子供(1歳〜15歳未満)の虫刺されの症状は大人に現れる症状と若干異なります。
また、同じように、子供に使用できる虫刺されの市販薬も大人とは異なるため、大人が使用するものをそのまま使用しないように気をつけましょう。
この記事では、子供が使用できる虫刺されの市販薬について詳しく解説します。
なお、赤ちゃん(1歳未満)に使用できる市販薬は子供とも異なります。
赤ちゃんの虫刺されに使用できる市販薬について、詳しくはこちらの関連記事をごらんください。
市販薬を使用する前に|こんな場合は病院を受診
虫に刺されると、腫れ・発疹・かゆみ・痛みなどの症状が現れます。
虫刺されは基本的には自然治癒したり、市販薬を使用することで症状をおさえたりすることができますが、症状や刺された虫の種類によっては病院での治療が必要な場合もあります。
すぐに病院を受診すべき場合
虫に刺された後に次のような症状がある場合は、速やかに近くの病院を受診してください。
・ハチ、ムカデなど重大なアレルギーを引き起こすおそれのある虫に刺された場合
・ドクガ、チャドクガなどの毒性の強い虫や、マダニなど感染症を媒介する虫に刺された場合
・患部が広範囲で重症の場合
・全身蕁麻疹や気分の不快感がある場合
病院の受診を推奨する場合
虫に刺された後に次のような場合は、市販薬を使わずに病院を受診することをおすすめします。
・かき壊しによって化膿している場合
・38℃以上の発熱、または刺された場所に潰瘍がある場合
・水ぶくれや灼熱感、強い痛みがある場合
・腫れがひどい場合
・市販薬を5〜6日間使用しても症状が改善しない場合
子供の虫刺されの特徴
子供は虫刺されに対して免疫がないため、子供の虫刺されは大人より症状がひどくなりやすい上に、長引きやすい傾向があるのが特徴です。
小さい子供ほど症状が強く現れ、蚊に刺されただけでも1週間程度症状が続くことがあります。
かき壊しにより悪化しやすい
子どもの虫刺されでは、かゆみを我慢できず虫に刺されたところをかき壊してしまうことが多くあります。
かき壊して皮膚が傷つくと細菌が感染し、全身にうつる「とびひ」を発症するおそれがあります。
薬を使用してかゆみをおさえたり、子供の爪の手入れをしっかりとして患部をかき壊さないようにしましょう。
遅延型反応が起こりやすい
虫に刺された後のアレルギー反応は、即時型反応と遅延型反応に分かれます。
即時型反応は、虫に刺された直後から症状が現れて数時間で快方に向かいます。
一方、遅延型反応は、虫に刺されてから1~2日後に症状があらわれ、治るのに数日から1週間程度かかることがあります。
子供の場合、大人に比べて遅延型反応が現れることが多く、虫に刺されて時間が経ってから赤く腫れ上がることがあります。
ただし、アレルギー反応には個人差があり、体質や虫に刺された頻度によって症状の出方は異なります。
子供に使う虫刺されの市販薬の選び方
虫刺されは、症状によって適切な市販薬が異なります。
かゆみなどの症状がかなり軽い場合はステロイド成分を使用していない抗ヒスタミン成分が配合された薬を、かゆみが強い場合は局所麻酔成分が配合された薬を、腫れなどの炎症がある場合はステロイド成分が配合された薬を使用しましょう。
虫刺され用の市販薬を選ぶときは、症状に合わせて、薬に含まれている成分を確認しながら市販薬を選ぶことが大切です。
症状 | 適した成分 |
かゆみ | ・抗ヒスタミン成分 ・局所麻酔成分 |
赤みや腫れ | ・ステロイド成分 |
かゆみには抗ヒスタミン成分・局所麻酔成分
虫刺されでかゆみの症状が強い場合は、抗ヒスタミン成分が配合された市販薬を選びましょう。
抗ヒスタミン成分には、かゆみの原因となるヒスタミンという物質の働きをおさえ、かゆみをおさえる効果があります。
また、かゆみが強く、すぐにかゆみをおさえたい場合は、局所麻酔成分が配合された市販薬がおすすめです。
局所麻酔成分は、抗ヒスタミン成分よりも素早く効くので、早くかゆみを鎮めたい場合におすすめです。
種類 | 成分 |
抗ヒスタミン成分 | ・ジフェンヒドラミン ・クロルフェニラミン |
局所麻酔成分 | ・リドカイン ・ジブカイン |
腫れや痛みなどの炎症にはステロイド成分
赤みや腫れがある場合は、ステロイド成分が配合された市販薬を使用しましょう。
ステロイド成分には炎症を鎮める働きがあり、赤み・腫れ・かゆみ・痛みといった症状を総合的に改善します。
かゆみと腫れなどの炎症の両方の症状がある場合は、ステロイド成分が配合された薬を選びましょう。
ただし、子供の場合は副作用が生じやすいので、使用できるステロイドの強さに注意が必要です。
ステロイドの市販薬は、作用が強い順にストロング>ミディアム>ウィークの3つのランクに分かれています。
