ロトリガとは
ロトリガは中性脂肪を低下させる薬です。脂質の異常な値をあらわす高脂血症の改善に使われています。
ロトリガの有効成分はオメガ‐3脂肪酸エチルであり、イコサペント酸エチル(EPA−E)、ドコサへキサエン酸エチル(DHA−E)を含んでいます。魚の油に高濃度に含まれているEPAやDHAと同じ成分です。
EPAやDHAを多く含む魚をよく食べる人には、脂質異常症や動脈硬化などの病気が少ないという調査から成分が注目され、生活習慣病に対する薬としてロトリガは広く使われています。
EPAやDHA含んだサプリメントなどもありますが、より高濃度に成分を含み、医薬品として使われている薬がロトリガです。
ロトリガの効果
ロトリガの有効成分のオメガ‐3脂肪酸エチルは、肝臓からのトリグリセリド(中性脂肪)の分泌をおさえる作用があります。また、血液中からトリグリセライドを分解する酵素を活性化させることで、トリグリセライドの消失を促進させ、トリグリセライドを低下させる作用があります。
結果的に中性脂肪を低下させて、高脂血症の改善に効果が期待できます。また、血小板の凝集をおさえる作用があります。
痩せる効果はあるの?
ロトリガは、主に中性脂肪を低下させる作用に優れている薬であり、高脂血症の改善が目的で使用される薬です。コレステロール値を大きく増減させるほどの強い作用はありません。
本来の処方目的とは異なるダイエットなどの目的で使用することは、適応外の使い方であり、有効性や安全性なども保証されていません。副作用などのおそれもあるのでやめましょう。
ロトリガの飲み方
ロトリガは、スティック包装の中に粒状のカプセルが入っている薬です。1包(カプセル2g)を1日に1回、食直後(食事のすぐ後)に飲んでください。量が多くて一度に飲めない場合は半分にわけて飲んでもよいですが、必ず1回で全部飲み切ってください。あらかじめ水を口に含んでいると飲みやすくなります。
ロトリガは食事の影響を受ける薬なので、空腹時に飲むと有効成分の吸収率が悪くなってしまいます。また、ロトリガは、噛んでしまうと成分の油が出てきてしまうため、噛まずに飲んでください。
トリグリセライドの値によっては、1日2回まで増量することもあります。医師の指示に従って正しく使用しましょう。
ロトリガを飲んではいけない人は?
オメガ‐3脂肪酸は、血液を固まりにくくする作用があります。出血している方(血友病、毛細血管脆弱症、消化管潰瘍、尿路出血、喀血、硝子体出血など)は止血が困難となるおそれがあるため、使用できないこととなっています。出血する危険性の高い方も慎重に使用する必要があります。
抗凝固薬のワルファリンカリウムや、抗血小板薬のアスピリンなどを使用している方は、出血を起こすおそれがあるので併用には注意が必要です。
ロトリガは手術前に休薬
オメガ‐3脂肪酸などの抗血小板作用を現す薬は、原則手術前には使用の中止が必要になります。手術7日前には休薬することとなっています。
ロトリガの副作用は主に下痢
ロトリガは魚にも含まれる油を成分とした薬であり、安全性も高いため副作用は少ない薬です。主な副作用としては、下痢の報告が副作用全体の2.5%程度あります。
そのほかに発疹、めまい、頭痛、鼻血、吐き気、腹痛なども頻度は1%未満程度ですが報告されています。また、めったにありませんが、重大な副作用として肝機能障害、黄疸の発現が報告されています。
ロトリガの成分は体に必須
ロトリガの有効成分であるオメガ−3脂肪酸は、脂肪酸の中でも構造的に二重結合をもつ不飽和脂肪酸であり、n-3系多価不飽和脂肪酸に分類されます。EPAやDHAのほか、α-リノレン酸などがあり、魚介類などに多く含まれています。
不飽和脂肪酸は、n-3系のほかにn-6系多価不飽和脂肪酸があります。コーン油やマーガリンなどの植物油や動物性脂肪に多く含まれているリノール酸、アラキドン酸などが代表的なn-6系多価不飽和脂肪酸です。
n-3系、n-6系はともに人の体内でつくることのできない必須脂肪酸です。現代人の食生活では、n-6系の脂肪酸の摂取量は増えていますが、n-3系の脂肪酸の摂取量は低い状態が続いています。
オメガ−3脂肪酸の摂取量の目安は?
EPAやDHAを含んだn-3系の脂肪酸の食事摂取基準の目安量は、男性は18~29歳で2,000mg、30~49歳で2,100mg、50~69歳で2,400mg、70歳以上は2,200mg、女性は18〜49歳で1,600mg、50歳〜69歳は2,100mg、70歳以上は1,900mgと厚生労働省が設定しています。
ロトリガの1包中に含まれるオメガ−3脂肪酸エチル2gには、EPA−E(イコサペント酸エチルが930mg、DHA−E(ドコサへキサエン酸エチル)が750mg含まれています。
毎日の食事から一日の食事摂取基準の目安量を摂取することは難しいこともあり、EPAやDHAを含んだサプリメントなども販売されていますが、含有量が低いものである可能性もあります。
ロトリガとエパデールの違いは?
ロトリガと似ている作用の薬としてエパデールという薬があります。
ロトリガの有効成分はオメガ−3脂肪酸エチルであり、EPA−EとDHA−Eの成分を含んでいますが、エパデールの有効成分はEPA−Eのみを含んでいることが特徴です。エパデールはロトリガより高いEPA−Eの配合量を含んでおり、ロトリガの一日に使用するEPA−Eの量は930mgですが、エパデールの一日に通常使用する量は1,800mgになります。
また、ロトリガは通常1日1回の使用ですが、エパデールは1日2~3回飲む必要があります。
ロトリガの効能効果は高脂血症のみですが、エパデールは高脂血症、閉塞性動脈硬化症にともなう潰瘍、疼痛、冷感の改善に効果があるとされています。
医師の診断によって使用される薬が決まるので、医師の指示に従って使いましょう。
ロトリガの薬価
ロトリガの薬価は2017年8月現在、261.10円になります。
処方薬には、薬価の他にも薬学管理料や調剤料が加算されるため、かかる費用は上記の金額通りではありませんが、保険適用の場合、自己負担額は合計の3割になります。
また、ロトリガと同じ有効成分を含んだ市販薬やジェネリック医薬品は、2017年8月現在販売されていません。
おわりに
ロトリガの成分であるEPAやDHAは、体に必要な必須脂肪酸です。決められた量を毎日摂取することは難しいかもしれませんが、生活習慣病の予防や健康維持のためには大事なことです。日頃から中性脂肪が気になる方は早めに病院に行って、医師の診断を受けましょう。