下着で皮膚がかぶれてしまう原因は?
皮膚にものが触れて炎症が起こることを接触皮膚炎と呼びます。接触皮膚炎の症状の1つに下着かぶれがありますが、その名前の通り、ブラジャーやショーツが肌に触れることによって、摩擦やムレ、アレルギー症状が生じて皮膚がかぶれることをさします。
下着によって皮膚がかぶれる原因には次のものがあげられます。
通気性が悪い
通気性の悪い下着をつけていると、下着の中がムレ、皮膚がふやけて刺激に敏感になります。下着の中のムレを放置していると雑菌が繁殖し、これが刺激となって皮膚がかぶれます。
汗をよくかく夏場や生理中は下着の中がムレやすくなるため、注意が必要です。
かゆみ止め成分や殺菌成分が配合された塗り薬がおすすめです。
サイズが合ってない
サイズの合わない下着を着用していると、下着の締め付けや摩擦によって、皮膚がかぶれることがあり ます。ブラジャーの紐やホック部分、ショーツのゴムの部分にかゆみを感じる場合は、サイズが合っていない可能性が高いです。
かゆみ止め成分が配合された塗り薬がおすすめです。
アレルギー症状
人によっては下着に使われている金具や染料によるアレルギー反応でかぶれで生じ、かゆみや赤み、ぶつぶつ、水ぶくれができることがあります。
炎症を鎮めるステロイドやかゆみ止め成分が入った塗り薬がおすすめです。
また、特定の下着で症状が出る場合は、その下着を着用しないようにしましょう。
肌が乾燥している
下着かぶれは乾燥肌や敏感肌の方がなりやすいという傾向があります。肌が乾燥していると、皮膚を外的刺激から守るバリア機能が低下し、皮膚トラブルが起こりやすくなります。日頃から肌を保湿して、皮膚のバリア機能を高める必要があります。
肌の保湿は皮膚科でも処方されている、ヘパリン類似物質が配合されたものがおすすめです。
ヒルマイルドローション 30g【第二類医薬品】
ヘパリン類似物質が配合された保湿剤です。さらっと伸びるローションタイプです。
クリームよりも比較的べたつきが少なく伸びが良いため、広範囲に使用する場合に適しています。
下着かぶれに効く市販薬の選び方
下着かぶれは市販薬でケアすることが可能です。
ただし、下着かぶれが起きやすい陰部や脇は他の部位よりも皮膚が薄いため、使用できる薬が限られます。刺激に弱い皮膚にも使用できる薬は、デリケートゾーンを含むさまざまな部位に塗ることができます。
デリケートゾーンにステロイドは使用してもOK?
ステロイド外用薬は薬によって強さのランクが分かれています。ランクによってはデリケートゾーンに使用ができない薬もあり、使用する薬のランクや部位を誤ると、副作用が出るリスクがあります。
医師の指導の元であれば使用ができますが、ご自宅でセルフメディケーションとしてデリケートゾーンに市販薬を使用する場合は、ステロイド無配合の薬の方がよいでしょう。
市販のステロイド無配合の塗り薬は、さまざまな商品が販売されています。
下着かぶれにおすすめの成分
下着かぶれによるかゆみに効果を発揮する成分をご紹介します。陰部や脇などのデリケートゾーン、アンダーバストなどに使用できる塗り薬にも配合されています。市販薬を選ぶ際はご自身の症状に合わせた成分が配合された市販薬を選ぶと良いでしょう。
【かゆみをおさえる成分】
分類 | 主な成分 |
---|---|
鎮痒成分 |
クロタミトン など |
抗ヒスタミン成分 |
ジフェンヒドラミン など |
局所麻酔成分 |
リドカイン など |
かゆみ止めの市販薬は大きく分けて局所麻酔成分が入っているものと、入っていないものに分けられます。局所麻酔成分は神経を一時的に麻痺させて、かゆみを感じることを止める成分です。かゆみで夜眠れないなどといった、強いかゆみに悩んでいる方は局所麻酔成分が入っている市販薬を、かゆみがそこまで強くない方は局所麻酔成分無配合のものを選ぶと良いでしょう。
【その他おすすめの成分】
下着かぶれのかゆみにおすすめできる成分は、かゆみ止め成分以外にも次のものがあります。
分類 | 主な成分 |
---|---|
抗炎症成分 |
グリチルレチン酸 など |
殺菌消毒成分 |
イソプロピルメチルフェノール など |
皮膚修復作用 |
トコフェロール酢酸エステル、アラントイン など |
清涼成分 |
l-メントール など |
これらの成分には次のような特徴があります。ご自身の症状に合わせて成分から薬を選ぶと良いでしょう。
- ・抗炎症成分:皮膚の炎症をおさえる
- ・殺菌消毒成分:傷口から細菌が感染することによる化膿・炎症を防ぐ
- ・皮膚修復作用:傷ついた皮膚が修復するのを助ける
- ・清涼成分:爽やかな清涼感をあたえる
下着かぶれにおすすめの剤形
下着かぶれに使用する市販薬を選ぶ際、成分以外の判断基準として剤形があります。市販の塗り薬にはさまざまな剤形の薬が販売されていますが、代表的な剤形を3つご紹介します。
剤形 | メリット | デメリット |
---|---|---|
クリーム |
・伸びがよく塗りやすい ・軟膏よりもベタつかない |
・軟膏に比べて刺激が強い |
軟膏 |
・患部を保護する機能が強い ・クリームよりも刺激が少ない |
・クリームよりもベタつく |
ローション・ジェル |
・さらっとした使用感 ・薬が浸透しやすい |
・刺激が強くしみやすい |
