口角は皮膚が薄いため刺激に弱く、トラブルが起きやすく、口角炎は誰にでも起こりうる身近な症状です。
日常生活では、口を開けたり使う機会も多く、なかなか治らなくて困っている、治ってもまた再発してしまう、という方も多いのではないでしょうか。
口角炎がなかなか治らない原因を確認し、正しい対処をしていきましょう。
口角炎の症状と対処法
口角炎では、口角に炎症が起き、唇の端が赤く腫れた状態になったり、皮がむけかさぶたになったりします。症状の程度によっては、亀裂部分から出血したり、痛みをともなうこともあり、口角だけではなく、唇に深く亀裂が生じるなどの症状があらわれることもあります。
症状が悪化すると、会話や食事など、口を開ける度に口角が裂けて痛みを感じます。
病院を受診した場合
口角炎で病院を受診した場合、まずは外部の刺激から保護するワセリンを使用することが基本になります。
炎症が強い場合は炎症をおさえるためステロイドを使ったり、真菌や細菌が原因となっている場合は殺菌するための薬を使ったり、原因に応じて治療を進めていきます。
外的刺激以外に、ビタミン不足など内側にも原因が考えられるときはビタミンB類などのビタミン剤を使うこともあります。
市販薬を使う場合
市販薬の中にも口角炎に効果があるものがあり、上手く使って自分でケアすることも可能です。
市販薬もさまざまな種類が販売されています。自分の状態に合ったものを選び、活用しましょう。
市販薬でも症状が改善しなかったり、かえって悪化するという場合や一度治っても再発を繰り返す場合は自己判断で使用を続けるのはやめて、早めに医師に相談することをおすすめします。
口角炎の主な原因
口角炎になる原因はさまざまです。また、ひとつの原因だけではなく、いくつかの原因が重なって起こっている場合もあります。
細菌・ウイルス感染
真菌(カンジダなど)、細菌、ウイルスの感染により発症することがあります。
原因として多くあげられるカンジタ菌は人間の体内にもとからいる菌で、通常の状態であれば口角炎が発症することはありません。しかし免疫力が低下することで菌が活発になり、口角炎が起こりやすくなります。
栄養不足
ビタミンAやB2、B6、B12などの不足で口角炎が起こることがあります。
これらの栄養素は皮膚や粘膜の健康維持を助ける働きがあり、不足すると皮膚や粘膜にトラブルが起きやすくなります。特にビタミンB2は皮膚の健康を保つ上でとても重要で、不足すると口角炎を発症しやすくなります。
外部からの刺激
義歯が当たる、噛み合わせが悪い場合など、口角に唾液がたまりやすい構造になっているケースもあります。唾液により皮膚のバリア機能が低下し、口角炎を発症することも考えられます。
使用している薬
使用している薬が原因のこともあります。副腎皮質ステロイド内服や免疫抑制剤を使用している間は体の免疫機能が低下している状態のため、口角炎を発症しやすくなります。
その他の病気
糖尿病、鉄欠乏性貧血、肝疾患などの内科的疾患が原因で発症するケースがあります。
糖尿病では組織が感染をおこしやすい状態になっているため、カンジダなどによる口角炎が起こりやすくなっています。
また、鉄欠乏性貧血では、鉄が粘膜細胞の代謝に関係があるため、鉄の欠乏により口の粘膜に症状があらわれると考えられています。肝疾患では、ビタミンB2などが不足するため、口角炎が起こりやすくなります。
なかなか治らない・再発するのはなぜ?
