はじめに ~早産と切迫早産(せっぱくそうざん)とは~

まず、正期産(せいきさん)といわれる正常分娩は「妊娠37週~42週未満」までに出産することです。
「早産」は、それ以前の「22週以降~37週未満」までの出産を指します。
「切迫早産(せっぱくそうざん)」とは早産の一歩手前の「早産になりかかっている状態」のことです。

 

切迫早産の症状は?

分娩期ではないのに、分娩時に起こる陣痛のような現象が起こります。

◇子宮収縮(10分に1回以上のお腹の張り)
◇原因不明の下腹部痛
◇性器出血(出産期に起こる出血と似た症状)
◇子宮口の開大(子宮口が開いてしまう)
◇破水(羊水が流れている状態)

このように切迫早産は、早産が差し迫っているという状態です。

 

早産による赤ちゃんへの影響は?

出生時の赤ちゃんの体重を分類すると、正常な「正出生体重児」は「2500g以上4000g未満」とされます。
昔は2500g以下の低体重で生まれた赤ちゃんを「未熟児」と呼んでいましたが、現在は「低出生体重児」といいいます。
1500g未満は「極低出生体重児」、1000g未満を「超低出生体重児」といいます。
早産により小さく生まれる程、免疫力も低くく合併症を伴いやすくなります。

赤ちゃんは子宮外の生活に適応するために、体重をはじめ各臓器の機能がママのお腹の中にいる間に成熟していきます。
通常赤ちゃんの呼吸機能は妊娠34~35週頃に完成します。
そのため、それより前に生まれてしまった場合は呼吸障害が起こり、保育器に入り人工呼吸器を付けるなど呼吸の管理が必要になります。
このように早産による低出生体重児は、のちに重篤な障害が出る可能性があります。
 

早産の原因は?

早産の主な原因として

1、細菌感染症 (絨毛膜羊膜炎:じゅうもうまくようまくえん)

早産の原因は陣痛が始まる前に破水してしまう「前期破水」によることが多く、その原因として感染症の1つ「絨毛膜羊膜炎」があげられます。
これは卵膜や羊水がクラミジアなどの細菌に感染し炎症を起こしている状態です。
炎症が起きていることに気づかずそのままにしておくと、子宮が収縮して破水を起こしてしまい早産の原因となります。
 

2、体質 (子宮頚管無力症:しきゅうけいかんむりょくしょう)

体質面では、「子宮頚管無力症」があげられます。
子宮頚管は出産時に産道になる部分で、妊娠中は閉じられ胎児を支えていますが、この子宮頚管が何らかの原因で開いてしまいます。
自覚がなく、子宮の収縮が無いまま子宮口が開いてきてしまうため早産の原因になります。

その他の原因として「妊娠高血圧症候群症」や「前置胎盤」「子宮の奇形」などがあげられます。

 

切迫早産の診断、治療法は?

診断方法

◇子宮収縮の有無
◇胎児の心拍数の確認
◇出血の有無
◇破水の有無
◇子宮口の開大度、子宮頚管の状態
◇感染症の有無

などにより、切迫早産の重症度と早産の危険性を判定します。
 

治療法

子宮収縮の抑制
切迫早産の治療では、子宮口が開かないようにするために、子宮収縮を抑える「子宮収縮抑制剤」を使用します。
子宮口があまり開いていない場合は外来通院により治療します。
子宮収縮が強く、子宮口の開きが進んでいる場合は、入院して子宮収縮抑制剤の点滴治療が必要です。
その上で安静にし、なるべく妊娠週数を伸ばすようにします。

❏子宮頚管無力症の場合
子宮頚管が開いてしまわないように子宮頚管をテープで縛る手術で防止します。
正期産にはテープを外し、自然にお産が来るのを待ちます。

❏細菌除去
細菌による腟内感染を除去するために抗菌薬で治療します。
性感染症などは早産をはじめ、生れた赤ちゃんの健康障害のリスクも高めるため、きちんと治療しておく必要があります。

 

おわりに ~切迫早産にならないための予防が大切~

切迫早産は、早産になる一歩手前です。
正期産の時期でもないのに、分娩のような症状が出た場合は、急いで受診しましょう。
普段、多くの原因となる細菌感染や早産しやすい体質などは、なかなか気が付きにくいことがあります。
妊娠中は定期的な「妊婦健診」をきちんと受診し、異常があれば放置しないことが早産の予防につながります。
もちろん、過労、冷え、睡眠不足などにも注意して下さいね。