アデノウイルスは夏にはやる子どもの感染症

アデノウイルスはインフルエンザウイルスの次に人体から検出される頻度が高いとされている身近なウイルスで、さまざまな病気の原因となるウイルスですが、特に子どもの間では夏場に大流行するプール熱や夏風邪の原因となるため、しっかり症状と対策を知っておきましょう。

今回は夏に気をつけたいアデノウイルスとは何か、アデノウイルスが原因となる病気の症状・感染経路・治療法を解説します。

目次

⒈アデノウイルスの特徴
⒉アデノウイルスの症状
⒊アデノウイルスの感染経路
⒋アデノウイルスの出席停止期間
⒌アデノウイルスの治療法

アデノウイルスとは

アデノウイルスは風邪などの症状を引き起こす身近なウイルスの一種です。

アデノウイルスには複数の型があり、現在51種類の型が確認されていて、症状や発症する病気によってA~Fの6群に分類されています。

それぞれの型は異なる性質を持っているため、ウイルスの種類によって軽症から重症まで、引き起こす症状も病気も異なります。
また、種類がたくさんあるため感染しても体内に免疫がつきにくく、何度も感染することが特徴です。

アデノウイルスは、ウイルスの種類により流行する季節が異なりますが、感染自体は季節を問わず1年中見られます。特に、冬の風邪と夏風邪の原因として、幼児から小学生の子どもに圧倒的に多く発症します。

大人への感染もよく見られますが、子どもの場合は集団感染によって流行することが多くなります。

夏のアデノウイルス

夏場に流行するのはアデノウイルス3型が原因となる「プール熱(咽頭結膜熱)」です。近年では3型以外の型でもプール熱を発症することが確認されています。アデノウイルス8型は、「はやり目(流行性角結膜炎)」の原因となります。アデノウイルスの型によって喉や目など症状がでる部位も異なることが特徴です。
その他、アデノウイルスは夏風邪の原因にもなるため、夏に気をつけたいウイルスといえます。

アデノウイルスの3大症状

アデノウイルスは感染するとさまざまな症状を引き起こしますが、大きな特徴は三つです。
◼︎高熱(38〜40度ほどの高熱)
通常の風邪は1~2日で解熱しますが、アデノウイルスの発熱は高熱が4~5日以上続くことが多くみられます。時には1週間程度続くなどなかなか下がらない高熱が特徴です。

◼︎咽頭炎(のどの痛み・晴れ)
のどの腫れや痛みも強く、食べたり飲んだりすることも辛い状態になります。

◼︎結膜炎(目ヤニ・充血)
充血や目やになどで、目が開けられない程度の場合もあります。

症状は​軽症で済む場合もありますが、5歳以下の小さな子どもは重症化しやすいため注意が必要です。
症状がどれか一つだけでる場合もあれば、三つの症状が重なる場合もあります。また、先に熱が出てからのどの痛みがくるなど、症状の程度や出方には個人差があります。

三大症状以外にも、以下のような一般的な風邪の症状や全身症状も多く現れます。呼吸器症状・眼症状・消化器症状まで、全身に多種多様の症状を引き起こします。

・鼻水・鼻づまり
・咳
・全身倦怠感
・関節痛
・食欲不振
・腹痛、下痢、嘔吐
・脱水症状

重症化のサインを見逃さないで!

アデノウイルスは重症化してしまうと、肺炎や脳症などの重い合併症が起こる危険性があります。また、小さい子どもは他の病気でも同様の症状を起こしやすく、対処の遅れが重症化へつながることもあります。
体調不良が続いたときに以下の症状が見られたら早急に病院を受診しましょう。

◼︎高熱が続いている
◼︎けいれんが5分~10分以上続く
◼︎嘔吐を繰り返す
◼︎水分が取れない
◼︎呼吸障害
◼︎ぐったりしている

咽頭結膜熱(プール熱)

咽頭結膜熱は夏風邪の代表的な症状で、アデノウイルスの特徴的な症状である高熱・咽頭炎・結膜炎の症状全てが発症します。
急な発熱、食欲不振、倦怠感などの風邪症状のほか、咽頭炎と結膜炎が併発します。
プールで感染することも多いため、プール熱と呼ばれることもあります。

流行性角結膜炎

アデノウイルスが原因となる結膜炎で、はやり目とも呼ばれます。ほかのウイルス性の結膜炎よりも症状は強く、目があけられないほどの目やに、充血、痛みなどもあります。
通常は1週間ぐらいで症状が改善していきますが、症状が悪化した場合には完治に数ヶ月かかることもあります。

流行性角結膜炎についてくわしくは関連記事をごらんください。

大人がかかりやすい症状

プールで感染が広がる咽頭結膜熱は子供に多く見られる病気ですが、大人がアデノウイルスに感染した場合にかかりやすい病気もあります。
下記のような病気もアデノウイルスが原因となる可能性があることを覚えておきましょう。
◼︎胃腸炎
◼︎急性呼吸器感染症
◼︎出血性膀胱炎
◼︎流行性角結膜炎

