ロコアテープとは
ロコアテープの有効成分は「エスフルルビプロフェン」といい、抗炎症薬の一つです。
2016年に販売が開始された貼り薬で、成分のエスフルルビプロフェンはロキソニンやイブプロフェンなどと同じく、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)に分類されています。
痛みや炎症を引き起こすプロスタグランジンという物質の発生を抑えることで、痛みや炎症をやわらげる作用をもつ薬をNSAIDs(エヌセイズ)と呼んでいます。
有効成分の一つとしてハッカ油を配合しているため独特のにおいや、スースーする使用感があります。
ロコアテープの効果
ロコアテープは、変形性関節症の痛みや炎症をおさえる効果があります。
変形性関節症とは、関節の軟骨がすり減ることで痛みや炎症が生じ、その症状が続くことで関節が変形してしまう病気です。変形性関節症では、ロコアテープなどの抗炎症薬による薬物療法、関節まわりの筋肉を鍛えることで関節の機能を保つ運動療法や手術での治療が行われています。
腰痛・肩こりへの使用について
ロコアテープは2023年6月現在、変形性関節症にのみに適応しているため、変形性関節症が原因となっている腰痛や関節痛には使用できます。
変形性関節症以外の疾患、たとえば肩こりやぎっくり腰・テニス肘などには適応がありませんので使用できません。
効果時間について
ロコアテープの成分であるエスフルルビプロフェンの血中濃度が一番高くなるのが貼付後17時間前後とされ、その後徐々に低下していきます。そのため、1日1回患部に貼る薬となっています。
同じテープを貼り続けていてもいつまでも効果が持続するわけではないので、しっかりと用法用量を守って貼り替えましょう。
ロコアテープの使い方
1日1回、患部に貼り付けて使用します。
1日の使用量は最大2枚までです。1日に3枚以上使うと副作用が現れる可能性があるので1日の使用量を守りましょう。
肘やひざなどよく動かす関節部に使用する場合は、テープの端がはがれやすいので固定テープやサポーターなどで補強してもよいでしょう。
はがれたときは貼り替えていいの?
汗をかいてはがれてしまった場合など、新しく貼り替えるときには注意が必要です。1日量として3枚目になってしまう場合は、新しいロコアテープに貼り替えることはできません。
必ず1日最大2枚という用量を守りましょう。
また、新しいロコアテープに貼り替えるときは前に貼ったものははがします。すぐに貼りなおすと皮ふがかぶれてしまう恐れがあるので、汗をよく拭き、皮ふを休ませてから貼り替えたり、貼る場所を少しだけずらすなどすると良いでしょう。
ロコアテープの使用上の注意:禁忌・妊娠中の注意など
禁忌:ロコアテープを使えない人
次のような症状がある方はロコアテープを使用できません。体に何らかの病気があるときは、必ず医師に伝えましょう。
■消化性潰瘍(胃潰瘍や十二指腸潰瘍)のある方
■血液に重篤な異常がある方
■肝・腎機能に重篤な障害がある方
■重篤な心機能不全のある方
■重篤な高血圧症のある方
■ロコアテープに入っている成分やフルルビプロフェンを使用して過敏症状を起こしたことがある方
■抗炎症薬や解熱鎮痛薬などを使用してぜんそく(アスピリン喘息)を起こしたことがある方
■エノキサシン水和物、ロメフロキサシン、ノルフロキサシン、プルリフロキサシンを使用している方
■妊娠後期の女性
妊娠中・授乳中の注意
【妊娠後期】
妊娠後期の方は使用できません。動物実験で母体の異常や死産数の増加が報告されています。
【妊娠中期より前】
妊婦(妊娠後期以外)の方や妊娠している可能性のある方では、安全性が確立されておらず、予期せぬ副作用や身体異常を起こすおそれがあるため、医師の指示がない限りは使用しないでください。医師が必要と判断した場合のみ、処方されます。
【授乳中】
治療上の有益性と母乳栄養の有益性を考慮して、医師が必要と判断した場合のみ、処方されます。ロコアテープが処方される場合は授乳の継続もしくは中止について、医師にご相談ください。薬の成分が母乳中に移行することが確認されています。
15歳未満の注意
15歳未満の使用については、使用した経験がないため安全性が確立されていません。予期せぬ副作用や身体異常を起こすおそれがあるため、医師の指示がない限りは使用しないでください。
高齢者
