近年、節電のためにエアコンの温度が高めに設定されている施設が増えたり、猛暑が続いている影響などで、高齢者(65歳以上)のあせもが急増しています。
高齢者の肌は新陳代謝が衰えているため、あせもの炎症から傷が残ったり、色素沈着を起こしてシミになってしまう危険性があります。
あせもの正しい対処方法を理解して、あせもの症状を早めに沈めることが重要です。
あせもの特徴
あせもは、汗の出る管が詰まり汗が皮膚内にたまることで、炎症やかゆみ・皮疹・水ぶくれができるために起こります。
高温多湿の状態で発生しやすく、洋服が密着したり、脇やひじなど皮膚が密接しているところにもよくできます。
汗をかいたまま放置しているなど、夏場以外でもあせもができるおそれがあります。
あせもができやすい箇所
あせもは、汗をかきやすくたまりやすい場所にできやすい特徴があります。
・首回り
・額
・脇や胸まわり
・お腹まわり
・ひじ、ひざの内側、足のつけ根
・お尻
・背中
あせもの症状
あせもには種類がありますが、最も発症しやすい一般的なあせもは「紅色汗疹(こうしょくかんしん)」です。
1〜3ミリ程度の湿疹や水泡ができ、赤くかゆみをともないます。
炎症がひどくなったり、あせもが発生した部位によってはじゅくじゅくした湿疹になります。
患部を掻いて悪化させてしまうと、細菌に感染し、とびひ等に悪化する危険性があるため、早めの治療が必要です。
自覚症状があるため、発症に気づきやすい皮膚疾患といえます。
病院受診の目安
あせもは軽い症状であれば、家庭でできるケアや市販薬の使用で改善することが多くあります。
しかし、症状がひどい場合や掻きむしってしまった場合は、皮膚科への受診が必要です。
あくまで目安ですが、以下のような場合は医療機関を受診しましょう。
・発熱やだるさなどがある
・掻きむしって化膿している
・水疱が現れた
・チクチク、ピリピリする
・かゆみ、痛みが強い
・範囲が広い、または広がっている
・腫れがある、患部が熱をもっている
また持病がある場合も、一度、医師・薬剤師・登録販売者に相談しましょう。
あせもに使える市販薬
軽度のあせもなどであれば、家庭でのケアで改善することも多くあります。
汗をかいたらなるべく早くタオルで優しく拭いたり、シャワーを浴びて汗を流したりなどをして、汗を取り除きましょう。
しかし、かゆみや赤みなどすぐにおさえたい症状には、家庭のケアに合わせて市販薬を使用するのもひとつの手です。
持病がある方・病院で治療を受けている方・ほかの薬を使用中の方は、担当の医師・薬剤師・登録販売者にご相談ください。
持病と市販薬の兼ね合いや、お薬の使い合わせに迷う場合は、薬剤師に無料でオンライン相談できる「薬剤師オンライン医療相談」サービスをご活用ください。
あせもの市販薬
あせものかゆみをおさえたい時は、かゆみをおさえる作用のある「抗ヒスタミン成分」配合の薬を選ぶとよいでしょう。
また、「酸化亜鉛」は患部を乾燥させる助けとなり、より改善が早くなります。
酸化亜鉛と抗ヒスタミン成分を両方配合している市販薬をピックアップして紹介します。
赤みや腫れが強めの場合
炎症がある時や赤みが強い時は、消炎作用が優秀なステロイドを配合した薬を選ぶとよいでしょう。
ベタつきにくいローションタイプのものとクリームタイプのものを紹介します。
化膿をともなうときの市販薬
化膿をともなうあせもに使用できる市販薬は非常に限られていて、「ステロイド」+「抗生物質」の組み合わせが基本です。
感染を起こした細菌に作用し、化膿した部位で菌の増殖を防いでくれます。
ただし、患部を掻きむしって化膿している場合は、市販薬で対応するのではなく皮膚科を受診しましょう。
市販のステロイド配合薬の使用上の注意
市販のステロイド配合薬を使用する場合は注意点があります。
ステロイドを使用する場合は、以下のことに注意しましょう。
長期で連用しない
ステロイド配合の市販薬を、5〜6日使用しても改善がない場合、または悪化した場合は、使用を中止して医師・薬剤師・登録販売者に相談しましょう。
製品によって連続で使用できる期間に違いがあることもあるため、商品の説明書をよく読んで使用してください。
目の周りには使用しない
ステロイドをまぶたなど目の周りに使用すると、眼圧が上がってしまうおそれがあります。
市販薬・処方薬に限らず、医師の指示なしにステロイドを目の周りに使用することは避けましょう。
ラップなどで覆わない
市販のステロイド配合薬を塗った患部を、ラップやフィルムなど通気性の悪いもので覆わないでください。
ラップなどで覆うことで、ステロイドの吸収率が上がってしまい、副作用の原因となるおそれがあります。
市販薬・処方薬に限らず、医師の指示なしにステロイドを塗った患部をラップなどで覆うことは避けましょう。
広範囲に使用しない
副作用を防ぐ面から、広範囲の使用は控えましょう。
あくまで目安ですが、手の平だいたい2枚分を越える範囲に塗り広げないように注意しましょう。
家庭でできるあせもケア
あせもは痛みやかゆみ・炎症がひどくなければ、家庭でもケアが可能です。
軽い症状のあせもであれば、肌の清潔と汗を小まめに拭き取ること、冷房などを利用しなるべく汗をかかないように心がけることで、多くは改善することができます。
シャワーや石鹸で汗を洗い流す
あせもができてしまった場合、まずは皮膚を清潔な状態にすることが重要です。
汗をかきっぱなしにしてしまうと、あせもはなかなか治らず、悪化してしまうおそれもあります。
汗をかいたらシャワーなどを浴び、肌を清潔に保ちましょう。
ただし、石鹸でごしごしと強く皮膚をこすると、肌のバリア機能が失われて炎症を引き起こしやすくなります。たっぷりの泡で優しく洗うようにしましょう。
特に肌が弱い方は、低刺激性の石鹸を使用することをおすすめします。
汗は小まめに拭く
汗をかいたらすぐにシャワーを浴びることができれば良いですが、シャワーを浴びるのにも体力が必要で、何度もシャワーを浴びることは負担になるでしょう。
そこで、汗をかいたら濡れたタオルなどをあてるようにして、小まめに汗を拭き取ってください。
ただし、タオルで肌をこするとかゆみや炎症が悪化するおそれがあるため、汗は優しく拭き取りましょう。
冷房をうまく使う
あせもを早く改善するためには、肌の乾燥を保つことが効果的です。
夏などはエアコンの冷房や除湿などをうまく使用し、汗をかき過ぎないようにしましょう。
エアコンが苦手な方は、扇風機などを使用し汗をおさえましょう。
あせもケアの注意点|ボディパウダーは使える
汗を吸収するボディパウダーやベビーパウダーですが、すでにあせもの症状があるときは、使用を避けましょう。
すでにあせもの症状が現れてしまっている場合にボディパウダーなどを使用すると、汗腺を塞ぎあせもの症状を悪化させるおそれがあります。
おわりに
夏はあせもになりやすく、家庭でのケアが重要になります。
市販薬や医療機関で出された処方薬をただ使うだけでは不十分です。
あせもの予防・治療にはどちらも汗をかいたら、なるべく早くタオルで拭き取る、またはシャワーなどで洗い流すことが大切です。
そのうえで、薬を使うことがあせもを早く治すためのコツです。
それでも、悪化する場合やもともと持病を持っている方は、担当の医師や薬剤師に相談するようにしましょう。