「睡眠時間をとっているのに、疲れが取れない…」
「朝起きたら寝汗がひどい…」
「寝ている間の歯ぎしりがうるさい…」

原因不明の睡眠トラブルには、もしかしたら、「夜間低血糖(やかんていけっとう)」が潜んでいるかもしれません。

糖尿病の治療であるインスリン治療をしている方には、多くみられる「夜間低血糖」。実は、糖尿病を患っていない人でも、低血糖になりがちな人なら誰にでも起こる可能性があるのです。

「夜間低血糖」の症状は個人差がありますが、症状が急変すれば深刻な病気になりえます。

糖尿病のインスリン治療をしている方は「対策」を、健康だと思う方でも心当たりがあれば「予防」が必要になります。
この記事では、「夜間低血糖」の原因、対処法、予防法をご紹介します。
 

寝ている間に血糖値が突然下がる!夜間低血糖とは?

通常、健康な人の血糖値は約70-140 mg/dLの間。
それに対して、血液中に含まれるブドウ糖が少なくなり、血糖値が70mg/dL以下になると「低血糖」になります。

「夜間低血糖」は、睡眠中になんらかの原因で血糖値が急激に変化してしまう状態のことをいいます。
 

睡眠中の不快な症状!もしかしたら夜間低血糖かも?!

睡眠中に血糖値の急激な低下が起こると、血糖値を回復させるため、アドレナリンやコルチゾールなどの興奮に関わるホルモンが分泌され、交換神経が優位になります。

そのため、寝汗や歯ぎしり、悪夢、熟睡感がない、といった症状が起こります。
つまり、「夜間低血糖」と同時に「睡眠障害」も起きてしまうということです。

多くの場合は、不快な症状により目が覚め、自発的に「夜間低血糖」に気がつきます。ただし、急激に血糖値が下がった場合や、眠りが深くて本人が気づかない場合もあります。
ご家族やパートナーで、睡眠中普段と違う様子が見られる場合は、要注意です。

血糖値の低下と症状

症状には個人差がありますが、血糖値が下がれば下がるほど症状は重くなり、命にかかわるような状態にまで発展してしまいます。

血糖値 症状
70mg/dl以下 空腹感、あくび、脱力感、動悸、冷や汗、手の震え
50mg/dl以下 冷や汗、手の震え、動悸、不安感
35mg/dl以下 めまい、疲労感、倦怠感、ろれつが回らない
20mg/dl以下 けいれん、意識消失、こん睡状態

 

健康な人でも低血糖になる?!

インスリン治療をしている糖尿病患者とそうでない方では、「夜間低血糖」になる原因が大きく違います。

インシュリンの過剰投与で低血糖に

糖尿病患者の場合、「夜間低血糖」を引き起こす原因にインシュリンの過剰投与があります。本来は血糖値の調整をするために投与しますが、過剰に投与した場合や内服液の使用過多により起こります。
 

健康でも血糖値のバランスは崩れる

健康な方でも栄養バランスが不足したり、お酒の飲み過ぎで血糖値のバランスが崩れると、「夜間低血糖」を起こしやすくなります。ただし、健康な方の場合、低血糖になっても、自然に回復してしまい気がつかないことがあります。
その他にも胃下垂、胃切除後のダイピング症候群、インスリン感受性の高い人なども低血糖が起こりやすいといえます。

低血糖が起こるタイミングは食事が鍵!

糖尿病の方も健康な方にも共通する、低血糖を引き起こすタイミングがあります。
どちらも食事の摂り方が大きく関わっているので、日々の食事に十分に気をつけましょう。

共通するタイミング
・食事量が十分にとれていなかったとき
・食事時間が遅れ、空腹が続いたとき
・空腹のまま激しい運動、または長時間の運動を行ったとき
・食事をとらない状態でのアルコール摂取過多

インスリン治療をされている方
・血糖値に対してインスリン量が多すぎるとき
・投与したインスリンの作用が強い時に、激しい運動を行ったとき
・インスリン量を自分で調整し増やしたとき
・インスリンの作用が強い時に激しい運動を行ったとき
 

インスリン治療と同時に夜間低血糖の対策をする

インスリン治療をしている場合、血糖をコントロールすることが一番の対策になります。ご自身でしっかり対策をたてましょう。
 

寝る前に血糖値をチェック!

