閉経とは?

WHO(国連世界保健機関)によると、「卵巣における卵胞の消失による永久的な月経の停止」が閉経の定義とされています。つまり「卵巣の活動が低下し、排卵が無くなり生理が止まった状態」です。​

医学的には、生理終了から12ヶ月連続で生理がない場合に閉経と判定するとされています。女性の身体の中には、生まれた時から、卵子の元となる卵が200万個もあります。

生理が始まる思春期の頃には30万個になり、その後は卵の数は決して増えることなく、日々減少していきます。毎月訪れる生理では、卵は数百個ずつ消えてしまいます。

そして、卵の残数が約5万個となったころに、閉経を迎えるのです。

「ピルを使用して卵子の排出を無くせば、閉経年齢を遅らせることができるのでは?」という疑問が起こりますが、残念ながらピルによって閉経を遅らせることはできません。

ピルで、卵子の排出を長期間おさえていたとしても、卵子を抱えている卵巣自体が老化すると、卵子は消滅してしまいます。

閉経には卵子の数だけではなく、卵巣の老化も閉経に大きく関係しているのです。

閉経の兆候:更年期障害など

閉経が近づいてくると生理の周期に乱れが現れます。

生理の一般的な正常周期は28日~35日といわれていますが、以下のような周期の変化が見られ始めたら、閉経に近づいているサインかもしれません。

■1か月に2回以上生理が来るなど、周期が短くなる
■周期が長くなって、頻度が少なくなる
■周期が長くなったり短くなったりを繰り返す
■周期が飛び飛びになる
■予定日が分からなくなる
■生理が続く日数が短くなる

生理の終わり方も人それぞれ違いがあるため、普段との違いを感じた場合は閉経が訪れているかもしれません。

更年期障害の症状

更年期障害は、閉経が近づくと現れると代表的なものです。更年期障害の「更年期」とは閉経前後の5年間のことをいい、平均で45才〜55才の間に現れます。

閉経前後に女性ホルモンのバランスが急激に変化することで、心身にさまざまな変化が起こり、次のような症状を引き起こします。

■自律神経失調症状
のぼせ・汗・寒気・冷え症・動悸・疲れやすい・頭痛・肩こり・めまいなど

■精神症状
イライラ・情緒不安定、抑うつ気分など

■その他
腰痛・関節痛・嘔気・食欲不振など

閉経の平均年齢は?

日本産科婦人科学会によると、日本女性の平均閉経年齢は、約50歳(45~56歳)と報告されており、女性の約半数は50~51歳頃までに閉経するとされています。

ただし、早い人で40歳台前半、遅い人で50歳台後半に閉経を迎えるなど、かなりの個人差があります。

 

まれに、20代や30代で閉経を迎える場合もあり、これは「早期閉経」と呼ばれます。早期閉経については関連記事をごらんください。

閉経の年齢を調べることはできる?

2018年現在の医療技術では、閉経を迎える日を特定することはできません。

しかし、以下の方法で女性ホルモンの変化を計測することで、閉経の時期を推測することは可能です。

◼︎AMH(アンチミューラリアンホルモン)検査
AMH検査は、生殖系に関わるホルモンの一種であるAMHの数値を測ることで、卵巣内にどのくらいの卵子が残っているかを測定するものです。これにより、閉経の時期を推測することができます。ただし、AMHの値は年齢に関わらず、20代や30代でも個人差が出ることもあるため、あくまで目安と考えましょう。
AMH検査は産婦人科で受けることが可能ですが、保険適用外のため、費用は全額自己負担になります。

◼︎基礎体温で調べる
通常、基礎体温は「高温期」と「低温期」に分かれ、閉経が近くなってくると卵巣機能が低下し、高温期が徐々に短くなってきます。日頃から基礎体温を計測しておくことで、閉経を迎える時期を推測することができます。閉経を迎える頃には、高温期は無くなり低温期のみになります。

閉経前後の生理トラブル

40代になると女性ホルモン「エストロゲン(卵胞ホルモン)」の分泌が低下し、それにともない生理不順が始まります。

エストロゲンは女性ホルモンの代表的なもので、子宮や卵巣の働きを助ける・骨や血管を強くする・コレステロール値をコントロールするなど、女性の体を調整する重要な働きがあります。

40歳を過ぎた頃から、これまでは生理周期が安定していた人でも、周期の乱れ以外にも経血の状態などに変化が現れ、今までと違う違和感を感じ始める人は多いでしょう。

この時期は以下のような生理トラブルが起こりやすくなり、それにともなった貧血・立ちくらみ・頭痛などで日常生活に支障を来すこともあります。

■過多月経(経血量の異常な増加)
■黒い色の経血やレバー状のものが増える
■ひどい生理痛

不正出血は婦人病のおそれも

不正出血とは、生理以外に起こる出血のことです。

生理とは異なり、子宮筋腫・子宮頸がん・甲状腺の病気などの重大な病気の症状として起こることが多いのですが、生理との見分けがつかずに病気の発見が遅れてしまうことがあります。

特に閉経前後は生理の周期が不定期になるため、生理による出血と考えてしまいますが、婦人病を見過ごさないためにも、40歳を過ぎたら定期健診を受診することをおすすめします。

閉経前後に性行為を行う際の注意

閉経前後では、性行為をする際に注意すべき点がいくつかあります。閉経を迎える兆しがある人は、以下の点をしっかりおさえた上で性行為を行いましょう。

性交痛

女性ホルモンバランスの変化や性欲の低下などにより、性行為の際に痛みを生じることがあります。

これは、膣の粘膜が薄くなり弾力を失っていく「萎縮性腟炎(いしゅくせいちつえん)」や、おりものの量が減り、膣の乾燥や性器自体も小さくなるなどの変化によって起こります。

性交痛を緩和するには、産婦人科に相談することで、女性ホルモン剤や膣錠・膣坐剤などを処方してもらうことが可能です。

また、ドラッグストアや通販サイトなどで購入できる潤滑ゼリーを使用するなどの方法もあります。

妊娠

閉経を迎えたと自己判断し、避妊をせず性行為を行ったことで妊娠してしまうことがあります。

閉経は「生理終了から12ヶ月連続で生理がない場合」と定義されますが、まれに1年経って生理が再開することがあり、この場合は排卵が行われていると考えられます。

閉経を迎える年齢になると卵巣自体も老化していることで自然妊娠の確率は低いといえますが、閉経が確定していない場合では、妊娠しないといい切ることもできません。

そのため、完全に閉経したことを確認したい場合は婦人科を受診することをおすすめします。

婦人科を受診しない場合で、妊娠を望まない場合は、しっかりと避妊を行いましょう。

性感染症

「完全に閉経した後は性行為の際に避妊の必要はない」と考える人がコンドームでの避妊をしないことで、50代以上の人の性感染症患者も少なくありません。

特に、50代以上の男女約10%がHIVに感染していると厚生労働省が報告しており、閉経後にもHIV感染のおそれが十分にあることがわかります。

近年ではAIDS撲滅運動なども広がりを見せ、性感染症の検査を受けるケースは増えてきましたが、中高年世代のほとんどは検査を受けていないのが現状です。

避妊だけでなく、性感染症の予防のためにもコンドームを着用しましょう。

おわりに 〜閉経と上手く付き合うために〜

閉経前後には更年期障害や生理不順など、さまざまな体の変化が起こるため、不安になるかもしれません。

避けることができない症状がほとんどであるため、閉経前後に現れる体の変化をしっかりと理解し、向き合う必要があります。心身ともに不調を感じたときは、ひとりで抱え込まず、家族・パートナー・友人・医師に相談しましょう。