無力症の方は症状が悪化する可能性があるため使用できません。
眠気やふらつきが現れやすいため、レキソタンを使用中は自動車の運転など危険をともなう機械の操作をしないようご注意ください。
妊娠中の使用
妊娠中の方、または妊娠している可能性のある方は、胎児・新生児に影響をおよぼす可能性があるため、治療上どうしても必要となる場合を除き使用されません。
また、レキソタンの成分が母乳中に移行するため、レキソタンの効果が続いているとされている間は授乳を避けてください。
15歳未満の使用
15歳未満の子どもへの使用は安全性が確立されていませんが、医師の判断で使用するケースがあります。処方された場合は用法用量を必ず守って使用し、体調に変化があれば医師・薬剤師に相談してください。
飲み合わせ
レキソタンは他の向精神薬や鎮静剤などと薬の作用が似ており、作用が強く現れてしまう可能性があります。医師の指示がない状態での併用は避けてください。
また、アルコールとの飲み合わせも同様に薬の作用を強めてしまうので、レキソタンを使用中の飲酒はひかえてください。
コーヒーとの飲み合わせについては、特に問題が報告されていません。どうしても気になる場合は医師・薬剤師に確認しましょう。
レキソタンとソラナックスの併用
レキソタンとソラナックスは同じベンゾジアゼピン系の薬ですが、同時に処方される場合もあります。普段はレキソタンを使い、症状が改善されない場合にソラナックスを使用するといった処方が多いですが、だるさや眠気の副作用が強い場合は医師に相談してください。
レキソタンの副作用
レキソタンの主な副作用としては、眠気、ふらつき、疲労感などがあります。人によっては気持ちがイライラすると感じることもあります。
また、滅多に起こることはありませんが、重大な副作用として刺激興奮や錯乱などが現れることがあります。体調や言動に異変を感じた場合はただちに医師・薬剤師に報告し指示をあおいでください。
体重は増える?
レキソタンを使用して体重が増加したと感じることがありますが、レキソタンには体重増加などの副作用はありません。
うつ病などの治療にレキソタンを使うケースでは治療が進むと食欲が増すことがあるため、結果的に体重が増加したと感じてしまいます。レキソタンを使用して体重が増加したと感じるのは治療が順調に進んでいる証拠なので、過度に心配せず治療を継続しましょう。
レキソタンの依存性
レキソタンは、比較的薬物依存を起こしやすい薬です。
薬物の依存には精神的依存と身体的依存があり、レキソタンでは精神的依存の方が比較的起こりやすいと考えられています。それぞれの依存性の特徴は次の通りです。
精神的依存
薬に精神的に頼っている状態のことで、「薬を使わなければいけない」、「薬を使わなければ辛い症状が出てしまう」など、薬を使わないことに対して強い不安を覚える状態をいいます。
レキソタンを服用した場合も、精神依存を生じる可能性はあります。
身体的依存
体が薬に慣れてしまい、急に薬の使用を中止または減量すると薬がない状態に対して体が反応してしまうものです。身体的依存では、けいれんや不眠、不安などの症状(離脱症状)が現れます。
レキソタンも長期使用によって身体依存を生じる可能性があります。
依存を防ぐにはどうする?
レキソタンなど抗不安薬への依存を防ぐには、自己判断で薬の量を調節しないことが重要です。薬の急な増量では精神的依存を、急な減量では身体的依存を引き起こす可能性が高くなるので、医師の指示がない限り、用量を調節しないようにしましょう。
もし、レキソタンへの依存性があると医師が判断した場合は、時間をかけてゆっくりと薬の量を減らしていったり、依存性が少ない薬に切り替えて様子をみるといった対応をとります。このような場合も医師の指示にしっかりと従い、自己判断での用量の調節・他の抗不安薬との併用などはしないでください。
レキソタンと他の抗不安薬の違い
レキソタンと同じベンゾジアゼピン系の抗不安薬に、デパス、ソラナックス、ワイパックス、メイラックスなどがあります。これらの薬とレキソタンは、効果の強さと効果時間の長さに次のような違いがあります。
薬剤名 | 効果の強さ | 効果時間 |
デパス | 強い | 短い |
ソラナックス | 強い | 比較的短い |
ワイパックス | 比較的強い | 比較的短い |
レキソタン | 比較的強い | 比較的短い |
メイラックス | 強い | 長い |
レキソタンのジェネリック医薬品
レキソタンには「セニラン」という名前のジェネリック医薬品が販売されており、セニラン錠2mg、セニラン錠3mg、セニラン錠5mg、セニラン細粒1%がジェネリック医薬品にあたります。
ただし、セニラン錠1mg、セニラン坐剤3mgはレキソタンと同様に先発医薬品にあたる点にご注意ください。
レキソタンとジェネリック医薬品であるセニランとの薬価にはほとんど差がありません。地域や医療機関によってジェネリックを推奨している場合もあるので、先発品を希望する場合は医師・薬剤師に相談しましょう。