ガスモチンとは?

ガスモチン(一般名:モサブリドクエン酸塩)は、胃腸の働きを改善する薬です。胃腸の運動を活発にする作用があり、慢性胃炎による胸やけや嘔吐などの症状の治療に使用されます。また、バリウムを飲んで行うX線造影検査の前処置において補助的に使用されます。 

1998年から販売が開始された比較的新しい薬で、昔からの胃腸薬と違いセロトニン系に作用するため、ドパミン系の副作用が起こらない薬となっています。その使いやすさから、処方される機会も多い薬です。

ガスモチンの市販薬はある? 

ガスモチンの主成分のモサブリドクエン酸塩を含む市販薬は現在販売されていません。しかしガスターやムコスタなど、胸やけや悪心に効果がある市販薬は販売されています。

以下の記事ではガスモチンと同じような効果を持つ市販薬を紹介しているので、ぜひご覧ください。

ガスモチンの剤形と用法・用量

ガスモチンの剤形は全部で3種類あります。
それぞれ成分量が異なり、用法・用量については使用する目的によって異なります。

剤形と成分

■ガスモチン錠5mg
剤形:錠剤
成分(1錠中):モサプリドクエン酸塩 5mg
ミナカラ薬辞典:ガスモチン錠5mg

■ガスモチン錠2.5mg
剤形:錠剤
成分(1錠中):モサプリドクエン酸塩 2.5mg
ミナカラ薬辞典:ガスモチン錠2.5mg

■ガスモチン散1%
剤形:白色の散錠。においはなく、甘みがある。
成分(1g中):モサプリドクエン酸塩 10mg
ミナカラ薬辞典:ガスモチン散1%

用法・用量

ガスモチンの用法・用量は使用する目的によって異なります。
ガスモチンは処方薬なので、用法・用量については医師の指示に従ってください。

・慢性胃炎に伴う消化器症状(胸やけ、悪心・嘔吐)
通常、成人には、モサプリドクエン酸塩として1日15mgを3回に分けて食前または食後に経口投与する。

・経口腸管洗浄剤によるバリウム注腸X線造影検査前処置の補助
通常、成人には、経口腸管洗浄剤の投与開始時にモサプリドクエン酸塩として20mgを経口腸管洗浄剤(約180mL)で経口投与する。
また、経口腸管洗浄剤投与終了後、モサプリドクエン酸塩として20mgを少量の水で経口投与する。

ガスモチン錠5mg/ガスモチン錠2.5mg/ガスモチン散1%添付文書

■服用期間について
胸やけや悪心の治療でガスモチンを服用する場合、最初の服用期間はおよそ2週間が一般的です。
ます2週間ほど服用し、医師が薬の効果があらわれていると判断した場合は継続して服用することになります。

ジェネリックについて

ガスモチンと同じモサプリドクエン酸塩を主成分とするジェネリックはいくつか存在します。
ジェネリック医薬品の中には、バリウム検査の補助の効果はないものもあります。
胸やけや吐き気などに対する効果は同じです。

それぞれの剤形について、先発品とジェネリック医薬品の薬価の差をまとめました。

■ガスモチン錠5mg

  商品名 製薬会社 薬価(1錠)
先発医薬品 ガスモチン錠5mg 大日本住友製薬 16.9円
ジェネリック医薬品 モサプリドクエン酸塩錠5mg 共和薬工など各社 9.9円

■ガスモチン錠2.5mg

  商品名 製薬会社 薬価(1錠)
先発医薬品 ガスモチン錠2.5mg 大日本住友製薬 10.2円
ジェネリック医薬品 モサプリドクエン酸塩錠2.5mg 共和薬工など各社 9.6円

■ガスモチン散1%

  商品名 製薬会社 薬価(1g)
先発医薬品 ガスモチン散1% 大日本住友製薬 34.5円
ジェネリック医薬品 モサプリドクエン酸塩散1%「テバ」 大正薬工 19.9円
ジェネリック医薬品 モサプリドクエン酸塩散1%「日医工」 日医工 16.8円

※いずれも2016年7月現在の薬価

ガスモチンの胃腸・便秘効果

添付文書によれば、胸やけに対して74%、悪心・嘔吐に対して77%の確率で効果を発揮するという報告があります。
ガスモチンを飲めば必ず治る!というわけではありませんが、充分に効果を期待することができます。

