いんきんたむしは、白癬菌(はくせんきん)という真菌による感染症の一種です。

白癬菌は体のあらゆる皮膚に感染し、主に足に感染したものを「水虫」と呼びます。

股や臀部(おしり)周辺に感染したものを一般に「いんきんたむし」と呼びます。

主に、赤い環状の発疹と強いかゆみの症状が出ることがいんきんたむしの特徴です。

この記事では、いんきんたむしに使用できる市販薬や、どのようなときに病院を受診すべきかについて解説します。

病院を受診する目安

いんきんたむしが疑われる症状が初めてでた場合は、病院を受診してください。

いんきんたむしに効く市販薬はありますが、本当にいんきんたむしなのかどうか正確に自己診断することは困難です。まずは医師の診察を受けて、正確な診断を受けましょう。

以前にいんきんたむしの診断を受け、同じような症状が現れている場合には、市販薬を活用することもひとつです。

市販薬を使わずに病院を受診するケース

・初めて症状が現れたとき
・症状が広範囲に現れている
・市販薬を使用して2週間経っても改善しない、悪化している
・15歳未満の小児(皮膚の透過性が高く、薬を過剰に吸収してしまうため)
・妊婦(特に妊娠4〜16週の人)
・副腎皮質ステロイドを内服している方
・糖尿病の方
・ほかの皮膚疾患がある方
・陰嚢や生殖器自体に症状がある方

いんきんたむしの市販薬の選び方

病院を受診していんきんたむしであると診断を受けた後や、過去にいんきんたむしになったことがあり再発だと思われる場合は、市販薬を活用できます。

いんきんたむしの市販薬はさまざまな種類が販売されています。市販薬を選ぶポイントを確認しましょう。

気になる症状から成分で選ぶ

いんきんたむしの市販薬には、基本的には抗真菌成分が配合されています。抗真菌成分に加えて、商品ごとに配合されている成分が異なります。

成分によって効果を表す症状が異なります。自分の症状に合わせて、適した成分を確認しましょう。

気になる症状 適した成分
かゆみや腫れ 抗ヒスタミン成分:ジフェンヒドラミン塩酸塩・クロルフェニラミンマレイン酸など
かゆみ 局所麻酔成分:リドカイン・ジブカイン塩酸塩など
雑菌繁殖の予防 殺菌成分:イソプロピルメチルフェノール・ベンゼルコニウム塩化物など

赤み・腫れ

抗炎症成分:グリチルレチン酸・サリチル酸メチル・アラントインなど

l-メントールは良い?

患部に爽快感を与えるメントールは、皮膚をかきむしってしまっている場合はしみてしまうこともあります。

患部が傷ついている場合は、メントールの入っていないものを選びましょう。

クリーム・軟膏タイプがベスト

陰部周りにできる「いんきんたむし」にはクリームや軟膏を選ぶと良いでしょう。

液タイプは垂れて塗り広げにくく、スプレータイプは、本来塗りたくない部分の皮膚にも薬がついてしまうことがあるため適していません。

外陰部や陰嚢などに薬が付着すると、製品によっては刺激があったり荒れてしまったりするおそれがあるため、避けた方が良いでしょう。

抗真菌成分「ラノコナゾール」の市販薬

いんきんたむしの薬に含まれている抗真菌成分にはいくつか種類があり、中でも「ラノコナゾール」は新しい抗真菌成分であり、優れた効果を示すことが注目されています。

ラノコナゾールは、いんきんたむしの原因となるの「Trichophyton rubrum」、「Trichophyton mentagrophytes」、「Epidermophyton floccosum」といった白癬菌に強い殺菌作用を示すことがわかっています。

ピロエースZクリーム

ピロエースZのクリームと軟膏では、配合成分に違いがあります。

クリームには、抗真菌成分「ラノコナゾール」のほかに、雑菌の繁殖を防ぐ殺菌成分「イソプロピルメチルフェノール」、炎症をおさえる「グリチルレチン酸」が配合されている点は軟膏と同様です。

加えてクリームには、素早くかゆみを感じにくくする「クロタミトン」、そしてスーっとする清涼感のある「l-メントール」が配合されています。

清涼感やかゆみに対する成分が配合されている点がほかとは違います。

ただし、クロタミトンは塗った直後に熱感を感じることもあり、l-メントールのスーっとする感覚が苦手な方もいます。こうしたクロタミトンの熱感は短時間でおさまるため問題はありませんが、熱感・清涼感が苦手な場合は軟膏の方が向いています。

