はじめに〜

大きなハンバーガーなどを食べるとき、大きく口を開けてガブリと頬張る瞬間がありますよね。そんなとき「アゴが外れるんじゃないか」と頭をよぎったことはありませんか?実は、アゴの関節は意外にデリケートな場所なので、その一瞬の不安は決して取り越し苦労ではありません。アゴが外れた経験がない人はピンとこないかもしれませんが、誰でも万が一がないとは言い切れないのです。だからこそ、アゴの関節をいたわりつつ、アゴが外れた状態と、応急処置法を把握しておくことが懸命です。

 

アゴ(顎)が外れた状態とは?

”アゴが外れた状態”は、医学的には「顎関節脱臼(がくかんせつだっきゅう)」のことを指します。大きく口を開けたとき、アゴの正常な可動域を越えて関節が外れ、閉じられなくなってしまうことです。顎関節(がくかんせつ)とは、”頭蓋骨と下アゴとの間、耳の穴の前にある関節”のこと。下アゴは、その部分を支点にして動いています。

口を開けるとき、下アゴの下顎頭(かがくとう)部分が上アゴの下顎窩(かがくか)というへこみ部分から外れて前に滑り出します。
口を閉じるときは、下アゴは後ろに移動して下顎窩(かがくか)におさまります。その動きに合わせて、関節円板も一緒に移動します。
そして、アゴが外れたときは、そのへこみ部分に、下アゴの下顎頭(かがくとう)部分が戻らなくなってしまった状態です。

 

「関節円板」とは顎関節(がくかんせつ)部分に存在し、上アゴと下アゴのあいだでクッションの役割をしている、繊維がギッシリまとまった骨よりも柔らかい組織のことです。

 

アゴ(顎)が外れたとき…顎関節脱臼の症状とは?

上下の唇が閉じられず口が開いたままになるので、顔が伸びる、よだれがダラダラと垂れる、声は出せても言葉を話せられない、といった状態になります。そして、顎関節(がくかんせつ)部分はへこんで、その少し前方が盛り上がった状態に。また、顎関節(がくかんせつ)部分は緊張して痛みが走ります。片側のみに起こる場合や、両側に起こる場合があります。

 

アゴ(顎)が外れる原因

顎関節脱臼(がくかんせつだっきゅう)は、あくびや、何かしらの理由で大きく口を開けたときアゴの過剰運動、もしくは、打撲など、ちょっとした”きっかけ”で起こります。また、アゴの開閉に関わる筋肉(咀嚼筋)の筋力低下や、噛み合わせの不具合などが原因としてあげられています。ほかにも、関節円板が食事や会話、ストレス等で負担がかかり伸びてしまい、口が開けずらくなるといった症状が脱臼を誘発する場合も。このように1度、脱臼してしまうとクセになりやすく、習慣になってしまう危険があります。その状況を「習慣性脱臼」といいます。

また、「顎関節症(がくかんせつしょう)」という顎関節の疾患を発症している場合も、アゴは外れやすくなります。

 

顎関節症(がくかんせつしょう)とは

顎関節症(がくかんせつしょう)とは、アゴに違和感があり痛む口の開閉がスムーズにできない雑音がするなどの3大症状が継続的に見られる、顎関節の疾患です。患者数が増えているため、現代のストレス病ともいわれています。比較的、男性よりも女性に発症が多くみられ、20才代と40才代以降に多いようです。

顎関節症の原因

  • 歯の噛み合わせが悪く、顎関節、関節円板に傷がつく。
  • 打撲等で下アゴの位置がずれているために、顎関節、関節円板に傷がつく。
  • 「歯ぎしり」「頬杖」「食いしばる」などのクセでアゴに負担がかかる。
  • 「姿勢の悪さ」「うつぶせ寝」などの習慣でアゴに負担がかかる。
  • あくび、急に大きく口を開ける、もしくは硬くて大きな食べ物を噛む。
  • どちらか片方での噛みグセがある。
  • 精神的ストレスを溜め込んで顎関節部分を異常に緊張させてしまう。
  • うつの症状や、睡眠障害がある。

 

