インフルエンザの流行時期である12月〜3月が近づいてきたり、その時期に熱が出たり頭痛があると、風邪の症状なのかインフルエンザの症状なのか判断が難しい事があります。
インフルエンザは感染力が強いため、家族や学校・職場など周りにインフルエンザに感染している人がいる場合は、インフルエンザに感染している可能性が高いといえます。
インフルエンザの初期症状を知り、風邪との違いを知って早期発見につなげましょう。
インフルエンザの初期症状をチェック!
インフルエンザを疑ったら、下記の症状があるかチェックしてみましょう。
□38度以上の急な発熱
□強い倦怠感
□節々の痛み
□筋肉痛
□全身の悪寒
□頭痛
□激しい咳
インフルエンザの特徴は、急激に38度を超える高熱が起こること、くしゃみや咳などの局所症状よりも、全身の痛み・だるさ・筋肉痛が強く症状に出ることがあげられます。
インフルエンザと風邪の症状の違い
一般的な風邪は、さまざまなウイルスが原因で粘膜を通して体内に侵入し、炎症などを起こします。症状は軽いものが多く、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、咳、たん、発熱といった局所症状であることが特徴です。
一方、インフルエンザはインフルエンザウイルスに感染することで起こります。風邪と似たような症状が起こりますが、急激に38度以上の高熱が起こり、つらい全身症状(倦怠感、筋肉痛、関節痛)などが5日間ほど続きます。突然の高熱や全身症状が主な目安となるでしょう。
風邪 | インフルエンザ | |
発熱 | 微熱~38℃程度 | 38~40℃の高熱 ※ただし熱が上がらない場合もある |
主な症状 | 【局所症状】 くしゃみ、咳、鼻水、鼻づまり |
【強い全身症状】 倦怠感、筋肉痛、関節痛 |
発病 | ゆっくり | 急激 |
悪寒 | 弱い | 強い |
咳 | 出る | 激しい咳が出る |
頭痛 | 軽い | つらい |
鼻水 | 初期によく出る | 後期によく出る |
筋肉痛・関節痛 | 軽い | つらい |
発症時期 | 1年中 | 12〜3月 |
完治まで | 3日〜1週間ほど | 1週間ほど |
※表はあくまで目安であり、症状には個人差があります。少しでもインフルエンザが疑われる場合は病院を受診しましょう。
インフルエンザA型とB型の症状に違いはある?
インフルエンザとして毎年流行するものには、A型とB型があります。基本的な症状は同じですが、多少の違いがあります。
A型 | B型 | |
時期 | 12月〜3月 | 2月〜3月 |
症状 | 【強い全身症状】 ・倦怠感 ・関節痛 ・筋肉痛 【つらい局所症状】 ・激しい咳 ・のどの痛み ・つらい頭痛 ・鼻水 など |
・基本的にはA型と同じ ・下痢・吐き気などの消化器症状が多い傾向 |
発熱 | 急な発熱 (38~40℃の高熱) |
熱が上がらないことも多い |
治療薬 | タミフル、リレンザ、イナビル | ・リレンザがやや有利との報告もある ・A型に比べてタミフル、イナビルがやや効きにくい |
※症状には個人差があるため自己判断せず、インフルエンザが疑われる場合は医師の診断を受けるようにしてください。
熱が出ないケースに注意!
インフルエンザに感染しても、熱が出ないケースがあります。
インフルエンザに感染していても熱が出ない理由としては、下記の原因などが考えられます。
・B型インフルエンザに感染している
・風邪薬・解熱鎮痛剤を飲んだ
・インフルエンザの予防接種をした
・高齢者である
熱が出ていないからといって、必ずしもインフルエンザではないわけではありません。
インフルエンザで熱が出ない場合の詳しい情報は、関連記事をごらんください。
インフルエンザの症状は年によって違う?
