ドネペジルとは
ドネペジルは日本で開発されたアルツハイマー型認知症の進行を遅らせる成分です。先発薬では「アリセプト」という商品名で発売されています。
錠剤を飲むことが難しい高齢者のためにさまざまな種類が販売されています。また、ジェネリックの種類も豊富で、「ドネペジル塩酸塩+剤形+製薬会社名」の商品名で販売されています。
ドネペジル塩酸塩の種類
先発薬のアリセプトには錠剤・D錠・内服ゼリー・ドライシロップ・細粒が、それぞれ3mg、5mg、10mgの成分量の種類があります。
ジェネリックのドネペジル塩酸塩には、錠剤・D錠・内服ゼリー・細粒が販売されています。成分量も先発薬と同じで3mg、5mg、10mgの種類があります。
なお、錠剤や内服ゼリーなど、薬の種類によって効果が変わることはありません。
先発薬アリセプトには苦味が感じられる場合がありますが、ジェネリックのドネペジル塩酸塩にはほとんど苦味はありません。
製薬会社のサワイでは、サワイが販売しているドネペジルは、匂いはなく味はわずかに甘い〜甘いとしています。
ドネペジルの効果
ジェネリックのドネペジル塩酸塩はアルツハイマー型認知症の認知症状を進行を遅らせる効果があります。
ドネペジルの作用機序
アルツハイマー型認知症では、脳の中にある神経伝達物質のアセチルコリン濃度が減少することが判明しています。ドネペジルはアセチルコリンを分解する酵素を阻害することで、アルツハイマー型認知症における認知症状の進行を防ぎます。
ドネペジルとアリセプトの違い
先発薬アリセプトとジェネリックのドネペジルは同じ成分を使用し、ほとんど同じ効果であるといえます。
しかし、実際にはジェネリックに変えたら薬の効きが悪くなった、というケースも存在します。それぞれに含まれている添加物の違いにより、薬の吸収に若干の影響を与えてしまうことが原因と考えられています。
先発薬からジェネリックに変更して違和感を感じる場合は、医師に相談して先発品に戻すことも考えてみましょう。
なお、ドネペジルには、先発薬アリセプトに適応されているレビー小体型認知症への効果は示されていません。基本的には先発薬もジェネリックも同じ成分を使用している薬なので、効果もほとんど同じと考えられますが、ドネペジルのレビー小体型認知症への効果はまだ承認を受けていません。
ドネペジルの副作用
ドネペジルの先発薬アリセプトの臨床試験では、実際の使用では10.29%、成分が含まれていない偽薬を用いたプラセボでは7.63%の副作用がみられました。
ジェネリックのドネペジルの副作用発生率は、先発薬アリセプトとほとんど同じといえます。
主な副作用は吐き気、食欲不振、嘔吐、腹痛などの消化器系の症状です。特に薬を使用し始めた頃は、軽い吐き気や軟便などの副作用がでやすい傾向があります。
また、薬を使用し始めの頃は、焦燥感、多弁、興奮などが現れるという報告もあります。
軽い副作用であれば、多くの場合は一週間程度で副作用は消えていきます。副作用の症状が長引いたり悪化したりする場合は、医師に相談しましょう。
認知症状と副作用の見分けは?
薬を飲んでいても活発になったり興奮したり、イライラする症状は認知症の症状が進行している可能性もあり、必ずしも薬の副作用とは言い切れません。
夜眠れなくなるなど、いつもとは違う症状が現れた場合は医師に相談しましょう。
重大な副作用
ドネペジルには以下のような重大な副作用の報告もあります。中には、命に関わるものもあるため、使用後の体調の変化には十分注意しましょう。
副作用と思われる変化が現れた場合は、薬を処方した医師に相談してください。
・QT延長、心室頻拍(torsades de pointesを含 む)、心室細動、洞不全症候群、洞停止、高度徐 脈、心ブロック、失神
・心筋梗塞、心不全
・消化性潰瘍、十二指腸潰瘍穿孔、消化管出血
・肝炎、肝機能障害、黄疸
・脳性発作、脳出血、脳血管障害
・錐体外路障害
・悪性症候群(Syndrome malin)
・横紋筋融解症
・呼吸困難
・急性膵炎
・急性腎障害
・原因不明の突然死
・血小板減少
ドネペジルの用法・用量
ドネペジルは症状に合わせて医師の診察のもと使用量が調整されます。
通常は、1日1回3mgから開始します。服用後1〜2週間後に、医師の診察のもと5mgに増量します。なお、5mgの効果がでるまでは約3か月ほどが目安になります。症状に応じて5mgで4週間以上使用し、10mgに増量することもあります。
なお、食事による影響は受けないため、どのタイミングで使用しても問題ありません。
ドネペジルを飲み忘れた場合
ドネペジルは薬の血中での濃度が半減する時間が比較的長い薬です。そのため、1回分を飲み忘れても、比較的影響が少ないといえます。
次の日に通常通り1回分を飲み、飲み忘れたからといって2日分を一度に飲むことはやめてください。
ドネペジルの使用上の注意
ドネペジルの効果が感じられないからといって、自己判断で薬の使用を中止することはやめてください。薬の効果で症状の進行を抑制していたものが、治療をしない場合の症状と同じ状態になってしまう可能性があります。
また、認知症状が変化しないことも、症状の進行をおさえている薬の効果といえます。薬の服用に心配や不安がある場合は、担当医に相談してください。
なお、寝たきり状態や摂食困難などの高度アルツハイマー型認知症の方にはアリセプトは使用できません。
妊娠中・授乳中の使用
妊娠中や授乳中の場合は必ず医師に申告してください。
ドネペジルの薬価
ドネペジルはジェネリックであり、開発費用がおさえられているため、先発薬のアリセプトよりも安価に購入することが可能です。
ジェネリックを希望する場合は医師や薬剤師に申告してください。
先発薬 | 薬価/円 | ジェネリック | 薬価/円 |
アリセプト錠3mg | 203.50 | ドネペジル塩酸塩錠3mg | 85.50〜107.90 |
アリセプト錠5mg | 300.60 | ドネペジル塩酸塩錠5mg | 125.70〜158.20 |
アリセプト錠10mg | 537.40 | ドネペジル塩酸塩錠10mg | 156.40〜285.60 |
アリセプトD錠3mg | 203.50 | ドネペジル塩酸塩D錠3mg | 85.50〜107.90 |
アリセプト錠5mg | 300.60 | ドネペジル塩酸塩D錠5mg | 125.70〜158.20 |
アリセプト錠10mg | 537.40 | ドネペジル塩酸塩10D錠mg | 156.40〜285.60 |
アリセプト内服ゼリー3mg | 200.20 | ドネペジル塩酸塩内服ゼリー3mg | 132.90 |
アリセプト内服ゼリー5mg | 306.70 | ドネペジル塩酸塩内服ゼリー5mg | 201.50 |
アリセプト内服ゼリー10mg | 552.00 | ドネペジル塩酸塩内服ゼリー10mg | 240.80〜335.30 |
アリセプト細粒0.5% | 562.10 | ドネペジル塩酸塩細粒0.5% | 129.80 |
※薬価は1錠/g/個あたり
※薬の購入には薬の値段の他に、診察代や調剤料などがかかります。
※2017年8月現在
おわりに
ドネペジルは、アルツハイマー型認知症の認知症状に世界中で広く使われるアリセプトのジェネリックです。認知症の治療は長期に渡る場合が多いため、ジェネリックを活用することで、診療費の負担を減らすことも可能です。
ジェネリックを希望する場合は、医師や薬剤師に申告しましょう。