クラビット®︎とロキソニン®︎を一緒に飲むときの注意
膀胱炎や中耳炎の治療などで使われる抗菌剤のクラビット*1は、ロキソニン*2と同時に処方されることがあります。クラビット*1とロキソニン*2の組み合わせはあまり良くないという話もありますが、医師の診断により処方される場合は、一緒に服用しても基本的に心配はいりません。
しかし処方薬といっても、飲み合わせに関して注意点もありますので、市販のロキソニン*2などの場合はどうかも含め確認しておきましょう。
併用することで痙攣の可能性がある!?
クラビット*1とロキソニン*2を併用することになぜ注意が必要かというと、神経内の興奮を抑える働きが阻害され、まれに痙攣(けいれん)を引き起こす可能性が考えられるからです。
中枢神経にはGABA (ギャバ)という神経内の興奮を抑える物質があり、クラビットのみの服用でも、GABA の働きがわずかに阻害されてしまいます。クラビット*1とともにロキソニン*2を服用すると、GABAを阻害する作用がさらに強まることで痙攣を誘発するおそれがあると考えられています。
併用しても副作用の頻度は高くならない
痙攣が生じる可能性があるといっても、その頻度は多くありません。クラビット*1のみの服用で何らかの副作用が起きる確率は1.6%、その内で痙攣が起きる確率は0.01%未満です。また、ロキソニン*2を含むプロピオン酸系消炎鎮痛薬を併用したとしても、副作用全体の発現率は上がらなかったという報告が出ています。この通り、調査結果から見ても、医師の処方のもとクラビット*1とロキソニン*2を適切に併用したときのリスクは特に高まらないといえます。
クラビットとロキソニンの併用はあくまでも注意
クラビット*1の添付文書を確認すると、ロキソニン*2との併用について注意が記載されています。ロキソニン*2という特定の医薬品名は記載されていませんが、プロピオン酸系非ステロイド性消炎鎮痛薬にはロキソニン*2も含まれています。添付文書上では禁忌(禁止すること)ではなく、あくまでも併用注意として記されています。
併用注意(併用に注意すること)
1. 薬剤名等
フェニル酢酸系又はプロピオン酸系非ステロイド性消炎鎮痛薬
フルルビプロフェン等臨床症状・措置方法
痙攣を起こすおそれがある。
機序・危険因子
中枢神経におけるGABAA受容体への結合阻害が増強されると考えられている。
一緒に飲む場合は間隔を空けるべき?
添付文書上で注意となっていても、併用することが心配な方は「飲む間隔を空けるべきなのでは?」と疑問があるかもしれません。
しかし併用する際には、クラビット*1とロキソニン*2の飲む間隔を空ける必要はなく、むしろ疾患を改善するために、医師の指示に従って薬を飲み切ることが大切になります。
服用に関して不安な点や疑問があれば、自己判断はぜず医師又は薬剤師に必ず確認しましょう。
市販のロキソニンはクラビットと一緒に飲める?
クラビット*1とロキソニン*2が併用できるのは、医師によって処方されたお薬の場合です。クラビットを服用中に、自己判断で市販のロキソニン*2Sやイブプロフェンなどの解熱鎮痛薬を併用すると副作用を招く恐れがあります。
頭痛や腰痛などの痛みが発生したときは、必ず医師や薬剤師にクラビット*1服用中のことを伝え、痛み止めについて相談しましょう。
最後に
クラビット*1とロキソニン*2の併用は、さほど心配ないといえますが、高齢者や抗菌剤のアレルギーを過去に起こしたことのある方、腎臓に障害のある方などは、併用する前に医師に相談する必要があります。
治療薬を安全に使用するためにも、医師の指示に従って服用するようにしましょう。
*1 クラビットは第一三共株式会社の登録商標です。
*2 ロキソニンは第一三共株式会社の登録商標です。

昭和大学大学院薬学研究科修了
昭和大学薬学部客員講師
株式会社ミナカラ / ミナカラ薬局
薬局、ドラッグストアで臨床経験を積み、その後昭和大学薬学部の教員、チェーンドラッグストア協会の教育機関でOTCの研修講師を務める。
【著書】
•現場で差がつく! もう迷わない! ユーキャンの登録販売者お仕事マニュアル 症状と成分でわかるOTC薬
•現場で差がつく! ユーキャンの新人登録販売者お仕事マニュアル
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