アンテベート軟膏は虫刺されに使える?
アンテベート軟膏は病院で処方されるステロイドの塗り薬の1つで、湿疹や蕁麻疹、かぶれなどの幅広い皮膚炎に効果を発揮します。
アンテベートは虫刺されに使用可能
アンテベートは虫刺されにも効果を発揮するステロイド薬です。
成分 | 強さ |
---|---|
ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル |
ベリーストロング |
アンテベートのステロイド成分はベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステルといって、ステロイド成分の中でも比較的効果が強い部類に属します。
ステロイド成分の強さは5段階のランクに分かれますが、アンテベートは上から2番目のベリーストロングのランクに分類されます。
蚊による虫刺されには勿論、毛虫やムカデ、アブ、ブヨといった炎症が強く出る虫刺されへの使用も可能です。
過去に処方されたアンテベートを使用してもOK?
アンテベートは虫刺されにも使われますが、使用部位や症状によっては適さない場合もあります。
過去に別の皮膚疾患で処方されたアンテベートが家にあっても、使用の際は医師へご相談ください。
また、次の場合は使用はできないので注意してください。
◆処方された人と別の人が使用する
◆強さのランクで使用できない部位に使用する
◆使用期限が過ぎている
アンテベート軟膏が使用できる年齢と部位
ステロイドは強さのランクによって使用できる年齢や部位が異なります。特に顔や首は皮膚が薄く、成分の吸収率が大きいので、強いステロイドは副作用のリスクが高くなります。
大人 (身体) |
大人 (顔・首) |
子供 (身体) |
子供 (顔・首) |
|
---|---|---|---|---|
ストロンゲスト | ◯(皮膚が薄い部分はNG) | × | × |
× |
ベリーストロング | ◯(皮膚が薄い部分はNG) | × | × |
× |
ストロング |
◯ |
× | 〇 |
× |
ミディアム | ◯ | ◯ | ◯ |
〇 |
ウィーク | ◯ | ◯ | ◯ |
◯ |
アンテベートの強さは上から2番目のベリーストロングに分類されるため、使用できるのは基本的には、大人の身体のみとなります。また、大人の身体でも顔・首や腹部周り、デリケートゾーンなどの皮膚の薄い部位には使用ができません。大人の顔・首や子供の使用は適さないため注意してください。
ただし、医師が処方する場合はひとりひとりの症状や皮膚の状態に合わせて処方しているため、医師の指示にしたがってください。
アンテベートに市販薬はある?
5段階中上の2つのランクに該当するストロンゲストとベリーストロングは効果が非常に強いため、医師・薬剤師の指導が必要な処方薬のみに配合される成分となっています。そのため、アンテベートと同じ成分の市販薬は現在販売されていません。
市販のステロイド薬に配合される成分はストロング・ミディアム・ウィークの3つのみとなります。
スイッチOTC医薬品のすすめ
アンテベートと同じ成分の市販薬は販売されていませんが、ステロイドの市販薬は医療用成分と同じ成分を配合したスイッチOTC医薬品が多数販売されています。
子供も使用ができるミディアムやウィークタイプのステロイドも市販薬で販売されているため、処方薬ではなく、市販薬を夏の虫刺されの常備薬としてお家に置いておくのも良いでしょう。
虫刺されに効くステロイド市販薬
虫刺されに効果のあるステロイド薬を紹介します。
市販薬で購入することができるストロング・ミディアム・ウィークの中から自身の症状や部位、年齢ごとに適切なランクのステロイド配合薬を選択しましょう。
また、かゆみが強い場合はかゆみ止め成分が含まれている商品、掻き壊してしまっている場合は抗菌成分を配合している商品など、ステロイド以外の成分を含む市販薬も存在します。自分の症状や部位、使用するシーンにあった市販薬を選びましょう。
ミディアム:大人の顔・身体、子供の身体に使えるステロイド薬
ストロングよりも副作用のリスクが低く、ウィークよりも効果が強い点で、とても使いやすいランクのステロイド薬です。大人の方はもちろん、お子様が虫に刺された場合にも使用できます。
オイラックスPZリペアクリーム 5G(指定第2類医薬品)【指定第二類医薬品】
有効成分 | 特徴 |
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル クロタミトン グリチルレチン酸 アラントイン 酢酸トコフェロール イソプロピルメチルフェノール |
・かゆみに効く ・細菌感染を防ぐ ・皮膚の修復を助ける |
ミディアムランクのステロイドを配合したオイラックスPZリペアクリームは、抗炎症成分とかゆみ止め成分を配合し、虫に刺された時の炎症やかゆみを鎮めます。
また、ビタミン成分である酢酸トコフェロールによって荒れた皮膚の修復を助けます。
ステロイド成分のプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルはアンテドラッグと呼ばれ、ステロイド特有の副作用を起こしにくい特性を持ちます。
新リビメックスコーワクリーム 8g【指定第二類医薬品】
有効成分 | 特徴 |
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル |
