妊娠超初期は妊娠検査薬ではまだ陰性
妊娠超初期という言葉は、医学的に正しい用語ではありません。
一般的には、妊娠超初期とは、妊娠初期よりも前の、まだ妊娠検査薬で陽性反応が出る前の時期を指します。
一般的に妊娠期間はおよそ10か月といわれますが、数え方は1か月を30日とせず、生理周期の28日を基本に以下のように定義されています。
・1週を7日
・1か月を28日(7日×4週)
・妊娠期間は4週/1か月×10か月=40週(280日)
妊娠日数の数え方は間違えられやすく、妊娠に気付いた時にはかなり週数が経っていることも少なくありません。
一般的な考え方として、妊娠は性行為により受精卵が着床したことで成立するという印象が多いと思いますが、生理周期と妊娠の深いかかわりから、独自の計算方法が用いられています。
紛らわしいのですが、妊娠超初期症状を知る上では、妊娠日数の数え方の定義を知っておくことが必要です。
妊娠日数の数え方のポイント
妊娠までの過程は、まず精子と卵子が出合い、受精卵となるのが、生理開始日(0日目)から14日目頃の排卵日です。
そこから受精卵が約1週間かけて子宮に辿り着き、子宮内膜に着床することで妊娠が成立します。
着床して妊娠が成立してからが妊娠0日ではないのか?…と思いがちですが、生理の始まり=排卵の準備という考え方で、妊娠周期をカウントします。
よって、最終月経が始まった日を妊娠0日0週とし、妊娠1日目は生理の2日目ということになります。
規則的に月経が来ている人の場合、次にくるはずだった生理予定日で4週(妊娠2か月)となります。
このことから、妊娠がわかった頃にはすでに妊娠2~3か月目に入っているということがよくあり、性交渉からの日数が合わないため、疑問に思うことが多いようです。
海外では受精が成立した日からカウントするなど、国によって計算方法が異なる場合があります。
日本の場合でも、生理周期が不規則な人の場合は、最終生理日と生理周期からエコーで胎児の成長を診ながら妊娠週数の修正をおこなっていきます。
妊娠超初期と妊娠初期の違い
妊娠初期は妊娠4〜15週を指しますが、妊娠超初期は、妊娠0~3週目に当たり、まだ妊娠検査薬で陽性反応が出る前の時期です。
最終生理開始日を妊娠0日0週とし、14日後に排卵・受精します。ここが妊娠2週です。そして7日後に受精卵が子宮に着床して妊娠成立すれば、妊娠3週となります。約7日~10日後の本来ならば生理予定日となるはずだった日が妊娠4週です。その約7日後に妊娠検査薬で陽性反応が出始めます。ここですでに妊娠5週目となります。
妊娠超初期は、生理予定日より1~2週間前の時期で、体にはすでに変化が起こり始めていますが、まだ妊娠に気づかないことがほとんどです。
生理が来ない…妊娠したかも…と自覚できるのは、早くて着床から1週間以降(本来の生理予定日)で、この頃はすでに妊娠4週(妊娠2か月)に入っています。
生理が1週間遅れたという頃には、すでに妊娠5週になっています。
このことから、感覚と実際の妊娠日数にズレが起こりやすいといえます。
妊娠超初期のホルモンの変化
妊娠が成立すると、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)のというホルモンが急激に分泌されます。
hCGは妊娠することではじめて分泌されるホルモンで、妊娠検査薬は尿中のhCGを検出することで判定します。
hCGは、妊娠の維持に大切なホルモンであるプロゲステロン(黄体ホルモン)の生産を高める働きがあります。
プロゲステロンは、子宮内膜の厚みを維持するために血流を増やしたり、体温を上げたり、乳腺を発達させるなど、妊娠には欠かせない働きをしますが、それにより母体にはさまざまな症状が起こるのです。
はっきりと妊娠がわかるのは、妊娠5週以降となりますが、妊娠3~4週の超初期から体には変化が見られます。
妊娠超初期症状のチェックリスト
妊娠超初期は、生理前と重なることもあるため、体調の変化や不調はPMS(月経前症候群)と間違えやすいようです。
妊娠だと気づきにくいことが多いのですが、妊娠超初期症状を見逃さないために、以下をチェックしてみましょう。
- おりものの変化
- 生理前に少量の出血(着床出血)がある
- 睡眠不足でないのに眠気が強い
- 胸の張り、痛み
- 吐き気や食べ物の変化
- 下痢、便秘
- 頻尿
- 微熱や倦怠感など風邪に似た症状
- 生理予定日以降も高温期が続く
妊娠超初期に現れやすいそれぞれの症状と注意点を見ていきましょう。
◼︎おりものの変化
妊娠すると、膣内からの雑菌の侵入を防いで胎児を細菌から守るため、おりものの量が増えます。
粘度もサラサラと水っぽくなり、においはやや酸っぱいにおいが強くなります。
色は透明や白っぽくなります。
おりものには個人差がありますが、おりものの変化は妊娠の兆候の1つといえます。
◼︎生理前に少量の出血(着床出血)がある
受精卵が子宮内膜に着床する際に、少し内膜を傷つけることで出血が起こることがあります。
生理予定日よりも少し前に、ごく少量の出血が見られるため、生理と間違いやすいのですが、着床出血はおりものが茶色っぽい、ピンク、鮮血とさまざまで、2~3日以内には止まります。
ただし、出血の量が多い場合は、妊娠ではない不正出血の可能性があるため、念のため産婦人科を受診しましょう。