ガスモチンの効果について、添付文書には以下のように記載されています。

・慢性胃炎に伴う消化器症状(胸やけ、悪心・嘔吐)
・経口腸管洗浄剤によるバリウム注腸X線造影検査前処置の補助

ガスモチン錠5mg/ガスモチン錠2.5mg/ガスモチン散1%添付文書

今回は、このうち「慢性胃炎に伴う消化器症状」への効果について詳しく見ていきます。
これはガスモチンの消化管の働きを改善する効果によるもので、さまざまな消化管の症状に効果を発揮します。

具体的には
・薄い唾液を大量に分泌させ、消化を助ける
・ 胃の消化運動を促進する
・ 腸のぜん動運動を促進する
・ 胃液や膵液など、消化液の分泌を増加させる
などの効果があり、これらによって胸やけや吐き気を解消します。

便秘への効果

胸やけなどに効くガスモチンですが、便秘の解消にも効果があります。

そもそも便秘は、何らかの原因で腸の蠕動(ぜんどう)運動が鈍り、便を押し出す力が弱まることなどで起こるものです。ガスモチンは副交感神経の働きを高め、消化管の動きを改善し腸全体の働きを良くすることで排便にも効果をもたらすのです。

一般的な下剤のように違い大腸に刺激を与えたり、便に水分を加えて柔らかくはせずに、消化管機能を改善して便秘を解消します。

ガスモチンは、有効成分がモサプリドクエン酸塩水和物で、セロトニン受容体作動薬という種類の薬です。

モサプリドクエン酸塩は、消化管に存在するセロトニン受容体を刺激して、副交感神経の働きを高める神経伝達物質アセチルコリンの分泌を促します。アセチルコリンがたくさん分泌されると消化管の動きが亢進されるため、胃や腸の働きが良くなり、結果として便秘解消へとつながっていくのです。

またセロトニン受容体は、私たちの体のあらゆる部分に存在しますが、モサプリドクエン酸塩は胃や大腸にあるセロトニン受容体だけを選択的に刺激。中枢(脳や脊髄)に対する作用やホルモン系に関わる副作用の軽減につながったため、胃腸のケアにも安心して使える薬といえるでしょう。

ガスモチン以外の便秘薬に関しては以下の記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。

逆流性食道炎への効果

ガスモチンは逆流性食道炎の治療に使用されることもあります。

逆流性食道炎の原因のひとつは食道の蠕動(ぜんどう)運動の働きが悪くなることです。
ガスモチンは胃や腸だけでなく食道の機能を改善する作用があり、蠕動運動を促進する効果があります。

そのため、ガスモチンを服用し食道の蠕動運動を助けることで、逆流性食道炎の症状を改善することができるのです。

また、逆流性食道炎の症状により食欲がない場合、ガスモチンを服用することで食欲を増進させる効果もあります。

その他の効果

■胃もたれ
食べ過ぎなどで胃がもたれてしまった場合は、ガスモチンの服用が効果的です。
胃の中の食べ物の消化を助ける効果があるため、胃もたれを改善することができます。

■胃炎・胃潰瘍
胃炎や胃潰瘍においては胃に負担をかけないことが重要になります。
そのため、胃に胃酸や食事を長くためないようにするためにガスモチンが使用されることがあります。

■お腹にガスがたまる
過敏性腸炎などでお腹にガスがたまってしまっている場合、ガスモチンが使用されることがあります。
しかしガスモチンの副作用にも腹部膨満感があるため、薬との相性によっては逆にガスがたまってしまうこともあります。

■薬による吐き気や胃の荒れを防ぐ
吐き気や胃炎には、うつ病の治療薬や頭痛薬などの薬が原因のものがあります。
そのような症状を防ぐため、ガスモチンが同時に処方されることがあります。

ガスモチンの副作用:下痢に注意

ガスモチンの副作用の種類や発症確率は、服用する目的によって異なります。
胸やけや悪心・嘔吐に対して使用した場合の発症確率は2.5%、バリウム検査の前に使用した場合の発症確率は0.2%です。

胸やけや悪心・嘔吐に対して使用した場合、最も多い副作用は下痢や軟便です。

代表的な副作用:下痢・軟便

ガスモチンの主な副作用は下痢・軟便です。
0.8%の確率で発症するという報告もあり、確率は高くありませんが、ガスモチンの副作用の中では最もよく起こる症状です。

これはガスモチンの作用により消化管が運動しすぎたことによる症状で、ガスモチンの服用量を減らしたり、服用を中止すれば改善することがほとんどです

ガスモチン服用中にひどい下痢が続く場合は、医師に相談して服用量を調節してもらうようにしましょう。

重大な副作用

発症確率は0.1%未満と極めてまれですが、以下のような重大な副作用が出る場合があります。

・劇症肝炎(急性肝炎のうち特に重症なもの)
・著しい肝機能検査値の上昇を伴う肝機能障害
・黄疸(皮膚や粘膜が黄色くなる。かゆみや倦怠感、発熱を伴う)