それぞれメリット・デメリットがありますが、陰部の下着かぶれに使用する場合は、クリーム剤がおすすめです。陰部は下着で蒸れやすいため、使用感の観点で見ると、べたつきやすい軟膏は不向きです。また、ローションやジェルは他の剤形に比べて刺激が強く、炎症が強い部位には適しません。
クリーム剤は軟膏に比べると刺激は強いですが、ローション・ジェルよりは刺激が少なく、軟膏よりもベタつきにくく伸びの良い剤形となっています。
ただし軟膏やローション・ジェルもそれぞれにメリットがあるため、使用する方の症状や好みに合わせて剤形を選択しましょう。
粘膜への使用について
市販のかゆみ止め薬の多くは、膣内や膣の入り口などの粘膜部分への使用ができません。
粘膜は他の皮膚に比べて刺激に弱くデリケートな部位です。また、薬の吸収率が高く、効果が強く出てしまう危険性があります。市販薬を使用する際は添付文書をよく読み、用法用量を守って使用しましょう。
膣内の粘膜にもかゆみの症状を感じる場合は、カンジダ膣炎などの感染症にかかっている可能性も考えられます。感染症によるかゆみは、基本的に病院の診療が必要になるため、自己判断による市販薬の使用はやめましょう。
下着かぶれに効く市販薬
ブラジャーやショーツなどでかぶれたデリケートゾーンに使える市販薬をご紹介します。好みの剤形・成分・使用感からご自身に合った商品を選びましょう。
スーッとするクリームタイプ
デリナースクール【第二類医薬品】
剤形 | クリーム |
かゆみ止め成分 | ◯ |
清涼成分 | ◯ |
殺菌成分 |
◯ |
荒れた肌の修復成分 |
◯ |
アフターフォロー | ◯ |
有効成分 |
リドカイン ジフェンヒドラミン塩酸塩 イソプロピルメチルフェノール 酢酸トコフェロール l-メントール |
デリケートゾーンのかゆみを鎮める非ステロイド性クリームです。
かゆみ止め成分のジフェンヒドラミン塩酸塩とリドカインが強いかゆみを鎮めます。殺菌成分も配合されており、下着のムレによる雑菌の繁殖をおさえ、皮膚を清潔に保ちます。
さらに清涼成分であるl-メントールが配合されているため、爽やかな使い心地を好む方におすすめです。
パッケージが非常にシンプルなので、外出先で使用しても気にならないデザインで、持ち運びやすくなっています。
4種の有効成分配合
デリケアb 15G【第三類医薬品】
剤形 | クリーム |
かゆみ止め成分 |
◯ |
清涼成分 |
- |
殺菌成分 |
◯ |
荒れた肌の修復成分 |
- |
アフターフォロー | - |
有効成分 |
ジフェンヒドラミン グリチルレチン酸 トコフェロール酢酸エステル イソプロピルメチルフェノール |
4種の有効成分を配合したデリケート部位のかゆみ、かぶれ用治療薬です。
かゆみ止め成分と抗炎症成分が、ブラジャーやショーツなどによる刺激でかぶれた肌のかゆみ・赤みを鎮めます。
クリームタイプで伸びがよくべたつかないため、衣類の下に塗っても気になりにくいでしょう。
さらっとしたジェルタイプ
フェミニーナジェル 15G(第2類医薬品)【第二類医薬品】
剤形 | ジェル |
かゆみ止め成分 |
◯ |
清涼成分 |
- |
殺菌成分 |
◯ |
荒れた肌の修復成分 | - |
アフターフォロー | - |
有効成分 |
リドカイン ジフェンヒドラミン イソプロピルメチルフェノール |
使用感がべたつかない、ジェルタイプの塗り薬です。下着でかぶれてしまった肌にお風呂上がりやトイレでさっと塗ることができます。
下着擦れなどによる強いかゆみに2種類のかゆみ止め成分がダブルで効果を発揮します。
殺菌成分が配合され、かゆみや炎症の原因となる雑菌の繁殖を防ぎます。
日常生活で気をつけるべきこと
下着かぶれに悩んでいる方は、市販薬による対策に合わせて、次のことに注意をしてください。
通気性のよい下着を選ぶ
下着は通気性の良い素材を選びましょう。
化学繊維は皮膚への摩擦がつよく、製品を作る過程で使用される薬剤が肌への刺激となるおそれがあるため、皮膚が弱い方は肌に合わない場合があります。
肌に優しい素材はオーガニックコットンや、人間の皮膚に近いたんぱく質繊維のシルクです。
肌が乾燥していたり敏感な方は、素材から下着を選ぶと良いでしょう。
サイズの合った下着を着用する
サイズの合わないきつい下着を着用していると、摩擦や締め付けが肌への刺激となって、かぶれの原因になります。ある程度ゆったりとしたサイズ感の下着を選ぶようにしましょう。
下着の重ねばきに注意
ショーツの上に補正下着や、パンティストッキングを履いていると、下着の中がさらにムレやすくなり、下着かぶれが起きやすくなってしまいます。夏場の暑い時期は補正下着の着用を避けたり、パンティストッキングはサスペンダータイプのストッキングにかえる、などの工夫をしましょう。
お風呂の入り方に注意
あまり熱いお風呂に浸かると、皮膚の温度が上がってヒスタミンというかゆみの原因物質が分泌されてしまいます。さらに皮膚も乾燥しやすくなるため、バリア機能が衰えて皮膚トラブルを引き起こしやすい状態になってしまいます。お風呂の温度はややぬるめの40度以下に設定しましょう。
また、デリケートゾーンの皮膚は薄く傷つきやすいため、強く洗いすぎてしまうと傷がつき、かゆみを引き起こす原因となります。デリケートゾーンを洗うときは皮膚を傷つけないように、やさしく手で洗いましょう。