インフルエンザA型の特徴:症状・潜伏期間・B型との違いについて解説

インフルエンザA型の潜伏期間や症状、完治までの期間など、特徴を薬剤師監修のもと徹底解説します。インフルエンザA型とB型の違い、治療に使う薬、2017/2018シーズンの流行状況も掲載。

インフルエンザA型のウイルスの特徴

インフルエンザウイルスは、主に冬に流行するA型・B型と、症状が軽度なC型に分類されます。インフルエンザA型は、インフルエンザウイルスの中でも症状が重く、最も流行しやすいことが特徴です。

インフルエンザA型には144種類の亜型が存在する

インフルエンザA型は、16種類の「ヘマグルチニン」と9種類の「ノイラミニダーゼ」というタンパクの組み合わせによって、144種類もの亜型が存在します。

国内で流行する型は、香港型とよばれる「A/H3N2」と、2009年に発生した「A/H1N1」という型です。ただし、流行するウイルスの割合はその年ごとや地域によって異なります。

インフルエンザA型は新型インフルエンザを引き起こす

インフルエンザA型のウイルスは、毎年小さな変異をしています。過去に存在しなかった新しい形に変異を起こした場合は、抗体を持っている人がいないため、感染が急速に広範囲に広がるという特徴があります。

新しい形のウイルスとして大流行し、国民の生活や健康に大きな影響を及ぼすと判断された場合、「新型インフルエンザ」と呼ばれます。

新型インフルエンザについては関連記事をごらんください。

インフルエンザA型とB型の違い

インフルエンザA型とB型はどちらも例年流行するウイルスですが、以下のような違いがあります。

  A型 B型
変異 変異しやすい あまり変異しない
種類 144種類 2種類
感染対象 人や鳥、豚など 人のみ
発熱 38~40℃の高熱 38℃以下の微熱や平熱の場合もある
消化器症状 出ることもある A型より頻度が多い
喉の症状 やや遅れて激しく出る 出ないこともある

インフルエンザB型の詳細については関連記事をごらんください。

インフルエンザウイルスの種類については関連記事をごらんください。

A型とB型同時に感染することはある?

インフルエンザA型に感染しても、インフルエンザB型のウイルスに対する抗体はできないため、同じシーズン中にインフルエンザA型とB型の両方に感染することは十分に考えられます。

また、A型とB型同時に感染することもごくまれにありますが、通常はA型とB型の流行時期が異なるため、同時に感染することはほとんどありません、

予防接種について

インフルエンザ予防接種を受けると、感染のリスクを軽減したり、感染時の重症化をおさえる効果が期待できます。特に、重症化しやすい妊婦や子ども、高齢者などは早めに予防接種を受けること推奨されています。

2017/2018シーズンのインフルエンザワクチンは以下のとおりです。

A/Singapore(シンガポール)/GP1908/2015(IVR-180)(H1N1)pdm09
A/Hong Kong(香港) /4801/2014(X-263)(H3N2)
B/Phuket(プーケット)/3073/2013(山形系統)
B/Texas(テキサス)/2/2013(ビクトリア系統)

昨年に引き続きA型2種、B型2種のワクチン株が含まれています。

インフルエンザA型の潜伏期間

インフルエンザウイルスに感染した場合、高熱などの症状がでるまでに1~3日程度の潜伏期間があります。

インフルエンザウイルスは増殖力が強く、体内に入り込むと短時間で増殖し、引き起こします。

インフルエンザA型は潜伏期間中もうつる?

インフルエンザA型は、症状が出ていない潜伏期間でも他人にうつるおそれがあります。

そのため、身近にインフルエンザに感染者がいる場合は、症状が出ていなくても体内にウイルスが潜伏している可能性があります。インフルエンザシーズンに外出などをする際は、マスク着用を徹底し感染拡大の予防に努めましょう。

インフルエンザA型の感染経路

インフルエンザA型のウイルスは感染力が強く、毎年全国的に流行が広がり、多くの人が感染します。

インフルエンザA型の感染経路は、主に飛沫感染と接触感染です。ウイルスに感染するのを防ぐために、インフルエンザのシーズン中は人ごみの多い場所を避け、外出の際にはマスクを着用するなどの予防対策が必要です。

飛沫感染 感染者の咳やくしゃみによる水滴(飛沫)から感染。最も多い感染経路。
接触感染 飛沫がついた物品や手に触れ、その手で口や鼻、目を触ることによる感染。

インフルエンザA型の症状は?

