脱水症状の原因・治療・対策:頭痛や吐き気に要注意

脱水症状の原因や頭痛や吐き気などの具体的な症状、治療法について解説します。また、高齢者や子どもなどの脱水症状になりやすい人についても解説します。

私たちの体は60%が水分(体液)で出来ています。その割合は赤ちゃんだとなんと80%。私たちはほとんどが水分でできているといっても過言ではありません。

水分は毎日、汗や尿で多量に排出されていきます。そのため毎日意識的に補ってあげる必要があります。特に夏場は汗など体から水分が出て行く量が飛躍的に多くなります。脱水症状は、字の如く体内から水が脱けていく状態のこと。脱水症状は、夏場の危険な病気「熱中症」の原因ともなっています。

たかが脱水症状とあなどらないように。重症の場合は熱中症と同じで命を落とすこともあります。
この記事では、脱水症状の原因や起こしやすい人から、具体的な症状と治療法、対策まですべて紹介します。脱水症状について正しい知識を身につけて夏を安全に乗り切りましょう。

脱水症状の原因

脱水症状とは、体内の水分や電解質(ナトリウム)が失われている状態のことです。脱水症状になると頭痛や吐き気などの症状が起こります。
夏は暑いからといって、誰しもが脱水症状を起こすわけではありません。脱水症状が起こる原因を探っていきましょう。

下痢や嘔吐を繰り返すとき

下痢のときは、本来腸に吸収されるべき水分が腸の不調により上手く吸収されず、柔らかい便や下痢として体外へ排出されます。
嘔吐も同じで、本来体内に止まるべき水分が体外へ出てしまうので、体の水分が欠乏してしまうため脱水症状を起こしやすくなります。

汗をかいているのに水分・塩分を摂取していないとき

夏場は汗の量が増えるのに水分摂取量が追いついていないことが多いため、脱水症状が起こります。
十分に水分を取っていた状態でも脱水症状を起こした場合は、補給した水分より放出された水分の方が多かった、または塩分を取っていなかった、ということになります。
脱水症状は熱中症につながるので、失われた水分と塩分をバランス良く補給しましょう。
また、汗だけでなく尿の排出量が多い時も注意が必要です。
アルコールや利尿作用のある薬を飲んでいるときも、脱水症状を起こしやすい状況にあります。

脱水症状は季節問わず起こる

汗をよくかく夏は脱水症状を起こしたあとに熱中症へとつながることが多いのですが、脱水症状は夏だけに起こるものではありません。

正月の風物詩でもある箱根駅伝では、ランナーが意識朦朧としながら走っている光景がみられますが、脱水症状に近い状態が起こっていることが原因となっています。
冬の寒い時期に半袖と短パンの状態でも脱水症状は起こります。季節を問わず多量に汗をかくと、水分・塩分が不足し脱水症状になってしまうのです。
脱水症状から意識障害まで起こすとドクターストップがかかります。脱水症状は命を脅かすほど危険な状態になりうるのです。

かくれ脱水にも要注意!

「かくれ脱水」とは、脱水症状を起こす手前の段階で有効な対策を取っていない状態のことです。本人や周りの人も気づかないうちに脱水症状が起こりやすいシチュエーションがあります。脱水症状を起こさないためにも、かくれ脱水を起こしやすい場面を是非覚えておいてください。

【かくれ脱水に多い場所・場面】

①屋内:屋内にいることで油断して脱水状態に気付きにくい。脱水症の多くは実は屋内で起こっている
②夜間:水分摂取を控えることで多く起こっている
③運転中:水分摂取を控えることと、締め切った空間にいるため起こっている

高齢者や子どもは要注意:脱水症状を起こしやすい人

【体液の割合】

年齢 赤ちゃん 子ども 成人 高齢者
水分の割合 80% 70% 60% 50%

体液とは、人体の機能を維持するために必要な液体のことで、血液、リンパ液、唾液、粘液だけでなく、汗、消化液および尿などの体から放出される水分も含みます。
体から体液が失われると生命維持の活動が停止していくので、脱水症状とは命に関わってしまう重大な症状なのです。
成人よりも高齢者や子どもの方が機能的に脱水症状を起こしやすいとされています。