口角炎は、ほとんどの場合放置しておいても自然治癒することが多く、過度に心配する必要はあまりありません。
しかし、なかなか治らなかったり、頻繁に再発してしまったりする場合、口角炎ができやすい原因や生活習慣に心当たりがないか確認しましょう。
ストレスや過労
ストレスや過労は免疫力の低下を招きます。免疫力が低下すると普段は抑えられているカンジダ菌などが増殖しやすくなり、治りにくくなってしまいます。
睡眠不足
睡眠がしっかり取れないと、体力も落ち、免疫機能も低下してしまいます。
乾燥
口角は刺激に弱いところなので乾燥は大敵です。乾燥すると皮膚のバリア機能が低下し、刺激に弱くなり、治りが遅くなってしまいます。
唇をなめる
口角炎になるとその部分が気になってしまってついつい唇をなめたり、触ったりしてしまいがちです。
唇をなめると一時的に潤ったように感じますが、唾液ににより皮脂膜が減り乾燥を助長することにもなります。
日常の機械的な刺激
何気ない日常生活での行為が治りにくい原因となっている場合もあります。
口を大きく開けることが多い、歯磨きのときなどに過度に刺激を与えてしまっているなど、日常で習慣化している行為が症状を助長していることもあります。
他の疾患が原因となっている場合も
なかなか治らない場合、他の疾患が潜んでいるおそれもあります。
口唇ヘルペスは口角炎のような症状を起こすこともあり、間違えやすい疾患です。症状は似ていますが、治療法は異なるので注意が必要です。また、HIV感染症などの重篤な免疫力低下を生じる病気が潜んでいるおそれもあります。
治りにくい口角炎の対処法
市販薬を使う
軽度の口角炎は自然と治っていくとはいえ、早く治したい場合は市販薬を使うとよいでしょう。早めにケアをすれば悪化するのを防ぐことができます。
市販薬の中にも口角炎に効果があるものがあります。効能効果に「口角炎」と記載のあるものを選びましょう。
市販薬を選ぶときは、まず炎症の状態を見て、炎症がひどい場合は抗炎症作用のあるステロイド成分が配合された薬など症状によって選ぶとよいでしょう。
炎症をおさえる働きをするステロイド成分「プレドニゾロン」と、殺菌成分「セチルピリジニウム塩化物水和物」を配合。
抗炎症作用のあるステロイド成分が入っているので、痛みやヒリヒリ感、赤くなっているなど炎症がある場合におすすめです。
荒れた皮膚を修復する成分の「アラントイン」と炎症をおさえる成分の「グリチルレチン酸」の他、ビタミンE酢酸エステル、ビタミンB6、パンテノールなどが配合されています。
炎症がそれほどひどくない場合はこちらがおすすめです。
無香料、無着色、メントールなしで赤ちゃんにも安心して使える製品です。
製品にはQRコードが記載されており、簡単に製品情報にアクセスでき、薬剤師に無料でチャット相談ができるなどサポート体制も整っています。
食事に注意する
口角炎はビタミン類の不足で起こりやすくなります。普段から食事ではビタミン類の摂取を意識しましょう。特にビタミンB2やB6の摂取が重要です。
ビタミンB2は豚レバー・肉類・魚介類・乳類など、B6は果物・にんにく・穀類・肉類などに多く含まれています。
保湿を意識する
普段から唇のケアをしっかり行なっておくことも重要です。乾燥には特に注意が必要です。
口角部は特に刺激に弱い部位なので、普段から乾燥に注意し、しっかりと保湿をしてあげましょう。市販されているワセリンなどは皮膚の乾燥を防ぎ、刺激から肌を守る効果が期待できるので上手く取り入れましょう。
唇をなめない
普段から唇を舐めたり、触ったりする癖のある方は要注意です。口角炎になった部位がかゆくなったり気になったり、つい舐めたくなってしまっても我慢しましょう。
生活習慣を見直す
睡眠不足や過労など生活の乱れは免疫力の低下につながります。質の良い睡眠や適度な休息を取るなど生活習慣を見直すことも重要。また、ストレスも大敵。普段から上手く発散してストレスをためないように気をつけましょう。
ひどい場合は病院へ
痛みやかゆみが悪化し日常生活に支障がでたり、市販薬を使用しても改善しない場合は病院を受診してください。
口角炎がなかなか治らない場合や繰り返す場合、免疫力が過度に低下していたり、他の病気が隠れている場合も考えられます。症状が長引く場合は自己判断せずに早めに医師に相談しましょう。