鼻づまりで鼻声になって苦しい…
相手の声が鼻声で聞き取りづらい…
カラオケで自分の声が鼻声に聞こえる…
風邪を引いていないのに、鼻声なのはなんで…?
自分の声や他人の声が、鼻声であると意識する場面はさまざまです。
鼻声は耳鼻咽喉の病気の際には日常的にみられる症状です。しかし、病的な症状としてだけではなく、鼻声はさまざまな面で研究の対象となっているのです。
どのように発せられてどのように振動し音となるか、音声言語学としての側面。
また、歌唱の手法として美的な表現で使われる側面、など。
いろんな顔を持つ鼻声。
この記事では、主に鼻の病気に関係する鼻声についてみていきます。
鼻声ってどんな声?声が鼻にかかる状態とは
そもそも、鼻声とはどういう声のことを指すのでしょうか?
鼻声は「鼻にかかった声」のことを指します。そして、実は鼻声にも種類があります。
鼻声は【鼻が詰まった声(閉鼻声:へいびせい)】と【鼻に音が抜けすぎる声(開鼻声:かいびせい)】の、2つに分けることができます。
私たちが普段感じる鼻声の大部分は、鼻が詰まったような声である閉鼻声になります。それぞれの鼻声には、状態や聞こえ方に違いがあります。
鼻が詰まった声:閉鼻声
発音するときに鼻から抜けるはずの空気が抜けずに、鼻の中で共鳴が不足している状態の声。発声すると、「マ行」の音が「バ行」に、「ナ行」の音が「ダ行」に近い音で発音されます。閉鼻声では、高音が出にくいため、柔らかな印象の声になります。しかし、滑舌や歯切れは悪くなり、やや聞き取りづらくなります。
鼻に抜けている声:開鼻声
口の中に空気を保つことができず、鼻から息が漏れてしまい、うまく発音ができない状態の声。
口蓋の病気に原因がある場合、発声時に口から鼻へ空気が抜けるだけではなく、食事の際に、口から摂取した水分なども鼻に抜けてしまう場合があります。
さまざまな原因が鼻声を引き起こす!
鼻声になる原因は一つではありません。鼻声の種類によっても原因が異なります。
【鼻が詰まった声:閉鼻声】の原因
鼻の内部の鼻腔(びくう)を通る空気の流れが悪くなる、鼻づまりが主な原因です。
鼻づまりが起こる原因は、「鼻の骨や軟骨の変形」「鼻粘膜の腫れ」「その他」の大きく3つに分けられます。
◼︎鼻の骨や軟骨の変形…鼻中隔彎曲症・外鼻変形など、鼻骨の構造による病気
◼︎鼻粘膜の腫れ…かぜ、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎などによる鼻粘膜の腫れ
◼︎その他の原因…腫瘍、ポリープなどが鼻腔を塞いでいる
【鼻に抜けている声:開鼻声】の原因
口蓋裂、口蓋の動きの麻痺、鼻咽頭閉鎖不全などが考えられます。口蓋裂は口蓋の発達が不完全であり、唇や上顎が裂けた状態になる先天性異常の一つです。通常は乳幼児期に発見され手術で治療します。
鼻声の治し方:原因に合わせて鼻声をなおす
原因となる病気の治療
閉鼻声と開鼻声どちらの鼻声も、病気が原因で鼻声を引き起こしている場合は病気の治療が必要です。原因となる病気を改善しない限り、鼻声を治すことはできません。鼻づまりの原因が不明な場合は、一度耳鼻科で診察を受けることをお勧めします。
鼻づまりの改善
病気が原因ではない「鼻づまりの声:閉鼻声」の場合、鼻づまりを直すことで鼻声が改善する可能性があります。ご自宅でできる鼻づまりの解消方法をご紹介します。
◼︎お風呂でリラックス
お風呂に入り、身体を温めると血行が良くなって鼻づまりが解消されることがあります。お風呂に入る以外にも、蒸しタオルを利用するのもよいでしょう。
◼︎鼻づまりに効くツボ
睛明(せいめい)
目頭と鼻の付け根の骨との間のツボ。疲れ目のときに思わず押さえてしまう場所です。指の腹で押し込むように刺激します。
鼻通(びつう)
鼻の左右にあり、鼻の長さの真ん中あたりのくぼみにあるツボ。指の腹でやや強めに押します。
迎香(げいこう)
小鼻の左右のくぼみにあるツボ。鼻通の少し下にあります。強めに押します。
◼︎鼻洗浄のススメ
鼻洗浄は、花粉や風邪による鼻づまり・鼻水などのトラブルの原因となる、鼻腔内の花粉・ハウスダスト・雑菌などを取り除きます。
体液のバランスと大きく異なる液体で鼻洗浄をすると痛みや刺激を感じやすいため、市販されている生理食塩水点鼻液などを使用するとよいでしょう。
おわりに
病気が原因で鼻声が発生している場合は、自然に治ることはありません。耳鼻科を受診して適切な治療を行いましょう。病気が原因でない場合、日常生活に支障が無ければ、鼻声をそのままにしていても問題はありません。
普段は、他人に自分の声がどう聞こえているか意識することは、なかなか無いかもしれません。たまに自分の声に、意識を向けてみてはいかがでしょうか。