
ケフラール®︎の効果とは!膀胱炎や風邪に効くの?

ケフラール®︎の効能・効果:適応症と適応菌種
ケフラール*1(一般名:セファクロル)は第一世代セフェム系薬に分類される抗生物質です。
抗生物質とは人間や動物の体内で悪さをする細菌に対して効果を発揮する薬のことで、食中毒をはじめとする感染症の治療などに使用されます。また、抜歯後の感染症の予防として歯科医院から処方されることもあります。
抗生物質は細菌に対して効果を発揮する薬なので、インフルエンザやヘルペスなどのウイルス性の病気、カンジダなどの真菌(カビ)による病気には効果がありません。
ケフラール*1にはカプセル剤と粉薬がありますが、ケフラール*1カプセル・ケフラール*1細粒小児用と、L-ケフラール*1顆粒では適応のある細菌が異なります。
ケフラール*1カプセル・ケフラール*1細粒小児用
ブドウ球菌、大腸菌などの細菌に効果があり、咽頭・喉頭炎や扁桃炎、急性気管支炎などの風邪、肺炎、膀胱炎、歯周炎、中耳炎、子供に多い溶連菌感染症など、さまざまな感染症に効果があります。
<適応菌種>
本剤に感性のブドウ球菌属,レンサ球菌属,肺炎球菌,大腸菌,クレブシエラ属,プロテウス・ミラビリス,インフルエンザ菌<適応症>
○ 表在性皮膚感染症,深在性皮膚感染症,リンパ管・リンパ節炎,慢性膿皮症
○ 外傷・熱傷及び手術創等の二次感染,乳腺炎
○ 咽頭・喉頭炎,扁桃炎,急性気管支炎,肺炎,慢性呼吸器病変の二次感染
○ 膀胱炎,腎盂腎炎
○ 麦粒腫
○ 中耳炎
○ 歯周組織炎,歯冠周囲炎,顎炎
○ 猩紅熱引用:ケフラール*1カプセル250mg・ケフラール*1細粒小児用100mg 添付文書
L-ケフラール*1顆粒
ブドウ球菌や大腸菌などの細菌に適応がありますが、肺炎球菌やプロテウス・ミラビリスには適応がありません。
咽頭・喉頭炎や扁桃炎、急性気管支炎などの風邪、中耳炎、皮ふ感染症などの治療に使用されます。
<適応菌種>
本剤に感性のブドウ球菌属,レンサ球菌属(肺炎球菌を除く),大腸菌,クレブシエラ属,インフルエンザ菌<適応症>
○ 深在性皮膚感染症,リンパ管・リンパ節炎,慢性膿皮症
○ 咽頭・喉頭炎,扁桃炎,急性気管支炎,慢性呼吸器病変の二次感染
○ 中耳炎引用:L-ケフラール*1顆粒 添付文書
膀胱炎にはケフラール*1が最も効く?
膀胱炎の治療では抗生物質を使用しますが、ケフラール*1以外の抗生物質を処方された経験のある方もいるのではないでしょうか。
細菌には抗生物質への「感受性(感性)」というものがあります。感受性とは薬が効くかどうかを指す言葉で、「ケフラール*1に感受性がある」といえば「ケフラール*1が効く細菌」ということになります。
実は細菌の感受性は、地域や流行時期によって変化するため、医師は発症した時期や場所によって、どの抗生物質なら効果があるのかを判断して処方しているのです。
「前は違う薬だったのに今回はケフラール*1なの?」と疑問に感じることもあると思いますが、医師はその時の膀胱炎にはこの抗生物質が効くと判断して処方しているので、安心して処方された抗生物質を使用してください。
ただし、処方された抗生物質を指示どおりに使用しても症状に改善がみられない場合は、必ず医師に報告してください。
ケフラール*1の用法・用量
ケフラール*1カプセル250mg
15歳以上の成人、体重20kg以上の小児には、通常1回1カプセルを1日3回使用します。症状が重い場合や、薬が効きにくい菌による病気では、1回2カプセルまで増量します。
いずれの場合も年齢や体重、症状などを考慮して医師の判断により薬の量を調節します。
ケフラール*1細粒小児用100mg
体重1kgあたりに対して、通常セファクロルとして1日量20~40mg(力価)を3回に分けて使用します。
たとえば、体重15kgの子どもでは1日量300~600mgを3回に分けるので、1回100~200mg(粉薬として1~2g)を使用します。
L-ケフラール*1顆粒
15歳以上の成人、体重20kg以上の小児には、通常1回1包を朝・夕食後の2回使用します。症状が重い場合や、薬が効きにくい菌による病気では、1回2包まで増量します。
いずれの場合も年齢や体重、症状などを考慮して医師の判断により薬の量を調節します。
また、L-ケフラール*1顆粒は胃と腸で溶けるように調整されている薬です。薬の効果を発揮するために、噛んだり、制酸剤と一緒に飲んだりしないでください。
ケフラール*1の副作用:下痢・軟便
ケフラール*1などの抗生物質では、代表的な副作用として下痢や軟便が起こることがあります。
腸内には100兆個以上もの腸内細菌が住みついているといわれています。抗生物質は細菌を殺す作用がある薬なので、良い菌・悪い菌のどちらの細菌も殺してしまいます。そのため、腸内の細菌バランスが崩れやすく、下痢や軟便、腹痛といった症状が現れるケースがあります。
