エチゾラムの効果
エチゾラムには筋肉の緊張をほぐす、不安をおさえる、落ち着かせる、眠気を誘う、抗うつ作用、心を安定化させるなど、さまざまな作用があります。
睡眠障害や不安・うつ症状だけでなく、頭痛や腰痛まで幅広い症状に使用されます。
エチゾラムは主に脳内にあるベンゾジアゼピン受容体と呼ばれる部位に作用し、不安や緊張などを改善します。不安をおさえる作用の強さは中程度で、広く使用されている薬です。
エチゾラムの効果時間
エチゾラムを食後に飲んでから、血液中で最も薬の濃度が高くなるのは約3時間後とされています。その後、血液中での薬の濃度が半分になる状態(半減期)は約6時間と報告されています。
つまり、エチゾラムの効果が完全に出るまで約3時間かかり、効果の持続時間は約6時間ということができます。
先発薬デパスとエチゾラムの違い
エチゾラムは「デパス」という薬のジェネリック医薬品(後発品)です。
後発品のエチゾラムは先発品のデパスと主成分の量が同じであり、効果は同じといえます。
先発品とジェネリックの大きな違いは薬の価格です。ジェネリックは、先発薬でかかる数百億円程度の研究開発費がかからないため、先発薬と比較すると大幅に安くなります。
ジェネリックと先発薬は成分の量や質は同じであるため、安いから効きが悪いという心配はありません。
先発薬とジェネリックは本当に同じ?
先発薬とジェネリックの効果が同じであることをを証明するために生物学的同等性試験という試験が行われます。
生物学的同等性試験とは、健康な大人を対象に、血中濃度を測定し薬の吸収の速さや吸収する量などを比較し、先発品と後発品が統計学的に同じであることを確認する試験です。
薬の効果は作用部位の薬物濃度で決まるため、生物学的同等性試験で大きな差がなければ、効果についても差はないとされています。
しかし、実際にはジェネリックに変えたら薬の効きが悪くなった、というケースもあります。含まれている添加物が異なるため、薬の吸収に若干の影響を与えてしまうからではないかと考えられています。
先発薬とジェネリックに変更した際に違和感を感じるのであれば、先発品に戻すことも考えてみましょう。
エチゾラムの用法・用量
神経症・うつ病に使用する場合は、通常は成人に1日3mgを3回にわけて使用します。
心身症・頸椎症・腰痛症・筋収縮性頭痛に使用する場合は、通常は成人に1日1.5mgを3回にわけて使用します。
睡眠障害に用いる場合は、通常は成人に1日1~3mgを就寝前に1回使用します。
いずれの場合も年齢や症状により量を調整するため、医師の指示のもと用法・用量は必ず守りましょう。
使用に注意する方
妊婦または妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると医師が判断した場合にのみ使用します。
授乳婦への使用は避けることが望ましいとされていますが、やむを得ず使用する場合は、薬が効いている時間は授乳をさけてください。
小児への使用は、使用経験が少ないため安全性が確立されていません。
また、エチゾラムは以下のような方は使用できません。
・急性狭隅角緑内障の方
・重症筋無力症の方
使用上の注意
エチゾラムを服用後は眠気、注意力・集中力・反射運動能力などの低下が起こることがあります。エチゾラムを使用中の方は、自動車の運転など危険をともなう機械の操作をしないように注意してください。
そのほか、連続使用により薬物依存を生じることがあるため、漫然とした長期使用を避けてください。
エチゾラムの副作用
エチゾラムのおもな副作用には、健忘や刺激興奮、錯乱、眠気、ふらつきなどの精神神経系のほか、呼吸器・循環器・消化器・骨格筋などへの症状が現れることがあります。
また、ほとんどありませんが重大な副作用が起こる可能性もあります。
エチゾラムは連用することで薬物依存を生じることがあります。また、自己判断で使用量の急激な減少や使用を中止することで、痙攣発作、せん妄、振戦、不眠、不安、幻覚、妄想などの離脱症状があらわれることがあります。
薬の使用を中止する場合には、必ず医師の指示のもと、徐々に減量するなど慎重に行いましょう。
そのほか、呼吸抑制、炭酸ガスナルコーシス、悪性症候群、横紋筋融解症、間質性肺炎、肝機能障害、黄疸などが重大な副作用としてあげられます。
薬の服用後に副作用と思われる体調の変化が現れた場合は、すぐに病院を受診してください。
エチゾラムの生活上の注意
エチゾラムは飲み合わせに注意が必要な薬があります。エチゾラムを使用している場合は、医療機関を受診した際に必ず医師に申告しましょう。
また、アルコールとエチゾラムは併用注意とされています。精神機能、知覚・運動機能の低下を起こすおそれがあるため、エチゾラムを使用中はアルコールを飲まないように注意しましょう。
エチゾラムと同成分の市販薬
エチゾラムと同じ成分が配合された市販薬はありません。(2017年6月現在)
おわりに
エチゾラムは2016年9月に向精神薬に指定され2016 年10月から法規制が施行されました。この法規制により、現在は30日分までの処方となっています。
自己判断の増量や減量は治療している病気を悪化させたり、副作用が起きる原因となるので十分に注意しましょう。
また向精神薬を他人に譲る行為は犯罪となるので、絶対にやめましょう。