口内炎は口の中の粘膜や口の周辺に起きる炎症のことです。原因はストレスや生活習慣、真菌、ウイルス、アレルギーなどさまざまで、中には重大な病気の前兆として症状が現れる場合もあります。
今回は病院での治療が必要な症状の特徴・受診する科・治療方法について解説します。
病院での治療が必要な口内炎とは
口の中は常に外界と接しているので細菌やウイルスがくっつきやすい場所です。また噛んだり義歯が当たるなどで傷つきやすい場所でもあります。
通常なら、免疫機能の働きで口内炎は自然に回復します。しかし、病気や薬の副作用など何らかの影響で免疫力が低下すると口腔環境が悪化し、口内炎が治りにくくなります。
次に当てはまる場合は、病院で医師に原因を診断してもらうことをおすすめします。
・症状が2~3週間治らない
・症状が口の中・喉の奥・唇などに広がりただれている
・発熱や全身の倦怠感もある
・食事や会話が困難なほど痛みが強い
・潰瘍から出血している
口内炎は、歯磨きが困難な状況の高齢者などでも悪化しやすいものです。口内炎が長期間治らなかったり、口の中から喉の奥まで広がるほど悪化した場合は病院で診察を受け、治療を進めてください。
なかなか治らない口内炎については、関連記事をごらんください。
口内炎は何科を受診する?
口の中に痛みがあると食事や会話にも苦痛がともない、日常生活に支障をきたします。悪化した口内炎は速やかに病院で診てもらいましょう。
口内炎は口の中のトラブルなので、歯科・口腔外科・耳鼻咽喉科で治療を受けるのが一般的です。義歯や虫歯の先があたって口内炎ができているような場合は、まずはかかりつけの歯医者で診てもらうといいでしょう。
歯科のなかには口内炎専門外来を設けている病院もあるので、自宅から通院しやすいエリアで探してみてください。
病院での治療法は?
病院では原因を診断した上で、口内炎の種類別に治療を行います。
原因 | おもな症状 | |
アフタ性口内炎 | 免疫力の低下など | 広範囲に白色または薄黄色の深い潰瘍ができ、痛みをともなうことも。 |
ウイルス性口内炎 | 主にヘルペスウイルスの感染 | 強い痛み・腫れ・水泡。口の中だけでなく、唇の外側や喉に近い粘膜にも発症。 |
カンジダ性口内炎 | 真菌(カビ菌)であるカンジダの増殖 | 白い苔状のものが口の内側の広範囲に付着。口の中の違和感やしびれがある場合も。 |
カタル性口内炎 | 義歯や矯正器具などによる刺激など | 粘膜に赤い斑点、白濁、ひび割れなど。 |
アフタ性口内炎はステロイドの塗り薬を使用
口内炎には、抗炎症作用や抗アレルギー作用のあるステロイドが配合された薬が効果的で、口内炎の炎症をおさえ痛みを和らげます。
ケナログ口腔用軟膏、アフタゾロン口腔用軟膏、デキサルチン軟膏、デルゾン口腔用などのステロイド軟膏、アフタッチ口腔用貼付剤25μg、アフタシール25μgなどの貼り薬、小型噴霧器を使用して口の中にスプレーするサルコートカプセルなどが処方されます。
これらの薬に加えて、ビタミンB2、ビタミンB6などのビタミン製剤が処方されることもあります。
ウイルス性口内炎は抗ウイルス薬を使用
ウイルス性口内炎の治療では、ヘルペスウイルスの増殖をおさえる抗ウイルス薬であるゾビラックス錠、アラセナA軟膏などを使用します。
炎症をおさえるアズレンスルホン酸ナトリウム水和物を成分とする含嗽用ハチアズレ顆粒などのうがい薬を併用することもあります。
カンジダ性口内炎は抗真菌薬を使用
カンジダ性口内炎では、カンジダの異常増殖をおさえる抗真菌薬を使用します。
抗真菌薬には、ファンギゾンシロップ、フロリードゲル経口用、イトリゾールカプセル、イトリゾール内用液などの薬があります。
カタル性口内炎は歯を治療
カタル性口内炎は虫歯や歯の欠け、義歯や矯正器具などによる刺激で発生するため、歯を治療して原因を取り除きます。
口の中を清潔に保つため、うがい薬や2次感染予防のための抗菌薬が処方されることがあります。
レーザーによる治療も
口内炎にレーザーを照射して回復を早める治療法もあり、痛みが少なく、短時間で終わるのが大きな特徴です。
レーザー治療は歯科や口腔外科で行われていますが、基本的には保険適用外となっています。
口内炎のレーザー治療については、関連記事をごらんください。
おわりに
口の中やその周辺は、何かとトラブルを起こしやすい場所です。口の粘膜は乾燥によっても免疫機能が低下するので、細菌やウイルスがさらに繁殖しやすくなります。
口内炎は口の中の衛生状態で治りが左右されます。虫歯や歯周病の治療を含めた口腔ケア、義歯や矯正器具の清掃など、口の中を清潔な状態に保つよう心がけてください。バランスのよい食生活とよく噛んで食べる習慣も口内炎予防につながります。