目安として、1歳以上2歳未満の子供はウィーク、2歳以上から12歳まではミディアム以下のステロイドを使用してください。
化膿や水ぶくれがある場合は市販薬を使わない
虫刺されで化膿や水ぶくれが生じた場合は、市販薬では対応できないため使用しないでください。
化膿に使える市販薬や、水疱に使える市販薬はありますが、虫刺されが原因の場合は対処が異なるため、市販薬を使用せずに一度病院を受診しましょう。
子供の虫刺されに使える市販薬
軽度の虫刺されであれば、市販の虫刺され薬で症状をおさえることができます。
虫刺されのかゆみには「抗ヒスタミン成分」、赤み・腫れなどの皮膚の炎症には「ステロイド成分」が配合された市販薬が効果的です。
虫刺されの症状にあわせて、子供に使いやすい市販薬をピックアップします。
ミナカラ薬局のピックアップ
特徴 | 市販薬 |
かゆみをおさえる |
液体ムヒベビー ラシュリアPEクリーム |
痛みや腫れなどの炎症をおさえる | ラシュリアPEクリーム |
搔き壊しを防ぐ | ムヒパッチA |
天然成分でかゆみをおさえる | キンカン |
液体ムヒベビー 40ML(第3類医薬品)
生後3か月を目安に使用できる、かゆみをおさえる抗ヒスタミン成分ジフェンヒドラミン塩酸塩と肌の正常な働きを助けるパンテールを配合した液体タイプの薬です。
子供にとって刺激となりやすいメントールやアルコールは含まれていないので、スーッとするのが嫌いな子供にはおすすめです。
ノンステロイドなため、ステロイドを使用したくない方にも使いやすいです。
スポンジヘッドの容器の液体タイプの薬で、手を汚すことなく簡単に塗ることができます。
また、体だけではなく顔にも安心して使用できます。ただし、顔に塗る際は直接ではなく指に少量とって、目や口に入らないよう注意しましょう。
ラシュリアPEクリーム
ミナハダ ラシュリアPEクリームは、炎症による皮膚の腫れ・赤みをおさえるミディアムクラスのステロイド成分「プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル(PVA)」を配合しています。
PVAは、皮膚表面の患部では高い消炎効果を発揮しますが、体内に吸収されると活性が低下して、副作用を起こしにくいアンテドラッグという種類のステロイドです。
そのほか、かゆみをすばやく感じにくくする局所麻酔成分「リドカイン」、患部を殺菌することで悪化を防ぐ消毒成分「イソプロピルメチルフェノール」、皮膚の回復を助ける「トコフェロール酢酸エステル」が配合されています。
l-メントールやカンフルを含んでいないため、スーッとする成分が苦手な方にも使いやすくなっています。
白いクリームタイプですが、塗った後は白く残らずベタつかないため、服を上に着ても張り付きません。服への色移りの心配が少ないのも特徴です。
また、ポーチに入るサイズで持ち運びやすく、パッケージ・チューブのデザインもシンプルです。
キンカン
アンモニア水・l–メントール・d–カンフル・サリチル酸・トウガラシチンキが配合されており、スーッとした清涼感が非常に強く、この清涼感の刺激によってかゆみを鎮めます。
虫刺されに使う場合は、塗って乾いたら、またすぐ上から塗ることを何回か繰り返します。
キンカンは揮発するのが早く、乾く際に患部の熱をとり、スーッとする感覚が非常に高いのが特徴です。
また、透明な液体は塗った後はさっぱりと乾き、独特のにおいも乾くとすばやく消えるため、上から服を着ても薬が付く心配が少ない点も特徴です。
かゆみをおさえる強い成分は入っていないように感じますが、メーカーの金冠堂さんいわく、この独特の成分構成は抗ヒスタミン成分よりも、かゆみが鎮まったという報告もあるそうです。
好みが分かれるため、初めは少しだけつけてあげて様子を見ると良いでしょう。
子供に虫刺され薬を使用する上での注意点
子供に市販薬を使用する場合は、必ず保護者の保護・監督のもとで行いましょう。
使用にあたっては次のことに注意してください。
・ステロイド成分が配合された薬は5〜6日間使用しても症状が改善しなければ病院を受診する
・市販薬を5〜6日間使用しても症状が改善しない場合は、薬の使用を中止して医師、薬剤師または登録販売者に相談する
・目や目の周囲、粘膜には使用しない
・薬を使用して赤みが増す、ピリピリするなどの症状が出たら使用を中止して病院を受診する
また、薬を保管する際は、薬の成分が劣化しないように直射日光の当たらない涼しいところに保管してください。
おわりに
子供の虫刺されは悪化しやすいため、刺されないための予防対策も大切です。
虫刺されを防ぐために、虫の多い場所に行く場合は長袖・長ズボンを着用しましょう。
虫に刺されてしまった場合は、市販薬を使用するなどしてかき壊しによる悪化を防いでください。