突然、息が吸えなくなる・・呼吸ができない・・
息が吸えないまま、このまま死んでしまうのでは・・
突然の耐え難い苦しみに襲われると、パニックと恐怖でさらに苦しさが増してしまう過呼吸。
過呼吸が命に関わることはありません。それでも一度過呼吸を経験すると、症状への恐怖や不安によって再発を引き起こし、悪循環に陥る可能性があります。

過呼吸を起こさないためには、過呼吸の原因と起こったときの対処法について正しく知ることが一番大切です。
この記事では、精神的なストレスによって起こる過呼吸(過換気症候群)について詳しく見ていきましょう。

二酸化炭素が足り無い?!過呼吸(過換気症候群)の症状

過呼吸とは、血液の中の酸素と二酸化炭素のバランスが崩れ、身体が二酸化炭素不足になることで起こるさまざまな症状のことを指します。

過呼吸は、呼吸が多く必要とされるマラソンや水泳などのスポーツの後に発症することが多く見られますが、精神的なストレスが原因で起こる過呼吸のことを、過換気症候群(かかんきしょうこうぐん)といいます。
過呼吸と過換気症候群は原因に違いはありますが、発症後の症状はほとんど同じです。
※この記事では、便宜上、過換気症候群のことを過呼吸と表現します。

過呼吸の主な症状

過呼吸では、まず呼吸困難の発作を感じます。また、息苦しさの他には、手足や口の周りの痺れ、けいれんが現れます。
脳の血流量が低下することで、頭痛、めまい、意識障害、失神といった症状が現れ、さらに、交感神経の緊張により、頻脈、動悸、発汗が起こることもあります。重症化すると、血液中の二酸化炭素が過度に少なくなり、呼吸が停止することもあります。

過呼吸の症状のまとめ

呼吸困難、手足や口の周りの痺れ、けいれん、頭痛、めまい、意識障害、失神、頻脈、動悸、発汗、呼吸停止など


過呼吸の症状は、通常は30分から1時間ほどで自然に改善します。改善後は、体調は良好になり後遺症などもありません。

過呼吸を発症しやすい人

几帳面・神経質・心配性など、性格的にストレスを感じやすい人に多くみられます。また、10〜20代の若年層、特に女性に多いとされ、発症する男女比は1:2といわれています。

ストレスが原因の過呼吸は自律神経の乱れで起こる!

ストレスが原因で起こる過呼吸には自律神経が大きく関わっています。
自律神経とは、交感神経副交感神経のふたつから成り立つ、身体の機能を司る神経です。息を吸うときには交感神経が、吐くときには副交感神経が優位に働きます。

心身のストレスでふたつのバランスが崩れると、呼吸は早く浅く変化します。その結果、血液中の二酸化炭素の濃度にも変化が起こり、過呼吸を引き起こす原因となるのです。

呼吸の変化に伴い、血液中では二酸化炭素の濃度が低下します。
二酸化炭素というと、一見、体に必要ないものと感じますが、実はこれが重要。二酸化炭素不足で血液がアルカリ性に傾くと、息苦しさを感じるといった異変が体に起こります。

そのため、脳はこれ以上、二酸化炭素の濃度を下げないよう、呼吸を止める指令を出します。すると、呼吸が停止することによる息苦しさから、体はさらに息を吸おうとするのです。

これが、過呼吸が起こるメカニズムとなります。

精神的ストレスと身体的ストレス

過呼吸を引き起こすきっかけは主に精神的ストレスですが、身体的ストレスも過呼吸を引き起こす原因となりえます。

◼︎精神的なストレス
不安・緊張・恐怖・興奮など

◼︎身体的ストレス
過労・睡眠不足・食生活の乱れ・不規則な生活習慣など、肉体的な疲労

過呼吸に隠された病気に要注意

過呼吸は、パニック障害、不安神経症など精神疾患の症状として発症することもあります。また、気管支喘息や糖尿病などの身体疾患でも過呼吸に似た過換気状態を引き起こすことがあります。

他の病気の症状として過呼吸が発症する場合、過呼吸に対処しながら元になる病気の治療を行う必要があります。初めて過呼吸の発作を起こしたときや過呼吸を繰り返す場合は、原因となる病気がないかどうか、一度専門機関を受診することをお勧めします。

パニック障害については、関連記事:パニック障害とは?100人に1人が発症するパニック障害の原因・症状・治療法・注意点を知ろうをご参照ください。

過呼吸が起きたときの対処法

過呼吸の症状は、呼吸を整えることで改善されます。症状が発生したときに慌てないように、以下のことを覚えておきましょう。

その1:まずは、できるだけ静かに安静に

過呼吸の発作は、基本的には自然と改善されます。突然の症状に焦って呼吸をしようとすると、かえって症状を悪化させて長引かせてしまいます。落ち着いて呼吸がしやすい場所に移動しましょう。

その2:ゆっくり息を吐く

過呼吸の症状は、血中の二酸化炭素の濃度が低下したために起こるとされます。二酸化炭素の濃度を元に戻すために、ゆっくり浅く呼吸をします。
「吸う:吐く」が1:2の割合になるように、ゆっくり吐くことに意識を向け、1回10秒ほどかけることを目安に呼吸します。息を吸った後に、数秒息を止めてから吐くことも意識しましょう。
早く深く呼吸してしまうと、取り入れる酸素も多くなり、二酸化炭素濃度が上がりにくくなります。

周囲の方の接し方

◼︎まわりが慌てない
過呼吸は、不安や恐怖、強いストレスによって引き起こされます。周りも一緒に慌ててしまうことで、不安感をあおることになり症状を悪化させてしまいます。本人に話しかけながら静かな場所に誘導しましょう。

◼︎ゆっくり話しかける
本人が落ち着けるように、頻繁に話しかけてあげましょう。会話をすることで、安心させて落ち着かせるだけでなく、呼吸を抑えることにもつながります。
人は、話しているときは呼吸をしていません。話すことで、呼吸を抑え二酸化炭素の濃度を上げることにつながります。

!応急処置の注意!
以前までは、紙袋などで口・鼻をおおい、吐いた空気を再度吸い込む「ペーパーバッグ法」が一般的とされていましたが、やり方を誤ると窒息状態を招く危険があるため、医療従事者以外がペーパーバッグ法を対処することは現在推奨されていません。

過呼吸は、基本的には、自然に治る症状です。症状が出た場合は、落ち着かせて呼吸を整えることが一番大切です。周りが一緒にパニックにならないように落ち着いて対処しましょう。

過呼吸を繰り返さないために

過呼吸は、不安や緊張などの精神的ストレスにより引き起こされます。まずは、精神的にも身体的にもストレスをためない生活を送ることがとても大切です。
それでも、過呼吸が何度も繰り返される場合、精神的ストレスに対する治療の一つとして投薬治療を行うこともあります。ご自身の精神状況に不安がある場合は、一度心療内科や精神科に相談しましょう。

おわりに

社会生活を送る中でストレスを全てなくすことは不可能に近いものです。
日々の生活の中で、自分の中に不安や悩みを溜め込み過ぎず、上手にストレスを解消していきましょう。適度な休養と運動も大切です。
万が一、過呼吸の症状が発生したら、本人も周りの方も落ち着いて対処して症状がおさまるのを待ちましょう。