顎関節症の症状

  • アゴを動かすと顎関節(がくかんせつ)部分がだるい、痛む。
  • アゴを動かすと「カックン・コッキン・ミシ・ジャリ」といった雑音がある。
  • 口の開閉や、左右に動かすことがスムーズにできない。もしくは開けられない。

 

関節円板がずれた場合の症状について

上アゴと下アゴのあいだでクッションの役割をしている関節円板に、大きな負担が持続してかかるとズレが生じます。ズレが生じても戻る場合はカックンと音がして、戻らない場合は、口が開けられない、痛む、といった症状が生まれます。

 

顎関節症にともないあらわれる副症状

  • 首や肩がこる、痛む。
  • 腕や指にしびれを感じる。
  • 頭痛、めまい。
  • 目の疲れ、充血、涙。
  • 耳や鼻にも不快感が生じる。
  • 耳が痛む、難聴。
  • 歯や舌の痛みや、味覚異常、口の渇き。
  • 飲み込めない。呼吸が困難になる。

 

アゴ(顎)が外れたときの応急処置・対処法

アゴが外れたら、基本的には専門の医療機関「口腔外科」を受診してください。慣れない自己処置では神経を傷つけたりなどの危険がともなう場合があるからです。アゴが痛んだり、スムーズに動かなくなった状況においても同じです。しかし、突然アゴが外れて困ってしまった場合、自分自身、もしくは近くにいる人が応急処置を行うことで症状が改善する場合もあります。
 

自分で行う治し方

  1. 親指を下アゴの下に置き、ほかの指4本は口の中に入れて奥歯に置いてください。
  2. 両手で下アゴをしっかりと持ち、下方へ強く引き下げ、下げたまま後方へ移動させ、ゆっくり関節へおさめるようにします。
    ※顎関節(がくかんせつ)部分の、下アゴの下顎頭(かがくとう)が、上アゴの下顎窩(かがくか)というへこみ部分に戻ることを意識して図のような流れで移動させましょう。

    人に治してもらう方法

    1. 患者を椅子に座らせ、頭を固定します。
    2. 患者の前に立ったら、親指を口の中の奥歯に置き、ほかの指4本は下アゴの下に置きます。
    3. 両手で下アゴをしっかり持ち、下方へ強く引き下げ、下げたまま後方へ移動させ、ゆっくり関節へおさめるようにします。
      顎関節(がくかんせつ)部分の、下アゴの下顎頭(かがくとう)が、上アゴの下顎窩(かがくか)というへこみ部分に戻ることを意識して図のような流れで移動させましょう。

    ※応急処置後は、患部を冷やして炎症を鎮めましょう。
    ※応急処置を施す人は、患者の口の中に入れる親指をガーゼなどで厚く巻くことをお勧めします。
    ※応急処置をして症状が改善した場合でも、必ず専門の医療機関で診てもらいましょう!

     

    アゴ(顎)が外れないよう普段から気をつけること

    • 大きなあくびや、長時間の歯科治療は避ける。
    • 低い枕を使用し、うつぶせ寝をしない。
    • 顔の筋肉をやわらげることを心がける。
    • 同じ姿勢を避ける。
    • 頬杖をつくクセをやめる。
    • 姿勢を悪くしない。(猫背やアゴを突き出すなど)
    • 首の牽引(むちうちやヘルニアなどのリハビリ)はしない。
    • ストレッチなどでカラダをほぐす。
    • 寝不足や、過度なストレスを避ける。
    • 自分に合ったストレスを解消法を持つ。
       

    アゴの状態に不安があるとき

    • 口を閉じるときは、軽く上下の唇が触れる程度にして歯を接触させない。
    • 硬い食品、大きな口を開けなければいけない食事を避ける。
    • アゴに負担がかかることを避ける。
      (フルート・サキソホンなどの管楽器演奏、バイオリン演奏、格闘技、スキューバダイビングなど)

     

    おしまいに〜アゴ(顎)が外れないために注意すること

    アゴが外れてしまうという症状は、アゴに負担がかかることから起こります。だからこそ重要なのはアゴをいたわる生活を送ること。
    硬い食品、大きく口を開けなければいけない食べ物は十分注意しましょう。また、アゴの関節が緊張してしまわないよう、リラックスすることも非常に有効です。アゴをいたわることは、自分の心身をいたわることかもしれませんね…。