紫斑病(しはんびょう)とは

紫斑病は、毛細血管に炎症が起こり、皮膚や粘膜下に出血斑が現れる病気です。
どこかに身体をぶつけてもいないのに、紫斑(青紫や赤紫のあざ)が見えることから「紫斑病(しはんびょう)」と呼ばれています。
子どもはよくあざを作ることが多く、元気な証拠などと思っていたら、紫斑病だったというケースが見られます。
紫斑病にはいくつかの種類がありますが、小児に最も多いのはアレルギー性紫斑病(血管性紫斑病)です。

今回は、アレルギー性紫斑病(血管性紫斑病)についての大切なポイントを解説します。

アレルギー性紫斑病は感染症がきっかけになることも

アレルギー性紫斑病(血管性紫斑病)は、免疫(IgA抗体)の異常と関連したアレルギー反応によって、血管に炎症が起こると考えられています。

発症のきっかけとして以下があげられています。

・A群溶連菌感染症、マイコプラズマ肺炎などの細菌感染
・風邪、水ぼうそう、はしか、風疹、肝炎などのウイルス感染
・虫刺され
・薬剤
・食べ物

典型的な発症例としては、ウイルスや細菌感染症にかかった1~3週間後の発症が多く見られます。また薬剤や食べ物のアレルギーなどでの発症も見られますが、なぜ免疫システムに異常が起きるのかはわかっていません。

アレルギー性紫斑病のかかりやすい年齢

アレルギー性紫斑病は、小児の全身性血管炎では最も多い病気です。主に15歳以下に見られ、特に2歳~10歳に多く発症します。2:1の割合で男の子に多く見られます。

大人にもかかることがありますが少数です。

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アレルギー性紫斑病の3大症状は皮膚・関節・腹部症状

アレルギーで弱くなった血管が出血する場所により、以下のようなさまざまな症状を起こします。

皮膚症状

主に膝から足首までの下腿やお尻などに、軽く盛り上がった赤~青紫の不規則な斑点が現れ、次第に数が増えていきます。
大きさや形は、点状から不整形な紫斑と多様で、主に下半身に現れますが、上肢や胴体部分にもみられます。
紫斑は1~2週間で消えていきますが、数週間の間、出たり消えたりを繰り返すこともあります。まれに数か月から数年に渡り、再発することもあります。

関節症状

主に、ひざと踵の足関節に痛みが生じます。しばしば手首、肘、指にもみられます。通常両側に起こりますが、関節症状は一時的で数日で消失します。
浮腫(むくみ)もあり、足関節周辺の痛みとむくみが多いのですが、顔や頭など、局所的に生じることがあります。

腹部症状

腹部に差し込むような腹痛が起き、反復する激しい痛みがあります。吐き気・嘔吐、下痢を伴うこともあります。腸などの消化管で出血すると、血便血尿がみられます。
その他、発熱、頭痛、だるさなどの全身症状を伴うこともあります。
これらの主な症状は、通常、数週間で軽快します。

アレルギー紫斑病の合併症に注意

アレルギー性紫斑病は、皮膚症状・関節症状・腹部症状が治まった後にも、以下の合併症に注意が必要です。

腎炎(紫斑病性腎炎)が約50%

血管炎が腎臓(じんぞう)に及んで、腎炎(じんえん)を起こすことがあります。発症後から約1か月以内に、約50%の患者にタンパク尿や血尿などの尿異常が見られます。

ほとんどは自然に治りますが、急性腎炎やネフローゼ症候群を来す場合もあり、まれに腎不全が起こることもあります。尿管炎も多く発症している可能性があるとされています。
腎炎は、紫斑病の発症から3ヵ月以内に発症することが多いのですが、1年を過ぎてから現れることもあるため、定期的な尿検査を含めた経過観察が大切です。
観察を中断すると、数年後に血尿、蛋白尿が再燃したり、腎炎が存続している例が高い確率で起きているため、注意が必要です。

腸重積症(ちょうじゅうせきしょう)

出血が腸などの消化管で起こる、血便や血尿がみられ、まれに腸の中に腸の一部が重なってしまう「腸重積症」を起こすこともあります。
もぐり込んだ腸は血管が圧迫されて血液が流れなくなり、放っておくと壊死してしまいます。
血便や嘔吐が見られたら、至急病院を受診しましょう。

アレルギー性紫斑病の治療法

病院での対応

急性期は安静を保ち、症状が紫斑のみの場合は、経過観察をします。治療は症状に応じた対処療法になります。
特に溶連菌など、きっかけとなった先行感染の原因に対しては抗生物質を投与します。関節痛には、アセトアミノフェンなどの投与やステロイドを使用することもあります。
軽症の場合は、ほとんどが1ヶ月程度で快方に向かいます。
出血傾向が強く、腹痛や下血が強い場合は入院治療となります。また紫斑病性腎炎を合併した時には腎専門医による管理が必要になります。
合併症予防も含め、治療は医師の指示に従うことが大切です。

日常生活で気を付けること

アレルギー性紫斑病は、急性期には安静にし、運動制限が必要です。
走ったりして足に重力がかかると、再び静脈圧が上がって紫斑を繰り返すことがあります。また寒冷によって悪化することもあるため、寒い日には外出を避けるなどの注意をしましょう。
なるべく安静にし、ケガをしないように注意しましょう。症状が治まれば、登校も可能で、普通の生活を送ることが出来ますが、定期的な尿検査などが必要な場合は、必ず医師の指示に従いましょう。

さいごに

アレルギー性紫斑病(血管性紫斑病)は、子どもに多く発症していますが、すぐに気付きにくく、初期はあせもや発疹など、他の病気と間違えることも多くあります。
子どもがぶつけてもいないのにあざが増えたり、感染症の後に症状が見られたら、紫斑病の可能性も考え、早めの対処が大切です。
紫斑病には、もう一つ「血小板減少性紫斑病」というものがあり、国が指定する難病(特定疾患)の対象になっています。
同じように紫斑が現れる病気で、こちらは子どもから大人も多くかかるため、症状などの詳しい内容は関連記事をご覧ください。