インフルエンザの症状に効く市販薬(解熱鎮痛剤)|熱・喉の痛み・頭痛
インフルエンザに市販薬(解熱鎮痛剤)は使用できる?
インフルエンザによる発熱に市販薬(解熱鎮痛剤)を使用することはできます。しかし市販薬のなかには、インフルエンザの際に使用が禁止されている成分が含まれているものがあるため注意が必要です。
NSAIDsが配合された市販薬の使用は避けましょう
インフルエンザの疑いがある場合は、年代に関わらず、アスピリンやイブプロフェンなどのNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)が含まれた市販薬を、自己判断で使用することは避けましょう。
因果関係がはっきりとしていないことが多いですが、特に小児においては、インフルエンザの際にNSAIDsを使用すると、インフルエンザ脳症のリスクが高まるという報告もあります。
インフルエンザの疑いがある場合は、アセトアミノフェンが含まれた市販薬を使用しましょう。
■医師によってはNSAIDsを処方するケースもある
医師が診療のうえでNSAIDsを処方した場合は、医師の指示に従ってください。ただし、自己判断でNSAIDsが含まれた市販薬の使用は避けましょう。
NSAIDs(イブプロフェンやロキソプロフェンなど)とアセトアミノフェンの違い
解熱鎮痛剤はNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)と呼ばれるグループと、アセトアミノフェンの2つに大きく分けられます。
NSAIDsとアセトアミノフェンの主な違いは、以下のとおりです。
| 特徴 | |
|---|---|
| NSAIDs | ・15歳未満では服用できる市販薬がない ・アセトアミノフェンに比べて解熱鎮痛効果が強い ・アセトアミノフェンに比べて胃への副作用が出やすい |
| アセトアミノフェン | ・15歳未満も服用できる小児用の薬がある ・NSAIDsに比べて解熱鎮痛効果がおだやか ・NSAIDsに比べて胃への副作用が出にくい |
妊娠中・授乳中の方の市販薬(解熱鎮痛剤)の使用には注意が必要
妊娠中の方は重症化のリスクがあるため、インフルエンザの疑いがあるときは、早めに病院を受診しましょう。
なお、妊娠中・授乳中の市販薬(解熱鎮痛剤)の使用については、場合によっては赤ちゃんへ影響をおよぼす薬もあるため注意が必要です。
妊娠中・授乳中の解熱鎮痛剤の使用については、以下の記事で詳しく解説しています。
インフルエンザの症状に効く市販薬|解熱鎮痛剤
インフルエンザの症状に効く市販薬には、大人向けの解熱鎮痛剤(タイレノールAやラックルなど)と、子ども向けの解熱鎮痛剤(小児用バファリンチュアブルやムヒのこども解熱鎮痛顆粒など)があり、どちらものどの痛みや熱などに効果をあらわします。
解熱鎮痛剤|大人向け
タイレノールA|錠剤タイプ
| 効能効果 |
|---|
| ○頭痛、月経痛(生理痛)、歯痛、抜歯後の疼痛、咽喉痛、耳痛、関節痛、神経痛、腰痛、筋肉痛、肩こり痛、打撲痛、骨折痛、ねんざ痛、外傷痛の鎮痛 ○悪寒・発熱時の解熱 |
タイレノールAは、有効成分にアセトアミノフェンのみを配合した錠剤タイプの解熱鎮痛剤です。のどの痛みや熱などに効果をあらわします。
なお、5〜6回服用しても症状がよくならない場合は、市販薬の服用をやめ、病院を受診するようにしましょう。
授乳中も使えます。
ラックル|速溶錠タイプ
| 効能効果 |
|---|
| ○腰痛、神経痛、関節痛、肩こり痛、筋肉痛、頭痛、ねんざ痛、外傷痛、打撲痛、骨折痛、歯痛、抜歯後の疼痛、咽喉痛、耳痛、月経痛(生理痛)の鎮痛 ○悪寒・発熱時の解熱 |
ラックルは、有効成分にアセトアミノフェンのみを配合した速溶錠タイプの解熱鎮痛剤です。カリカリとかみくだくか、軽く口の中で溶かしてから、水と一緒に服用します。パッケージには腰痛・神経痛という表記が目立ちますが、のどの痛みや熱などにも効果をあらわします。
なお、5〜6回服用しても症状がよくならない場合は、市販薬の服用をやめ、病院を受診するようにしましょう。
解熱鎮痛剤|子ども向け
小児用バファリンチュアブル|3歳以上〜15歳未満
| 効能効果 |
|---|