高齢者

高齢者は体内の水分量が50%と少なく、少し汗をかいて水分が不足するだけで脱水症状を起こします。ほかにも、

・食事量が減り、食物から摂取できる水分量が減ってしまう
・常用している薬に利尿作用がある
・腎臓や汗を調節する体の機能が低下しているため

などが水分不足の主な原因です。
高齢者は1日に2000ml程度の水分摂取が必要ですが、喉の渇きに気づかないことも多いので、周囲が気をつける必要があります。

子どもや赤ちゃん

高齢者とは反対に、子どもや赤ちゃんの体内水分量は70〜80%もありますが、成人と異なり体外へと出て行く水分量も多いため、高齢者と同じく脱水症状を起こしやすい状態にあります。

また体温が高いため、適温を維持するために汗をよくかくのも水分が失われる原因です。とくに喉が渇いたと言えない赤ちゃんや、遊びに夢中になっている子どもは自分から水分を摂取することが難しいので、家族が気をつけてあげなければなりません。

脱水症状:頭痛・吐き気・体重減少など

脱水症状は頭痛や吐き気などが多いのですが、具体的な症状を確認しておきましょう。

脱水症状の主な症状

・頭痛
・吐き気、めまい
・口や喉の乾き、粘膜の乾き
・尿排出量の減少
・嗜眠(しみん:放っておくと眠ってしまい、強い刺激を与えないと反応しない状態)

さらに脱水症が進行するにつれて、頻脈(ひんみゃく:心拍数が増加している状態)、低血圧、ショックなどが現れます。

体重の減少率と脱水症状

人間は暑いところでは皮膚の血管を拡げ血流量を増やし、汗をかく体温調節機能があります。汗をかくと体温を下げて調節されますが、その分だけ水分(体液)を失ってしまうのでまた体温が上昇してしまいます。

体内の水分が2%失われると運動能力が低下しますが、体重の2%減少は、60キkgの人ならば1.2リットル失うということです。体重減少が1~2%に留まっている場合は、脱水症ではないですが、軽度の脱水症状です。体重減少が10%以上は重度の脱水症状です。命に関わるので早急に対応しなければなりません。そして20%以上減少すると死に至る危険があります。

体重減少率 主な脱水症状
体重の3〜5% 頭痛、めまい、吐き気、体のほてり、口の渇き、体温の上昇、皮膚の紅潮、尿の減少と濃縮
体重の6〜7% 手足のふるえ、ふらつき、体温の上昇、チアノーゼ、口の渇き(高度)、口腔内の乾燥、乏尿、頻脈
体重の8〜10% 幻覚、呼吸困難、けいれん、言語不明瞭、精神錯乱
体重の11〜14% 皮膚の乾燥、舌の膨らみ、飲み込みが困難、血液減少、腎機能不全
体重の15〜19% 排尿痛、目のかすみ、難聴、舌の縮小
体重の20% 無尿、死亡

頭痛や吐き気

脱水症状を起こすと、初期段階に頭痛や吐き気を発症することが多くみられます。脱水症状の頭痛では、水分不足によって血流の流れが悪くなり脳に十分な栄養や酸素が供給されなくなることが原因となります。
ただし頭痛の原因が脱水症状によるものだと認識しにくいのが問題になっています。
吐き気がある場合は、一度に多量の水分を与えてもさらに吐き気を誘発してしまうので注意しなければなりません。こまめな水分補給と飴などで塩分を補給する必要があります。

頭痛も吐き気も、夏風邪などと見分けがつきにくいことが多々ありますが、症状が出た時点で水分や塩分の補給をしてください。

脱水症状の種類

脱水は水分だけでなく、ナトリウム電解質も一緒に失われていきます。脱水症状は、水分不足、塩分不足、水分塩分ともに不足、のいずれかの状態で起こり、大きくわけて三つに分類することができます。

◼︎高張性脱水
◼︎低張性脱水
◼︎等張性脱水

①高張性脱水:水分不足

水分摂取量の低下や発熱持続のため、起こりやすい脱水です。
自力での水分を摂取することができない子どもや高齢者に多くみられます。
脱水症状は、口の乾き、皮膚粘膜の乾燥、発熱などで、意識は比較的しっかりしていますが、不穏や興奮状態を起こすことがあります。

②低張性脱水:塩分不足

発熱や下痢、嘔吐などによる水分(体液)が失われていくとき、水のみを補給することが原因で起こりやすい脱水です。
症状は、発熱や口の乾きなどは比較的少なく、皮膚や粘膜の乾燥も少ないため、脱水症の自覚はありません。進行すると全身倦怠感や眠気がみられ、手足は冷たくなり脈拍が弱くなっていきます。