高齢者は使用可能ですが、副作用があらわれやすいので注意しながら使用してください。
ロコアテープの副作用
ロコアテープを使用後、貼りつけた部分の皮ふの炎症が報告されています。このような症状が現れた場合は、医師・薬剤師にご相談ください。
同じNSAIDsでもモーラステープなどは日光などの強い光に当たると真っ赤に腫れる光線過敏症が副作用にありますが、ロコアテープは光線過敏症の報告はありません。
胃腸障害について
ロコアテープのような貼り薬でも、薬の成分が皮ふから吸収されて血中へ移行するため、飲み薬で起きるような胃腸障害が起こることがあります。もし症状が出るようであれば医師に相談しましょう。
ロコアテープでは、頻度は1%未満ですが腹部不快感、胃炎、 消化性潰瘍、腹痛、 悪心、嘔吐、口内炎などの副作用の報告があります。
重大な副作用
頻度はまれではありますが、ショック、アナフィラキシー、急性腎障害、ネフローゼ症候群、胃腸出血、再生不良性貧血、喘息発作の誘発(アスピリン喘息)、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis : TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、剥脱性皮膚炎、意識障害、意識喪失をともなう痙攣といった重大な副作用が報告されています。
ロコアテープを使用していて気になる症状があれば、医師や薬剤師に相談してください。
ロコアテープとほかの薬の併用について
ロコアテープは、併用してはいけない薬、併用に注意が必要な薬が多くあります。
ロコアテープの有効成分であるエスフルルビプロフェンは、ほかのNSAIDsに比べて皮膚に吸収されやすいため併用する薬には注意が必要です。
併用禁忌
ニューキノロン系抗菌薬の中でプルリフロキサシン(スオード)、エノキサシン水和物、ロメフロキサシン(ロメバクト、バレオン)、ノルフロキサシン(バクシダール)と併用すると、けいれんが現れるおそれがあるためロコアテープとは併用できません。
ほかの痛み止めとの併用
内服薬・外用薬を問わずロキソプロフェンやイブプロフェンなど、ほかの抗炎症薬との併用はできるだけ避けることとされています。
ロコアテープの成分は血中に吸収されやすいので、同じ作用をもつロキソプロフェンやイブプロフェンなどNSAIDsに分類される薬との併用により、消炎鎮痛成分の過剰投与につながり、副作用が現れやすくなると考えられます。
しかし、医師の判断により、同時にほかの抗炎症薬が処方されることもあります。その場合には自己判断で中止せず、用法用量を守って使用しましょう。
併用注意
ロキソプロフェンやイブプロフェンなどのNSAIDsのほかにも、併用に注意が必要な薬があります。使用している薬がある場合は、必ず医師・薬剤師に伝えてください。
ロコアテープ・ロキソニンテープ・モーラステープの違い
3つのテープはどれも鎮痛消炎剤ですが、有効成分がそれぞれ異なるため効果や使い方にも違いがあります。
効果の違い
ロコアテープは変形性関節症にしか適応がないので、ほかの症状には使われません。
ロキソニンテープは変形性関節症に加え、筋肉痛、捻挫や打撲などの外傷による痛み・はれなどに使用されています。
モーラステープの適応は幅広く、変形性関節症のほか、腰痛症、腱鞘炎、肩関節周囲炎、テニス肘、筋肉痛、外傷後の腫れ・痛みのほか、関節リウマチにおける鎮痛にも使用されます。
使い方の違い
1日の使用回数に違いはなく、どのテープ剤も1日1回、痛みや腫れがある患部に貼ることになっています。
大きく違うのは、ロコアテープでは1日の使用枚数が2枚までと制限されている点です。ロキソニンテープ、モーラステープでは1日の使用枚数に規定がなく、医師の判断で使用枚数が決められます。
製品名 | 使用回数 | 使用枚数 |
ロコアテープ | 1日1回 | 1日2枚まで |
ロキソニンテープ | 1日1回 | 規定なし |
モーラステープ | 1日1回 | 規定なし |
おわりに
ロコアテープは適応となる疾患が変形性関節症に限定されています。
医師の指示なく変形性関節症以外の症状にロコアテープを使用して、もし重大な副作用や副作用による後遺症が残った場合は医薬品副作用被害救済制度の補償を受けることができません。
医師の指示なく自己判断でロコアテープを使用することは避けましょう。