コレステロール値が高いと言われたら|食事で気をつけること
コレステロールには善玉と悪玉の2種があり、善玉をHDLコレステロール、悪玉をLDLコレステロールと呼びます。
このふたつのコレステロールのバランスが崩れて、血液中のコレステロールが過剰となるのが、脂質異常症と呼ばれる状態です。
脂質異常症の主な治療方法は生活習慣の改善が基本で、食事療法や運動療法などがおこなわれます。
この記事では、特に脂質異常症の治療において大きな役割を果たす食事について解説します。
カロリーを摂取しすぎないこと
食事療法の基本は、過食を避けカロリーをとり過ぎないことです。
1日のエネルギー摂取量の目安を知って、標準体重を保ちましょう。
ただし、目指す体重やカロリーの摂取量は個人によって異なるため、まずは医師に相談するとよいでしょう。
| 標準体重の目安 | 身長(m)×身長(m)×22 |
|---|---|
| 1日に必要なエネルギー量(kcal) の目安 | 標準体重(kg)×25〜30 (kcal) |
コレステロール値が上がりにくい食生活を
体内のコレステロール値を改善するためには、コレステロールが含まれる食品を避けることが重要と思われがちです。
しかし、私たちの体内のコレステロールのうち食品から吸収されているのは約2割程度で、残りの8割は肝臓で合成されています。
脂質の摂取に注意
「コレステロール=脂肪」というイメージがありますが、脂肪を構成している要素である脂肪酸は、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分類されます。
同じ脂肪でも種類によって血中のコレステロールを増やすものと減らすものがあります。
飽和脂肪酸はLDL(悪玉)コレステロールを増やすのに対し、不飽和脂肪酸はLDL(悪玉)コレステロールを減らす働きがあります。
| 種類 | 効果 |
|---|---|
| 飽和脂肪酸 | 血液中のLDL(悪玉)コレステロールを増やす |
| 不飽和脂肪酸 |
血液中のLDL(悪玉)コレステロールを減らす |
LDL(悪玉)コレステロール値を改善したい場合は不飽和脂肪酸を積極的に摂取し、飽和脂肪酸は避けるようにしましょう。
| 種類 | 食品 |
|---|---|
| 飽和脂肪酸 |
脂身の多い肉、ひき肉、鶏肉の皮、バター、 |
| 不飽和脂肪酸 |
イワシ、サバ、サンマなどの青魚の油 |
同じ肉類でも牛豚のロースやバラ肉よりも、もも肉や鶏肉のささみの方が脂肪分が少ないです。
不飽和脂肪酸は植物や魚の脂に含まれることが多いです。
また不飽和脂肪酸はオリーブオイルや大豆油、キャノーラ油に多く含まれるため、ご家庭の料理に使う油におすすめです。
不飽和脂肪酸について
不飽和脂肪酸は構造により、シス型とトランス型に分かれます。
天然の食品に含まれる不飽和脂肪酸は、通常シス型で存在します。
しかし、人工的に生成される不飽和脂肪酸には『トランス型の脂肪酸』が含まれていることがあります。
身近なものでは、マーガリン、ショートニング、クッキー、ケーキ、スナック菓子、インスタント食品、ファーストフードなどに多く含まれていることが多いとされています。
トランス型の脂肪酸は、過剰摂取することで心臓病のリスクが高まるという報告があります。
| トランス型の脂肪酸が 多く含まれているとされている食品 |
マーガリン、ショートニング、クッキー、 |
|---|
食物繊維を摂取する
食物繊維には脂肪分の吸収を妨げ、コレステロールの排出を促す働きがあります。
海藻類・きのこ類・豆類などの食物繊維が含まれた食品を積極的に食事に取り入れましょう。
なお、玄米や雑穀をはじめとする精白度の低い穀類にも、食物繊維が多く含まれています。
水溶性食物繊維がおすすめ
食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類がありますが、その中でもコレステロール値が高めの方におすすめなのが水溶性食物繊維です。
水溶性食物繊維には、余分なコレステロールの吸収抑制効果があるといわれています。
厚生労働省では『成人男性は20g以上、成人女性は18g以上の食物繊維』を摂取することを推奨しています。
食物繊維を摂取するときは、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方をバランス良く摂取することが大切です。野菜や海藻、 きのこなどを積極的に献立に加えると良いでしょう。
また食事が不規則な方は、特定保健用食品(トクホ)を利用するのもひとつです。
補助的に市販薬の活用も
生活習慣の改善でコレステロールの管理が不十分な場合には、補助的な意味でコレステロール値をコントロールする市販薬を活用するのも1つの方法です。
| 有効成分 |
|---|
| イコサペント酸エチル |
エパデールTは、健康診断等で指摘された境界領域※1の中性脂肪値を改善する医薬品です。
エパデールTの有効成分であるイコサペント酸エチルには、肝臓での過剰な中性脂肪合成を抑え、血中の余分な中性脂肪の代謝をはやくして中性脂肪の値を改善する作用があります。
医薬品の効果は個人差があるため、本剤の服用開始3ヵ月後には、医療機関等で血液検査を行い、中性脂肪値の改善を確認してください。
※1健康診断などにおいて中性脂肪が正常値よりもやや高めの値(150mg/dL以上300mg/dL未満)のこと
| 有効成分 |
|
パンテチン 大豆油不けん化物 酢酸d-α-トコフェロール |
コレストンは3種の有効成分を配合しています。
血清高コレステロールを改善し、また、血清高コレステロールに伴う末梢神経障害(手足の冷え・しびれ)を緩和する医薬品です。
大豆由来成分の大豆油不けん化物が腸からの余分なコレステロール吸収を抑え、排泄を促します。
また、パンテチンがコレステロール代謝を改善し、酢酸d-α-トコフェロールは血行を促進することで手足に冷えやしびれを緩和します。
医薬品の効果は個人差があるため、服用後は医療機関で定期的にコレステロール値の測定をすることをおすすめします。
薬を服用しても生活習慣の改善は必須
薬は血液中の脂質であるコレステロールや中性脂肪が多い状態を治すわけではなく、あくまでコントロールをしているだけです。
根本的な原因を解消するためには、食事療法と運動療法は必須となります。
薬を服用しても食生活の改善と適度な運動は継続するようにしてください。

昭和大学大学院薬学研究科修了
昭和大学薬学部客員講師
株式会社ミナカラ / ミナカラ薬局
薬局、ドラッグストアで臨床経験を積み、その後昭和大学薬学部の教員、チェーンドラッグストア協会の教育機関でOTCの研修講師を務める。
【著書】
•現場で差がつく! もう迷わない! ユーキャンの登録販売者お仕事マニュアル 症状と成分でわかるOTC薬
•現場で差がつく! ユーキャンの新人登録販売者お仕事マニュアル

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