③等張性脱水:水分・塩分不足

ネフローゼ(尿に蛋白が多量に出るために、血液中の蛋白が減りむくみが起こる疾患)などで起こりやすく、また、下痢のときにも起こります。
症状は口の渇きが多く、水分摂取が促されるため、低張性脱水へと移行しやすい脱水です。

脱水症状の治療と受診の目安

脱水症状を起こすと、体に必要な栄養素や酸素を取り込めなくなり、不要な老廃物を排出できなかったり、体温調節に支障をきたします。
脱水症状を起こしても放置しておいてはいけません。命に関わる恐れもあります。早めに適切な治療を受けるようにしましょう。

軽度の場合:水分・塩分を補給

体重の2〜4%程度までの脱水で、のどの渇きや、食欲が減退する程度であれば、水分補給をすることで回復が可能です。
水分の補給はナトリウム電解質が含まれていた方が、速やかに身体に吸収されるので、水の分量の0.9%程度の塩を加えた水が理想的です。
1000mlの水に9g程度、小さじ2弱の割合が良いでしょう。もしくは経口補水液を活用してください。電解質と糖質の配合バランスを考慮した経口補水液です。
軽度から中等度の脱水状態の方の水・電解質を補給・維持するのに適した病者用食品です。

大塚製薬工場 経口補水液 オーエスワン

大人の場合、ミネラル類を含んだスポーツドリンクも適していますが、子どもや高齢者の場合は少し薄めます。市販のスポーツドリングは糖分が多めなので、体内の機能が成人より弱いので、吸収率が悪くなる傾向があります。
また、適度に冷えた10℃前後の飲み物を選んでください。温かい飲み物に比べ、冷たい方が吸収が速いためです。 

重度の場合:ただちに受診

脱力感や眠気、手足のふるえなど体重の4~6%程度の脱水の場合には、医療機関で水分補給を受けたほうが早く回復します。
そして、それ以上の重度の脱水の場合には、医療機関で緊急の処置を受ける必要があるので、救急車を呼んでください。

医療機関での治療内容は、経口または点滴静脈注射で、水分やナトリウム電解質を補充します。

赤ちゃんの場合:かかりつけの医師に相談

体重の3%程度の減少が見られたら、水分を補給しましょう。赤ちゃんの脱水症はほかの病気と見分けがつきにくいのですが、少しでもいつもと違う様子が見られたら、病院へ連絡しかかりつけの医師の判断を仰いでください。

■赤ちゃんの脱水症状

・ぐったりしている
・寝たまま起きてこない
・笑わない、顔色が悪い
・遊ばない
・尿が少ない

また、簡易的な脱水症の判断基準を覚えておきましょう。
爪をぐっと白くなるまで押し、離してから元に戻るまでの時間で脱水症状を起こしているか分かります。

■爪を白くなるまで押してから離した後の時間と脱水の判断

・1.5秒以下・・・軽度の脱水
・1.5秒~3秒・・・中度の脱水
・3秒以上・・・重度の脱水

脱水症状を起こさないための対策

1日の水分摂取量は1.2リットルを目安に

成人50㎏の人の場合、1日約1.2リットルの水分を摂取しましょう。
汗や尿で排出される量を合わせると1日約2.5リットルが必要な水分量ですが、そのうちの約0.3リットルは体内で生成され、約1リットルは食事から補給できます。

赤ちゃんや子ども、高齢者の場合は成人よりもさらに多くの水分量が必要なので、家族が意識して摂取するようにしてください。夏の時期は飲むゼリーもおすすめです。

オリヒロプランデュ 水分補給ゼリー(経口補水液)

スポーツドリンクを活用しよう

水分の摂取時は、急激にたくさん飲むと吸収が悪くなるので必ずゆっくり飲むようにしてください。

サントリー GREEN DA・KA・RA

高温多湿、無風環境を避けよう

クーラーの効かない夏の締め切ったマンションなどの屋内にいると、脱水症状を起こす間もなく熱中症に発展してしまいます。
とくに夜間は脱水症状を起こさないように注意してください。扇風機やクーラーをタイマー設定にし、風のある状態にしましょう。

とくに子どもや高齢者には、涼しい格好や寝る前の水分補給などを家族が十分に注意をしてあげることが重要です。

おわりに

脱水症状は年齢問わず誰にでも起こり得る、大変危険な症状です。
こまめな水分、塩分の補給を毎日忘れずに習慣としてください。また室内や夜間などでも油断せず、家族みんなで対策して暑い夏を乗り切りましょう。

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