花粉症のシーズンに薬を飲んでいる方は少なくありません。しかしながら、むやみに薬を飲むことができないのが妊娠中です。
赤ちゃんに影響が出たら心配、と薬を飲まずに我慢する方も多いようですが、症状を我慢してストレスを溜めてしまうことが問題になることもあります。
妊婦が自己判断で薬を使用することは危険がともないます。妊娠中は病院を受診して医師の診断を受けましょう。
ポララミンは花粉症の薬の中でも妊婦に処方されることが多い薬です。
この記事では、ポララミンの妊婦への影響、効果や副作用などについて解説します。
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妊娠中にポララミンが処方されるのはなぜ?
ポララミンは花粉症の症状に処方される第1世代の抗ヒスタミン薬です。
抗ヒスタミン薬は、発売された時期などによって第1世代と第2世代にわけられます。第2世代の抗ヒスタミン薬は、第1世代の効果はそのままに副作用の眠気が少なく改良されているため、第2世代の抗ヒスタミン薬が選択されることが多くあります。
抗ヒスタミン薬は妊娠中の胎児への安全性は確立されていないため、基本的には使用はすすめられていません。
ただし、ポララミン(クロルフェニラミン)は抗ヒスタミン薬の中でも世界的に使用実績が豊富であり、妊婦へのリスクが少ないことが確認されています。
そのため、アレルギー症状が重く抗ヒスタミン薬が必要な場合は、妊娠中の花粉症の治療薬として選択されることが多いのです。
ポララミンの処方は妊娠4か月から
厚生労働省のガイドラインによると「妊娠4か月の半ばまでは原則として薬物は避けた方が安全」とされています。
妊娠4か月までの間に赤ちゃんの神経や臓器などが作られるため、この期間中に薬を使用すると胎児に影響がでるおそれがあります。
ポララミンは効果が強く即効性がある
第1世代の抗ヒスタミン薬であるポララミンは効果が強い薬です。
そのため、第2世代の抗ヒスタミン薬が効かない場合にポララミンが処方されることがあります。
ポララミンはすぐに効果が現れる
ポララミンをはじめとする第1世代の抗ヒスタミン薬は、アレルギー症状を緩和させる効果が強い薬です。
また、ほとんどの第1世代の抗ヒスタミン薬は効果が現れるまでの時間は15~60分といわれており、即効性があるといえます。
ポララミンの効果時間
第1世代の抗ヒスタミン薬の効果が続く時間は、4~8 時間といわれています。
授乳中にポララミンを飲んでもいい?
授乳中のポララミンの処方は医師の判断によって変わってきます。
ポララミンの成分は母乳に移行するため処方できないといわれる場合もありますが、母乳に移行するのは微量であり、ポララミンは古くから使用されている安全な薬のため問題ないという判断のもと処方される場合もあります。
万が一、授乳中にポララミンを使用して、赤ちゃんがいつもより極端に眠るなど赤ちゃんの変化に不安がある場合はすぐに医師に相談しましょう。
ポララミンは眠気などの副作用が出やすい薬
ポララミンなどの第1世代の抗ヒスタミン薬は強い効果のある一方で、眠気や口の渇きなどの副作用が強いのが難点です。
眠気や口の渇きの他に、頭痛・めまい・吐き気・便秘・動悸などの副作用が出る場合もあります。
第2世代の抗ヒスタミン薬は、第1世代より効果が穏やかですが副作用がおさえられているため、現在では花粉症の薬の主流となっています。
アレグラ・クラリチン・ザイザル・ジルテックなどが、代表的な第2世代の抗ヒスタミン薬です。
ポララミンの使用上の注意
ポララミンの用法用量
ポララミンは、通常、成人は1回1錠(主成分として2mg)を1日1〜4回使用します。
安定した効果を期待するには4回に分けて使用する必要がありますが、眠気の副作用が強いため、日中の使用が難しい場合は夕方や夜間を中心に使用します。
症状や年齢によって用量は増減されるので、必ず医師に指示された通りに使用してください。
ポララミンと飲み合わせで注意が必要な薬
妊娠中の方はもともと飲酒を控える必要がありますが、ポララミンの添付文書にもアルコールとの併用には注意が必要であると記載されています。
ポララミンとアルコールを併用すると、副作用の眠気などが強まる可能性があるためです。
また、ポララミンを次のような薬と同時に使用する場合には注意が必要です。
他に日常的に飲んでいる薬がある場合は必ず医師に申告してください。
【併用に注意が必要な薬】
・中枢神経抑制剤
・MAO阻害剤
・抗コリン作用を有する薬剤
・ドロキシドパ
・ノルアドレナリン
ポララミンにジェネリックや市販薬はある?
ジェネリックはあるが価格は同じ
ジェネリック医薬品とは、先発薬の特許が切れたあとに販売される薬のことで、先発薬と同じ成分で同じ効能があると国に認められている薬です。開発にかかる費用が必要ないため、先発薬より安価で販売することが可能です。
ポララミンの成分と同じ「d-クロルフェニラミンマレイン酸塩」を配合するジェネリックには「ネオマレルミン錠」があります。
現時点では先発薬である「ポララミン錠2mg」と、ジェネリックの「ネオマレルミン錠2mg」の価格は同じです。
薬価 | |
ポララミン錠2mg | 5.60円/錠 |
ネオマレルミン錠2mg | 5.60円/錠 |
※薬価は2018年4月現在
全く同じ市販薬はない
現時点ではポララミンと同じ成分を同じ量だけ配合した、全く同じ市販薬は販売されていません。
ポララミンの成分である「d-クロルフェニラミンマレイン酸塩」が含まれる市販薬はいくつかありますが、別の成分が配合されていたり、配合量が異なります。
特に妊娠中は自己判断による市販薬の使用は控えましょう。
おわりに
ポララミンは、妊婦に処方されることの多い花粉症の薬です。
眠気の副作用がでやすいですが、長年の使用実績があり症状をおさえる効果が期待できます。
使用回数や使用量などは症状に応じて変わるので、医師の指示に従いましょう。