うつ病にも障害年金が適用されます

眠れない、気分が落ち込む、食欲がない、無気力や倦怠感、自殺願望などといった症状に悩まされる「うつ病」。

仕事に支障がでてしまうと、休職や退職を余儀なくされることもあります。社会生活はもちろん、日常生活を過ごすことも困難な状態になります。

また、生活費や治療費、薬代などの負担も大きくのしかかります。

もしあなたがうつ病の診断を受けていて受給条件にあえば、障害年金を受給することが可能です。経済的な困難を解消するためにも、障害年金の申請を検討してみましょう。

障害年金とは?

障害年金は、年金加入中に病気やケガなどにより、日常生活や労働に支障がでてしまい、生活が困難になっている方に受給される公的機関の年金です。

うつ病の他にも、眼や耳、言語の障害や心臓、腎臓、肝臓や呼吸器疾患、難病やガンなどの障害を持つ方が対象となります。

障害年金は、本人が加入している年金の種類によって決まります。

国民年金に加入:障害基礎年金

障害基礎年金は、うつ病の診察を初めて受けた日(初診日)に国民年金に加入していた方が対象となります。(主に自営業や主婦、学生の方など)

障害の状態によって1級、2級と認定基準が設けられており、認定されると障害のある間は年金が支給されます。

※平成27年4月分からの年金額(定額)  1級:975,100円 2級:780,100円

共済年金に加入:障害厚生年金

障害厚生年金は、うつ病の診察を初めて受けた日(初診日)に厚生年金又は共済年金に加入していた方が対象です。(主に会社員の方など)

1級または2級状態にあたる障害を伴ったときには、障害基礎年金に上乗せして障害厚生年金が支給されます。

また、障害の程度が軽く2級に該当しない場合は、3級の年金が支給されます。

うつ病は障害年金の認定を受けるのが難しい?

うつ病は、病気による障害の重さを検査数値やレントゲンなどで証明することができないため、障害年金の認定が難しいとされています。

さらに請求件数の増加などの影響もあり、審査が厳しいのが現実です。

知識もないまま申請をして、不受理にならないよう認定基準と受給条件を知っておきましょう。

うつ病による障害年金の認定基準

障害年金の認定基準は、障害の重度によって1~3級にわかれています。1級が最も症状が重く、3級がいちばん軽度な状態です。

1級

気分(感情)障害によるものにあたっては、高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり、ひんぱんに繰り返したりするため、常時の介護が必要なもの

2級

気分(感情)障害によるものにあたっては、気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したりまたはひんぱんに繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの

3級

気分(感情)障害によるものにあたっては、気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、その病状は著しくないが、これが持続したりまたは繰り返し、労働が制限を受けるもの

日本年金機構 国民年金・厚生年金保険 障害認定基準参考

その他の要素として、入院や外来の状況、治療期間、治療法、生活環境(家族の助けがあるかどうか、福祉サービスを利用しているかどうか)、就労状況(雇用形態、勤続年数)などがあります。

受給条件

◼︎初診日が年金の加入期間中であること
◼︎各級の障害にあたる状態があること
◼︎初診日の前日までに、保険料納付済期間が加入期間の3分の2以上、もしく免除されている
◼︎65歳未満で、初診日の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと

不受理になるケース

障害年金の申請は手続がとても複雑で、書類一つ一つの条件を満たしていないと不受理になってしまいます。不備があった場合には、早急に修正もしくは追記し、再請求しましょう。

・受給要件が満たされていない
・初診証明が添付されてない
・診断書の現症年月日が3ヶ月を過ぎてしまった
・「診断書」の記載に不備があるとき
・提出書類の記載事項に記入漏れがある
・添付資料の不足や期限切れ書類を提出したとき
・障害年金の請求期限が過ぎている、または請求年齢(65歳)をこえている

障害年金の申請と手続の流れ

障害年金の申請の流れは、初診日を確定して保険料の納付記録を確認し、診断書を取得して、各種書類をそろえて年金事務所等に提出するという流れになります。

申請窓口

障害基礎年金:お住まいの市町村の年金課
障害厚生年金・障害共済年金:年金事務所、または加入されている各共済組合

手続きの流れ

障害年金の受給条件を満たしているか確認

初診日を確定、初診日の証明書を取得

医師に診断書を作成を依頼する

病歴・就労状況等申立書作成

戸籍や住民票など必要書類を揃える

障害給付裁定請求書を作成し役所へ提出

役所や国民年金機構での書類審査

年金受給決定通知書等が届く

審査が通った場合、障害年金の受給がスタート

申請後の結果の目安は早くて3ヶ月

通常は年金を申請してから決定するまでに3ヶ月ほどかかります。役所などで年金の加入要件、保険料の納付条件を点検され、国民年金機構でも障害状態条件等の審査をされます。