| ○悪寒・発熱時の解熱 ○歯痛、抜歯後の疼痛、頭痛、打撲痛、咽喉痛、耳痛、関節痛、神経痛、腰痛、筋肉痛、肩こり痛、骨折痛、ねんざ痛、月経痛(生理痛)、外傷痛の鎮痛 |
小児用バファリンチュアブルは、有効成分にアセトアミノフェンのみを配合した、オレンジ味の解熱鎮痛剤です。
チュアブルタイプで水なしで飲めるという特徴があります。錠剤が苦手なお子さんにおすすめです。
なお、5〜6回服用しても症状がよくならない場合は、市販薬の服用をやめ、病院を受診するようにしましょう。
ムヒのこども解熱鎮痛顆粒|1歳以上〜11歳未満
| 効能効果 |
|---|
| ○悪寒・発熱時の解熱 ○頭痛、歯痛、抜歯後の疼痛、咽喉痛、耳痛、関節痛、神経痛、腰痛、筋肉痛、肩こり痛、打撲痛、骨折痛、ねんざ痛、月経痛(生理痛)、外傷痛の鎮痛 |
ムヒのこども解熱鎮痛顆粒は、アセトアミノフェンとアスコルビン酸(ビタミンC)、グリシンが配合された解熱鎮痛剤です。
アセトアミノフェンがのどの痛みや熱などに効果をあらわします。
また、アスコルビン酸(ビタミンC)が発熱時に消耗するビタミンCの補給を、グリシンが解熱鎮痛成分による胃への負担をやわらげます。
顆粒タイプ(イチゴ味)のため、錠剤が苦手なお子さんにおすすめです。
ムヒのこども解熱鎮痛顆粒は、1歳から服用できますが、2歳未満のお子さんは医師の診療を受けさせることを優先し、やむをえない場合にのみ服用させてください。
なお、5〜6回服用しても症状がよくならない場合は、市販薬の服用をやめ、病院を受診するようにしましょう。
バファリンルナJ|7歳以上
| 効能効果 |
|---|
| ○月経痛(生理痛)、頭痛、腰痛、肩こり痛、筋肉痛、関節痛、打撲痛、骨折痛、ねんざ痛、歯痛、抜歯後の疼、神経痛、耳痛、外傷痛、咽喉痛の鎮痛 ○悪寒・発熱時の解熱 |
バファリンルナJは、有効成分にアセトアミノフェンのみを配合した、苦くないフルーツ味の解熱鎮痛剤です。
チュアブルタイプで水なしで飲めるという特徴があります。錠剤を飲み込むのが苦手なお子さんにおすすめです。
なお、5〜6回服用しても症状がよくならない場合は、市販薬の服用をやめ、病院を受診するようにしましょう。
インフルエンザとは|原因・症状・治し方
インフルエンザとは、インフルエンザウイルスの感染により起こる、肺と気道のウイルス感染症のことをいいます。例年、12月〜3月に大きな流行があるのが特徴です。
インフルエンザの原因と感染経路|飛沫感染・接触感染
インフルエンザウイルスには3つの型(A型・B型・C型)があり、大きな流行の原因となるのはA型とB型です。ただし流行するウイルス型は、国や地域で、またその年ごとでも異なります。
インフルエンザの主な感染経路には、飛沫感染と接触感染があります。
■飛沫感染
咳やくしゃみなどで飛散した飛沫(ウイルスを含む)を、口や鼻から吸い込むことで感染する
■接触感染
分泌物(ウイルスを含む)に触れた手で、口や鼻に触れることにより、粘膜を通じて感染する
インフルエンザの症状|38度以上の発熱、喉の痛みなど
インフルエンザの症状は、感染して1~4日後にあらわれることがほとんどです。主な症状は以下のとおりです。
|
・38度以上の発熱、寒気(悪寒) |
■インフルエンザによる合併症と死亡リスクが高くなる方
インフルエンザによる合併症には、中耳炎や肺炎、脳炎などさまざまなものがあります。とくに以下の方は、インフルエンザによる合併症と死亡のリスクが高くなると言われています。
|
・5歳未満のお子さん |
インフルエンザの治し方|治療薬
インフルエンザにかかったら、安静にして十分な休養と水分補給をとり、激しい活動を避けることが大切です。
また、インフルエンザの治療薬として、抗インフルエンザ薬があります。
■インフルエンザの治療薬
インフルエンザの治療薬(飲み薬)には、以下のような抗インフルエンザ薬があります。
|
・オセルタミビルリン酸塩(商品名:タミフル®等) |
なお、抗インフルエンザ薬は、医師が必要と認める場合のみに処方されます。医師から抗インフルエンザ薬が処方されたら指示に従って服用してください。
インフルエンザと風邪との違い
インフルエンザと風邪では、症状や重症化の傾向などが異なります。インフルエンザと風邪の違いについて厚生労働省は、以下のように回答しています。
Q1 インフルエンザと普通の風邪はどう違うのですか?
