エパデール®の効果とは？痩せるって本当？副作用や成分と市販薬・ジェネリックについても解説

エパデール^®とは

エパデール^＊1は中性脂肪を低下させる作用があり、脂質の異常な値をあらわす高脂血症の改善に使われている薬です。

エパデール^＊1の有効成分はイコサペント酸エチル（EPA−E）であり、イワシやサバなど青い背の魚に多く含まれているEPAと同じ成分です。EPAなどを多く含む魚をよく食べることは、脂質異常症や動脈硬化といった生活習慣病の予防につながります。

EPAの成分を含んでいる健康食品なども販売されていますが、医薬品として使われているものがエパデール^＊1です。

エパデール^＊1の効果

エパデール^＊1は、高脂血症、閉塞性動脈硬化症にともなう潰瘍・ズキズキと痛むような疼痛・冷感の改善に効果があります。

エパデール^＊1の成分であるイコサペント酸エチルには、血液中のトリグリセリド（中性脂肪）や総コレステロールを低下させる作用があります。

トリグリセリドやコレステロールを腸管から吸収する作用と肝臓でつくられるのをおさえます。また、血液中からトリグリセリドを分解する酵素を活性化させて、トリグリセリドの消失を促します。

血小板の凝集をおさえるのにもかかわりがあり、動脈の弾力性を保持する作用もあると考えられています。

エパデール^＊1に痩せる効果は？

エパデール^＊1は中性脂肪やコレステロールを低下させる作用がある薬ですが、高脂血症・閉塞性動脈硬化症の改善が目的で使用される薬です。

痩せるための目的で使用することは本来の効果の目的とは異なり、適応外の使い方であるため、有効性や安全性などが保証されているものではありません。副作用などのおそれもあるので、自己判断で使用することはやめましょう。

エパデール^＊1の種類

エパデール^＊1にはカプセルと2種類の粒状カプセル、合計3種類の剤形があります。

エパデール^＊1Sは1日3回服用するタイプの粒状カプセルです。

エパデール^＊1S300、エパデール^＊1S600、エパデール^＊1S900の3種類があり、それぞれ1包中に有効成分のイコサペント酸エチルを300mg、600mg、900mg含んでいます。

エパデール^＊1EMカプセルは1日1回服用するタイプの粒状カプセルです。1包中に有効成分のイコサペント酸エチルを2000mg含んでいます。

また、エパデール^＊1カプセル300は1カプセル中にイコサペント酸エチルを300mg含んでいるカプセルタイプの薬です。

また、エパデール^＊1Sとエパデール^＊1カプセルは高脂血症、閉塞性動脈硬化症にともなう潰瘍・疼痛・冷感の改善に使われますが、エパデール^＊1EMカプセルは高脂血症のみに使われます。

エパデール^＊1は食直後に飲む

エパデール^＊1は食直後（食事のすぐ後）に飲む薬です。食事の影響を受ける薬なので、空腹時に飲むと有効成分の吸収率が低下してしまいます。

●エパデール^＊1S、エパデール^＊1カプセルの場合

【高脂血症に使用する場合】

成分のイコサペント酸エチルとして1回900mgを1日2回か、1回600mgを1日3回、食直後に使用します。トリグリセリド値の程度によって、1回900mgを1日3回まで増量することもあります。

【閉塞性動脈硬化症にともなう潰瘍、疼痛や冷感の改善に使う場合】

成分のイコサペント酸エチルとして1回600mgを1日3回、毎食直後に使用します。ただし、年齢や症状によって増減することがあります。

●エパデール^＊1EMカプセルの場合

成分のイコサペント酸エチルとして、成人には通常1回2gを1日1回、食直後に使用します。トリグリセリド値の程度によって、1回4gまで増量することもあります。

エパデール^＊1を使えない人は？

イコサペント酸エチルは、血液を固まりにくくする作用があります。出血している方（血友病、毛細血管脆弱症、消化管潰瘍、尿路出血、喀血、硝子体出血など）は止血が困難となるおそれがあるため、使用できないこととなっています。

また、月経期間中の方、出血する危険性の高い方、手術を予定している方なども慎重に使用する必要があります。

抗凝固剤のワルファリンカリウムや、血小板凝集を抑制するアスピリン、インドメタシン、チクロピジン塩酸塩、シロスタゾールなどを使用している方は、出血を起こすおそれがあるので併用には注意が必要です。

エパデール^＊1は手術前に休薬が必要

エパデール^＊1などの抗血小板作用を現す薬は、手術前には休薬する必要があります。手術の内容によって1～10日前には使用を中止する場合があります。エパデール^＊1を服用中に手術が必要となった場合は、医師に伝えたうえで指示に従いましょう。

エパデール^＊1の副作用

エパデール^＊1は魚にも含まれる油を成分とした薬ですが、副作用がまったくないわけではありません。

製薬会社の調査として、エパデール^＊1S使用者全体（15,081人）の4.4％に副作用が認められています。主な副作用としては、吐き気、便秘、下痢、腹部不快感、発疹、かゆみが0.1～5％未満の頻度ですが報告されています。