初期の主な症状

インフルエンザA型に感染すると、初期段階から「悪寒」「高熱」「体の痛み」の症状が現れます。

インフルエンザウイルスが体内に侵入すると、体内の免疫機能は熱を発してウイルスの増殖を抑えようとします。インフルエンザで高熱がでることは体の自然な免疫反応ともいえます。

悪寒 ・風邪以上に激しい傾向
・発熱時に出ることもある
・さらに熱が上がる可能性
高熱 ・38~40℃の発熱
・子どもの熱性のけいれんに注意
体の痛み ・強い筋肉痛や関節痛
・成人に多い傾向

下痢・吐き気・嘔吐

下痢や吐き気、嘔吐といったお腹の症状が現れるのは、インフルエンザB型に多い傾向です。しかし、場合によってはインフルエンザA型の症状としてお腹の症状が現れることもあります。

咳・喉の痛み

発熱や関節痛が落ち着いたあと、咳や喉の痛みなどの症状が出ることが多くあります。咳の症状は激しいことが多く、長引きやすいのが特徴です。

咳が1日中止まらないこともあり、睡眠不足や体力消耗の原因になるおそれもあります。インフルエンザ感染中に気管支炎などを併発していることもあるため、熱が下がっても症状が続いているかどうか注意しましょう。

鼻水・鼻づまり

鼻水・鼻づまりなどの症状は、喉の症状と同様に発熱などが落ち着いたあとに現れる傾向があります。インフルエンザ感染中に副鼻腔炎(蓄膿症)などを併発したことが原因になっていることもあります。

そのほかの症状(頭痛・目の痛み)

インフルエンザのウイルスが体内に侵入した際に放出される「プロスタグランジン」という物質が、頭痛を引き起こすことがあります。

同様に、プロスタグランジンによって目の痛みを引き起こすこともあります。

重症化や合併症について

インフルエンザA型に感染しているときは体力が落ちて免疫力も弱まっているため、さまざまな合併症を起こす危険性があります。

特に注意したいのが、肺炎やインフルエンザ脳症です。

妊婦や乳幼児、65才以上の高齢者は、重症化や合併症を引き起こしやすい傾向があるため、インフルエンザが疑われたら早めに病院を受診し適切な対処を行いましょう。

インフルエンザウイルスの合併症については関連記事をごらんください。

インフルエンザA型の完治までの期間

激しい症状がでる期間はおよそ3日間

インフルエンザA型による高熱や体の痛みといった激しい症状は、発症から約3日間程度続きます。

熱が下がり始めると、悪寒や関節痛などの症状も落ち着きます。

完治にかかる期間は1週間が目安

熱以外の、喉をはじめとした局所的な症状がおさまるまでは、5~7日程度かかるのが一般的です。

インフルエンザA型が完治するまでは、1週間程度が目安になります。ただし、無理をして十分な休養をとらなかった場合や、病院に行かずに抗インフルエンザ薬を使用しない場合は、完治までさらに時間がかかることもあります。

1週間経っても発熱や関節痛、激しい咳などがおさまらない場合は、合併症を引き起こしているおそれがあるため、早めに病院を受診しましょう。

いつから外出できる?

インフルエンザウイルスは熱が下がった後も数日は体内に生存しています。周りへの感染を防ぐためにも、熱が下がり症状が落ち着いてからも1、2日は外出を控えましょう。

インフルエンザA型の治療

治療の基本は安静と医療機関の受診

インフルエンザが疑われる症状がでたら、インフルエンザの確定診断のために検査を受けましょう。発熱直後はウイルスの増殖が十分ではないため、検査で陰性がでる場合があります。発熱から12時間以上が経過してから検査を受けることが望ましいです。