◼︎睡眠不足でないのに眠気が強い
妊娠中は睡眠不足でないのに、突然耐えられないほどの眠気に襲われることがあります。
これは女性ホルモンであるプロゲステロンの睡眠作用によるものです。妊娠中の体を休めようとする自然なはたらきといわれているため、妊娠中は昼夜を問わず、強い眠気を感じやすくなります。無理に眠りを控えずに休みましょう。
◼︎胸の張り・痛み
生理前でも胸の張りはありますが、妊娠すると乳腺組織や乳管が発達するため、胸の張りを感じます。
かゆみや乳首の痛みも出やすくなり、生理の時よりも強い症状になることが多いです。個人差はありますが、生理と違う点は、早ければ生理の2週間ほど前から現れ、生理開始予定日を数日~1週間過ぎても続く場合があります。
◼︎吐き気や食べ物の変化
食べ過ぎやお酒の飲み過ぎなどではないのに、吐き気や胸やけ、胃のむかつきや嘔吐など、つわりの前兆がよく見られます。
また食欲に変化が起こり、これまで好きだった食べ物や飲み物が嫌いになったり、においもこれまで大丈夫だったごはんの炊ける香りや香水などが、急にいやになることがあります。
これらは生理ではそれほど多く見られないため、特有のつわり症状で妊娠に気づくことも多いです。
◼︎下痢・便秘
排卵後には妊娠を助けるプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が多くなり、代謝の低下や腸の動きが鈍り、便秘になりやすい状態になります。
プロゲステロンは妊娠が成立しなければ生理に向かって低下するため、抑制されていた代謝や腸の動きが元に戻って活発になることで、生理直前には下痢になりやすくなるため、妊娠超初期症状との見極めが大切です。
下痢の他にも妊娠超初期症状があるかどうかをチェックしてみましょう。
◼︎頻尿・腰痛
妊娠初期の頻尿は、プロゲステロンによって膀胱周りの筋肉が緩んで起こります。
この時期に水分を控えると、水分不足により便秘や膀胱炎を招くことがあるため、水分はしっかり摂りましょう。
◼︎微熱や倦怠感など風邪に似た症状
だるい、熱っぽいなど、風邪に似た症状もみられ、これらの症状もプロゲステロンの影響です。
プロゲステロンは高温期を維持するため、37℃ほどの微熱を感じる方が少なくありません。
風邪と違って、鼻水や咳・痰、のどの痛みなどの風邪の諸症状はなく、ほてりや熱っぽさを感じます。
◼︎生理予定日以降も高温期が続く
通常体温は、低温期と高温期にわかれています。
・生理開始から排卵日前後までが低温期
・排卵後から次の生理開始までが高温期
妊娠している場合は、生理予定日を過ぎても体温が下がらず、高温期が続きます。
高温期が続けば必ず妊娠しているとは限りませんが、高温期が16日以上続く場合は、妊娠の可能性が考えられます。
日頃から基礎体温を測っておくとよいでしょう。
個人差はありますが、チェックリストに当てはまることが多い場合は、妊娠超初期症状の可能性があります。
妊娠超初期に注意すること
妊娠超初期症状は、PMS(月経前症候群)と間違えやすく、妊娠に気づきにくいのですが、妊娠超初期は妊娠において大切な時期のため、以下の注意が必要です。
妊娠検査薬だけに頼らない
生理予定日になっても生理が来ない場合、すぐに妊娠検査薬を使っても陰性と出てしまいます。
妊娠検査薬はhCGというホルモンと反応して陽性反応が出ますが、生理予定日ではこのhCGがまだ充分に尿中に出ていないためです。
そのため、着床出血があったときや生理予定日頃では、陰性になり妊娠していないと思ってしまうことがあります。
妊娠検査薬が使えるのは、生理予定日の1週間後ということを覚えておきましょう。
また、陽性反応が出た場合は、子宮外妊娠などの可能性もあるため、必ず早い時期にきちんと病院で検査を受けましょう。
薬は安易に使わない
妊娠3週目からは、器官形成期といわれ、赤ちゃんの心臓、目、手足などの重要な器官が作られる時期です。
脳と脊髄を除くほぼすべての器官は、妊娠12週頃までに完全に形成されます。
妊娠超初期は妊娠に気づきにくいのですが、安易な薬の使用により赤ちゃんに影響を起こす可能性があります。
妊娠の可能性がある場合には、必ず、妊娠中に使える薬なのか安全性を確認してから使用することが大切です。
また、妊娠中に体調不良を感じた場合は市販薬で対処しようとせず、病院を受診することをおすすめします。
喫煙・アルコール
タバコは赤ちゃんに十分な栄養や酸素が届かなくなり、流産や早産、知能や身体の発達に影響が出る可能性があるため、妊娠の可能性がある場合にはやめましょう。
アルコールは妊娠0~3週まではほとんど影響がないといわれていますが、胎盤を通してアルコールが赤ちゃんに移行し、器官形成器の時期にも摂取し続けることで先天性異常をもたらす可能性があります。アルコールも妊娠が分かった時点で控えましょう。
また、妊娠が分かる前に、薬やタバコ、アルコールを使用して不安がある場合は、かかりつけの産婦人科に相談しましょう。
さいごに
妊娠超初期症状は、はっきりと妊娠が判定できる前に現れることがあります。
妊娠の可能性がある場合は、チェックリストに当てはまる項目について確認してみましょう。
妊娠は女性の心身に大きな影響を与えます。
妊娠の兆候が見られたら、注意点を守り、自身のカラダとココロをいたわって過ごしましょう。