また、めったにありませんが、重大な副作用として肝機能障害、黄疸の発現が報告されています。

エパデール^＊1の成分は必須脂肪酸

エパデール^＊1の有効成分であるEPA−E（イコサペント酸エチル）は、n-3系多価不飽和脂肪酸に分類され、人の体内でつくることのできない必須脂肪酸です。現代人の食生活では、n-3系の脂肪酸の摂取量は低い状態が続いています。

厚生労働省が発表した日本人の食事摂取基準（2020年版）によると、EPAやDHAを含んだn-3系の脂肪酸の食事摂取基準の1日あたりの目安量は、男性は18～49歳で2,000mg、50～74歳で2,200mg、75歳以上は2,100mg、女性は18〜49歳で1,600mg、50歳〜64歳は1,900mg、65歳〜74歳は2,000mg、75歳以上は1,800mgと設定されています。また、妊娠中の方は1,600mg、授乳中の方は1,800mgを1日の目安量とすると設定されています。

エパデール^＊1Sとエパデール^＊1カプセルは、EPA−E（イコサペント酸エチル）を一日に通常1,800mg服用する薬です。また場合により、2,700mgまで増量することもできます。

エパデール^＊1EMカプセルは、EPA−E（イコサペント酸エチル）を一日に通常2,000mg服用する薬です。また場合により、4,000mgまで増量することもできます。

魚に含まれるEPAの量は？

文部科学相による日本食品標準成分表2020年版（八訂）によると、EPAやDHAを含んだn-3系の脂肪酸の成分値は、魚の可食部100gにつき、さんま（皮つき、生）は5.59g、ぶり（生食）で3.35gです。 

毎日の食事から一日の食事摂取基準の目安量を摂取し続けることは難しいこともあり、サプリメントなども現在は多く販売されています。しかし、EPAを含んでつくられた健康食品などは、EPA以外の脂肪酸が含まれていたり、EPAの含有量が低いものも存在します。

一方で、医薬品であるエパデール^＊1は、天然物由来製剤としてつくられており、魚油のトリグリセライドをエチルエステル化することで高純度のEPAを含んでいる薬です。

生活習慣病の予防や健康維持のために、食事やサプリメントなどで必要な量の脂肪酸の摂取を心がけることが大切です。

エパデール^＊1とロトリガ^®の違いは？

エパデール^＊1と似ている作用の薬としてロトリガ^＊2という薬があります。

エパデール^＊1の有効成分はEPA−Eのみですが、ロトリガ^＊2は有効成分としてオメガ−3脂肪酸エチルというEPA−E（イコサペント酸エチル）とDHA−E（ドコサへキサエン酸エチル）を含んでいることが特徴です。

ロトリガ^＊2の1包中に含まれるオメガ−3脂肪酸エチル2gには、EPA−Eが930mg、DHA−Eが750mg含まれています。エパデール^＊1よりEPA−Eの配合量は低いですが、両方の成分を摂取できるのが特徴です。

また、エパデール^＊1S、エパデール^＊1カプセルは1日2～3回飲む必要がありますが、エパデール^＊1EMカプセル、ロトリガ^＊2は通常1日1回の使用で手間が少ないです。

ロトリガ^＊2は主に中性脂肪を低下させる作用であり、効能効果は高脂血症のみとされています。医師の診断によって使用される薬が決まるので、医師の指示に従って自分の症状に適した薬を使いましょう。

エパデール^＊1の市販薬はある？

エパデール^＊1と同じ有効成分を配合した市販薬は市販されています。健康診断などで指摘された境界領域の中性脂肪値を改善する目的で使用されます。

エパデールTは1包中に、有効成分のイコサペント酸エチルを600mg含んでおり、1日3回使用することとなっています。

第1類医薬品になっているため、購入の際は薬剤師による情報提供が必要です。

20才未満の人や妊婦または妊娠していると思われる人、授乳中の人などは使用できないこととなっているので注意してください。薬の使用前には添付文書を読み、用法用量を正しく守ってください。

こちらの記事では、動脈硬化を予防するためにコレステロール値を下げる生活習慣などについて解説しています。

エパデール^＊1のジェネリック

エパデール^＊1には、同じ有効成分を含んだジェネリック医薬品がいくつかのメーカーから販売されています。

ジェネリック医薬品とは、先発薬（ここではエパデール^＊1のこと）と同じ有効成分が含まれていながら、低価格で入手できる薬のことです。エパデール^＊1と同等の効き目や品質、安全性が認められています。

エパデール^＊1のジェネリック医薬品を使用したい方は医師や薬剤師にご相談ください。

おわりに

エパデール^＊1に含まれているEPAは体に必要な成分です。毎日推奨された量を摂取することが健康を維持するためには大事です。乱れた食生活などで中性脂肪やコレステロールの数値が気になる方は、早めに対策を行いましょう。

※1エパデールは持田製薬株式会社の登録商標です。

※2ロトリガはプロノバ　バイオファルマ　ノルゲ　エイエスの登録商標です。