提出された書類のみでの判断が難しい場合は、直接本人に照会が行われ、決定が遅れることもあります。

申請が通ると国民年金機構から「年金証書」と「年金決定通知書」が届き、申請が通らなかった場合は「不支給決定通知書」が届きます。

障害年金の申請に必要な書類・持ち物

障害年金を受給するには、各機関で受け取って申請する書類と、病歴・就労状況等申立書のように自分で作成する書類があります。

書類がとても多いので、不備や記載漏れが無いように必ず確認しましょう。

役場または年金事務所で受け取る書類

◼︎年金請求書
市区町村役場、または最寄りの年金事務所、年金相談センターで取得できます。障害基礎年金請求用と障害基礎年金・障害厚生年金請求用との2種類があります。

◼︎戸籍抄本(記載事項証明書)
生年月日を証明する書類。受給権発生日以降で提出日から6ヶ月以内に交付されたもの
(事後重症による請求の場合は、請求日以前1ヶ月以内に交付されたもの)

◼︎病歴・就労状況等申立書
治療経過や日常生活能力等を記述するための書類。

◼︎受診状況等証明書
初診日の診察とその後の診察で、受診した医療機関が2ヶ所以上になる場合、最初の医療機関で初診日の受診状況等証明書を受け取ります。

◼︎医師の診断書(所定の様式あり)
障害認定日より3カ月以内のもの。

自分で用意するもの

◼︎年金手帳…提出できないときは、その理由書が必要です

◼︎普通預金通帳もしくは郵便貯金通帳

◼︎印鑑(認印可)
 

診断書と病歴・就労状況等申立書の注意

障害年金の申請が審査される際に、大きな判断材料となるのが「診断書」と「病歴・就労状況等申立書」です。

こういった書類をおろそかにして「年金を支給してもらえなかった」というケースもみられますので、しっかりポイントをおさえておきましょう。

診断書作成時に注意すること

診断書には、うつ病による障害を医師に記載してもらわなければなりません。

日頃から生活で困ったことを書留めておき、短い診察時間の中でもしっかり医師に症状を伝えられるようにしましょう。また診断書の必要項目に不備がないかも確認しましょう。

病歴・就労状況等申立書

病歴・就労状況等申立書は、就労や日常生活がいかに困難かを具体的に、正しく伝えることがポイントになります。

また医師が作成した診断書の内容に、記載されていないことを記入したり、診断書と矛盾した内容を書き込んだりしないよう注意しましょう。

また、役所から質問されたときに備えて、病歴・就労状況等申立書を提出する前にコピーしておくことをおすすめします。

※等級判定のガイドラインに関しては、厚生労働省に掲載されている「精神・知的障害に係る障害年金の認定の地域差に関する専門家検討会(第6回)等級判定のガイドライン(案)」(平成27年7月30日開催)を参考にしてください。

困ったら専門家に相談を

障害年金の手続きに困ったら、公共機関の相談窓口や民間のサービスを利用しましょう。無料で情報提供を行う機関や代行などを有料で行う会社など、あなたのニーズに合わせて選ぶことができます。

専門家のいる相談窓口

■年金事務所、共済組合事務局
障害年金の請求手続き、受給資格などの相談が可能です。
日本年金機構の相談窓口

■市町村役場の年金係
国民年金加入者の障害年金の請求手続き、受給資格についての相談が可能です。

■民間の障害年金相談
障害年金の専門家でもある社会保険労務士が対応してくれます。社会保険労務士は相談経験も豊富で、受給要件や書類の作成、請求書などについての相談も可能です。代行サービスが可能な場所もありますので、あらかじめ電話やメールで問い合わせて確認しましょう。

■医療ソーシャルワーカー
医療ソーシャルワーカーとは、医療機関で働く相談員です。患者やその家族の抱く経済的、心理的、社会的問題を一緒になって考えサポートする専門家です。ケースワーカーとも呼ばれます。

■代行サービスを利用する
民間企業が行う代行サービスです。うつ病の症状が重くて「自分で申請ができない」という方におすすめです。料金が発生しますが、サポートが厚く、受給認定率が高くなります。

おわりに

障害年金を受給するには、時間も労力も要します。診断書の作成依頼から、用意すべき書類もたくさんあります。

障害年金の申請をスームーズに行うためにも事前の情報収集をしっかり行いましょう。困った時は、専門家を頼ることも検討しましょう。