HIV感染症の治療にかかる費用:医療費の支援制度について解説

HIVの治療費はとても高額です。そのため医療費の支援制度が用意されています。今回はその一部を紹介します。

はじめに

HIV感染症(エイズ)の治療には、高額な費用がかかります。

そのため、医療費の助成制度や所得を保障する制度が複数用意されています。

この記事では、HIV感染症の治療にかかる医療費の福祉制度や医療助成について紹介します。

HIV感染症の治療費は高額

もし健康保険を適用せずに全額自費でHIV感染症の治療した場合、毎月15~20万円程かかり、生涯支払う治療費は約7000万円ともいわれています。

3割負担の健康保険を適用しても、初診料が10000~20000円、投薬前の2回目以降の診療費が約6000~7000円と想定されます。

AIDS発症後は投薬治療となりますが、健康保険を適用したとしても投薬後は1か月6~7万の大きな負担です。

その負担を軽くするために様々な福祉制度があります。

HIV感染症治療のための福祉制度

HIV感染症の治療で利用できる福祉制度の代表例を紹介します。

身体障害者手帳

HIVに感染したら医療費を軽減させるために身体障害者手帳(障害者認定)を申請するのが一般的です。HIV感染は「免疫機能障害」対象になります。

受けられるサービスの例
・医療費の助成
・税金の控除
・公共交通費割引 etc・・・

障害者手帳の申請など直接窓口に行くのに抵抗がある、という方もいるかもしれません。

申請は、郵送で行うこともできます。また、医療ソーシャルワーカーなどの代理人に代理申請してもらうことも可能です。

自立支援医療(更生医療)

身体障害者手帳を持つ満18歳以上の方が対象です。ただし、18歳未満であれば、身体障害者手帳がなくても利用が可能です。

対象となるのは「抗HIV療法、免疫調節療法等、HIV感染に対する医療」に限られます

【医療費自己負担上限】(2017年1月現在)
生活保護世帯 : 0円
市町村民税課非課税 (本人の前年度収入が80万円以下):2500円/月
市町村民税課非課税 (本人の前年度収入が80万円以上):5000円/月
市町村民税課税以上、3万3千円未満:5000円/月
市町村民税3万3千円以上、23万5千円未満:10000円/月
一定所得以上(※):20000円/月

※区市町村民税が年23万5千円以上の「世帯」の方は、原則として対象外であり、高額治療継続者に該当する場合に限り、経過措置により対象となります。経過措置は、2018年3月31日まで延長されています。

重度心身障害者医療費助成

医療機関を受診した場合の医療費の一部負担金を県と市町村で助成する制度です。

免疫機能障害者で障害者手帳1~3級の場合、医療費の自己負担が全額助成または、かなり減額されます。自治体によっては1〜2級の場合もあります。

自立支援医療との併用など詳細については、各自治体にお問合せください。

高額療養費制度

医療機関の窓口や薬局で支払った額が一定額(1か月の限度額)を超えた場合、超えた分が返金される制度です。年齢や所得に応じて上限が決められています。

加入している公的医療保険に、高額療養費の支給申請書を提出または郵送し、支給を受けます。

特定疾病療養受給者証

治療期間が長く、高額医療を続けて行う必要のある血友病や血液製剤投与に関係するHIV感染症の方が対象です。

加入している公的医療保険の窓口に申請すると「特定疾病療養受療証」が交付され、医療費の自己負担上限額が10000円になります。

俗に「マル長」と呼ばれています。


 

生活のための費用を支援する制度

病気のために仕事ができなくなってしまった場合は、生活のための費用を支援する制度があります。

傷病手当金は、社会保険に加入している場合、病気のため仕事を休まなくてはならず、給料が支給されない場合に、基準となる給料の3分の2が保障される制度です。社会保険加入者が対象となります。 

他にも生活保護障害年金など生活をサポートしてくれる制度は複数あります。医療ソーシャルワーカーなどとよく相談して自分に合った制度を活用しましょう。

福祉制度を使うことで会社や周囲に病気が知られてしまうことは?

会社の健康保険を使っている人は、病院から会社に医療費の請求がいきます。

自分がHIV感染者だと知られたくないと心配な方も多いでしょう。

健康保険組合に送られる診療報酬明細書には病名、処置内容、検査、薬品名などが記されていますが、その情報が渡るのは健康保険組合までです。

健康保険組合にもよりますが会社に病名まで伝わることはまずないといえます。前提として、健康保険業務を取り扱っている人には守秘義務があるので、他の人に個人情報を話すことは禁止されています。

ただし、障害者手帳で障害者控除を受ける場合は源泉徴収の際に会社に申告する必要があり、なぜ障害者控除を受けているのか説明を求められる場合があります。

そのため会社に治療をしていることを知られないために、障害者控除を受けないという選択をしている人もいます。

おわりに

紹介した医療費助成制度は、都道府県や自治体によって違いがあります。実際に利用する場合は、自分が所属する自治体に問い合わせてください。

その他に関するお役立ち情報

その他に関連するQA