アセトアミノフェンの風邪薬の特徴
アセトアミノフェンは痛みをやわらげたり熱を下げる薬で、生理痛や頭痛といった日常的な痛み止めや、さまざまな病気の解熱などに広く使用されています。
風邪薬(総合感冒薬)にはさまざまな成分が含まれている
市販の風邪薬(総合感冒薬)には風邪のさまざまな症状をやわらげるために、アセトアミノフェンをはじめとした複数の成分が配合されています。1つの薬で複数の症状に効くというメリットがあり、ご自身の症状に合わせて薬を選択することができます。
アセトアミノフェンとNSAIDsの違い
市販の風邪薬には解熱鎮痛成分が配合されているものが多いですが、この成分にはNSAIDsと呼ばれるグループがあります。ロキソプロフェン・イブプロフェン・エテンザミドなどは全てNSAIDsに分類される成分です。対してアセトアミノフェンは、NSAIDsには分類されません。
成分 | 特徴 |
---|---|
アセトアミノフェン |
・解熱・鎮痛作用あり ・抗炎症作用はない ・副作用が比較的少ない |
NSAIDs |
・解熱や鎮痛、抗炎症作用が強い ・副作用が比較的強い |
アセトアミノフェンは効果が弱い代わりに、副作用も比較的出にくい優しい薬です。対してNSAIDsは効果が強い代わりに、副作用が比較的出やすい薬になっています。15歳未満の子供や妊娠中の方などは副作用の点からNSAIDsを服用することは基本的にできません。
アセトアミノフェンの風邪薬によく含まれる成分
アセトアミノフェン配合の市販風邪薬に含まれている成分は商品によってさまざまですが、主に次の成分が配合されていることが多いです。
成分 | 効果 | |
---|---|---|
解熱鎮痛薬 |
・NSAIDs |
・解熱、鎮痛作用 ・NSAIDsのみ抗炎症作用有 |
解熱鎮痛薬(補助成分) |
・カフェイン水和物 ・無水カフェイン |
・眠気の防止 |
・アリルイソプロピルアセチル尿素 |
・鎮静作用 ・眠気がでる可能性がある |
|
抗ヒスタミン薬 |
・クロルフェニラミン ・クレマスチン ・ジフェンヒドラミン |
・鼻水やくしゃみをやわらげる |
鎮咳・去痰薬 |
・デキストロメトルファン ・チペピジンヒベンズ ・ノスカピン ・ジヒドロコデインリン酸塩 |
・咳を鎮める ・気管支を広げる作用 |
商品によって含まれる成分が異なるため、成分の効果とご自身の症状を照らし合わせて適した薬を選びましょう。
また、エフェドリンやジヒドロコデインリン酸塩は濫用性(依存性)のおそれがある成分のため、服用に際しては用法用量を遵守し、不必要に使用しないでください。
解熱鎮痛成分が複数入っている風邪薬もある
市販の風邪薬には解熱鎮痛成分がアセトアミノフェンとNSAIDsどちらも配合されている商品があります。強い効果を求める方はアセトアミノフェンと一緒にNSAIDsも配合されている薬がおすすめですが、効果よりも副作用のリスクを避けたい方は解熱鎮痛成分がアセトアミノフェンのみ配合されている風邪薬を購入した方が良いでしょう。
アセトアミノフェン配合の市販風邪薬
アセトアミノフェンの市販風邪薬は商品ごとに含まれる成分が異なります。避けたい成分がある場合は必ず成分表をチェックして商品を購入するようにしましょう。
アセトアミノフェン配合の市販風邪薬
解熱鎮痛成分としてアセトアミノフェンのみを配合した風邪薬です。
NSAIDsが含まれないため「熱をおさえたいけど副作用を心配」という方はこちらがおすすめです。熱や痛み以外に種々の風邪症状も同時に鎮める場合は成分の違いを理解し、自分の体調に合わせた市販薬を選択しましょう。
有効成分 | 特徴 |
アセトアミノフェン グアヤコールスルホン酸カリウム 麦門冬湯乾燥エキス |
・生薬エキス配合 ・(熱や痛みの他に)のどの症状に効く |
パブロン50はアセトアミノフェン以外にも生薬成分からなる麦門冬湯乾燥エキスを配合。痰を出しやすくするグアヤコールスルホン酸カリウムとともに、のどの症状をやわらげます。強い成分は避け、体質の改善を図りたい方におすすめの薬です。
有効成分 | 特徴 |
アセトアミノフェン アンブロキソール塩酸塩 L-カルボシステイン ジヒドロコデインリン酸塩 クロルフェニラミンマレイン酸塩 リボフラビン(ビタミンB2) |
・(熱や痛みの他に)鼻水や咳などの風邪諸症状に効く |
パブロンSゴールドW錠は解熱鎮痛だけでなく痰切りや咳止め、鼻水症状といった種々の風邪症状に効果のある成分を配合しています。全般的に症状でお悩みの方におすすめです。
アセトアミノフェン・NSAIDsを配合した市販風邪薬
アセトアミノフェン以外の解熱鎮痛成分にNSAIDsを配合した風邪薬を紹介します。
アセトアミノフェンとは別のアプローチで熱や痛みをおさえるため、ダブルの効果を発揮します。
ただし、アセトアミノフェンと比べて作用・副作用も大きいので体調変化に注意しながら使用しましょう。
有効成分 | 特徴 |
アセトアミノフェン サリチルアミド 無水カフェイン プロメタジンメチレンジサリチル酸塩 |