インフルエンザウイルスは毎年変異を繰り返しており、毎年流行する種類が変わります。「2016年/2017年」と「2017年/2018年」では流行するインフルエンザウイルスは種類に違いがあるということです。
毎年変異するインフルエンザウイルスの種類によって症状が変わるかというと、そこまで大きく変わることはありません。
ただし、年齢や持病の有無、妊娠中かどうかによって、症状の重い・軽いが変わることがあります。子どもや高齢者、喘息や糖尿病などの方、妊娠中の方はインフルエンザによる合併症などのリスクが上がるといわれています。インフルエンザ流行シーズンには予防対策を立てることが重要となります。
また、まれにですがインフルエンザウイルスに大きな変異が起こることがあります。新型インフルエンザウイルスと呼ばれ、今まで感染したことのないウイルスに体が対応しきれず、症状が重くなってしまう傾向があります。しかし、新型インフルエンザがいつ流行するかは予測がつきません。
一般的なインフルエンザにしろ新型インフルエンザにしろ、感染や重症化を防ぐためには予防をすることがなによりも大切です。
インフルエンザの予防については、関連記事をごらんください。
インフルエンザの検査方法
インフルエンザの検査の種類にはいくつかありますが、最近主流となっているのが「迅速診断キット」の使用です。この検査の特徴はすぐに結果が出ることで、検査にかかる時間は15分程度です。(診察や会計には別に時間がかかります。)
迅速診断キットでは、長い綿棒のような器具で鼻や喉をぬぐい、採取した体液にインフルエンザウイルスがいるかどうかを調べます。インフルエンザの感染の有無だけでなく、インフルエンザのA型・B型どちらに感染しているのかも判定することができます。
検査のタイミング
発熱後間もないと、インフルエンザに感染していてもウイルスの数が少ないため、検査で陰性になることがあります。
発症後12時間を過ぎると、迅速診断キットで判定できる量までウイルスが増殖します。何度も検査を受けなくてもいいように、インフルエンザの検査は発症してから12時間以上が経過してから受けることをおすすめします。
ただし、病院で処方されるインフルエンザの治療薬(タミフル、イナビル、リレンザなど)は、発症後48時間以内に服用しないと、その効果が正しく得られません。
したがって、発症してから12時間〜48時間に検査を受けるのがベストといえます。
検査料金
インフルエンザの迅速検査キットは健康保険が適用されるため、自己負担は3割になります。3割負担の場合、どの病院でもだいたい共通して2000円弱といわれています。この料金には初診料も含まれています。
診断が確定したらその場で治療薬も処方されるので、薬代や処方料も加算されます。
検査の料金は随時変動する可能性があるのでご注意ください。心配な場合は事前に問い合わせることをおすすめします。
インフルエンザの検査に関する情報は、関連記事をごらんください。
インフルエンザの治療
抗インフルエンザ薬
タミフル・リレンザ・イナビルなどの抗インフルエンザ薬は体内のインフルエンザウイルスの増殖をおさえる薬で、症状を軽減する効果があります。飲み薬と吸入薬、点滴、小児用のドライシロップ(粉薬)などがあり、健康保険が適用されます。
インフルエンザウイルスに直接効くのは抗インフルエンザ薬だけです。
発症後48時間以内に治療を受ければ、ウイルスの量が少ないので治療効果を最大限に得ることができます。インフルエンザと疑われる症状があれば、早めに病院を受診しましょう。
解熱鎮痛剤が使われることもある
発熱や痛みはウイルスと体の免疫力が戦っている証拠なので、むやみに熱を下げることはおすすめできません。
しかし、痛みや高熱があまりにひどく、つらくて眠れない時や水分も摂れない時は体力衰弱にもつながるため、症状に応じて解熱剤や鎮痛剤を使用します。
なお、インフルエンザの時には控えた方がよい薬もあるので注意が必要です。
インフルエンザの時に使用できる薬の詳しい情報は、関連記事をらんください。
インフルエンザの合併症に注意
インフルエンザは一般的な風邪に比べて、合併症を患うことが多いので注意が必要です。
特に子どもの場合は大人より合併症にかかるおそれが高く、種類も多いのです。
子どもに多い合併症
【インフルエンザ脳症、中耳炎、熱性けいれん、気管支炎、肺炎】
子どもの合併症で、最もこわいのはインフルエンザ脳症とされています。インフルエンザ脳症は子どもに多い合併症ですが、5際以下の幼児に特に多いので注意が必要です。
毎シーズン100例近い報告があり、死亡率が約30%と高く、後遺症が残ることも少なくありません。
インフルエンザ脳症は進行が早く、発熱から急激に発症することが多くあります。インフルエンザの症状があり、けいれん、意識障害、異常行動などが見られた場合は、早急に病院を受診しましょう。
高齢者に多い合併症
高齢者の場合は、肺炎がインフルエンザによる死亡の主な原因になっています。
高齢者のインフルエンザ肺炎は、インフルエンザに感染したことにより防御能力が落ちてしまい、他の細菌に感染してしまう二次感染が主です。二次感染の原因菌は、肺炎球菌が半分以上の割合を占め、ついでクラミジア・ニューモニエとなっています。
死亡率も高いので、注意が必要です。インフルエンザの症状が出てから1週間しても熱が下がらなかったり、咳などがひどくなってきた場合は、早急に病院を受診しましょう。
おわりに
インフルエンザは合併症を引き起こす可能性もあるため、インフルエンザと思われる症状が出た場合は自己判断はせず、早めに医師の診断を受けて正しい対応をしてもらいましょう。
そして水分を十分に補給し、しっかりとした睡眠をとることが大切です。
また、感染が広がらないようにマスクの装着をして、部屋の換気や手洗いも心がけましょう。