唇は外界に接している組織の中でも敏感でデリケートな箇所です。

自分に合っていないリップクリームを選んだり、使用方法が間違っていたりする場合は、唇の荒れなどを引きおこすおそれもあります。
現役薬剤師がリップクリームの正しい選び方・使い方を解説します。

リップクリーム選びのポイント

使用する目的で選ぶ

市販されているリップクリームは、大きく医薬品・医薬部外品・化粧品の3つに分類されます。

医薬品は厚生労働省から有効成分の効果を認められています。効果を期待し、しっかり治療したいという方は医薬品を選択しましょう。

医薬部外品は、同じく厚生労働省から認められた成分が含まれており、「薬用」とうたわれているタイプです。配合量に規制があり、症状の防止目的で使用されます。

化粧品は、効能・効果は認められておらず、パッケージなどに表示することができません。清潔にする、美化する、魅力を増すなどの目的で使用されるものです。

容器の形で選ぶ

自分にあったリップクリームを見つけるためには、使い勝手も重要なポイントとなります。

もっとも定番となるのがスティックタイプです。他にもジャータイプや、ハンドクリームのような容器に入ったチューブタイプのリップクリームもあります。

スティックタイプやチューブタイプのリップクリームは、口紅のように直接唇に塗る事ができますが、ジャータイプのリップクリームは、一度指先や綿棒につけて唇に塗るという使用方法となります。

スティックタイプのリップクリームは固形に対し、ジャータイプや、チューブタイプのリップクリームは、軟膏のようなテクスチャーとなっているため、唇に良く馴染むのが特徴です。

成分で選ぶ

乾燥していたり荒れている唇に対するリップクリームの成分はいくつかあります。

成分の分類 成分 効果

保護成分

白色ワセリン

唇を保護し刺激から守る

修復成分

アラントイン

カサカサ荒れた唇の修復をうながす

抗炎症成分

グリチルレチン酸

ステロイド

炎症をおさえる

殺菌成分

セチルピリニジウム

感染を防ぐ

ビタミン群

ビタミンB2

ビタミンB6

パンテノール

ビタミンE

主に新陳代謝を促し、唇の健康を維持する

清涼成分

メントール

清涼感をあたえる

化粧品のなかには保湿成分やUVカット成分を配合している商品もあります。

メーカーが独自で開発した成分などもあるため種類が多く、配合成分のみで、商品を選択することは簡単ではありません。

症状で選ぶ

軽度の乾燥で炎症や痛みなどがない場合は、保湿成分が含まれた化粧品やワセリンを塗るだけで十分です。乾燥は放っておくと重症化するので、念入りなケアが求められます。

乾燥が進み、赤みがさしたり、亀裂が入って痛みがある場合は、修復成分や抗炎症成分が含まれている市販薬を積極的に使用することが望ましいです。

薬剤師が選定したおすすめリップクリーム

クチピアLip(医薬品)

クチピアにはアラントイン、グリチルレチン酸、ビタミンE、ビタミンB6、パンテノールが有効成分として配合されています。製品に記載されたQRコードを読み取ることで、薬剤師に無料チャット相談ができ、使用後の悩みも気軽に相談できます。基剤にワセリンが含まれているので唇を保護してくれるのも嬉しいポイントです。

メンソレータムメディカルリップb(医薬品)

メンソレータムメディカルリップb

メンソレータムメディカルリップbはジャータイプのリップクリームです。ビタミンB6、ビタミンE誘導体、アラントイン、グリチルレチン酸、セチリピリジニウム塩化物水和物を配合し、dl-メントールが入っているため、塗ったあとに清涼感を得たい方におすすめです。

デンタルピルクリーム(医薬品)

デンタルピルクリーム

デンタルピルクリームはステロイド成分が含まれている医薬品です。唇の炎症がひどく、悪化しがちな症状に使います。ステロイドと聞くと副作用を心配する方もいるかもしれませんが、適切に使用すれば高い効果を得ることができる優れた成分です。

チューブタイプで、薄く伸ばすようにして使用してください。

メンソレータム ディープモイスト リップスティック(医薬部外品)

【医薬部外品】メンソレータム ディープモイスト リップスティック 無香料 4.5g

三大保湿成分のひとつ、ヒアルロン酸を配合。UVカットなので日差しの強い季節も紫外線からしっかり唇を守ります。

乾燥が進み皮膚のバリア機能が低下した唇に対して紫外線は大きなダメージの原因になります。炎症を引き起こし皮がむけたり、赤く腫れるおそれがあります。日差しの強い夏場あたりはUVカットリップが重宝するでしょう。

ベビーワセリンリップ(化粧品)

健栄製薬 ベビーワセリンリップ リップクリーム 10g

ベビーワセリンリップは白色ワセリンを主成分としています。チューブタイプであるため唇全体に伸ばすのも簡単です。無香料、無着色、パラベン(防腐剤)フリーなので、赤ちゃんや肌が敏感な大人の方にも安心です。

リップクリームの適切な塗り方

塗る前に唇を清潔にする

塗る前に必ず唇の汚れを拭き取りましょう。汚れが残ったままリップクリームを塗ると、雑菌が繁殖し唇に悪影響を及ぼすおそれがあります。

塗る方向

リップクリームを塗る時は、唇の縦線に合わせて縦向きに塗るのがポイントです。
この流れに反ったほうが、線の間まで塗ることができ、保湿効果を高めて横塗りの余計な摩擦を避けることができます。

少し温めてから塗る

スティックタイプのリップクリームは薬剤が冷えて固まったものより体温などで少し温めてから使用すると馴染みやすいでしょう。

リップクリームを手でにぎり、数秒温めてから使用してください。

塗るタイミング・頻度

入浴後や乾燥した室内にいる際は、ワセリンのリップクリームを塗ることで水分の蒸発を防ぐことができます。他成分のリップクリームには、決められたタイミングは特にないので、気づいた時点でかまいません。

1日に何回も塗って効果が上がるわけではないので、適度な回数を守って使用しましょう。

塗りすぎると症状が悪化するおそれもあるので注意が必要です。

おわりに

成分や形状も多様なリップクリームの中から、自分に合った商品を選ぶのはしっかりした知識を持つことが大切です。

デザインや宣伝に惑わされず、用途・目的を明確にしてから購入することで充実したセルフケアに結びつけましょう。