・サリチルアミド(NSAIDs)を配合 ・(熱や痛みの他に)鼻水、鼻づまり、くしゃみをおさえる |
パイロンPL顆粒は解熱鎮痛成分としてアセトアミノフェンの他にNSAIDsのサリチルアミドが配合されています。「痛みのもと」と「痛みの伝達」をブロックすることで単剤では効果のなかった熱や痛みにアプローチします。
抗アレルギー成分であるプロメタジンメチレンジサリチル酸塩も同時に鼻水などに効果を発揮し、風邪の諸症状をカバーしている市販薬です。
子供でも飲めるアセトアミノフェン配合の市販風邪薬
子供も服用できる風邪薬のなかにはシロップや錠剤など、年齢に応じて剤形が異なる製品も存在し、飲み方もそれぞれです。お子様の体に合わせて成分や成分量が決められています。
年齢や症状に合わせて選択しましょう。
有効成分 | 特徴 |
アセトアミノフェン ジフェンヒドラミン塩酸塩 |
・生後3ヶ月から服用可能 ・風邪の諸症状に効く |
キッズバファリンシロップSは生後3ヶ月から服用することができる薬です。シロップタイプのため、錠剤が飲めない小さなお子様でも飲みやすくなっています。
解熱鎮痛成分であるアセトアミノフェンの他にジフェンヒドラミン塩酸塩という抗アレルギー成分を配合。鼻やのどといった風邪の諸症状に効果があります。
有効成分 | 特徴 |
アセトアミノフェン グアイフェネシン チペピジンヒベンズ酸塩 クロルフェニラミンマレイン酸塩 |
・5歳から服用可能 ・水なしで飲める ・風邪の諸症状に効く |
パブロンキッズ風邪錠はアセトアミノフェンだけでなく、咳止めのチペピジンヒベンズ酸塩、痰を出しやすくするグアイフェネシン、鼻水をおさえるクロルフェニラミンマレイン酸塩が配合されているため、お子様の風邪症状全般的にご利用いただけます。
カフェインのような興奮作用のある成分は含まれていないので睡眠の邪魔をせず、使いやすい薬です。
購入に際して注意すべきこと
アセトアミノフェンの市販薬には、配合剤の場合、いろいろな成分が含まれています。以下の方は配合剤に服用できない成分が含まれている危険性があるため注意してください。
アセトアミノフェン | NSAIDs (イブプロフェンの場合) |
カフェイン | |
---|---|---|---|
15歳未満 |
◯ |
× | △ |
妊娠(前期) |
◯ |
△ |
△ |
妊娠(後期) | △ | × |
△ |
授乳中 | ◯ | ◯ | × |
アスピリン喘息 | ◯ | × | ◯ |
インフルエンザ | ◯ | △ | ◯ |
胃腸が弱い方 | ◯ | △ | △ |
●15歳未満の子供
15歳未満の方はNSAIDsが含まれる薬は基本的に服用できません。アセトアミノフェン単剤の薬の場合でも必ず小児用の薬を購入してください。また、カフェインは興奮作用があることから小さなお子様の睡眠を妨害してしまうおそれもあるため、できるだけカフェインが含まれない市販薬を選びましょう。
●妊娠中、または妊娠している可能性のある方・授乳中の方
妊娠中の方が解熱鎮痛剤を使用する場合、基本的にアセトアミノフェンのみが配合されている市販薬が第一選択薬となります。
ただし、妊娠後期では薬の成分が胎児に影響を与えるおそれもあるため、体調面や服用するにあたっての不安がある方は医師や薬剤師、登録販売者にご相談ください。
また、カフェインも過剰に摂取することで胎児の健康に悪影響となるおそれがあるため控えましょう。
●授乳中の方
授乳中の方はアセトアミノフェンやイブプロフェンを服用できます。ただし、NSAIDsに分類されるアスピリンは乳児に悪い影響を与える危険性があるため服用できません。薬を選ぶ際は注意してください。
また、カフェインは母乳に移行してしまうため、カフェインが配合されている薬は避けてください。
あるいは、使用する場合授乳を控えましょう。
●アスピリン喘息をお持ちの方
アスピリン喘息を患っている方はNSAIDsを服用することで喘息症状が誘発されるおそれがあります。そのため、NSAIDsが含まれている薬は避けた方が安全でしょう。
●インフルエンザ罹患中の方
インフルエンザに罹患中の方はNSAIDsがインフルエンザ脳症を誘発する危険性があるため、基本的にはアセトアミノフェンが第一選択薬となります。場合によってはNSAIDsを使用するケースもありますが、使用する場合は医師や薬剤師、登録販売者に相談する必要があります。まずはアセトアミノフェンの単剤を使用し、効果が現れない場合は医師に相談しましょう。
●胃腸が弱い方
NSAIDsやカフェインは胃腸障害をおこすおそれがあります。服用して胃腸の調子が悪くなった経験がある方はNSAIDsやカフェインが含まれている薬は避けた方が良いでしょう。
用法用量を守りましょう
アセトアミノフェンは比較的副作用の少ない薬ですが、服用量を誤ると肝臓機能の障害が起こる危険性があります。効果がなかなか出ないからといって、用法用量を守らず多量に服用するのはやめましょう。