アデノウイルスの感染経路

アデノウイルスの感染経路は三つです。

■飛沫感染…感染者の咳やくしゃみのしぶきに含まれるウイルスを吸い込む
■接触感染…感染している人の皮膚や粘膜、汚染された物に触る
■糞口感染…汚染された食物や感染者の便に触った手を介して口に入る

感染した子どもの咳・くしゃみ・唾液や目やになどを介して人から人へ移ります。
アデノウイルスは感染力が強く、ドアノブなどに付着しても10日以上も感染力を持つほど非常に強いウイルスです。集団行動が多い幼稚園や小学校では感染が広がる速度も速くなります。

アデノウイルスの潜伏期間

アデノウイルスは比較的潜伏期間が長く、感染してから5日~7日の潜伏期間があります。潜伏期間ではウイルスに感染していても症状があらわれないため、感染に気づいていないことが多く、症状がないため無自覚なまま、他人への感染源となっている可能性もあります。
アデノウイルスが感染力をもっているのは、潜伏期間〜回復期まで長期にわたることも、感染が拡大しやすい要因のひとつといえます。

アデノウイルスの出席停止期間

アデノウイルスが原因となる病気の中では、学校保健安全法により学校感染症に指定され出席停止期間が定められているものがあります。
咽頭結膜熱(プール熱)は学校感染症の第二種に定められていて、主要な症状が消えたあと二日間は出席停止になります。
流行性角結膜炎では、眼の症状が軽減してからも感染力がある場合があるので、医師により他人への伝染のおそれがないと認められるまで出席停止になります。

なお、学校保健安全法は、幼稚園から小・中・高校、大学までが適応になります。

病名 種類 出席停止期間
咽頭結膜熱(プール熱) 第二種感染症 症状が消えたあと二日間は出席停止
流行性角結膜炎 第三種感染症 医師の診断により感染の可能性がなくなるまで

感染時の出勤について

大人がアデノウイルスに感染した場合は、出勤などを控える法律はありません。体調と相談しながら出勤して問題ありません。
ただし、アデノウイルスはとても感染力の強いウイルスなので、他人への感染を広げないためにも必ずマスクを着用し手洗いを徹底するなど配慮しましょう。
症状が重い場合は医療期間を受診して適切な治療を受けてください。

アデノウイルスの治療法は対症療法

アデノウイルスは、鼻やのどを綿棒でこすって採取した体液を用いて検査を行います。15〜20分ほどで判定できる迅速検査なので、その場でアデノウイルスかどうかの判断が可能です。

アデノウイルスに有効な抗ウイルス薬はいまだ開発されていません。
アデノウイルスが検出された場合、基本的には症状に合せた以下のような対症療法が行われます。

◼︎高熱・・必要であれば解熱剤を使用。4〜7日ほど続く。
◼︎咽頭炎・・のどの炎症を押さえる抗炎症剤を使用。3〜7日ほど続く。
◼︎結膜炎・・目薬など眼科医による治療を併用。7〜10日ほど続く。
◼︎脱水症・食欲低下・・点滴治療

また、免疫力が低下することで起こる二次感染を防ぐために、抗生物質が処方されることもあります。
これらの対症療法と合わせて自宅で安静にしながら栄養と休養をとり、自然治癒を待ちます。

高熱・咽頭炎・結膜炎も比較的症状が続くケースが多く見られます。
すべての症状が完治するまでは発症から約1〜2週間ほどかかるため、他人への感染を広げないためにも無理をせず自宅で安静にしながら回復を待ちましょう。

自宅でのケアの注意点

自宅でのケアでは、安静にして体を休ませ、栄養をしっかりとって免疫力を高めて自然治癒を早めることを心がけます。
また、アデノウイルスの治療期間は1〜2週間と継続するため、治療の最中に兄弟や保護者へと家族間での感染を広げない対策も必要です。

◼︎水分はこまめに与え、脱水症状に注意する
◼︎酸っぱい物や塩辛いものはのどにしみるため避ける
◼︎うどんやおかゆなど、消化とのどごしのよい食事をとる
◼︎熱が高い時はこまめに着替えさせる
◼︎目やにはぬれたガーゼでふき取ってあげる
◼︎お風呂は熱が下がってからにし、入る順番も最後にする
◼︎帰宅時、トイレの後の手洗いを徹底する

症状が治まった後の2次感染に要注意

アデノウイルスは症状が治った後も、体内のウイルスは死滅しているとは限りません。
2週間~4週間程度に渡りウイルスが排出されていることもあります。
特に糞便などからもウイルスが排泄されるため、症状が治まった後も以下のポイントに注意しましょう。

◼︎感染者と密接な接触は避ける
◼︎感染者に触れた後はよく手を洗う
◼︎便やオムツはしっかりビニールに入れて処理し、後はしっかり手を洗う
◼︎タオルの共有はしない
◼︎洗濯物も別に洗う
◼︎おもちゃや子どもがよく触るものやトイレの消毒をする

さいごに 

アデノウイルスが原因となる多種多様な症状をおわかりいただけたでしょうか。
子どもの間では頻繁に感染し流行を起こすウイルスの代表格なので、症状の特徴をしっかり覚えておくとよいですね。

感染力が強いウイルスのため、日頃から、うがい・手洗い・マスクの着用など、予防対策をしっかり行いましょう。