生理中のナプキンによるかぶれ・かゆみの原因
生理になるとデリケートゾーンがかぶれて、かゆみや腫れ、痛みなどつらい思いをしている方もいるでしょう。
デリケートゾーンは身体の中でも皮膚がとても薄く、ムレや摩擦などで炎症を起こしやすくなっています。
生理中のデリケートゾーンのかゆみの主な原因は、ナプキンによるかぶれです。
ナプキンによるデリケートゾーンのかぶれは、次のような原因で起こります。
経血や汗による蒸れ
ナプキンに吸収された経血や汗でデリケートゾーンが蒸れると、皮膚がふやけて刺激を受けやすくなります。そうすると、デリケートゾーンが炎症を起こし、かぶれが生じます。
生理2日目などの経血の多い時に、おしりまで覆う形の大きなナプキンをつけると、かぶれがおしりにまで広がってしまうこともあります。
摩擦
歩いている時やスポーツをしている時などにナプキンやおりものシートがデリケートゾーンに擦れ、摩擦が刺激となってかぶれることがあります。
生理前のかゆみは膣カンジダ症の可能性も?
デリケートゾーンのかゆみが生理中だけではなく、生理前からかゆいといった場合は、おりものの状態もチェックしてみてください。
生理前はホルモンバランスが変化することで、膣内の酸性レベルが変わり、カンジダ菌が増えやすくなります。次のように陰部の強いかゆみやおりものの変化が見られる時は、膣カンジダ症の可能性も考えられます。
膣カンジダ症の主な症状 |
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・外陰部の腫れや強いかゆみ ・チーズや酒かすのような白いおりものの増加 |
膣カンジダ症と疑われる症状が初めて出た場合は、他の細菌などによる炎症など類似した疾患の可能性もあり、自己判断が難しいため、病院の受診が必要となります。
ただし、症状が膣カンジダ症と特定できる場合で、2回目以降であれば、市販の膣カンジダ再発治療薬を使うことができます。
膣カンジダ症に使える市販薬については、別記事で詳しく解説しています。
ナプキンかぶれの症状別にみる市販薬の選び方
生理中のナプキンによるかぶれは、かゆみだけではなく、かゆみを感じてかくことで、皮膚が傷ついて痛みや腫れが生じたり、ブツブツができるなど炎症を生じることもあります。
市販薬を選ぶ際は、それぞれの症状に適した成分が含まれた薬を選びましょう。
ナプキンかぶれの症状 | 主な成分 |
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かゆい | かゆみ止め成分 |
ヒリヒリして痛い 腫れている おしりにもブツブツがある |
抗炎症成分 |
ナプキンかぶれに効く市販薬
ナプキンかぶれに効く市販薬は、成分のほか、剤形・使用感を軸に好みや使用するシーンに応じて選びましょう。
たとえば、手軽に塗り広げたい方は伸びが良いクリームタイプ、患部に触れずに使用したい方はスプレータイプを選ぶとよいでしょう。
下で紹介しているいずれの薬も、ステロイドは配合されておりません。
デリナースクール
デリナースクール【第二類医薬品】
剤形 | クリーム | |
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成分 | リドカイン ジフェンヒドラミン塩酸塩 |
かゆみ止め成分 |
イソプロピルメチルフェノール | 殺菌成分 | |
トコフェロール酢酸エステル | 血行促進成分 | |
l-メントール | 清涼成分 |
デリナースクールは、2種類のかゆみ止め成分に加え、殺菌成分が患部の細菌の繁殖を防ぎます。そのほか、血行促進成分が患部の回復を早めます。
また、清涼成分が入っているため、塗るとスーッとします。クール感がお好みの女性の方にもお使いいただけます。
デリケアb
デリケアb 15G【第三類医薬品】
剤形 | クリーム | |
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成分 | ジフェンヒドラミン | かゆみ止め成分 |
イソプロピルメチルフェノール | 殺菌成分 | |
グリチルレチン酸 | 抗炎症成分 | |
トコフェロール酢酸エステル | 血行促進成分 |
デリケアbは、弱酸性のクリームです。
かゆみ止め成分のほかに抗炎症成分が含まれているため、赤みや腫れ、ヒリヒリなどの炎症症状にも効果を発揮します。
メンソレータム カブレーナ
メンソレータム カブレーナ 15G(第2類医薬品)【第二類医薬品】
剤形 | クリーム | |
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成分 | ウフェナマート グリチルレチン酸 |
抗炎症成分 |
ジフェンヒドラミン | かゆみ止め成分 | |
トコフェロール酢酸エステル | 血行促進成分 | |
ベンゼトニウム塩化物 | 殺菌成分 |
メンソレータム カブレーナは、2種類の抗炎症成分が含まれた薬です。
「尿かぶれ」とありますが、生理中のナプキンかぶれの症状にも使えます。
ナプキンのムレによるかゆみだけではなく、痛み・ヒリヒリ・ブツブツなどの炎症症状がある人にもおすすめです。
フェミニーナミスト
フェミニーナミスト携帯用 15ML(第2類医薬品)【第二類医薬品】
剤形 | スプレー | |
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成分 | ジブカイン塩酸塩 ジフェンヒドラミン塩酸塩 |
かゆみ止め成分 |
ベンゼトニウム塩化物 | 殺菌成分 |
フェミニーナミストには、2種類のかゆみ止め成分や、雑菌の繁殖をおさえる殺菌成分が含まれています。
シュッとひとふきでケアできるため、外出先でも手を汚さずに使えます。また、さっぱりした使用感で、逆さまにしても使えます。
ナプキンかぶれに効く市販薬に関するQ&A
Q デリケートゾーンにステロイドは使える?