一般的に、風邪は様々なウイルスによって起こりますが、普通の風邪の多くは、のどの痛み、鼻汁、くしゃみや咳等の症状が中心で、全身症状はあまり見られません。発熱もインフルエンザほど高くなく、重症化することはあまりありません。
一方、インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによって起こる病気です。38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感等の症状が比較的急速に現れるのが特徴です。併せて普通の風邪と同じように、のどの痛み、鼻汁、咳等の症状も見られます。お子様ではまれに急性脳症を、御高齢の方や免疫力の低下している方では二次性の肺炎を伴う等、重症になることがあります。
インフルエンザの疑いがあるときは早めに病院受診を
インフルエンザの疑いがあるときは、早めに病院を受診しましょう。
とくに、高齢者やお子さん、妊娠中の方、持病のある方、重症化の傾向がみられる方は、重症化のリスクがあるため、すぐに病院を受診してください。
また、重症化リスクがない方でも、抗インフルエンザ薬は、症状発現後、可能な限り速やかに開始することが望ましいとされ、症状発現から48時間以内を目安に服用することが基本となっています。そのため、インフルエンザが疑われる場合には、なるべく早めに病院を受診するとよいでしょう。
■重症化の目安
| ・けいれんしたり呼びかけにこたえない ・呼吸困難、または息切れがある ・胸の痛みが続いている ・顔色が悪い(青白) ・嘔吐や下痢が続いている ・症状が長引いて悪化してきた など |
インフルエンザの予防・対策法|ワクチン接種など
インフルエンザの予防・対策方法には、ワクチン接種をする、手洗いを行う、人混みを避けるなどの方法があります。
流行前にワクチン接種をする
流行前のワクチン接種は、インフルエンザの予防・対策に有効な方法とされています。(医師が接種可能と判断した場合)
ワクチンには、インフルエンザを発症する可能性を減らす効果と、インフルエンザを発症した場合の重症化防止に有効と報告されています。
ワクチンの効果が期待できるのは、接種後2週間から5か月程度と考えられています。
■ワクチン接種後に起こる副反応
ワクチン接種をすると、以下のような副反応があらわれることがあり、通常、2〜3日で消失します。
|
・接種した場所の赤み、腫れ、痛み |
まれにですが、ワクチン接種後の副反応として、ショック、アナフィラキシー様症状(発疹、じんましん、赤み、かゆみ、呼吸困難等)があらわれることもあります。接種後に心配なことがあれば、医師に相談するようにしましょう。
手洗いを行いウイルスを物理的に除去する
手洗いはウイルスを物理的に除去するために有効な方法です。帰宅後は石鹸を使い、手のひらや手の甲、指の間などをしっかりと洗いましょう。(15秒以上が目安)
また、アルコールによる手指消毒も、インフルエンザウイルス除去に有効です。
人混みを避けて感染を避ける
インフルエンザへの感染を避けるためには、人が多い場所への外出を控えることが大切です。人が多い場所へ出かけるときは、不織布製のマスクを着用して、飛沫感染等から身を守るようにしましょう。
とくに、高齢者の方や持病がある方、妊娠中の方、体調が悪い方、睡眠不足の方は、人が多く集まる場所への外出を控えるようにしましょう。
こまめな換気をおこなう
インフルエンザ予防・対策法として、こまめな換気は重要です。1時間に1回程度を目安に換気をおこないましょう。
換気を効果的におこなう方法として、対角線上にあるドアや窓を2か所開放する、窓が1つしかない場合は部屋のドアをあけて扇風機などで窓側に風を送るなどがあります。
■冬場に換気を行う時の注意点
冬場に換気をおこなう際は、暖房器具を使用しながら換気をおこなうとよいでしょう。室温が一気に下がってしまうのを防ぐことができます。
室温の低下を防ぐためには、暖房器具の近くの窓をあける、一方向の窓を少しだけ開けて常時換気するなどの方法があります。
湿度の調整をおこない空気の乾燥を防ぐ
適度な湿度を保つことは、インフルエンザへの予防・対策法として有効です。
空気が乾燥しやすい時期には、加湿器などを使って適切な湿度(50〜60%)を保つようにしましょう。
空気が乾燥すると、気道粘膜の防御機能が低下して、インフルエンザにかかりやすくなる可能性があります。
栄養バランスのとれた食事と十分な睡眠をとる
インフルエンザの予防・対策には、体の抵抗力を高めることが大切です。日頃から栄養バランスのとれた食事をとる、十分な睡眠をとることを意識しましょう。
※1タミフルはエフ・ホフマン-ラ ロシユ アーゲーの登録商標です。
※2リレンザはグラクソ グループ リミテッドの登録商標です。
※3ゾフルーザは塩野義製薬株式会社の登録商標です。
※4イナビルは第一三共株式会社の登録商標です。


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