寝る前に血糖値を測って夜間低血糖が起きないようにインスリンの量を調整します。

糖尿病の方でインスリンを注射している場合、就寝前の血糖値の目安は150mg/dL。
100mg/dL未満の場合、チーズやクッキーなど血糖値を上げる食品を摂っておきましょう。または、ブドウ糖10g程度でもかまいません。

低血糖用に市販されている物もありますので常備しておくと便利です。摂る回数やタイミングは、「夜間低血糖」の症状の出具合を確かめながら調節します。
 

薬と食事のバランスを考えて

血糖値を下げる薬は食前に服用しますが、その時食べた食事量が薬の効果に対して少ない場合、血糖値の上昇に影響がでます。

また、食事のメニューが、血糖値を上げにくい場合にも、低血糖を引き起こすことがあります。血糖値が上がりきっていない体の状態に、血糖値を下げる薬を服用した場合、薬の効果で血糖値が下がり過ぎてしまうからです。

日頃から食事の量と内容を、薬の作用に合わせて摂ることが大切です。
 

家族の協力が大切!

急に低血糖になった場合、症状の重さによっては自分で対処することが難しいことがあります。特に寝ている間に「夜間低血糖」が起こり、自分で気がつけなかったらとても危険です。

ご家族と症状や対処法を共有しておきましょう。

もし家族が寝ている間に「夜間低血糖」の症状が表れたら、本人が起きられる場合は糖質を摂ってもらいます。無理な場合には、用意があればグルカゴン注射をしてください。

!注意!
意識がもうろうとしている場合や改善傾向がなければ、すみやかに救急車を呼んで医療機関へ連絡し搬送します。
 

血糖値を安定させるために、自己管理を!

日頃から血糖値を定期的にはかり、ご自身で把握しておくことが「夜間低血糖」の対策と予防になります。食事量や運動量も、測定した血糖値をもとに調整ができます。

血糖値を把握しておけば「どんな状況だと正常値を下回ってしまうのか?」といった生活習慣のパターンがわかり、血糖値の安定に役立ちます。血糖値を測定する機器は市販されていますので、ぜひご活用ください。

 

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夜間低血糖を予防し、快眠へ導く4つのポイント

「夜間低血糖」の予防は、睡眠中の不快な症状の改善にもなります。
ぐっすり眠って、スッキリした朝を迎えるためにも、このポイントをおさえておきましょう!

その1。空腹時の運動や入浴は控える

空腹になっていると感じたら、それはすでに低血糖になっているサインです。
低血糖の状態で運動や入浴といったエネルギーを消費する行動は、さらに血糖値を下げる恐れがあります。30分〜1時間前を目安に、ブドウ糖や血糖値を上げる食品などを摂取することで予防できます。

その2。激しい運動をするときは、前もってブドウ糖を準備する

ハイキングや登山、長距離のマラソンなどで、通常の運動量を超える場合には、低血糖に注意する必要があります。症状を感じたら、対処できるように、血糖値を上げる食品(チョコレートやナッツ類など)を携帯し準備しておきましょう。
また運動が長時間に及ぶ場合には、数時間おきに分けて食品を摂取しましょう。
 

その3。しっかりした栄養バランスが血糖値を安定させる

低血糖の症状を繰り返す方・高齢の方は、食事バランスが偏らないようにしましょう。

ご飯やパン、お餅、麺類などの炭水化物は血糖値を上げる食品ですが、好きだからといって食べ過ぎたり、逆にダイエットなどで炭水化物を極端に抜いてしまうと、低血糖または高血糖になってしまいます。注意しましょう。
 

その4。ストレスも低血糖を引き起こす!?

低血糖の状態になると、交感神経が優位になり、イライラ、気分の落ち込み、不安感などのストレスを抱え、不眠や睡眠障害にまで発展してしまいます。
日頃から穏やかな心を保ち、しっかり休息しましょう。夜中に症状が表れても感情的にならず、落ち着いて対処することが「夜間低血糖」の症状を回復させます。
 

おわりに

「夜間低血糖」の予防に欠かせないのは「自分の生活パターンや習慣を知る」ことです。そして、糖質を摂取する「タイミング(いつ)とバランス(どのくらい)」がポイントです。

ただし、「睡眠障害」には、低血糖以外にも様々な病気の可能性が隠れているので、睡眠中の症状について不安があるときは、一度専門機関に相談しましょう。


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