病院でインフルエンザの検査を受け確定診断がでたら、抗インフルエンザ薬が処方されます。

インフルエンザ治療の基本は、抗インフルエンザ薬を使用し、安静にしてしっかりと休養をとることです。

水分補給

高熱が出ている間は汗を大量にかくため、体内の水分が不足しがちになります。水分はこまめに補給し、脱水症状を防ぎましょう。スポーツ飲料や経口補水液など、体内での吸収率の良いものを選ぶと効果的です。

特に小さい子どもは高熱などにより脱水症状を起こしやすく、体力も消耗しやすいため注意が必要です。

食事

症状の様子をみて、少しずつ栄養を補給しましょう。食欲がないときは、食べやすいゼリー飲料などがお勧めです。

固形のものを食べられるようになってきたら、うどんやおかゆ、豆腐といった胃腸に負担がかかりにくいものからとりましょう。

部屋の換気

感染予防のために、こまめな部屋の喚起を心がけましょう。時間は短くて構いません。できれば1時間に1回程度を目安にしましょう。少なくとも、2〜3時間に1回は空気の入れ替えを行いましょう。

学校・会社への対処

子どもがインフルエンザに感染した場合、『学校保健安全法』によって出席停止となります。発症から5日間経過し、なおかつ解熱した後から2日間を経過するまでの期間は登校できません。

社会人がインフルエンザに感染した場合は、会社の規定に従ってください。

家族がインフルエンザA型に感染した場合は、上司や管理部に相談すると良いでしょう。最近では、家族がインフルエンザA型に感染した際の規定を設けている会社もあります。

インフルエンザの出席停止期間については関連記事をごらんください。

インフルエンザA型で使う薬は?

抗インフルエンザ薬が基本

インフルエンザA型の治療には、インフルエンザの増殖をおさえる効果のある「抗インフルエンザ薬」が使用されます。現在、国内で多く使用されている抗インフルエンザ薬には、飲み薬のタミフル、吸入薬のイナビル・リレンザがあります。どの薬を使用するかは医師の判断によって決められます。

なお、抗インフルエンザ薬は、医療機関を受診しないと入手できません。

タミフル ・飲み薬
・カプセルと粉状のドライシロップがある
リレンザ・イナビル ・吸入薬
ラピアクタ ・点滴
・ほかの薬が使用困難な方に有効

抗インフルエンザ薬の使用時期

抗インフルエンザ薬の効果を最大限に得るためには、発症後の48時間以内に使用することです。ウイルスが完全に増殖しきる前に使用することで、一般的に発熱の期間が1~2日間短縮され、ウイルスの排出量も減少します。

ただし、発症後48時間以上経過したからといって、効果が全くなくなるというわけではありません。発症から時間がたっていても、病院を受診して医師と相談しましょう。

使用上の注意点

抗インフルエンザ薬は、処方された分をしっかりと飲み切りましょう。

発熱や体の痛みなどの激しい症状が落ち着くと薬を飲むのをやめてしまう方もいますが、体内にはまだインフルエンザA型のウイルスが残っています。

独断で薬の使用を中断すると、咳などの症状が長引く原因になってしまいます。最後まで薬を使用することで、体内のウイルスを減らし、周囲への感染を防ぐこともできます。

解熱剤などの市販薬は飲んでもいいの?

インフルエンザA型に対し、市販薬を自己判断で服用することは危険です。市販の解熱剤や風邪薬を使用するときは、特に注意が必要です。薬の成分によってはインフルエンザ脳症などの合併症を引き起こすおそれがあります。

インフルエンザのときの市販薬の使用については関連記事をごらんください。

2017/2018のインフルエンザA型の流行状況

2017年10月末現在、すでに全国で100校以上で学級閉鎖が行われています。

東京都感染症情報センターによると、2017年11月現在、AH3亜型(A香港型)と2009年に発生したH1N1型の感染が確認されています。

今後、インフルエンザA型の流行ピークである1月〜3月にかけて感染が広がることが予測されるため、十分に注意してください。

2017年のインフルエンザによる学級閉鎖については関連記事をごらんください。

さいごに

高熱をはじめとした激しい症状が出やすい、インフルエンザA型。毎年のように流行するため、特徴を理解しておくことが大切です。

感染後の対処法もあらかじめチェックしておき、感染の拡大を防ぎましょう。

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