キイトルーダとは

キイトルーダは、「ヒト化抗ヒトPD-1(ピーディーワン)モノクローナル抗体」という分類の新しいタイプのがんの治療薬です。

キイトルーダは活性化T細胞の上にあるPD-1と結びつき、がん細胞のPD-L1及びPD-L2との結合を阻害することで、がん細胞による活性化T細胞の抑制をおさえる作用があります。

有効成分はペムブロリズマブ(遺伝子組換え)の、点滴などで用いる注射剤です。

なお、体の状態によっては、キイトルーダを使用できない場合もあるため、使用については医師と相談する必要があります。

キイトルーダの効果

キイトルーダは根治切除が不能な悪性黒色腫や、PD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌に効果を発揮します。

キイトルーダの用法・用量

キイトルーダの用法・用量は以下のとおりです。

<根治切除不能な悪性黒色腫>

通常、成人には、ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)として、1回2mg/kg(体重)を3週間間隔で30分間かけて点滴静注する。

<PD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌>

通常、成人には、ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)として、1回200mgを3週間間隔で30分間かけて点滴静注する。

キイトルーダ点滴静注20mg/キイトルーダ点滴静注100mg 添付文書

キイトルーダの今後の適応拡大について

2017年7月の時点では、キイトルーダは悪性黒色腫という皮膚がんの一種と、非小細胞肺癌という肺がんの一種に効果が認められています。

医薬品に新しい適応が追加されるまでには、臨床試験などさまざまな段階があります。臨床試験を繰り返し、安全性が認められて初めて効果があると添付文書に記載することができます。

臨床試験は、基本的にはフェーズ1から始まり、フェーズ2、フェーズ3を終えると申請することができ、その後に承認されて初めて適応に追加されます。

キイトルーダは適応で認められている悪性黒色腫(皮膚がん)と非小細胞肺がん以外にも、膀胱がんを含む尿路上皮がん、乳がん、胃がんなどさまざまながんへの適応を申請している段階です。

今後の適応に期待ができる薬です。

  キイトルーダの適応
適応 ・悪性黒色腫(皮膚がん)
・非小細胞肺がん
申請中 ・尿路上皮がん(膀胱がん・腎盂がん・尿管がん・尿道がんを含む)
・古典的ホジキンリンパ腫
申請中
(フェーズ3)
・乳がん
・胃がん
・頭頸部がん
・肝細胞がん
・多発性骨髄腫
・食道がん
・腎細胞がん
・大腸がん
申請中
(フェーズ2)
・卵巣がん
・前立腺がん

キイトルーダの副作用

キイトルーダは、有効成分のT細胞活性化作用により、過度の免疫反応が起こることでさまざまな副作用が起こる可能性があります。

中には命に関わる副作用もあり、今までの抗がん剤治療とは異なる副作用への対策が求められます。

国内の臨床試験では、症例中81%に副作用が認められました。主な副作用は、そう痒症、斑状丘疹状皮疹、倦怠感です。

キイトルーダの使用では、特に以下のような副作用に注意する必要があります。自覚症状があるものもあれば、自覚症状がほとんどなく検査値の異常により発覚することが多い副作用もあります。

副作用の症状が進行すれば命に関わる危険性もあるため、あらかじめ副作用の種類を本人も家族も知っておくことで、早期発見と早期対処につながります。

・間質性肺疾患
・大腸炎・重度の下痢
・重度の皮膚障害
・神経障害(ギラン・バレー症候群など)
・肝機能障害
・内分泌障害(甲状腺機能障害、下垂体機能障害、副腎機能障害)
・1型糖尿病
・腎機能障害
・膵炎
・筋炎・横紋筋融解症
・重症筋無力症
・心筋炎
・脳炎・髄膜炎
・点滴時の過敏症反応 
・ぶどう膜炎

副作用と予測される身近な症状

頭部 ・頭痛
・意識障害
・眼の動きが悪い
・まぶたのむくみ
・見え方の異常
・まぶたが重い・ 顔の筋肉が動きにくくなる
・口の中や喉が渇きやすい
・多飲
・くしゃみ
・声のかすれ
・くちびるのただれ
・咳
・呼吸困難
・胸の痛み
胸部 ・吐き気やおう吐
・食欲低下
消化器 ・下痢
・ネバネバした便・血便
・便秘
・腹痛
・トイレが近い
・尿量の減少
手足 手足の筋力低下
全身 ・発熱
・疲れやすい・だるい
・黄疸 発疹などの皮膚症状
・体重の減少
・体重の増加
・むくみ
・しびれ
・ふるえ
・けいれん
・月経がない・乳汁分泌

キイトルーダとオプジーボの比較

新たながん治療薬としてキイトルーダの他にも、注目を集めているのが「オプジーボ」です。オプジーボは免疫チェックポイント阻害薬として、さまざまな種類のがんに用いられています。

どちらも今後の適応拡大が期待される治療薬です。

商品名 キイトルーダ オプジーボ
一般名 ペムブロリズマブ ニボルマブ
発売開始年月 2017年2月 2014年9月
適応のあるがん

悪性黒色腫
PD-L1陽性の非小細胞肺がん

悪性黒色腫
非小細胞肺がん
腎細胞がん
ホジキンリンパ腫
頭頸部がん
申請中の適応 ホジキンリンパ腫(2016年12月)
尿路上皮がん(2017年4月)
胃がん(2016年12月)
薬価(100mgあたり) 410,541円 364,925円
用法用量

<悪性黒色腫に使用する場合>
2mg/kg(体重)を3週間間隔で使用

<PD-L1陽性の非小細胞肺がんに使用する場合>
200mgを3週間間隔で使用

3mg/kg(体重)を2週間間隔で使用

※2017年7月時点

キイトルーダとオプジーボの価格比較

キイトルーダとオプジーボの薬価を体重別に使用したとして比較すると、年間使用量は以下のようになります。
※1年を52週として計算、肺がんに使用した場合

体重 オプジーボ キイトルーダ
40kg 約1139万円 約1427万円
50kg 約1423万円 約1427万円
60kg 約1708万円 約1427万円
70kg 約1992万円 約1427万円

100mgあたりの薬価はキイトルーダの方が高額となっていますが、キイトルーダとオプジーボでは用法用量が異なります。

また、高額療養費制度があるため、患者の自己負担はどちらでもあまり変わらないといえます。

おわりに

キイトルーダは近年注目されている新しいタイプのがん治療薬です。メカニズムが異なる分効果への期待も高まりますが、副作用への対策も求められています。

本人だけでなく家族も副作用を正しく知って、早期発見と早期対処につなげましょう。