ほとんど起こらない副作用ですが、倦怠感や食欲不振、発熱や、皮膚や白目が黄色くなるなどの初期症状があらわれた場合はすぐに医師に相談するようにしてください。
また、これらの副作用を防ぐため、長期にわたりガスモチンを服用する場合は定期的に肝機能検査を行うようにしましょう。

その他の副作用

<慢性胃炎に伴う消化器症状(胸やけ、悪心・嘔吐)に対して使用した場合>
下痢や軟便といった胃腸障害の他にも、ガスモチンを服用することで消化が促進され、そのために空腹感を感じ、食欲が増進するなどの副作用も報告されています。
詳しくは以下をご確認ください。

症状 発症確率
浮腫・蕁麻疹 0.1%未満
発疹 頻度不明
血液中の好酸球増多 0.1~2%未満
血液中の白血球減少 0.1%未満
口渇、腹痛、嘔気、嘔吐 0.1~2%未満
味覚異常、腹部膨満感 0.1%未満
口内しびれ感(舌、口唇などを含む) 頻度不明
肝機能検査値の上昇 0.1%未満から0.1~2%未満
心悸亢進 0.1%未満
めまい、ふらつき、頭痛 0.1%未満
倦怠感、中性脂肪の上昇 0.1~2%未満
振戦(手足の震えなど) 0.1%未満

<バリウム検査の補助に使用した場合>
バリウム検査の補助にガスモチンを使用した場合、副作用に眠気の症状が出ることがあります。
車の運転などには十分注意してください。

症状 発症確率
腹部膨満感、嘔気、腹痛、胃部不快感、など 0.1~5%
ビリルビン(血液中の色素)の上昇 0.1~5%
頭痛、眠気 0.1~5%
腹部不快感、悪寒、倦怠感、顔面腫脹、尿潜血、尿蛋白、など 0.1~5%

ガスモチンの使用上の注意:妊娠・授乳中の服用や飲み合わせについて

ガスモチンの使用に注意が必要な人や、ほかの薬との飲み合わせについて解説していきます。

ガスモチンの使用に注意が必要な人

■妊娠中の使用
ガスモチンの妊娠中の使用は可能ですが、薬を飲んだほうがいいと医師が判断した場合のみです。
独断で服用することのないようにしましょう。
妊娠中の使用に関する安全性は確率されていないため、処方された場合は用法・用量をよく守ってください。

■授乳中の使用
授乳中の服用はできるだけ避けるようにしましょう。
動物実験において母乳への移行が報告されているため、やむをえず服用する場合は、服用期間中の授乳は中止してください。

■小児の使用
子どもの使用について、安全性は確率されていません。
どうしても服用させたい場合は必ず医師に相談し、独断で飲ませることのないようにしてください。

■高齢者
肝機能・腎機能が低下している高齢者が服用する場合は、医師による慎重な判断が必要です。
独断で服用することはせず、必ず医師の診察を受けたうえで服用してください。

飲み合わせについて

併用に注意が必要な薬は抗コリン作用のある薬だけです。

抗コリン作用のある薬と併用するとガスモチンの効果が弱まる可能性があります。
同時に飲みたい場合は医師に相談し、服用間隔をあけるなどの処置をとってください。

抗コリン剤には、アレルギーを抑えるポララミン、胃腸のけいれん性の痛みを取るブスコパンなどがあります。
薬との飲み合わせで疑問や心配がある場合は、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。

身近な薬との飲み合わせをまとめました。ご参考ください。

薬名 飲み合わせ
ロキソニン 問題ありません。
しかし、胃の疾患でガスモチンを服用している場合、
胃に負担をかけるロキソニンは服用しないほうがいい場合があります。
ファモチジン(ガスター) 問題ありません。
タケプロン 問題ありません。
同時に処方されることも多くあります。
ビオフェルミン 問題ありません。

まとめ

消化管の機能を改善し、胸やけや吐き気、便秘などに効果があるガスモチン。
副作用も少なく比較的安全な薬ですが、服用の際には医師の判断した用法・用量をしっかり守るようにしてください。
また、まれに重大な副作用も起こるため、異変を感じたら早めに医師に相談するようにしましょう。