ピロエースZクリームと同じ成分の市販薬にはピロエースEXクリームがあります。

ピロエースZ軟膏

ピロエースZの軟膏とクリームでは、成分に違いがあります。

軟膏には抗真菌成分「ラノコナゾール」のほかに、雑菌の繁殖を防ぐ殺菌成分「イソプロピルメチルフェノール」、炎症をおさえる「グリチルレチン酸」が配合されています。

刺激になることもある「クロタミトン」や「l-メントール」は配合されているため、清涼感などが苦手な方に向いています。

ピロエースZクリームと同じ成分の市販薬にはピロエースEX軟膏があります。

ミナカラ薬局のポイント

ピックアップした市販薬のラノコナゾール自体の量は全て同じのため、いんきんたむしを治す力はどちらを使っても差はなく、治療にかかる時間も同じです。

清涼感はいらない、赤み・かゆみが弱いなどで、ラノコナゾール以外の成分がいらない場合は、ウィンダム軟膏・クリームを選ぶのもひとつの手です。

また、どの商品も箱を入れても手のひらサイズで試しやすい量のため、途中で使用感の好みが変わっても、別の製品に変えることもできます。

抗真菌成分「テルビナフィン」の市販薬

抗真菌成分「テルビナフィン塩酸塩」も、いんきんたむしの原因菌に強力な殺菌効果を示します。

テルビナフィンの市販薬には、ラノコナゾールの市販薬には配合されていないかゆみ止め成分の「リドカイン」や「ジフェンヒドラミン」、肌にうるおいをあたえる「尿素」が配合されたものがあります。

かゆみが強い、乾燥のようなカサカサがきになる場合は、こちらを使用するのもひとつの手です。

メンソレータムエクシブWクリーム

抗真菌成分「テルビナフィン塩酸塩」のほかに、かゆみ止めとして「ジフェンヒドラミン」と速効性のある「リドカイン」が配合されている点が特徴です。

かゆみ止めの成分が強いため、かゆみをすぐに止めたい場合に向いています。

ラミシールプラスクリーム

抗真菌成分「テルビナフィン塩酸塩」のほかに、かゆみを感じにくくする「クロタミトン」や、肌にうるおいをあたえる「尿素」が配合されています。

「l-メントール」が配合されており、スーッとする清涼感を求める方や、患部がカサカサしている方に向いています。

いんきんたむしの薬の効果的な塗り方

薬の効果を最大限に得るために、塗り方のポイントをおさえましょう。

継続して使用する

気づいたときだけ塗っているのでは、なかなか症状は良くなりません。

添付文書を確認し、毎日、使用回数を守って継続して使いましょう。

入浴後に塗る

入浴後は肌が清潔で角質も柔らかくなっているため、皮膚から薬が浸透しやすくなっています。

薬を塗る場合は、入浴後に塗ることをおすすめします。

患部より広めに塗る

白癬菌は症状が出ている部位だけでなく、周囲の皮膚にも潜んでいるおそれがあります。

薬を塗るときは、かゆみや炎症が起きている皮膚の部分より少し広めに塗りましょう。

症状が消えたあとも塗り続ける

かゆみなどの症状が消えてもしばらくの間は薬の使用をやめないでください。

皮膚の表面の白癬菌がいなくなって症状がおさまっても、皮膚の奥にはまだ白癬菌が繁殖しています。

添付文書を確認し、症状が消えたあともしばらくは塗り続けることをおすすめします。

いんきんたむしに薬を使うときの注意

いんきんたむしに市販薬を使用するときは、次のことに注意してください。

ステロイド薬は使用しない

ステロイド薬は皮膚の免疫力を下げる作用があるため、ステロイドを塗ることで皮膚の白癬菌が増え、いんきんたむしを悪化させてしまうおそれがあります。

皮膚科では、炎症が深刻な場合は一時的にステロイド薬を処方されることがありますが、自己判断でステロイドを塗ることは避けましょう。

陰嚢(いんのう)・外陰部には使用しない

効能・効果に「いんきんたむし」と記載されている市販薬でも、陰嚢・外陰部には使用できません。

通常、陰部の中でも陰嚢・外陰部にいんきんたむしは発症しないため、湿疹などの別の病気の疑いがあります。

いんきんたむしの予防法

いんきんたむしの原因となる白癬菌は、人から人へ感染します。

白癬菌に感染している人の皮膚が剥がれ落ち、ほかの人に接触することで感染します。

大浴場・プール・スポーツジムなど人が多く集まり薄着になる場所では感染しやすい傾向があります。また、性交渉により感染することもあります。

人が集まり薄着になる場所に行ったあとは、帰宅後にしっかりと体を洗い流すことが大切です。

また、家族に水虫やいんきんたむしに感染している人がいる場合、使用するタオルやバスマットなどをわけることで感染する危険性を減らすことができます。

なお、自分の足の水虫が手などを介して股部分に付着し、いんきんたむしを発症することもあるので、水虫の部位を触った手はしっかりと洗いましょう。

おわりに

いんきんたむしは、発症する部位が陰部やおしりなので、なかなか病院に行きづらいかもしれません。

しかし、症状を改善するためには早めに薬を使用することが大切です。

自然に治ることはほとんどないので、なるべく早めに病院を受診しましょう。