ステロイド使用時のインフルエンザ対策は?予防接種・抗インフルエンザ薬との関係

ステロイドを使用中の場合のインフルエンザシーズンの注意点をまとめて解説!抗インフルエンザ薬は使用できる?インフルエンザの予防接種は受けられる?ステロイドとインフルエンザの関係を薬剤師が解説します!

ステロイド内服中にインフルエンザ予防接種は受けられる?

日本で広く使われている注射のインフルエンザワクチンは、ステロイド薬を使用中でも接種可能な「不活性ワクチン」です。

不活化ワクチンは、細菌やウイルスの病原性を無くし、免疫をつけるために必要な成分を取り出したものです。生ワクチンよりも免疫がつきにくいのが難点ですが、不活化ワクチンによって病気にかかることがない、比較的安全な予防接種の方法です。

ステロイドを内服している場合でもインフルエンザワクチンの接種は可能ですが、ステロイドによって免疫が抑制されているため、ワクチンの効果が通常の方よりは弱まることが考えられます。

しかし、ステロイドを内服している方は免疫の抑制により、インフルエンザの重症化のリスクが通常の方よりも高くなるため、多少ワクチンの効果に影響があるとしてもシーズン前の予防接種が重要とされています。

だだし、ステロイドの長期使用や使用量が多いなどの理由で、医師が予防接種を不適当と判断することもあります。ステロイドを使用している場合は、医師に伝えて相談してください。

生ワクチンのフルミストは使用できない

ステロイドを長期または大量に内服している場合、「生ワクチン」の接種はできません。

生ワクチンは、生きた細菌やウイルスの毒性を弱めたものを接種することによって、疑似的にその病気にかかった場合と同じようになることで免疫をつける方法です。

生ワクチンの場合、ステロイドを服用していると免疫が抑制されているため、ワクチン由来の感染を引き起こすおそれがあるので、一般的にはステロイドの内服が終了した後に実施します。

近年、日本でも使用されることがある点鼻型のインフルエンザワクチンである「フルミスト」は生ワクチンの予防接種にあたります。ステロイドで免疫が抑制されるのは、内服薬や長期間の点滴を使用している方ですが、医師によっても予防接種の可否は変わるため、医師には必ず使用している薬を申告してください。

フルミストについて詳しくは関連記事をごらんください。

ステロイドと抗インフルエンザ薬の併用

インフルエンザの治療には、主にタミフル(飲み薬)と、リレンザ・イナビル(吸入薬)といった抗インフルエンザ薬があります。

ステロイド薬と抗インフルエンザ薬の併用は基本的には問題ありません。

喘息でステロイド吸入薬や気管支拡張薬(β刺激薬)を使用していて吸入薬のリレンザ・イナビルを処方された場合は、使用する順番に注意してください。

①気管支拡張薬(β刺激薬)→②ステロイドの吸入薬→③リレンザやイナビルの順番で吸入しましょう。

いずれもステロイド内服中の場合は、受診時に必ず医師に申告して指示をうけましょう。

インフルエンザと喘息の詳しい情報はこちらをごらんください。

他のインフルエンザ治療薬との併用

インフルエンザのときは、抗インフルエンザ薬だけではなく、解熱剤、抗生物質などが処方されることもあります。また、処方薬だけではなく市販薬でも使用できる薬があります。

基本的には受診時や薬の購入前に医師や薬剤師にステロイド内服中の旨を伝えて、併用の可否を確認してください。

インフルエンザのときに使う薬については関連記事をごらんください。

喘息のステロイド吸入薬を使用しているときの注意

喘息などの呼吸器疾患のある場合、インフルエンザの症状が悪化したり合併症を起こすリスクがあります。

また、喘息でステロイドの吸入薬を使用しているために、免疫が抑制されインフルエンザが悪化したと考えられる場合もあります。

薬を自己判断で中止しない

ステロイド薬は自己判断で使用を中止しないことが大切です。インフルエンザを発症したときに、ステロイド薬の使用を止めると喘息症状の悪化のおそれもあります。

症状の重症化を防ぐためには、かかりつけ医を定期的に受診しながら喘息のコントロールをしっかり行い、発作を起こさない状態を保つことが重要です。

喘息以外の場合でも自己判断でステロイドを中止しないでください。

インフルエンザの予防

ステロイドを使用している方は何よりインフルエンザの予防をして、インフルエンザにならないことが重要です。

インフルエンザの予防法として、ワクチンの予防接種はもちろんですが、その他にも、可能な限り人混みを避ける、外出時はマスクを着用する、手洗いの習慣をつけることをおすすめします。

ステロイドでインフルエンザが悪化する?

ステロイドの内服薬や点滴の副作用のひとつとして、長期または大量に使用することで免疫が過度に抑制され感染症にかかりやすくなることがあげられます。

インフルエンザは感染症の一つであり、さらにインフルエンザウイルス以外の細菌による二次感染なども起こるおそれもある病気です。

インフルエンザでは、症状の重症化や合併症を引き起こしやすい方を「ハイリスク群」として、特別な注意喚起がなされています。「ステロイドの内服などによる免疫不全状態の患者」もハイリスク群の一つとして定められています。

・65歳以上の高齢者
・妊婦
・慢性呼吸器疾患患者(喘息、慢性気管支炎、肺気腫、気管支喘息など)
・慢性心疾患患者
・腎疾患患者(慢性腎不全・血液透析患者・腎移植患者など)
・糖尿病などの代謝性疾患患者
・ステロイドの内服などによる免疫不全状態の患者

塗り薬や吸入ステロイドは問題なし

インフルエンザの悪化などのリスクが上がるのは、ステロイドの「内服」や「長期の点滴」により全身の免疫が抑制されている場合です。

塗り薬や吸入ステロイドは体内に吸収されにくいため、全身の免疫が抑制される心配はありません。

そもそもステロイドとは?

ステロイドは、炎症を鎮めたり異常な免疫反応をおさえる作用があり、さまざまな病気の治療薬として使われています。

ステロイドはもともと体内で作られる成分です。やけどや感染症、アレルギー反応やストレスなどにより、体に強い炎症が起きるとステロイドが多量に分泌され、炎症を鎮めるなどの働きをします。ステロイド薬はステロイドを人工的に作り出した成分で、皮膚疾患や喘息だけではなく、膠原病、腎臓病(ネフローゼ)、関節リウマチなど、免疫系の炎症性疾患のなどの治療に使用されています。

飲み薬であれば「プレドニン」や「プレドニゾロン」といったものがあります。

おわりに

ステロイドは効果が高い治療薬ですが、使用方法をあやまると副作用や悪化につながるため、日頃から注意点を知っておくことが大切です。

ステロイドの内服中は免疫力が低下しているため、特にインフルエンザのシーズン中は、過労やストレスにも注意し、十分な睡眠と栄養を心がけ、手洗い・マスクの着用など、日頃の感染予防対策が重要ですね。

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