・ステロイド成分のみ配合 |
ステロイド成分のみ配合したクリームタイプの市販薬です。
かゆみの症状が少ないのであれば、ステロイド成分単独の薬を使うのもよいでしょう。
クリームタイプなので伸びがよく、塗り広げやすい特徴があります。
ムヒアルファEX 15g【指定第二類医薬品】
有効成分 | 特徴 |
プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル ジフェンヒドラミン塩酸塩 l−メントール dl−カンフル クロタミトン イソプロピルメチルフェノール |
・強いかゆみに効く ・細菌感染を防ぐ ・清涼感ある使い心地 |
ステロイドに加えて2種のかゆみ止め成分を配合しており、強いかゆみをともなう虫刺されに適しています。また、殺菌成分のイソプロピルメチルフェノールが掻き壊すことによる化膿を予防します。清涼成分であるl-メントール、dl-カンフルを含んでいるため、強い清涼感を好む方におすすめです。
塗り広げやすいクリームタイプです。
ストロング:大人の身体に使えるステロイド薬
主に大人の方の身体にできた強い炎症をともなう虫刺されに適したステロイド薬です。
市販薬の中ではアンテベートに近いランクですが、強い効果があるので大人の方の顔・首や子供への使用のほか、長期間の使用はしないでください。
ベトネベートクリームS 10G(指定第2類医薬品)【指定第二類医薬品】
有効成分 | 特徴 |
ベタメタゾン吉草酸エステル |
・ステロイド成分のみ配合 |
ストロングランクのステロイドを配合したベトネベートクリームSはステロイド以外の成分は含まれていません。かゆみや炎症が少ないようであれば、ステロイド成分単独の薬を使うのもよいでしょう。
フルコートf【指定第二類医薬品】
有効成分 | 特徴 |
フルオシノロンアセトニド フラジオマイシン硫酸塩 |
・掻き壊して化膿した患部に使用可能 |
ステロイドに加えて抗生物質であるフラジオマイシン硫酸塩を配合しています。虫刺され部位をかゆみによって掻き壊すと、患部が化膿してしまうことがあります。抗生物質は傷口から入り込んだ細菌の増殖をおさえ、症状緩和を助けます。
ジュクジュクした患部にもカサカサした患部にも適した、刺激が少ない軟膏剤です。
ウィーク:大人も子供も顔に使えるステロイド薬
大人・子供問わず顔や身体に使えるステロイド薬です。
大人にとっては比較的効果は弱いため、軽度の虫刺されに適しています。
テラ・コートリル軟膏a 6g【指定第二類医薬品】
有効成分 | 特徴 |
ヒドロコルチゾン オキシテトラサイクリン塩酸塩 |
・掻き壊して化膿した患部を殺菌する |
ステロイドに加えて抗生物質であるオキシテトラサイクリン塩酸塩を配合。虫刺されは掻きこわすと膿むことがあります。抗生物質は患部を殺菌し、化膿をおさえます。
オイラックスA 10G(指定第2類医薬品)【指定第二類医薬品】
有効成分 | 特徴 |
ヒドロコルチゾン酢酸エステル クロタミトン ジフェンヒドラミン塩酸塩 グリチルレチン酸 アラントイン イソプロピルメチルフェノール |
・強いかゆみに効く ・皮膚の修復を助ける ・細菌感染を防ぐ |
2種のかゆみ止め成分や抗炎症成分を配合し、強いかゆみをともなう虫刺されに対応しています。小さいお子様だと汚れた手で掻いて悪化させてしまうことが多くありますが、殺菌成分が細菌感染の予防に効果を発揮します。また、アラントインにより皮膚の修復を助けます。
液体ムヒS2a 50ml【指定第二類医薬品】
有効成分 | 特徴 |
デキサメタゾン酢酸エステル ジフェンヒドラミン塩酸塩 l-メントール dl-カンフル グリチルレチン酸 イソプロピルメチルフェノール |
・液体タイプ ・かゆみに効く ・清涼感ある使い心地 ・細菌感染を防ぐ |
液体タイプの虫刺され薬である液体ムヒS2aは、クリームや軟膏と違い広範囲にできた虫刺されに適しています。野外でも持ち運びやすく、薬剤を手に取る必要がないので手を汚さずそのまま使用できます。
かゆみ止めや抗炎症成分を配合しており、スーッとした清涼感で夏場の嫌な虫刺されに適した商品です。
虫刺されに効く市販薬の選び方
虫さされに効く市販薬に関しては次の記事で詳しく解説しています。
病院を受診するべきケース
虫刺されで起こるかゆみや腫れは、刺された虫の種類によって症状や程度が異なります。以下に該当する場合はすぐに病院を受診してください。
◆ショック症状(体温の低下、血圧の低下、顔面蒼白など)が現れたとき
◆刺されてから15分以内にめまい、吐き気、呼吸困難などの症状が現れたとき
◆全身に蕁麻疹症状が現れたとき
その他、症状に違和感があったり、不安が残る場合も皮膚科を受診し、虫に刺されたときの状況や詳しい症状などを医師に伝えましょう。
ステロイドの副作用について
副作用の観点からステロイドを使用することを避けたい、という方もいらっしゃいます。
ステロイドには主に次の副作用があります。
・皮膚刺激感、潮紅、皮膚炎、発疹、接触性皮膚炎、皮膚の感染症など
しかし、用法用量を正しく守ることで、副作用のリスクを減らして皮膚の炎症に効果を発揮できます。
特に強いかゆみ・腫れが出る皮膚症状は、かゆみで皮膚を掻き壊すことによって症状が悪化しやすいため、ステロイドを使用して素早く炎症をしずめた方が良いでしょう。
ただし、ステロイドは長期の使用が禁止されているため、薬を使用して5〜6日間たっても治らない場合は病院を受診するようにしましょう。