魚の目は皮膚科で治療するべき?
「魚の目」とは、皮膚の角質の一部が厚くなり、皮膚の深いところまで入り込んで中心に硬い芯ができることをいいます。専門用語では「鶏眼」と呼びます。深くまで入り込んだ芯が神経を刺激するため、痛みを感じることもあります。
魚の目は主に、足の裏や親指・小指の付け根、関節などの外部からの刺激を受けやすい場所にできやすく、手や指にできる場合もあります。
軽い症状の魚の目であれば市販薬を使
用して治療することができますが、正しい方法で治療が行えていないと化膿したり、再発したりするおそれがあります。痛みがひどい場合や市販薬では完治しなかった場合は、なるべく早く皮膚科や整形外科、形成外科を受診しましょう。なかには魚の目やタコ、巻き爪などの足のトラブルの治療に力をいれるフットケア外来を持つ病院もあります。
また、抹消循環障害や糖尿病患者など化膿リスクが高い人も、皮膚科や整形外科、形成外科の受診がおすすめです。
市販薬での魚の目の取り方は関連記事をごらんください。
魚の目に効く市販薬
イボコロリ絆創膏ワンタッチM
イボコロリ絆創膏はサリチル酸の角質軟化溶解作用を利用した角質剥離剤です。厚く硬くなった皮膚をやわらかくし、魚の目・タコ・イボを取り除きます。
薬剤が患部に密着して有効成分の浸透効果を高めます。また、保護用パッドが外部からの刺激による患部の痛みをやわらげます。
スピール膏
スピール膏は、角質軟化溶解作用があるサリチル酸を配合した角質剥離剤です。
厚く硬くなった皮ふをやわらかくし、うおの目、タコ、イボの角質を取り去ります。
また、保護用パッドが患部を守り、外部からの刺激による痛みをやわらげます。
患部の大きさに合わせてシートをカットできるフリーサイズです。
スピール膏ワンタッチEX足うら用
スピール膏ワンタッチEXは、角質軟化溶解作用があるサリチル酸を配合した角質剥離剤です。
厚く硬くなった皮ふをやわらかくし、うおの目、タコ、イボの角質を取り去ります。
また、サイズ調整シールによって患部にのみ薬剤が付着するように調節できます。
スピールジェル
スピールジェルは、角質軟化溶解作用があるサリチル酸を配合した角質はく離剤です。
すみやかに乾燥して薄い被膜をつくり、うおの目、タコ、イボの角質を取り去ります。
ジェルタイプなので液だれしにくく、患部にピンポイントで簡単に塗ることができます。
病院での治療方法・費用・治療期間
皮膚科・整形外科・形成外科での診察ではまず、視診(目で見て診断すること)によって症状を確認します。
魚の目はイボと症状が似ているため、治療を始める前にしっかりと診断する必要があります。
イボの場合は周囲にも同じような症状がみられることがあるため、この時点でイボだと判断された場合はイボの治療を行う方向で診察を進めていきます。
視診で魚の目である確率が高いと判断された場合は、魚の目の表面を削り、中心に魚の目特有の「芯」があるかを確認します。
なおかつ、患部の周りの角質が分厚く変化していればその症状が魚の目と認められます。主な治療方法は以下の表の通りです。
このほか、感染のおそれがある場合は抗生物質が処方されるケースもあります。
【魚の目の治療法・費用・治療期間】
治療法 | おおよその費用 | 治療期間 |
削り | 約1,500円 | 数回 |
液体窒素 | 約2,000円 | 数ヶ月 |
電気メス | 約5,000〜1万円 | 約1か月 |
レーザー | 数万円 | 約1〜10か月 |
削り
硬くなった角質を削ることで魚の目による痛みを和らげますが、芯を完全に除去する治療ではないので、再発のおそれがあります。
治療期間には個人差がありますが、角質が取れるまで数回治療を行う必要があります。
液体窒素
液体窒素を魚の目に当てて、細胞を破壊する治療法です。1〜2週間に1回ペースで、魚の目がなくなるまで治療を続ける必要があります。
また、強い痛みをともなうことが多い治療方法ですが、保険適用で治療費が高額でない上にしっかりと治療できるため、液体窒素での治療を行う人は比較的多くみられます。
電気メス
重度の魚の目の場合、魚の目を電気メスを使用した手術で切除します。保険適用で約6,000円程度で治療できます。
傷がふさがるまでに1か月以上かかるため、軽度の魚の目では切除はあまり行われません。
レーザー治療
近年魚の目の治療法として普及しているレーザー治療は、比較的に再発率の少ない治療法です。
局所麻酔後に、炭酸ガスレーザーなどを当てて、魚の目の芯を除去します。
しかし、ほとんどの場合が保険適用にならず、全額自己負担となります。病院によって価格は大きく異なりますが、診察料なども含めると最低でも10,000円以上かかるでしょう。
また、魚の目の大きさにもよりますが、魚の目が完治するまでに1〜10か月程の間(月1回)通院する必要があります。
魚の目の治療は痛い?