ケフラール*1ではほかにも、吐き気、口内炎などの副作用が報告されていますが、もし副作用と思われる症状が気になるときは、医師・薬剤師に相談してみましょう。
重大な副作用
めったに起こることはありませんが、ケフラール*1ではショックやアナフィラキシー、偽膜性大腸炎などの重大な副作用が報告されています。
ケフラール*1の使用後に、呼吸困難やぜんそくのような症状、血便などの症状が現れた場合は、すぐに使用を中止して、医師の指示をあおいでください。
眠気について
ケフラール*1は、製薬会社からの情報では眠気についての注意喚起はありません。
もしケフラール*1を使用して眠気が出てくるとすれば、併用しているほかの薬や、体が細菌と戦っているために起こる防御反応などが原因として考えられます。
ケフラール*1の使用上の注意
ケフラール*1を使用してショックを起こしたことがある方は使用できません。
ケフラール*1以外のセフェム系抗生物質を使用して過敏症状が現れたことがある方は、医師が必要であると判断しない限りは使用されません。
またセフェム系と似た構造を持つペニシリン系抗生物質を使用して過敏症状が現れたことがある方、本人やご家族に気管支ぜんそく・発疹・じん麻疹などのアレルギー症状を起こしやすい体質の人がいる方、口から食事を摂るのが難しい方、全身状態が悪い方、高度の腎障害のある方は慎重に使用しなければならないため、必ず医師に伝えてください。
妊娠・授乳中の使用
妊娠中の方、妊娠している可能性のある方には、病気を治療する上でどうしてもケフラール*1の使用が必要であると医師が判断した場合に限り使用されます。
また、ケフラール*1は母乳中へ移行することが報告されています。授乳中の方がケフラール*1を使用する場合には、薬の使用中は授乳の継続もしくは中止について医師と相談してください。
高齢者の使用
高齢者では腎臓などの生理機能が弱くなっていることが多いため、副作用が現れやすくなっているので、体調の変化にはとくにご注意ください。
また、ビタミンKが欠乏し、出血しやすくなることがあります。
小児用細粒の注意
ケフラール*1小児用細粒はオレンジ風味の粉薬です。
そのままでも比較的飲みやすい薬ですが、小さな子どもに薬を飲ませるときに、牛乳やジュースなどに薬を溶かして飲ませる方もいるのではないでしょうか。
このとき注意したいのが、薬をジュースなどに溶かしたまま放置してしまうことです。
溶かしてから時間がたつと苦味が強くなったり、薬の効果が弱くなってしまうことがあるので、飲ませる直前に溶かすようにしましょう。
また、ケフラール*1小児用細粒を混ぜるのであればヨーグルトやプリン、コーヒー牛乳などをおすすめします。ケフラール*1小児用細粒をゼリーやスポーツ飲料に混ぜると飲みにくくなる可能性もあります。
ケフラール*1の飲み合わせ:カロナール®︎・ロキソニン®︎・酒・アルコール・整腸剤
カロナール®︎・ロキソニン®︎などの解熱剤との飲み合わせ
ケフラール*1とカロナール*2・ロキソニン*3などの解熱鎮痛剤との飲み合わせは、とくに問題ありません。
ケフラール*1は風邪のような症状や、抜歯などでの感染症の治療・予防に使用される薬なので、発熱や痛みをおさえるためにカロナール*2やロキソニン*3と一緒に処方されることもあります。
整腸剤との飲み合わせ
ケフラール*1の副作用である下痢などの症状を抑えるために、整腸剤を使用することがあります。
「ビオフェルミンR®︎」という薬は特定の抗生物質に抵抗をもつ耐性乳酸菌で作られています。このビオフェルミンR*4はケフラール*1に対して耐性を持っているため、ケフラール*1による下痢がひどい場合に一緒に処方されることがあるのです。
耐性をもたない通常の整腸剤では、ケフラール*1の作用によって、有効成分の善玉菌が殺されてしまうために十分な効果が望めません。ご注意ください。
おわりに
近年、抗生物質が効かない耐性菌が問題となっています。
耐性菌は抗生物質の乱用や抗生物質の間違った使い方により、体内に残った細菌が薬に対して抵抗力を持つことで生まれるといわれています。
耐性菌の発生を防ぐためにも、処方された抗生物質は医師の指示どおりの期間、用法用量を必ず守って使用しましょう。
また、余った薬は自分で処分するか、薬局に持ち込んで処分してもらい、ほかの人にゆずり渡すことは絶対にしないでください。
※1 ケフラールは共和薬品工業株式会社の登録商標です。
※2 カロナールはあゆみ製薬株式会社の登録商標です。
※3 ロキソニンは第一三共株式会社の登録商標です。
※4 ビオフェルミンRはビオフエルミン製薬株式会社の登録商標です。

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