はじめに
電車の中や会議中、テスト中に急な腹痛に襲われたことはありませんか?来てほしくないタイミングで来るお腹の痛み。勘弁してほしいものです。
食べすぎ、飲みすぎ、冷えや食あたりなど。
もしもの時のために薬箱に正露丸を常備しているご家庭も多いと思います。
急なお腹の痛みに今も昔もラッパのマークでおなじみの大幸薬品の正露丸。この記事では大幸薬品の正露丸について解説します。
なぜお腹を壊すのか
正露丸の解説の前にお腹をこわしてしまう仕組みについて知っていきましょう。
下痢や軟便は何らかの刺激により大腸の動き過剰になること。腸内の水分量が多くなることで起こります。
原因1 自律神経が過敏になり、ぜん動運動が活発になりすぎる。
緊張やストレス、冷えなどで自律神経が過敏になり腸を刺激。ぜん動運動が活発になり水分を吸収しきれずに便が腸内を通過するために起こる。
原因2 腸管内の水分が過剰になる。
アルコールや水分の摂り過ぎ。
原因3 ウイルス・細菌などの病原体に感染。
食あたり、水あたり。腸内に入ったウイルスが原因で起こる。その他にも、いわゆる「お腹のかぜ」がある。消化器粘膜にかぜの菌が感染。吐きくだしや下痢などの症状があらわれる。
このような症状があらわれたら、腸の動きを正常な状態に戻すことが必要。腸の動きや水分バランスを整えるお薬が有効です。
正露丸とはどんな薬?
・天然の生薬成分を配合した胃腸薬(止瀉薬)
・過剰なぜん動運動を正常に戻し、腸内の水分バランスを整える。
・お腹の大事な菌を殺さないで、腸の運動と機能を調節してお腹の症状を改善。
・腸の動きを止めないので炎症や腸の機能に支障をきたすウイルスや毒素をとどめず排出する。
・鎮静鎮痛効果でむし歯の痛みを鎮める。
代表的な成分は日局木(もく)クレオソートという成分です。
このクレオソートは1832年にドイツで開発され、最初は食肉保存用の殺菌剤として使われていました。
当初はこの殺菌成分が腸に悪い影響をおよぼす菌を殺すことでお腹の症状を改善していると思われていました。しかし、ここ数十年の研究で、クレオソートの主な作用はぜん動運動を調節し、腸液の水分調節をすることだとわかりました。
クレオソートは胃で血中に吸収されるので腸に届くものはほんのわずか。腸内細菌を殺菌することはありません。
ぜん動運動を止めず腸内の水分を調節することで、腸内にいるウイルスや細菌、毒素を排出しお腹のトラブルを改善します。むし歯の炎症を鎮め鎮痛もできますが、対症療法なのでその後に歯科を受診して下さいね。
効能・効果
軟便、下痢、食あたり、はき下し、くだり腹、消化不良による下痢、虫歯痛
正露丸の購入方法
正露丸
昔からある黒い丸薬のタイプです。独特な匂いがあります。家族みんな(5才以上)で使えるので家族の薬箱に常備しておきたいですね。
セイロガン糖衣A
セイロガンの独特な匂いが苦手な方のために糖衣でコーティングしたものもあります。糖衣Aは正露丸の味が苦手な方向けの商品ですが匂いが完全にないわけではありません。
用法・用量
次の量を食後(なるべく30分以内)に必ず水またはお湯といっしょに服用してください。
年齢 | 1回量 | 服用回数 |
---|---|---|
成人(15才以上) | 3粒 | 3回 |
11才~15才 | 2粒 | |
8才~11才 | 1.5粒 | |
5才~8才 | 1粒 | |
5才未満 | ×服用しないでください。 |
2.むし歯痛には1~1/2粒をむし歯の穴につめてください。
用法・用量の注意点
1回で治ったからといって服用をやめてはいませんか?正露丸の服用回数は1日3回です。
服用後30分で効果があらわれ、約3~4時間持続します。正露丸は1日3回正しく服用することで、大腸の運動を正常にし、水分吸収を促進、水分が過剰に分泌しないように抑制。
腸管内の水分調節をする腸を正常の状態に戻します。用法・用量をしっかり守ることで、薬の本来の作用があらわれますので症状がよくなったと思っても、服用回数をちゃんと守ってくださいね。
成分一覧
9粒(成人の1日最大服用量)中、次の成分を含みます。
成分名 | 分量 |
---|---|
日局木(もく)クレオソート | 400㎎ |
日局アセンヤク末 | 200㎎ |
日局オウバク末 | 300㎎ |
日局カンゾウ末 | 150㎎ |
陳皮末 | 300㎎ |
成分詳細
日局木(もく)クレオソート
ぜん動運動を調節し、水分の吸収や腸液の分泌を抑制して腸管内の水分調節をする。殺菌作用によりむし歯に詰めて痛みを緩和させることもできる。
日局アセンヤク末
腸のぜん動運動を穏やかにする。
日局オウバク末
苦味成分で胃液の分泌を促し、消化不良を改善する。炎症を抑える。下痢を改善する。
日局カンゾウ末
胃の粘膜を保護。解毒作用。
陳皮末
身体に溜まったガスを消したり、胃腸の機能を高める。
お腹を壊しにくい体にするための3つの方法
1.体を冷やさないようにする
特に下半身の冷えに注意して下さい。体調があまりよくない時は温かいかっこうをするようにしましょう。
スカートではなくズボンを履くようにする。お腹を冷やさない。お腹が出てしまうような丈の短い服は着ない。短いトップスや、ローライズ等はお腹を冷やすので避けてください。
2.冷たいものやアルコール、刺激物を控える
アルコールや刺激物は腸のぜん動運動が高まり過ぎて下痢になりやすくなります。
それにビールなどの冷たい飲み物は体を冷やしますし、水分を大量に取ることでお腹が緩くなりがちです。お酒の量には注意しましょう。飲みすぎてしまった時はいつでも飲めるように正露丸(もしくはセイロガン糖衣A)をバッグに入れていつでも飲めるようにしておきましょう。
3.ストレスを解消する
過度な緊張やストレス状態が続くと自律神経のバランスが崩れ、腸がけいれんして下痢や軟便、逆に便秘など、腸が不安定な状態になってしまいます。
ストレスがたまっている時はゆっくりお風呂に入ったり、よく休息を取るようにしましょう。音楽や映画を見て浸るのも良し、スポーツするのも良し。中でも特にオススメなのが片づけや掃除です。
鍋を磨く、鏡を磨く、ハンディーモップかける、本棚を整理する・・・・など。
ほうきやぞうきんがけなどの反復動作を5分以上くり返すとセロトニンが分泌されることが最近の研究でわかりました。セロトニンは心のバランスを保つ伝達物質です。不足するとうつ病をひきおこしたりします。
そうじや片づけをすると心も身の回りもスッキリしてリフレッシュでき、その小さな達成感が自信回復効果も生み、いいことだらけです!ポイントは神経質になり過ぎないことです。簡単にできることをしましょう。
おわりに
下痢や腹痛が続いている時は脱水症状を起こしやすくなっています。特に子どもや高齢者は注意してください。
正露丸の服用とともに水分補給をしながら様子を見るようにして下さい。症状がよくならなかったり、痛みが持続するような場合は他の病気が考えられます。直ちに使用を中止して医師の診療を受けてください。