魚の目を治療する際の痛みは、治療の方法によって異なります。
個人差はありますが、「液体窒素>削り>電気メス>レーザー治療」の順で痛みを感じるといえます。
液体窒素による治療は、ほとんどの人が激痛をともないます。
削りによる治療では、施術する医師のテクニックによって痛い場合と痛くない場合があります。
また、電気メスでは麻酔によって施術中の痛みはありませんが、麻酔が切れた後に強い痛みを感じます。
もっとも痛みが少ないのはレーザー治療ですが、保険が適用されず病院に通う期間も比較的長いというデメリットもあります。
全く痛みを感じない治療はありません。自身の症状・費用・痛みに我慢できるかどうかを考慮しながら適切な治療法を医師と相談しましょう。
魚の目の再発を予防するためのセルフケア方法
魚の目は、決まった箇所が長期間圧迫されるとできやすくなります。
魚の目を再発させないためにも、皮膚への圧迫の原因となっている要因を取り除きましょう。
・靴のなかにクッション性の高いインソールを入れる ・スキンケアやパッドなどのケア用品をもちいて皮膚への刺激を減らす ・サイズが合わない靴やハイヒールなど、足に負担のかかる靴の使用はなるべく避ける など |
いぼ・たこ・魚の目の違い
いぼ・たこ・魚の目は見た目が似ていることが多く、区別がつきにくいですが、それぞれ違いがあります。
多くのいぼの原因はウイルスであるのに対し、たこと魚の目は皮膚への慢性的な刺激によって角質層が厚くなることが原因です。
そのほかのいぼ・たこ・魚の目の主な違いは次の通りです。
原因 | 痛み | 特徴 | |
---|---|---|---|
いぼ | ウイルス感染 | ないことが多い | 皮膚が盛り上がっている |
たこ |
一定部位への慢性的な刺激 |
ないことが多い |
皮膚がやや盛り上がっている |
魚の目 |
一定部位への繰り返しの圧迫刺激 |
ある | 中央に芯がある |
また、魚の目ができるのは多くの場合は足の裏で、いぼやたこは足の裏に限らず身体のあちこちにできるというのも違いのひとつです。
*「いぼ」は、皮膚から盛り上がっている小さなできものを指す俗語です。「いぼ」にはウイルスが感染してできるいぼ(ウイルス性疣贅)や老人性いぼをはじめとする多くの種類があります。一般的に「いぼ」と言う場合、通常はウイルス性疣贅を指すことから、この記事でも「いぼ」=ウイルス性疣贅として説明します。
おわりに
魚の目をしっかり治療せずに放置しておくと、痛みをかばって歩くことによって姿勢が悪くなったり足腰が痛くなったりするおそれがあります。
魚の目をみつけて市販薬での対処が難しい場合は、悪化する前になるべく早く皮膚科や整形外科、形成外科を受診して治療することをおすすめします。