カサカサ肌の原因
保水機能の低下
皮膚の一番外側にある皮脂膜と角質層の保水機能が低下することで、皮膚のバリア機能が低下し、皮膚の乾燥につながります。
保水機能の低下の原因は、加齢による皮脂分泌の減少、気温・湿度の低下、体の洗い過ぎなどさまざまなことが考えられます。
乾燥によるカサカサ肌を改善するには、皮膚の保水機能を補うことが重要となります。
皮膚の保水に関わる成分
皮膚は、表皮・真皮・皮下組織で構成されています。皮膚の中でも、特に乾燥に関わるのは表皮と真皮です。
皮膚の一番表面にあるのが表皮です。皮脂膜と角質層から構成され、外部刺激から体を守る機能や、保水機能を持っています。
保水機能には、皮膚からの水分の蒸発を防ぐ皮脂膜以外にも、天然保湿因子やセラミドといった水分をかかえこむような成分が関わっています。
真皮は、コラーゲンやヒアルロン酸、エラスチンといった成分が保水以外に皮膚の弾力やハリ、構造を保つ役割をしています。
自覚症状がある場合は市販薬を
カサカサ肌は、美容クリームなどの日々のスキンケアや生活習慣の改善などで良くなる場合もありますが、カサカサが良くならない場合や、かゆみ・炎症がある場合には、市販薬の保湿剤を使用して治療しましょう。
市販薬の保湿成分には、処方薬のヒルドイドと同じ「ヘパリン類似物質」や、処方薬のケラチナミンと同じ「尿素」が配合された成分などがあります。
乾燥に加えてかゆみがある場合は、保湿成分だけではなく、かゆみ止め成分も含まれた製品を選ぶことをおすすめします。
市販薬が効かない場合は皮膚科を受診
皮膚の乾燥の中でも、感染症・疾患が原因で起こっているものがあります。
5~6日間市販薬を使用しても乾燥・かゆみ・炎症が改善しない場合には、皮膚科を受診しましょう。
ヘパリン類似物質配合の市販薬
ヘパリン類似物質は、吸湿して角層に水分を与える作用があり、持続的な保湿効果があることが特徴です。また、保湿作用だけでなく、血行促進や抗炎症作用もあります。
ヘパリン類似物質が配合された市販薬には乳液タイプ・クリームタイプなどさまざまな剤形があります。
使用する部位や好みの使用感に合わせて薬を選びましょう。
乳液タイプで伸びがよい:ヘパリン類似物質乳状液「JM」
ヘパリン類似物質乳状液「JM」は、伸びがよくしっとりとした使用感で、全身の保湿に適しています。クリームタイプよりべとつきにくく、日中も使いやすい市販薬です。
クリームタイプでカバー力が高い:ヒフメイド油性クリーム
ヒフメイド油性クリームは、クリームタイプの市販薬で、乳液タイプよりも皮膚をしっかり保護することができます。
そのため、乾燥が気になる部位の保湿や、水仕事などで荒れやすい手指の保湿に適しています。
乳液タイプに比べるとややべとつきやすいため、夜寝る前や入浴後などしっかりと保湿をしたい時に使いやすい市販薬です。
尿素配合の市販薬
尿素は角質を柔らかくする作用があるため、皮膚が厚く硬くなっている部位の保湿に適しています。
ただし、傷ができたり皮膚が荒れたりしている場合は、刺激を感じることがあるので注意してください。
処方薬ケラチナミンと同じメーカー:ケラチナミンコーワ20%尿素配合クリーム
ケラチナミンコーワ尿素20%配合クリームは、処方薬のケラチナミンコーワクリームと同じ興和株式会社から販売されており、処方薬と同じく尿素が20%配合された市販薬です。
尿素には角質を柔らかくする作用があるので、かかとなど角質が硬くなった部位の保湿に適しています。
ビタミンE誘導体配合の尿素クリーム:メンソレータムやわらか素肌クリームU
メンソレータムやわらか素肌クリームUは、保湿効果のある尿素だけでなく、血行を促進するビタミンE誘導体や炎症を沈めるグリチルリチン酸モノアンモニウムを配合しています。
皮膚の新陳代謝が落ちてきている高齢者の方に適したクリームです。
かゆみ止め成分配合の市販薬
カサカサしていてかゆみが強い場合には、ヘパリン類似物質や尿素などの保湿成分に加えて、かゆみ止め成分が含まれている市販薬を選ぶこともひとつのてです。
ヘパリン類似物質+かゆみ止め成分配合:ヘパソフトプラス
ヘパリン類似物質に加えて、かゆみ止め成分のクロタミトン・ジフェンヒドラミンを配合。
ヘパリン類似物質配合の市販薬を使用していた方で、かゆみをともなう場合には一時的にかゆみ止め成分の配合されたヘパソフトプラスの使用を検討してもよいでしょう。
尿素+かゆみ止め成分配合:ウレパールプラスクリーム
ウレパールプラスクリームは、尿素に加えてかゆみ止め成分のジフェンヒドラミン塩酸塩と局所麻酔のリドカインを配合。尿素配合の市販薬を使用していた方で、かゆみをともなう場合には、一時的にかゆみ止め成分の配合されたウレパールプラスクリームの使用を検討してもよいでしょう。
なお、かゆみがでている場合には、傷ができたり皮膚が荒れたりしていることが考えられます。尿素は刺激を感じることがあるため、ウレパールプラスクリームでは尿素20%配合ではなく、10%配合となっています。
乾燥によるカサカサ肌の予防
カサカサ肌の予防では、保湿が大切です。
クリームなどで皮膚の水分が蒸発しないように、お風呂上がりや水仕事の後に使用するとよいでしょう。
また、背中など自分では塗りにくい部分や広い範囲がカサカサしている場合には、保湿成分の入った薬用入浴剤を利用することで、皮膚の乾燥を防ぐこともできます。
乾燥の程度や部位に合わせて、医薬品や医薬部外品を効果的に使用しながら乾燥対策を行いましょう。