A 皮膚のかゆみによく使われるステロイド外用薬は、薬によって強さのランクが分かれています。ランクによってはデリケートゾーンに使用ができない薬もあり、使用する薬のランクや部位を誤ると、副作用が出るおそれがあります。
医師の指導の元であれば使用ができますが、ご自宅でのセルフケアとして陰部に市販薬を使用する場合は、ステロイド無配合の薬をおすすめします。
Q 膣内の粘膜に塗ってもよい?
A 粘膜部分は薬剤の吸収がよく、作用が強くあらわれるおそれがあります。膣内や膣の入り口、小陰唇などの粘膜部分には薬が付かないようにしましょう。
また、膣内がかゆい場合やおりものの状態がいつもと違う場合は、適切な治療を受ける必要があるため、医師の診察を受けることをおすすめします。
Q 用法・用量は1日数回とありますが、何度も塗り直さないといけないですか?
A 日中は衛生面が気になるために、塗り直しに抵抗のある方もいるでしょう。
抵抗のある方は、朝出かける前や、夜お風呂に入った後などでまずは1日2回試してみてください。それでもかゆみなどの症状が気になるときは、トイレで経血をよくふき取った後、患部を清潔にしてからのご使用をおすすめします。
Q ナプキンかぶれにワセリンを塗ってもよい?
A ワセリンには、デリケートゾーンの今あるかぶれやかゆみを緩和する効果はありませんが、症状が改善した後のケアや、皮膚を守る目的でワセリンを使うことはできます。
ワセリンは、保湿剤の一種で、経血や摩擦による刺激から皮膚を保護する働きが期待できます。
Q ナプキンかぶれにリンデロンは使えますか?
A リンデロンは、病院で処方される処方薬と、薬局やドラッグストアで買える市販薬の2種類があります。
デリケートゾーンは他の部位よりも皮膚が薄く、薬の吸収率も比較的高くなります。また、リンデロンにはステロイドが含まれているため、自己判断で使用できる市販薬は、副作用が生じるおそれを考慮すると、使用はおすすめできません。
ただし、病院で処方されたリンデロンなどのステロイド外用薬は、患者さん一人一人の皮膚の状態や症状に合わせて処方されているため、陰部に使う際は医師の指示に従いましょう。
Q ナプキンでおしりもかぶれているのですが、オロナインは使えますか?
A オロナインに含まれる成分は、殺菌・消毒成分のみであり、かゆみやかぶれをおさえる効果はありません。ナプキンかぶれには、かゆみ止めや抗炎症成分などが含まれた市販薬の使用をおすすめします。
ナプキンかぶれの対処法
生理中のデリケートゾーンのかゆみは、市販薬の使用と合わせて、日々の生活にムレ・かぶれを防ぐ工夫を取り入れてみましょう。
ナプキンはこまめに変える
生理中にナプキンを長時間取り替えずにいると、蒸れた状態が長時間続いて雑菌が繁殖し、デリケートゾーンのかぶれやかゆみを引き起こします。
最近のナプキンは性能が良く、長時間つけても経血が漏れにくい商品も多いですが、裏を返せばナプキンの中がムレやすいということにも繋がります。
生理中、陰部がよくかぶれるという方は、長時間用のナプキンは避けた方が良いでしょう。経血が多い時は、2〜3時間に一度はナプキンを取り替えてください。
ナプキンの素材を選ぶ
ナプキンでかぶれる方は、塩化ビニルなどの化学繊維が使用されているものは避け、肌に優しいコットンタイプの物を選ぶと良いでしょう。
オーガニックコットン100%でつくられたナプキンもおすすめです。
タンポンや月経カップの使用
「ナプキンをこまめに取り替えても、素材が良いものを選んでも、どうしてもデリケートゾーンがかぶれる!」という方は、タンポンや月経カップなどデリケートゾーンに触れないグッズの使用を検討してみてもよいかもしれません。
デリケートゾーンは優しく洗う
デリケートゾーンを清潔にしようと力強く洗ってしまうと、摩擦や乾燥によって皮膚のバリア機能が低下し、かぶれを引き起こしやすくなります。経血などで汚れたデリケートゾーンを清潔にすることは重要ですが、力強くゴシゴシ洗うことは避け、優しく撫でるように洗うようにしましょう。
デリケートゾーンを洗うときは皮膚を傷つけないように、以下のことも意識してみてください。
- 石けんやボディーソープを直接塗ると、刺激により炎症が強くなることがあるため、泡立てたものでやさしく洗う
- しわの間や裏側など汚れのたまりやすい場所は、しわを広げながらできるだけ丁寧に洗う
- 前方を先に、肛門は最後に洗う
- 膣の中には有用な常在菌がおり、自浄作用があるため膣の中までは洗わない
生活習慣を整える
睡眠不足・食生活の乱れ・ストレスなどは、皮膚の抵抗力を低下させてしまい、かぶれを引き起こしやすくなります。
生理期間は、ホルモンバランスが乱れることで体調を崩しやすくなるため、食事・睡眠などの生活習慣を整えることを意識してみましょう。
市販薬の使用上の注意|治らない場合は病院へ
市販薬を使用する際は、添付文書に記載された使用期間や用法・用量を守りましょう。
使用期間を過ぎても症状がよくならない場合や、おりものや皮膚の状態などで気になる症状がある場合は、適切な治療を受ける必要があるため、なるべく早く産婦人科や皮膚科を受診してください。